2026年9月21日確認|出典付き更新型ガイド。制度上の事実、事業者の発表、研究結果、編集上の実務提案を区別しています。
EVは走るための電池であり、つながっている時間には電力運用の選択肢も持ちます。V2H、V2G、低圧バルクを同じ言葉で扱わず、家庭や車両基地で「移動を守りながら使える余力」を見極めるためのガイドです。
目次
V1G・V2H・V2G:何を調整するか
| 構成 | 主な使い道 | 市場参加との関係 |
|---|---|---|
| V1G | 充電の時間・電力を調整 | 放電しなくても需要の調整は可能。ただし参加条件と評価方法が必要 |
| V2H | 車から住宅へ給電 | 住宅への給電機能と、系統へ逆潮流する市場サービスは別 |
| V2G | 車と系統の間で双方向に活用 | 車両・充電器・系統接続・計測・市場契約を一体で確認 |
| 定置蓄電池 | 敷地内の需要対応または独立した市場運用 | 車が不在でも使えるが、追加の費用・劣化・保守がある |

設備の導入効果と市場収入を評価する前に、車両の双方向対応、充電器の型式、停電時動作、逆潮流の可否を確認します。V2H機器があることだけで、どの電力市場にも参加できるわけではありません。
出典:Nuvve / 需給調整市場:取引規程・ガイド
車両基地の設計:日次の運行から逆算する
- 帰庫時刻と出発時刻を車両ごとに整理する。平均値だけでなく遅延・早出を残す。
- 翌日の距離、電費、空調、冬季、予備走行から出発時に必要な電力量を定める。
- 車両と充電器の出力、同時接続数、受電設備の制約を確認する。
- 優先する充電を満たした後、太陽光の自家消費、ピーク対策、外部制御の余力を比較する。
- 故障・停電・通信断・運行変更時の手動優先と通知を試験する。
例:60kWhの車両でも、出発に36kWh、予備に6kWhを確保するなら、単純差は18kWhです。これは説明用の仮定で、実際は利用可能容量、SoC、効率、温度、保証、接続時間、充電器出力に制約されます。この18kWhをそのまま市場に供出可能とは判定しません。

使い方ごとの比較:家庭・物流・公共・拠点群
| 検討構成 | 守る条件 | 比較する選択肢 |
|---|---|---|
| 家庭の太陽光+EV+V2H | 通勤・外出と停電用残量 | 夜間充電/昼間太陽光充電/定置蓄電池追加 |
| 配送車両基地 | 便ごとの出発残量と帰庫遅延 | 充電の平準化/受電増強/定置蓄電池併用 |
| 公共施設のEV | 業務と災害時の車両配備 | 平時の費用/停電時にどこへ何kW供給できるか |
| 複数拠点フリート | 接続可能時間の偏りと共通障害 | V1Gから開始/適合車両だけV2G/定置型との併用 |
この表は検討用の構成案で、導入済みの企業事例ではありません。車両や充電器のメーカー保証、市場参加、電力契約の適合を確認して設計します。

アグリゲーター・運用システムをどう探すか
| 調査先 | 公表している文脈 | 国内案件での確認 |
|---|---|---|
| Nuvve | V2G・フリート・蓄電池 | 車種と充電器の組合せ、系統接続、国内市場の契約主体 |
| Kraken Residential Flexibility | 住宅・EVの柔軟性 | 日本で契約可能なサービス、車両制御のAPIと利用条件 |
| Shizen Connect | 需要側VPPと蓄電池制御 | 対象機器、双方向制御の範囲、商用サービスの開始時期 |
| Tesla Energy software | 市場運用・監視・需要側最適化 | 定置電池向け機能と車両のV2G対応を混同しない |

調査先の名前だけでサービスを選ばず、車種×充電器×エリア×市場商品×開始時期の組合せを書面にします。独立型蓄電池も併用する場合は、低圧バルクの比較質問票で費用・精算・保証・解約を揃えて比較してください。
費用対効果:車両のTCOと市場運用を切り分ける
| 評価 | 主な項目 | 重複させないもの |
|---|---|---|
| 車両TCO | 車両費・燃料/充電費・保守・走行距離 | ガソリン削減と電気代削減の二重計上 |
| 建物・敷地の電気代 | 太陽光・充電時間・ピーク・V2H | 同じ太陽光電力の売電と自家消費の重複 |
| 市場・DR | 参加報酬・実働・買電・手数料・制御費・劣化 | 同じ時間の充電余力を複数サービスに重複確保 |
| 運行品質 | 出発時残量・充電失敗・運行影響 | 車両が接続されていない時間を供出時間に数える誤り |
エネがえるEV・V2Hの文脈では、車・電気・太陽光を組み合わせた経済効果を比較します。市場への入札・需給管理・V2Gの商用受託が標準機能に含まれると推測せず、案件ごとに提供範囲を確認してください。
出典:エネがえる公式
政策・市場・補助金の確認先
需給調整市場の一次・二次①・複合の上限価格は、2026年9月1日実需給分から10.00円/ΔkW・30分です。この数値をEV一台の収益保証に使うことはできません。商品別の参加・計測・評価条件が前提です。二次①の広域調達等の検討はOCCTOの9月15日委員会で確認できます。
出典:EPRX:2026年9月以降の上限価格 / 需給調整市場:取引規程・ガイド / 第63回需給調整市場検討小委員会
独立した系統用蓄電池のSII公募と、車両・充電器・V2Hの補助は別制度です。系統用の最大受電電力1,000kW以上等の区分要件をEVの補助条件へ流用しません。車両や充電器の補助は対象型式・申請時期・設置場所・併用制約を個別の最新要領で確定します。
運用を止めないための8つの確認
- 運行変更の受付期限と、出発時残量の優先順位
- 帰庫忘れ・充電プラグ未接続を検知する仕組み
- 車両・充電器・クラウドそれぞれの通信断時の動作
- 充電失敗時の代替車・代替充電・担当者への連絡
- 遠隔制御を利用者が上書きできる条件
- 電池保証と充放電履歴の保存範囲
- 報酬の計算根拠と電気代増減の見える化
- 車両売却・リース終了・契約解約時の制御解除

海外事例・研究から持ち帰る知見
| 出典の性格 | 確認できた内容 | 日本で検証すること |
|---|---|---|
| 豪州・政府事例 | ARENA / Tesla VPP:第3A期3,000戸、2023年6月完了の事例 | 参加者の利便性、機器保守、遠隔監視。将来構想の戸数を稼働実績にしない |
| 米国・制度 | FERC Order 2222:DER集合体の卸市場参加を促進 | 地域別実装・配電側調整。米国の制度を日本の参加要件に読み替えない |
| 日本・商用発表 | GridBeyond / PORT:群馬の2MW/8MWh運用を公表 | 日本での稼働事例でも、低圧バルクへそのまま適用できるとは限らない |
| 日本・研究 | Tensorのネガ・ポジ研究:充電削減と放電を使う運用を分析 | 対象は2026年8月まで。9月上限変更、損失、買電費、劣化等を反映して再評価 |
| 学術研究 | SoC Market Model:残量に依存する機会費用をモデル化 | 未来情報なしの検証、入札制約、温度、保証、機器追従を加える |

研究の結果は、対象データと制約の下での結果です。現場に適用するときは、学習期間と検証期間を分け、当時入手できた情報だけで計画を作り、未約定・停止・補機電力・劣化を含む手取りで比較します。これは本ガイドの検証提案です。
提案実例:蓄電池だけでなくEVも選択肢にする
スマート環境デザインのエネがえる導入事例では、家庭の希望を聞き、定置蓄電池だけでなくEVという選択肢を示す提案が紹介されています。ここでの学びは、機器ありきにせず生活と移動を含めて比較すること。これはV2G市場収益の実績事例ではありません。
次に読む:TCO・V2H・フリート・料金
登録不要:図解・比較質問票・出典台帳
蓄電池の判断資料セットをダウンロード(ZIP・約1.6MB)。3つの文脈のガイド、12点の図解、事業者比較、契約前の質問票、候補地チェック、出典台帳を収録しています。2026年9月21日確認版です。
車両と建物を同じ条件で比較する
走行距離、帰庫・出発時刻、料金プラン、充電器の台数、太陽光の有無を揃えると比較が進みます。まずEV・V2H導入の経済効果を整理し、市場参加の追加価値は対応事業者の契約と運用条件を確認して評価します。
更新履歴
2026-09-21:初版。V1G/V2H/V2Gの区別、フリート運用、事業者比較、9月市場制度を反映。機種・公募・商用開始の変化は共通台帳と照合して更新します。
出典ライブラリー
確認日:2026年9月21日。公表日・施行日・募集期限を区別しています。掲載は推奨順位を意味しません。事業者公表の機能は、個別案件での適合・採用実績を保証しません。
- Nuvve — 事業者公表/V2G・フリート・蓄電池。日本の適合範囲は個別確認
- 需給調整市場:取引規程・ガイド — 規程・制度/規程2026-07-01実施版、取引ガイド第10版、蓄電池ガイド第3版を確認
- Kraken:Residential flexibility — 製品説明/住宅・EV等の柔軟性
- Shizen Connect — 事業者公表/系統用蓄電池・需要側VPP等のプラットフォーム
- Tesla:Energy software — 製品説明/Autobidder・Powerhub・Opticaster等の役割
- エネがえる公式 — 公式製品情報/需要側試算と系統用蓄電池事業性評価BPOを区別
- EPRX:2026年9月以降の上限価格 — 確定・施行/公表2026-07-30/実需給2026-09-01以降
- 第63回需給調整市場検討小委員会 — 審議会/開催2026-09-15、掲載更新09-16
- SII:蓄電池補助事業の区分 — 公募/直接系統接続は最大受電電力1000kW以上等
- ARENA:Tesla Virtual Power Plant — 政府掲載の完了事例/第3A期3000戸。2023-06-30完了
- FERC:Order 2222解説 — 海外制度/DER集合体の卸市場参加。地域実装差あり
- GridBeyond:日本の蓄電池運用 — 事業者発表・稼働事例/2025-06-24。PORT、群馬2MW/8MWh
- Tensor:ネガ・ポジ調整力の研究 — シミュレーション研究/2026-09-04。対象2025-04〜2026-08、9月上限変更前
- Energy Storage State-of-Charge Market Model — 研究論文/2022年。SoC依存の機会費用を扱うモデル
- スマート環境デザイン:EV・V2H提案事例 — 顧客導入事例/定置蓄電池とEVの選択肢を比較



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