改正法で何が変わるか。確定事項と検討案。
公布・施行・対象・説明・認証を混同せず、2028年度までに準備する。
2026年7月31日に改正法が公布されました。施行は一括ではなく、主な措置に応じて公布から1年以内・2年以内に分かれます。2028年度のLCA制度開始に向け、2026年10月時点では省令・告示等の詳細を検討中です。
根拠:[1] 国土交通省|改正建築物省エネ法の概要(第8回資料1) / [2] 国土交通省|各検討事項における検討の骨子と方向性(案)(第8回資料3) / [3] 国土交通省|検討事項と検討スケジュール(案)(第8回資料2)
| 論点 | 確認できた内容 | 実務への意味 |
|---|---|---|
| 法律の枠組み | 関係者の役割、統一評価指針、一定建築物の着工前届出、第三者認証・表示を措置 | 建築主だけで完結しない。設計・積算・資材調達の情報受渡しを準備する |
| LCA制度・認証制度 | 主として公布から2年以内施行 | 2028年度を念頭にしつつ、具体的な施行日・経過措置は正式法令で確認 |
| 先導技術の大臣認定 | 公布から1年以内施行 | 標準計算法では評価しにくい先導的省エネ技術を個別評価する経路。あらゆる新技術の自動認証ではない |
| 上位住宅トップランナー | 概ね市場の1/4を占める住宅供給事業者の中長期計画・毎年度報告 | 住宅戸数の1/4が個別にLCA届出義務になるという意味ではない |
| 届出対象の方向 | 国交省概要は5,000㎡以上の事務所を提示。具体的な適用は政令等で規定 | 複合用途の事務所部分、増改築の対象面積、国の庁舎の扱いを確認する |
| 着工との関係 | 10月5日案は着工14日前まで。公布後概要は施行14日後以降着工への経過措置を説明 | 案だけで工程を確定せず、施行法令・手続要領で再照合する |
根拠:[1] 国土交通省|改正建築物省エネ法の概要(第8回資料1) / [2] 国土交通省|各検討事項における検討の骨子と方向性(案)(第8回資料3) / [29] 国土交通省|改正法案の閣議決定
10月5日の骨子案で見える実務像
| 骨子案の項目 | 提案内容 | 確定前にしておけること |
|---|---|---|
| 説明の対象 | 第1ステップは2,000㎡以上の非住宅建築物を対象とする方向 | 対象候補台帳を作り、説明の時期・担当・建築主の意思確認を決める |
| 小規模建築 | 戸建住宅等を評価努力義務の適用除外とする案 | 「すべての戸建住宅が2028年度から届出必要」と営業資料に書かない |
| 評価期間 | 60年で統一する案。実供用期間・保証期間とは異なる | 法定用の評価期間と、投資回収用の20~30年等を別フィールドにする |
| 表示単位 | kg-CO₂e/㎡・年を基本とする案 | 総量、面積、年数を保存し、正規化指標だけを独り歩きさせない |
| 算定対象 | 躯体・内外装・建築設備等。生産設備等は対象外の方向 | 建物エネルギーと生産プロセスのメーター・推計を分ける |
| 評価軸 | 建物の性能と追加的なGX・敷地外再エネ等を別軸で扱う案 | オンサイトとオフサイトの証拠を別管理する |
| 基準値 | 全体のLCCO₂で評価し、内訳に目安値を設ける方向 | エンボディドと運用の両方に独立上限が確定したと説明しない |
根拠:[2] 国土交通省|各検討事項における検討の骨子と方向性(案)(第8回資料3)
説明責任の置き場所
建築主は評価する目的と比較案を決め、設計者は数量・仕様・省エネ計算との整合を担い、施工者は調達・施工の確定情報をつなぎます。製造事業者は製品の環境データを供給します。第三者認証は、国に登録された認証機関の役割であり、試算レポートを発行するだけでは取得できません。
営業資料では「認証を受けた」と「認証取得を目指す」、「評価した」と「削減した」を使い分けます。比較前提を変えて得た改善値を、設計努力だけの効果と表示しないことも重要です。
根拠:[1] 国土交通省|改正建築物省エネ法の概要(第8回資料1)
進行中の制度をどう追うか
10月5日のスケジュール案では、11月9日に算定ルール等、2027年1月28日に基準値等、3~4月頃に骨子の取りまとめ、5~6月にパブリックコメント、夏頃に省令・告示公布を予定しています。これらは予定であり、公布済み期限ではありません。社内工程は「正式資料の公表」を開始条件にし、未確定基準への適合を顧客へ約束しない設計にします。
根拠:[3] 国土交通省|検討事項と検討スケジュール(案)(第8回資料2)

木材の炭素貯蔵について、10月5日案はライフサイクル全体での原則相殺を踏まえ、他の削減効果と合算せず区別して表示する方向です。また、オフサイト再エネの評価にオンサイトの一定以上の省エネ・再エネを要件とするかは次回検討事項です。追加的な取組だけで基礎的な建物性能の改善を省く提案にはしません。
根拠:[2] 国土交通省|各検討事項における検討の骨子と方向性(案)(第8回資料3)





