新工場の電気使用量をどう予測する?実績なしで進める需要推計の手順

著者情報

国際航業株式会社「エネがえる」事業開発担当。太陽光・蓄電池・EV/V2Hの経済効果、SaaS・API・BPO、AI活用をつなぎ、顧客との共創による新サービス開発を推進。白書監修、約3年・50件以上の独自調査、官公庁・自治体の経済効果定量化支援にも取り組む。新サービス開発・協業・経済効果試算のご相談を受け付けています。 構想段階からの無料相談、全国訪問、試算の初期レビュー、APIによる事業開発相談も受け付けています。

設備ごとの電力、稼働率、時間、日数から使用量を積み上げ、類似工場の実績と照合します。推計値は実測値と区別し、投資判断が変わる幅を残します。

実績のない工場は、設備表から幅を持つ需要予算へ

価格・根拠の確認日:2026年10月3日。公表実績・販売店の提示価格・試算用の仮定を分けて掲載しています。販売店価格は購入成立額や全国平均ではなく、取得時点の表示です。

設備の定格kWを足した数字は、年間kWhでも契約電力でもありません。生産設備の運転と、休業日にも止まらない負荷を分けます。

確認項目 価格・数値の目安 対象・条件・出典
高圧電力・関東の公示例 基本2,530円/kW・月、電力量17.43円/kWh(税込) 東京電力EPの2026年4月実施プラン。燃料費・市場価格調整、賦課金は別。力率による基本料金調整も別。全事業者の相場ではありません。東京電力EP|2026年4月実施 高圧料金表
契約時期 2026年11月の見直しも確認 移転・稼働開始日に適用される契約を確認。10月時点の単価を長期固定とは扱いません。東京電力EP|2026年の料金・供給条件見直し

悲観・通常・楽観で、どこまで変わるか

生産設備の合計定格200kW、年2,400時間運転、これと重複しない常時負荷10kWを仮定。負荷率40・60・80%は業種統計ではなく設計感度です。税込実効単価20・25・30円で電力量費だけを計算。基本料金・工事費は別。

以下は条件を置き換えた独自の感度分析です。「通常」は比較の基準ケースで、最頻値・平均的な顧客・将来予測を意味しません。3ケースに発生確率は付けておらず、信頼区間やP90/P50/P10でもありません。

ケース 生産設備の運転中負荷率 年間使用量 実効単価 年間電力量費
悲観 80% 471,600kWh 30円/kWh 1,414.8万円
通常(基準) 60% 375,600kWh 25円/kWh 939.0万円
楽観 40% 279,600kWh 20円/kWh 559.2万円

計算方法:年間kWh=200kW×2,400h×運転中負荷率+10kW×8,760h。

判断が変わる境界:負荷率が10ポイント変わると年間48,000kWh、25円/kWhなら120万円変わります。まず最大の不確実性を持つ設備を実測。契約kWには30分内の同時稼働を別に積み上げます。

自分の案件に近づける確認資料

設備の定格・実測負荷、同時運転、立上げ時間、季節、休日、将来増設を記録。稼働後に30分値で予測との差を補正し、PV自家消費は昼間の時刻別需要で検証します。

価格・根拠の出典と時点

計算の考え方を確認する補足例

ここからの図・数値は、計算方法を説明するための別の仮定例です。上の出典付き価格・3ケース比較とは条件が異なり、現在の市場価格や同一案件の結果を示すものではありません。

生産設備:60,000kWh/年。空調:15,000kWh/年。常時負荷:26,280kWh/年
独自の説明用計算。実在案件の実績・製品価格・エネがえる診断結果ではありません。前提と除外項目は本文に記載。

最低限そろえる設備台帳

設備名、台数、定格電力kW、実稼働時の負荷率、稼働時間、年間日数、同時使用、待機電力を記録します。負荷率が測れない場合は仮定とし、弱気・基準・強気の根拠を残します。

定格電力×時間は、常に定格で動くと仮定した値です。インバータ運転、待機、立上げ、休憩、洗浄、保温など、工程ごとの違いを分けるほど推計を改善できます。

年間電力量の積み上げ例

すべて説明用の仮定です。設備群内の定格電力を合算したうえで計算します。

設備群 合計定格 負荷率 稼働条件 年間電力量
生産設備 50kW 60% 8時間×250日 60,000kWh
空調 20kW 50% 10時間×150日 15,000kWh
常時負荷 3kW 100% 24時間×365日 26,280kWh
合計 — — — 101,280kWh

この年合計だけでは太陽光の自家消費を計算しきれません。いつ生産するか、空調が動く季節はいつか、休日に何が残るかを時系列にします。

需要曲線へ落とす手順

まず365日の操業カレンダーを作り、平日、休日、繁忙期、立上げ期間の運転を割り当てます。次に30分または1時間ごとに設備の稼働率を置きます。最後に年・月の合計が、生産計画や類似実績と矛盾しないか照合します。

30分平均電力kWを使う場合、その区間の電力量kWhはkW×0.5です。30分電力量kWhを入力する場合は、さらに0.5を掛けません。単位の取り違えは年間需要を半分または倍にしてしまいます。

最大需要電力は別に確認

年合計を8,760時間で割って得るのは平均電力であり、最大需要電力ではありません。設備の立上げや同時稼働を別途確認します。東京電力の実量制の説明では契約電力に過去1年間の最大需要電力が関係しますが、契約ごとの扱いを確認してください。東京電力エナジーパートナー|契約電力の決定方法・実量制

推計を実測へ置き換える計画まで作る

  • 見積段階:仮の負荷率と操業計画で3案を比較。
  • 稼働開始後:実測の時間帯・月別差を確認。
  • 定常稼働後:需要条件と設備容量の見積もりを更新。

設備台帳の未入力を勝手に平均値で埋めず、推計理由と確認担当を残します。エネがえるへ渡すデータにも、推計版と実測版の名前・作成日・前提を付けます。

よくある質問

床面積だけで計算できますか。

初期の目安にはできますが、設備と工程による差が大きいため確定需要にはしません。

推計30分値を実測と同様に提出できますか。

推計と明記し、作成方法・誤差要因・更新計画を添えます。

空調を年中同じ使用量にしてよいですか。

季節変動を別途反映します。月合計を合わせるだけで、ピーク時刻が正しくなるわけではありません。

出典・確認資料

新工場の需要条件から試算を始める

設備台帳、操業カレンダー、候補施設の条件をそろえ、推計需要の幅を残して設備案を比較します。

月別使用量と稼働日から需要曲線を作る方法

法人・販売店向けに試算を相談する提案に使うエネがえるの無料トライアルへ

家庭の購入判断は販売店へ確認してください。エアコン負荷、金融条件、構造・接続可否等の確認と、エネがえるによる電力・設備の経済比較は役割が異なります。

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