原典確認・計算モデル更新:2026年9月27日。初回公開日の記録は保持しています。
施設で実際に使える太陽光の電力量、購入電力のうち減る費用、屋根改修や契約終了時の負担をそろえて比較します。本記事は、公共施設1案件の見積比較に絞り、需要家とPPA事業者の両方の収支を追える計算ツールと比較票を提供します。
数値例はすべて仮定です。実際の自治体の削減実績、落札相場、補助金の採択見込みを示すものではありません。
最初にそろえるのは、料金の分母と負担範囲
オンサイトPPAでは、事業者が施設内に設置・所有する発電設備から電気を購入します。導入費用が電気料金へ組み込まれる形なので、「初期負担が小さい」と「総費用がゼロ」は別です。屋根改修など、別途の需要家負担があるかも契約で確認します。
出典:環境省・第三者所有モデルの案内(2026年3月見直し)
| 比較するもの | 判断を誤る例 | そろえる条件 |
|---|---|---|
| 購入電力の回避単価 | 年間請求額÷年間使用量を、そのまま節約単価にする | 削減される電力量料金・調整額等を抽出。基本料金は別に検証。 |
| PPA供給量 | 発電した電力を全量、施設で使うとする | 休校日・休日も含む需要との同時刻照合。余剰売電は別の収入。 |
| 提示単価 | 税込と税抜、固定価格と改定可能価格を混ぜる | 税区分、価格改定式、最低購入条件、計量点を合わせる。 |
| 補助金 | 公募中の金額を採択済みとして引く | 未採択は補助なしも試算。帰属・入金時期・需要家への還元を確認。 |
計算上、減らない基本料金を1kWh当たりへ割り振って節約額へ入れると、効果を過大に見積もります。デマンド低下を見込む場合も、最大需要電力と契約条件を別に確かめてください。料金の将来上昇を既定路線にせず、横ばい・低下も比較します。
需要家と事業者の採算を同時に比べるツール
入力の変更に合わせて自動計算します。「必要単価」は、入力した割引率で事業者のNPV(正味現在価値)がゼロになる単価です。「需要家の損益分岐単価」は、年間追加費用も含めた同じ期間の割引後節減がゼロになる単価です。両者の間に幅があっても、入札価格や契約の妥当性が確定するわけではありません。
公共施設オンサイトPPA・事前比較
初期値は仮の案件。市場相場ではありません。金額の税区分は統一してください。入力はこのページ内で処理し、外部へ送信しません。
年間経常費に保守・保険・租税公課等の見込額を含めてください。更新費・撤去費と二重計上しないようにします。補助は初期時点の控除とする簡易モデルです。
CSV欄を選択してコピーし、表計算ソフトへ読み込めます。CSVファイルとして残す場合はUTF-8で保存してください。年0は初期投資、年1以降は各年末の収支です。表示は小数第2位(割引係数は第8位)に丸めています。入力条件は上の記録も一緒に保管してください。
式・定義・費用が発生するタイミング
Q_t = 初年度供給量 × (1 − 年間低下率)^(t−1)
PVQ = Σ[Q_t ÷ (1+割引率)^t] (t=1〜契約年数)
PVC = 初期設備費 − 初期控除補助額
+ Σ[年間経常費 ÷ (1+割引率)^t]
+ 更新費 ÷ (1+割引率)^更新年
+ 撤去等費用 ÷ (1+割引率)^最終年
事業者の必要単価 = PVC ÷ PVQ
事業者NPV = 提示PPA単価 × PVQ − PVC
需要家の損益分岐単価 = 回避単価 − 追加費用の現在価値合計 ÷ PVQ
需要家の初年度節減 = 初年度供給量 × (回避単価 − PPA単価) − 年間追加費用
これは本記事で定義した、税引前・借入前の簡易計算です。将来の電気料金・経常費・PPA単価は一定と置きます。割引率は借入金利そのものでも、実績IRRでもありません。年間供給量の低下率には、設備劣化だけでなく利用条件の置き方も影響します。
供給量は太陽光の設備容量kWや発電量そのものではありません。需要と一致して施設内で使えるkWhを入力します。初年度の供給量だけを20%下げる、回避単価を5円下げる、補助額をゼロにする、といった感度比較を行うと、判断が変わる条件をつかめます。
手計算で追える例
仮に初期費用100万円、補助0、毎年の供給1万kWh、経常費年1万円、10年、低下率・割引率とも0%、更新・撤去費0とします。必要単価は(100万円+10万円)÷10万kWh=11円/kWh。PPA単価15円なら事業者のNPVは40万円です。回避単価25円、需要家追加費用0なら、需要家の初年度節減は10万円となります。これは計算の確認用で、実勢価格を表しません。
30分単位の発電・需要照合、時間帯別料金、余剰売電、資金調達、法人税、補助の後払い、追加の屋根改修、複数回の機器交換、終了時の残価、物価連動条項は自動計算しません。追加費用のある案件は、正式な年度別モデルへ展開してください。契約更新で無償譲渡される場合も、譲受後の保守費をゼロと決めつけないようにします。
公共施設向けの試算体制を考えるなら、公共PPAの試算を約3時間から約30分へ短縮したNTT-MEの事例が参考になります。自治体の採択率や電気代削減率の実績とは分けて確認してください。
公募前に原典と照合する4つの項目
環境省の案内では2026年3月に手引きと仕様書ひな型等の見直しが示されています。資料名に2024年とある旧版を、そのまま最新版として使わないようにします。
出典:環境省・第三者所有モデルの案内(2026年3月見直し)
- 設置可否と施設の利用期間:構造・防水・改修予定を整理し、契約期間と合わせて検討する。
- 供給量:発電予測と施設の需要データを照合する。手引きでは30分ごとの使用量との比較も示されています。
- 価格以外の価値:停電時に必要な負荷、切替方法、保守体制、環境価値の帰属を明記する。
- 終了・変更時:撤去、譲渡、途中の施設廃止、屋根修繕の費用負担を確認する。
契約の予算措置・行政財産の扱いは、財政・管財・契約担当に確認し、採用する方式と根拠を比較票へ残します。「条例を作れば、すべてのPPAを同じ手続で契約できる」とは判断しません。公募要領・仕様書・契約書の間で、期間と費用の負担者が一致しているかを確認してください。
見積比較テンプレートと、出典台帳を持ち帰る
回答のない欄は「ゼロ」ではなく未確定として扱います。A社・B社で前提が違うときは、同じ施設内供給量と負担範囲へ戻して比較してください。
出典付き確認データ
金額の全国相場表ではなく、確認した版・対象・原典へ戻るための台帳です。価格の証拠には個別見積、供給量の証拠には当該施設のデータを使ってください。
2025年版の計算例を訂正した理由
過去の仮定と現行の料金は区別します。旧版の「購入単価25円+賦課金3.5円、年間需要12万kWh、PPA供給9.6万kWh、PPA単価17円」という仮定をそのまま使うと、導入後にも購入する2.4万kWhには賦課金を加える必要があります。
旧版の仮定による導入前:120,000 × 28.5 = 3,420,000円 同じ仮定による導入後:96,000 × 17 + 24,000 × 28.5 = 2,316,000円 差額:1,104,000円/年(旧版記載1,188,000円を訂正)
この3.5円は旧試算の仮定で、2025年度や2026年度の実際の賦課金単価を示しません。現行単価は再エネ賦課金の年度別データと計算ツールで適用期間とともに確認してください。
また、初期投資2,800万円、補助500万円、経常費年50万円、年12万kWhを全量販売、20年、割引率6%、劣化・更新・撤去・税・借入を除外したモデルでNPVゼロとなる単価は、補助あり約20.88円、補助なし約24.51円/kWhです。旧版の16.5円・19.2円は、この前提では再現できません。数値を保証値として使わず、式と年度別収支を確認できる形に置き換えました。
このテーマを、導入企業の現場から
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次に集める資料と、相談の進め方
まず1施設について、12か月の請求明細、可能なら30分需要データ、屋根と改修の資料、税区分・価格改定条件を含む見積をそろえてください。計算結果と比較票を添えて、「どの仮定が変わると採算が逆転するか」を確認すると、追加調査の優先順位が決まります。
複数施設の優先順位づけや全庁の予算配分は、自治体の再エネ経済効果シミュレーション実務へ。本記事はその後の1案件の見積比較を担当します。詳しい検討を依頼するときは、個人情報や契約秘密を除いた条件一覧から共有してください。
確認日:2026年9月27日。制度の受付や価格は自動更新されません。本記事のツールは比較の入口であり、正式な設計・見積・調達判断を代替しません。






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