蓄電池は元が取れる?買わない方がいい?全国9エリア243ケースを実試算【2026年11月最新単価】

著者情報

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

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蓄電池は元が取れる?買わない方がいい?全国9エリア243ケース実試算
蓄電池は元が取れる?買わない方がいい?全国9エリア243ケース実試算

結論から言います。2026年11月の最新の電気料金で、全国9エリア・3つの設備構成・月額電気代3水準・電気代上昇率3水準の243ケースを試算しました。補助金なし・工事込み15万円/kWhで蓄電池を買った場合、蓄電池の費用を15年以内に回収できたケースは0件でした。20年まで延ばしても16件です。

ただし、これは「蓄電池は買うな」という意味ではありません。回収できるかどうかは、ほぼ蓄電池の価格と補助金の2つで決まります。15年で元が取れる価格は、地域と家の条件によって1kWhあたり約3.6万〜12.4万円です。たとえば東京都の補助(10万円/kWh)を使える関東の家なら、11〜14年で回収できる計算になりました。

この記事で分かること(要点)

  • 太陽光だけなら8〜12年で回収。蓄電池を足すと回収は5〜8年遅れ、セットで12〜20年になります。
  • 蓄電池で元を取る条件は、本体価格が市場価格の半分前後まで下がること。15年回収の分岐点は中央値で7〜8万円/kWhです。
  • 電気代の上昇率は、思われているほど結論を動かしません。1%と3%の差は、15年収支で十数万円です。
  • 「電気代が高い家ほど蓄電池が得」とは限りません。電気を多く使う家は、太陽光の電気を昼のうちに使い切るので、蓄電池にためる余りが少なくなります。
  • 卒FITのオール電化住宅で効果が大きいのは中部と沖縄です。昼と夜の単価差、そして売電単価と買電単価の差が大きいためです。
  • エネがえるASPで31ケースを実際に試算して照合しても、結論は変わりません。15年以内に回収できたケースは、ASPでも0件でした。
  • 蓄電池の運転モードの選び方で損をすることがあります。標準の従量電灯のまま深夜に電力会社から充電する「売電優先」モードにすると、太陽光だけの家より電気代が年約4,000〜6,000円増えました。

検証の主体:エネがえる(国際航業株式会社)。243ケースは1時間単位の計算モデルで試算し、そのうち31ケースをエネがえるASP(住宅用太陽光・蓄電池経済効果シミュレーター)で実際に試算して照合しました。試算条件・計算方法・出典はすべて本文末尾に公開しています。

なぜ今、計算し直す必要があるのか

2026年は、家庭の蓄電池の損得を左右する条件が3つ同時に変わりました。

  1. 11月1日の電気料金改定。託送料金の見直しを受けて、北陸を除く大手電力9社が低圧の料金を改定しました。上がったのは主に基本料金(最低料金)で、電力量料金は数十銭程度の変化です。基本料金は蓄電池では減らせないため、改定で電気代全体は上がっても、蓄電池が減らせる金額はほとんど増えません。
  2. 住宅用太陽光の新しいFIT。2025年10月から「初期投資支援スキーム」が始まり、売電単価は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhになりました。2026年度も同じ形です。最初の4年間は売った方が得なので、蓄電池の価値が出るのは5年目以降になります。
  3. 国の蓄電池補助の終了。国のDR家庭用蓄電池事業は、2026年5月29日に予算上限に達して受付を終えました。2026年後半に買う人は、国の補助を前提にできません。

「蓄電池は元が取れる」「いや、取れない」という議論の多くは、こうした最新の条件を反映していないか、前提が書かれていません。この記事では、前提をすべて公開したうえで、地域と家の条件ごとに答えを出します。

検証の方法:243ケースの設計

3つの設備構成 × 9エリア × 月額電気代3水準 × 電気代上昇率3水準 = 243ケースです。

構成想定する家導入費用(想定)比べるもの
A新築・既築で、太陽光4kWと蓄電池10kWhを同時に入れる太陽光116万円+蓄電池150万円何もしない家/太陽光だけの家
B屋根が広く、太陽光6kWと蓄電池15kWhを同時に入れる太陽光174万円+蓄電池225万円何もしない家/太陽光だけの家
C10年前に太陽光4kWを付けて卒FITになったオール電化住宅(エコキュートは深夜沸き上げ)に、蓄電池10kWhを後付けする蓄電池150万円蓄電池を付けない場合
  • エリアと料金プラン:北海道・東北・関東・中部・関西・四国・中国・九州・沖縄の大手電力会社の料金を使いました。構成A・Bは標準の従量電灯、構成Cはオール電化向けの時間帯別プランです(各プランの詳細は末尾の前提条件表を参照)。
  • 月額電気代(導入前):18,000円/20,000円/25,000円。戸建て住宅の平均的な使用量(年約5,030kWh、環境省)の約1.3〜2倍を使う家にあたります。蓄電池を検討する家の多くがこの範囲に入ります。
  • 電気代上昇率:年1%/2%/3%。家庭用の電灯単価は、2010〜2024年度に年平均1.94%、2016〜2024年度に年平均3.40%上がっています(資源エネルギー庁)。
  • 計算方法:1年8,760時間を1時間ずつ計算しました。各時間の太陽光の発電量、家の消費、蓄電池の充電・放電を追い、各社の料金表どおりに月々の電気代と売電収入を出しています。20年分、太陽光と蓄電池の劣化を反映して毎年計算し直しました。

結果①:太陽光は8〜12年で回収、蓄電池を足すと12〜20年

構成A(太陽光4kW+蓄電池10kWh)の投資回収年数を、太陽光のみの場合と比べた9エリア別の図。太陽光のみは8.1〜9.6年、蓄電池を加えると12.8〜17.0年
図1 蓄電池を足すと回収が5〜7年遅れる(構成A・月額電気代2万円・上昇率2%)

構成A(太陽光4kW+蓄電池10kWh)で、月額電気代2万円・上昇率2%の場合です。太陽光だけなら、どのエリアでも8〜10年で元が取れます。そこに蓄電池を加えると、回収年数は13〜17年に延びます。

エリアA 太陽光のみA 太陽光+蓄電池B 太陽光のみB 太陽光+蓄電池
北海道8.3年13.5年9.9年15.8年
東北8.5年14.4年10.1年16.1年
関東8.6年14.5年10.2年16.1年
中部8.3年13.9年9.8年15.6年
関西8.6年15.0年10.0年16.2年
四国8.1年13.6年9.5年15.3年
中国8.4年14.2年9.9年15.8年
九州9.6年17.0年11.2年18.2年
沖縄8.1年12.8年9.7年14.7年

月額電気代2万円・電気代上昇率2%・補助金なし。全243ケースでは、太陽光のみが7.2〜12.2年、太陽光+蓄電池が11.8〜19.8年です。

「太陽光+蓄電池で14年」と聞くと、セットで元が取れるように見えます。しかし、中身を分けると、回収しているのは太陽光で、蓄電池はその足を引っ張っているという構造が見えてきます。

関東・月額電気代2万円の家の累積収支。太陽光のみは約9年で黒字化し20年後プラス156万円。太陽光と蓄電池は約14.5年で黒字化しプラス116万円。蓄電池分だけ見ると20年後もマイナス40万円
図2 関東・月2万円の家の20年間の累積収支

関東・月額電気代2万円の家で、20年間の累積収支を見たのが図2です。太陽光のみは約9年で黒字に転じ、20年後には+156万円。太陽光+蓄電池は約14.5年で黒字になり、20年後は+116万円です。蓄電池の分だけを取り出すと、20年後もまだ−40万円で回収できていません。

結果②:蓄電池単体では、243ケースすべてで15年以内に回収できない

エリア別・構成と電気代別の蓄電池の15年収支のヒートマップ。全ケースでマイナス、マイナス45万円からマイナス133万円
図3 蓄電池の15年収支(万円)。補助金なし・上昇率2%

蓄電池の費用(10kWhで150万円、15kWhで225万円)を、蓄電池があることで増えた節約額だけで回収できるかを見ました。構成A・Bは「太陽光だけの家」との差、構成Cは「蓄電池を付けない場合」との差です。

  • 15年以内に回収:0/243ケース
  • 20年以内に回収:16/243ケース(沖縄・北海道・中部・四国で、電気代上昇率2〜3%の場合のみ)
  • 蓄電池による1年目の節約額:構成Aは0.5万〜3.2万円、構成Bは0.5万〜5.0万円、構成Cは2.6万〜5.8万円

150万円の機器が年に数万円しか生まないため、15年では埋まりません。シンプルですが、これが現時点の実態です。

結果③:15年で元が取れるのは、蓄電池が1kWhあたり約8万円以下のとき

エリア別・構成別に、15年で元が取れる蓄電池価格を示した棒グラフ。多くが5〜10万円/kWhで、市場価格帯12.1〜22万円/kWhを下回る
図4 15年で回収できる蓄電池価格(万円/kWh・工事込み)

今度は逆に、「いくらなら15年で元が取れるのか」を計算しました。15年間の節約額の合計を、蓄電池の容量(kWh)で割った値です。

エリアA 新設 4kW+10kWhB 新設 6kW+15kWhC 卒FIT+10kWh後付けC 1年目の節約額
北海道9.6万円8.3万円6.6万円3.8万円
東北7.7万円7.7万円5.4万円3.1万円
関東7.6万円8.0万円7.2万円4.4万円
中部8.6万円8.5万円9.7万円5.8万円
関西6.5万円7.5万円7.0万円4.3万円
四国8.7万円8.6万円5.0万円3.0万円
中国7.9万円8.2万円7.3万円4.4万円
九州5.1万円6.1万円5.5万円3.4万円
沖縄10.5万円10.0万円9.1万円5.4万円

工事込み・1kWhあたり(公称容量)。月額電気代2万円・上昇率2%。全243ケースの範囲は3.6万〜12.4万円/kWhです。

国の補助事業で実際に導入された蓄電池の平均価格は、工事込みで12.1万円/kWh(2023年度)、補助事業以外では17〜22万円/kWhです(経済産業省の資料)。国が2030年度の目標に掲げる価格は7万円/kWhです。15年で元が取れる価格は、ちょうどこの2030年目標の水準にあたります。

エネがえるASPで照合:31ケースを実際に試算した結果

15年で元が取れる蓄電池価格を、エネがえるASPの実試算と独立計算モデルで比べた図。両者とも全エリアで15万円を大きく下回り、ASPの方がやや低い
図5 エネがえるASPの実試算と独立計算モデルの比較(構成A・B、月額電気代2万円、上昇率2%)

上の結果が計算方法の癖によるものでないかを確かめるため、住宅用太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーターエネがえるASPで31ケース(構成A・Bの9エリア、構成Cの9エリア、関東の電気代違い4ケース)を実際に試算しました。年間の電気使用量はモデルと同じ値を入力し、蓄電池は市販の10kWh・15kWhクラスの製品を選んでいます。

  • 太陽光の自家消費率はほぼ一致しました。構成A・Bで、太陽光のみの自家消費率の差は平均2〜3ポイントです。蓄電池を入れた後は、ASPでもモデルでも構成Aで98〜100%になりました。
  • 15年で元が取れる蓄電池価格は、ASPの方が平均で約15%低く出ました。ASPの料金データは11月改定前の単価で、国の支援値引き(1kWhあたり3.5円)を含むため、蓄電池で減らせる電気代が小さくなるからです。つまり、この記事のモデルの数値は、蓄電池にとってやや有利な側にあります。
  • ASPでも、15年以内に蓄電池を回収できたケースは0件でした。結論は変わりません。
  • 運転モードの差:同じ蓄電池でも、深夜に電力会社から充電して昼に使う「売電優先」モードにすると、標準の従量電灯では電気代が太陽光だけの家より年約4,000〜6,000円増えました。夜間も昼間も単価が同じ料金プランでは、深夜に充電する意味がなく、充放電のロスの分だけ損になるためです。標準の従量電灯で蓄電池を使うなら、太陽光の余りだけを充電する「自家消費優先」モードが前提になります。

構成C(卒FIT・オール電化)は、ASPの一括試算機能ではエコキュートの深夜沸き上げを個別に設定できないため、参考値として扱いました。ASPでは昼間の消費が多くなり、蓄電池の効果はモデルよりさらに小さく出ています(1年目の節約額1.5万〜3.5万円)。

何が変わると結論がひっくり返るか

関東・月額電気代2万円を基準に、蓄電池の15年収支に効く変数を並べたトルネード図。補助金と蓄電池価格の影響が最も大きく、電気代上昇率や劣化の影響は小さい
図6 蓄電池の15年収支を動かす要因(関東・月2万円・上昇率2%を基準)

関東・月額電気代2万円の家を基準に、条件を1つずつ動かしてみました。

  1. 補助金:最大の分岐点。東京都の補助(10万円/kWh、上限120万円)を使うと、構成Aの15年収支は−74万円から+26万円に変わります。回収年数は11〜12年です。構成Cでも+22万円・11年で回収できます。住んでいる自治体の補助の有無だけで、結論が逆になります。
  2. 蓄電池の価格:10万円/kWhなら15年収支は−24万〜−28万円、20万円/kWhなら−124万〜−128万円です。相見積もりで1kWhあたり数万円下がるだけで、数十万円の差になります。
  3. 評価期間:15年ではなく20年使えるなら、収支は約30万円改善します。メーカー保証が15年のものが多いので、16年目以降は保証の外です。
  4. 電気代上昇率:意外に小さい。1%と3%の差は、15年収支で約16万円(構成A)、約13万円(構成C)です。「電気代はこれから上がるから蓄電池は得」という説明は、方向としては正しいものの、効果の大きさは補助金や価格に遠く及びません。
  5. 往復効率や劣化:効率82%と94%の差は約14万〜21万円。容量劣化の影響は小さく、年0.5%と2.5%の差は数万円です。10kWhあれば余った太陽光の電気をためきれる日が多く、多少容量が減っても節約額があまり変わらないためです。

意外な発見:電気代が高い家ほど蓄電池が得、とは限らない

月額電気代別の蓄電池による1年目の節約額。構成Aでは電気代が高いほど節約額が小さくなるエリアが多い
図7 電気代の水準と蓄電池の節約額の関係

新設の構成A・Bでは、月額電気代が1.8万円の家の方が、2.5万円の家よりも、蓄電池による節約額が大きくなるエリアが多く見られました。構成Aの15年収支の中央値は、月1.8万円で−68万円、月2.5万円で−80万円です。

理由はシンプルです。蓄電池が稼ぐのは「昼に余った太陽光の電気」を夜に回す分だけです。電気を多く使う家は、昼のうちに太陽光の電気を自分で使い切ってしまうため、ためる余りが少なくなります。電気代が高い家にまず効くのは、太陽光そのものです。

反対に、太陽光の容量が大きく、昼の在宅が少ない家ほど余りが増え、蓄電池の出番が増えます。蓄電池の容量は「電気代」ではなく「昼の余り」で決めるのが合理的です。

卒FIT・オール電化の家(構成C)はどうか

卒FITになると売電単価は7〜9円/kWhに下がります。一方、買う電気は昼間で30〜48円/kWhです。この差を蓄電池で埋められるので、構成Cは1年目の節約額が2.6万〜5.8万円と、新設の構成Aより大きくなります。

  • 効果が大きいのは中部と沖縄。中部のスマートライフプランは昼間(デイタイム)38.9円・夜間16.6円と単価差が大きく、夜の安い電気でためて昼に使う運転も効きます。沖縄は昼も夜も単価が高く、売電単価(7.5円)との差が大きくなります。
  • 効果が小さいのは四国と東北。四国のでんかeプランは基本料金に一定量の電力量が含まれ、夜間の単価も高めです。東北は卒FITの買取単価が9円と高く、ためずに売っても損が小さいためです。
  • 深夜のエコキュートとの関係:今回はエコキュートの深夜沸き上げをそのまま残して計算しました。昼の余った太陽光でお湯を沸かす「昼間沸き上げ」に切り替えれば、蓄電池の代わり、または蓄電池と併用した効果が見込めます。蓄電池より先に検討する価値があります。

お金に換算しにくい価値:停電への備えをどう考えるか

蓄電池の最大の価値は、停電時に照明や冷蔵庫、スマートフォンの充電を続けられることです。今回の試算はこの価値を金額に入れていません。

考え方の一つは、赤字分を「保険料」とみなすことです。関東・月2万円・構成Aなら、15年の赤字は約74万円、1年あたり約5万円、月約4,100円です。この金額で、停電時の安心と、電気の自給率の向上(構成Aで約70%)を買う、と考えられるなら、経済的にも筋の通った選択です。地震や台風による停電のリスクが高い地域、在宅医療機器を使う家、ペットや小さな子どもがいる家では、この価値は大きくなります。

買うべき人・待つべき人:判断チェックリスト

こんな家なら、検討を進める価値が高いこんな家なら、待つか条件を見直す
自治体の補助が手厚い(例:東京都10万円/kWh)補助金がなく、見積もりが15万円/kWh以上
見積もりが工事込みで8万円/kWh前後まで下がった太陽光をまだ付けていない(先に太陽光だけで回収を始める方が合理的)
卒FITで、昼の余りが多い(昼間の在宅が少ない)昼間の在宅が多く、太陽光の電気をすでに使い切っている
中部・沖縄など、昼夜や売買の単価差が大きい地域エコキュートの昼間沸き上げなど、より安い手段をまだ試していない
停電への備えに、月数千円の価値を感じる経済的なリターンだけで判断したい

「元が取れるか」は家ごとに違います。同じ関東でも、補助金の有無だけで15年収支は100万円変わります。販売店から提示された試算を見るときは、少なくとも次の5点を確認してください。

  1. 蓄電池の価格は工事費込みで1kWhあたりいくらか
  2. 補助金を差し引いているか、その補助金は今も受付中か
  3. 電気代上昇率を何%で見ているか(3%以上なら楽観的)
  4. FITの1〜4年目(24円)を反映しているか
  5. 「太陽光+蓄電池」の合計ではなく、蓄電池の分だけの回収年数が書かれているか

販売施工店・メーカー・自治体の方へ

  • 販売施工店:「セットで14年回収」だけを示すと、お客様が後から蓄電池分の赤字に気づいたとき、信頼を損ないます。太陽光のみ、セット、蓄電池分の3つを並べて見せる方が、成約の後の満足と紹介につながります。
  • メーカー:15年で元が取れる価格(中央値7〜8万円/kWh)が、商品企画と価格戦略の一つの目安になります。昼の余りに合わせた容量の小さいモデルや、昼間沸き上げとの連携に勝ち筋があります。
  • 自治体:蓄電池の普及は補助金で決まる、というのが今回の結果です。補助の単価をいくらにすれば住民が15年で回収できるかを、地域の料金と日射で逆算できます。

エネがえるは、全国の電気料金プランと補助金のデータを毎月更新し、太陽光・蓄電池の経済効果を家ごとに試算するシミュレーションサービスです。販売施工店向けのASP、システム連携用のAPI、試算を代行するBPOで、今回のような地域別・条件別の検証を、お客様ごとに再現できます。

蓄電池の導入をどう判断するかの考え方は、家庭用蓄電池の導入意思決定:経済性と安心をどう両立させるかもあわせてご覧ください。

よくある質問

蓄電池は結局、元が取れるのですか?

2026年11月の電気料金・補助金なし・工事込み15万円/kWhでは、試算した243ケースのいずれも、蓄電池の費用を15年以内に回収できませんでした。ただし、自治体の補助で実質価格が8万円/kWh前後まで下がれば、多くのケースで15年以内に回収できます。

蓄電池は買わない方がいいのですか?

経済性だけで判断するなら、補助金がなく、見積もりが15万円/kWh以上の場合は、急いで買う理由は弱いと言えます。停電への備えに価値を感じる家や、補助金が手厚い地域の家では、選ぶ合理性があります。

電気代がこれから上がれば、蓄電池は得になりますか?

得の方向には動きますが、影響は小さいです。電気代上昇率を1%から3%に変えても、蓄電池の15年収支の改善は十数万円です。蓄電池価格や補助金の影響の方がはるかに大きくなります。

太陽光と蓄電池はセットで入れるべきですか?

経済性だけを見るなら、まず太陽光だけを入れる方が回収は早くなります(8〜12年)。新設では1〜4年目の売電単価が24円と高いため、その間は蓄電池にためるより売る方が得です。蓄電池は、価格が下がったときや売電単価が8.3円に下がる5年目以降に、後付けで検討する選択肢もあります。

卒FITになったら蓄電池を付けるべきですか?

卒FIT後は売電単価が7〜9円に下がるため、蓄電池の効果は新設の場合より大きくなります(1年目の節約額2.6万〜5.8万円)。それでも補助金なし・15万円/kWhでは15年以内に回収できません。先にエコキュートの昼間沸き上げを検討し、蓄電池は補助金や見積もり価格と合わせて判断するのがよいでしょう。

試算の前提条件(すべて公開)

項目設定値根拠・出典
試算期間15年(参考に20年)主要メーカーの蓄電池保証が15年中心(オムロン15年・残存容量60%、ニチコン15年・50%)
電気料金各社の2026年11月1日改定後の単価(税込)。燃料費調整は2026年12月分(国の支援値引きなし)各社公式の料金単価表・燃料費調整単価(確認日2026-10-30)
再エネ賦課金4.18円/kWh(全期間一定)経済産業省 2026年3月19日公表
電気代上昇率年1%/2%/3%(買電の料金全体に適用。売電単価には適用しない)資源エネルギー庁 エネルギー動向(電灯単価の推移)
構成A・Bの料金プラン導入前後とも標準メニュー(北海道・東北・関東・中部・九州は従量電灯B 40A、関西・四国・中国は従量電灯A、沖縄は従量電灯)各社公式
構成Cの料金プラン北海道 エネとくスマートプラン、東北 よりそう+スマートタイム、関東 スマートライフS(60A)、中部 スマートライフプラン、関西 はぴeタイムR、四国 でんかeプラン(でんか割10%)、中国 電化Styleコース、九州 電化でナイト・セレクト(22時)、沖縄 Eeスマート(Eeプラン割引10%)各社公式。関西 はぴeタイムRの11月改定後単価は未公表のため、同社モデル試算の改定率+5.8%を推計で適用
売電単価(構成A・B)1〜4年目24円、5〜10年目8.3円、11年目以降は各社の卒FIT買取単価経済産業省 2026年度の調達価格(初期投資支援スキーム)
卒FIT買取単価東北9.0円、関東8.5円、北海道・関西8.0円、沖縄7.5円、中国7.15円、中部・四国・九州7.0円各社公式(沖縄は2019年の同社発表を報じた琉球新報。現行値は要確認)
太陽光の発電量各エリアの代表都市の気象(PVGIS-ERA5 2016〜2023年の時間値の平均、傾斜30度・真南、システム損失14%)を、全国平均の設備利用率13.7%に合わせて一律補正。劣化は年0.5%欧州委員会 PVGIS、調達価格等算定委員会の想定設備利用率
太陽光の価格29.0万円/kW(工事込み)調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2025年設置の実績、全体平均)
蓄電池の価格15万円/kWh(工事込み・公称容量あたり)。感度分析で10万/20万円経済産業省の資料(補助事業平均12.1万円/kWh、補助事業以外17〜22万円/kWh)の中間
蓄電池の性能実効容量は公称の90%、往復効率88%、容量劣化は年1.5%、最大出力は容量の40%(最低3kW)メーカー公表値・保証条件からの推計
蓄電池の運転構成A・B:昼に余った太陽光を充電し、不足時に放電。構成C:余剰を充電し、安い時間帯以外に放電。夜間の単価が十分に安いプランでは、翌日の不足見込み分を深夜に系統から充電一般的な家庭用蓄電池の運転モードを再現
電力の消費パターン平日と休日で異なる1時間ごとの典型的な消費パターンに、季節変動(北日本は冬、沖縄は夏が多い)を反映。構成Cはエコキュートの消費(1日約4〜9kWh、深夜1〜6時)を別に加算月額電気代から料金表を逆算して年間の使用量を決定
補助金なし(感度分析で東京都10万円/kWh)国のDR家庭用蓄電池事業は2026年5月29日に受付終了
照合に使ったASP設定エネがえるASP v4.2「複数診断一括実行」。月間使用量はモデルと同値、生活スタイルは朝型、太陽光は真南・傾斜22度(4寸)、蓄電池は10kWh・15kWhクラスの市販品、比較モードは「自家消費優先」と「売電優先」2026年10月30日実行(31ケース・全件正常終了)
含めていないもの停電時の価値、DR・VPPの報酬、メンテナンス費、パワーコンディショナの交換、割引(現在価値への換算)、ローン金利—

この試算の限界

  • 消費パターンは典型的な形を使っています。実際の家の在宅状況によって、蓄電池の効果は上下します。
  • 電気料金・燃料費調整・売電単価は、試算時点の値で固定しています(上昇率は買電の料金全体に一律に適用)。
  • 蓄電池の運転は、翌日の天気と消費を完全に予測できる前提で、実機よりやや有利です。
  • エネがえるASPによる照合は31ケースで、2026年10月30日時点の料金データ(11月改定前)を使っています。構成Cの照合は、エコキュートの深夜沸き上げを個別に設定していない参考値です。
  • 中国電力 電化Styleコースの時間帯区分、関西電力 はぴeタイムRの改定後単価、沖縄電力の卒FIT買取単価は、推計または報道ベースの値です。

試算・分析:エネがえる(国際航業株式会社)/公開日:2026年10月30日/試算条件の確認日:2026年10月30日。料金改定や補助金の新設があれば、条件を更新して再計算します。

著者情報

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
導入事例を見る / 主な導入・活用先の掲載情報
エネがえる全体の実績です。掲載先には導入・連携・実証・事例掲載等を含みます。

ご相談・お問い合わせ
エネがえるのご相談はもちろん、新規事業開発、アライアンス、執筆・セミナー講演、リサーチやデータセット開発などのご相談も承ります。まだ具体的に決まっていないお話でも、お気軽にご連絡ください。
TEL:070-3669-8761 / Mail:satoru_higuchi@kk-grp.jp

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たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
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