2026年版 EVの残価率は本当に低いのか?ガソリン車・PHEVとの違い、5年TCO、税制改正の論点まで整理

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら )

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
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「2026年版 EVの残価率は本当に低いのか?ガソリン車・PHEVとの違い、5年TCO、税制改正の論点まで整理」のアイキャッチ。EV・V2Hの流れ(EV→充電・V2H→試算→経済効果)を示す図解とエネがえる公式キャラクター
「2026年版 EVの残価率は本当に低いのか?ガソリン車・PHEVとの違い、5年TCO、税制改正の論点まで整理」のアイキャッチ。EV・V2Hの流れ(EV→充電・V2H→試算→経済効果)を示す図解とエネがえる公式キャラクター

2026年版 EVの残価率は本当に低いのか?CEV補助金・値引き・夏の燃料費シナリオで見るBEV逆転条件

2026年のEV比較で、もう「車両価格が高いからBEVは不利」とだけ言うのは正確ではありません。理由は単純です。

国のCEV補助金の水準が大きく、メーカーの価格改定や販促も重なり、実効購入額が大きく下がる車種が増えたからです[1][2][3]。

しかも、2026年夏の燃料費は一本の未来ではありません。ガソリンは定額引下げ措置が続く一方、日本の原油輸入は中東依存が9割超で、地政学リスクが続けば高騰方向にも振れます[4][5][6]。

したがって、2026年の比較は「単一前提のTCO」ではなく、シナリオで見る方が実務的です。

本稿の結論を先に言えば、2026年はBEVが優位になるパターンが十分に現実的です。特に、①国補助+値引き等で実効購入差が圧縮される、②5年残価が中位以上まで改善する、③ガソリン代が夏に高止まりする、④自宅充電できる、という4条件が重なると、BEVはガソリン車をかなり明確に下回る可能性があります。

参考:【エネがえるEV・ガソリン車TCO比較】はじめての方向けパーフェクトガイド(3分で使える) | エネがえるFAQ(よくあるご質問と答え) 

2026年に前提が変わった理由

1. CEV補助金の差が大きい

2026年1月1日以降登録分の公式補助額を見ると、BEVでは日産サクラが57.4万円、日産リーフやテスラ モデル3、トヨタ bZ4Xが127〜130万円クラスです。一方、PHEVはトヨタ プリウスや三菱アウトランダーで83〜85万円クラスです[1][2]。つまり、BEVとPHEVの間にも数十万円、ガソリン車とは100万円前後の実効購入差が生まれうる年です。

2. 夏のガソリン代は「政策」と「中東情勢」で分岐する

資源エネルギー庁は、ガソリン・軽油について15円/Lの定額引下げ措置を「当分の間」続けるとしています[4]。ただし、日本の原油輸入は中東依存が9割超で、2026年3月には国家備蓄石油の放出など緊急対応も始まっています[5]。EIAの2026年3月見通しでは、Brentは直近で95ドル/バレル超、その後Q3に80ドル未満へ低下する想定ですが、これはあくまで「海峡機能が徐々に正常化する」前提付きです[6]。

3. EVの残価は「常に低い」ではなくなりつつある

EV残価の改善を直接決めるのは、単なるイメージではなく、バッテリー保証、SOH可視化、認定中古、流通量、価格改定の安定です。実際、日産はB5リーフの補助後参考価格を300万円台前半まで下げつつ、容量保証や中古時のバッテリー状態開示を用意しています[3][7][8]。残価率の改善はまだ一律ではありませんが、少なくとも「初期EVの悪夢」がそのまま2026年の全BEVに当てはまるわけではありません。

今回のシナリオプランニングの置き方

今回は、2026年夏の比較を次の3変数で設計しました。

  • 実効購入支援額:国補助金に、メーカー値引き・販促・自治体補助を足した実効値
  • 燃料費スプレッド:ガソリン価格と家庭充電単価の差
  • 5年残価の改善度:ガソリン車・PHEV・BEVそれぞれの5年後売却額

ポイントは、TCOを「実効購入額+ランニングコスト−売却額」で分けることです。

残価率は本来「新車価格に対する中古売却価格割合」ですが、ユーザーのキャッシュフローでは、補助金や値引きは購入時の支出を下げ、売却額は別で効きます。2026年はここを分けないと、BEVを過小評価しやすくなります。

試算前提

以下は、Cセグメント相当の参考試算です。確定値ではなく、比較のためのモデルです。

  • 保有期間:5年
  • 総走行距離:50,000km
  • ガソリン車:車両価格320万円、燃費17km/L
  • PHEV:車両価格430万円、エンジン走行燃費20km/L
  • BEV:車両価格430万円、電費6km/kWh
  • 整備費(5年):ガソリン15万円、PHEV14万円、BEV9万円
  • 自動車税種別割(5年の簡略モデル):ガソリン/PHEV 15.25万円、BEV 12.5万円
  • 保険料・駐車場代・取得時諸費用は個人差が大きいため比較から除外

なお、2026年の電気料金支援は冬季中心で、資源エネルギー庁の公表では2026年3月使用分までです[4]。したがって、夏の家庭充電単価は政府支援ではなく料金プラン次第です。EV向けの電力プランも存在するため、強気シナリオでは30円/kWhを置いています[9]。

3シナリオ比較:2026年夏をどう読むか

シナリオ 実効購入支援額 夏の燃料費前提 5年残価前提 5年TCO結果
シナリオ1
支援縮小・燃料落ち着く
PHEV 40万円
BEV 70万円
ガソリン175円/L
家庭充電36円/kWh
ガソリン50%
PHEV 43%
BEV 32%
ガソリン車 241.7万円
PHEV 269.9万円
BEV 273.9万円
シナリオ2
支援維持・燃料高止まり
PHEV 70万円
BEV 100万円
ガソリン190円/L
家庭充電33円/kWh
ガソリン50%
PHEV 44%
BEV 36%
ガソリン車 246.1万円
PHEV 235.6万円
BEV 224.2万円
シナリオ3
支援厚い・残価改善・ガソリン高騰
PHEV 95万円
BEV 150万円
(国補助+値引き等)
ガソリン205円/L
家庭充電30円/kWh
ガソリン48%
PHEV 45%
BEV 40%
ガソリン車 256.9万円
PHEV 203.6万円
BEV 154.5万円

この3シナリオから読めること

シナリオ1では、まだガソリン車が強い

補助金が細り、値引きも弱く、BEVの残価改善も限定的なら、ガソリン車が最安です。ここでは「EVは高い」がまだ生きています。ただし、この勝ち方は支援が弱いことが前提です。

シナリオ2では、BEVが現実的に逆転する

ここが2026年の本線シナリオです。補助金が一定程度維持され、ガソリンが190円/L前後で高止まりし、BEVの5年残価が36%程度まで改善すると、BEVはガソリン車より約22万円、PHEVより約11万円安いという結果になります。

重要なのは、これは「極端に楽観的」だからではありません。BEVの実効購入支援額100万円、5年残価36%という前提は、2026年の公式補助額や新型リーフの補助後価格を踏まえると、十分に射程に入る数字だからです[1][2][3]。

シナリオ3では、BEVがかなり強い

国補助が厚く、メーカー値引きや自治体補助も重なり、ガソリンが200円/L超まで上振れし、残価が40%まで改善する。このときBEVは5年TCOでガソリン車より100万円前後安いという、かなり明確な優位に入ります。

ここまで行くと、「BEVは残価が不安だから損」というより、ガソリンを選ぶ方がランニングコストと再販の両面で不利になりやすい局面です。

BEVが有利になる境界条件

同じ前提で、シナリオ2に近い環境(ガソリン190円/L、家庭充電33円/kWh、5年5万km)を置くと、BEVがガソリン車を下回る境界は次のようになります。

  • 5年残価が35%なら、BEVの実効購入支援額が約82万円以上
  • 5年残価が40%なら、BEVの実効購入支援額が約61万円以上

つまり、2026年の日本では、「ガソリンが極端に高騰しないとBEVは勝てない」わけではありません。補助金・値引き・残価の3つが揃えば、ガソリン190円/L程度でもBEVは逆転圏に入ります。

参考:【エネがえるEV・ガソリン車TCO比較】はじめての方向けパーフェクトガイド(3分で使える) | エネがえるFAQ(よくあるご質問と答え) 

読み方の注意

  • 本稿のシナリオは、将来を当てるためではなく、判断の感度を見るためのものです。
  • 2026年夏の補助制度は、令和7年度補正の内容と受付進捗で変わりえます[1]。
  • 自宅充電できない場合、BEVの優位性はかなり下がります。
  • PHEVは「どれだけEV走行するか」で結果が大きく変わります。充電しないPHEVは、ただの重いガソリン車に近づきます。
  • 残価は車種差が大きいので、最後は車名単位で確認すべきです。

FAQ

Q1. 2026年はBEVが一番得になりやすい年ですか?

A. 条件付きで、かなりそうなりやすい年です。特に国補助が厚く、価格改定が進み、ガソリン価格が高止まりするなら、BEVの勝ち筋は強まります。

Q2. PHEVの方が安全では?

A. 不確実性への耐性は高いです。ただし、2026年はBEVの支援額が厚いので、“安全だからPHEVが必ず経済的”とは限りません。

Q3. 残価率がまだ不安なら何を見るべき?

A. バッテリー保証年数、SOH開示、認定中古の有無、価格改定履歴、そして中古流通量です。残価率の数字だけを単独で見るより、この4点の方が実務では効きます。

結論

2026年のEV比較は、もう「BEVは残価が低いから不利」と一言で片づけるフェーズではありません。CEV補助金、実効購入額、夏のガソリン代、5年残価を同時に置くと、BEVが優位になるパターンはかなり現実的です。

とくに、国補助+値引き等で実効支援が80万円を超え、5年残価が35%以上、自宅充電ができるなら、BEVはガソリン車を逆転しやすくなります。2026年は「EVは高い」の年ではなく、条件をそろえるとBEVが勝つ年として見る方が、実務に近いでしょう。

参考:【エネがえるEV・ガソリン車TCO比較】はじめての方向けパーフェクトガイド(3分で使える) | エネがえるFAQ(よくあるご質問と答え) 

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実際の損得は、年間走行距離、電気料金プラン、太陽光の有無、V2H導入予定、そして将来の売却条件で大きく変わります。エネがえるのシミュレーションを使えば、EV単体ではなく、太陽光・蓄電池・V2Hまで含めた家計全体で比較しやすくなります。

参考:【エネがえるEV・ガソリン車TCO比較】はじめての方向けパーフェクトガイド(3分で使える) | エネがえるFAQ(よくあるご質問と答え) 

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参考URL・出典

  1. 次世代自動車振興センター(CEV補助金トップ・令和7年度補正は3月下旬予定)
    https://www.cev-pc.or.jp/
  2. 次世代自動車振興センター(2026年1月1日以降登録分の補助対象車両一覧PDF)
    https://www.cev-pc.or.jp/hojo/pdf/R6ho/R6ho_meigaragotojougen_3.pdf
  3. 日産 リーフB5発表(補助後参考価格 3,099,000円〜)
    https://ev2.nissan.co.jp/BLOG/874/
  4. 資源エネルギー庁 エネルギー価格の支援について
    https://www.enecho.meti.go.jp/category/gekihen_lp/
  5. 資源エネルギー庁 中東情勢を踏まえた対応
    https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/energysecurity/index.html
  6. EIA Short-Term Energy Outlook, March 2026
    https://www.eia.gov/outlooks/steo/pdf/steo_full.pdf
  7. 日産 リーフ 保証・メンテナンス
    https://www.nissan.co.jp/EV/MAINTENANCE/
  8. 日産 中古EV向けバッテリー状態証明書
    https://u-car.nissan.co.jp/SOH/
  9. 日産でんき(EV割)
    https://www.nissan.co.jp/nissan-denki/

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樋口 悟(著者情報はこちら)

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

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