STAKEHOLDER PLAYBOOK
同じ施設でも、
決めるための資料は違う。
政策担当には横展開、施設担当には防水と操業、金融には長期の責任。11の立場を、業務・データ・判断の出口で整理します。以下はラボ独自の業務設計案です。
日本政府・METI
政策目標を、供給と施工が追いつく導入計画へ
導入目標だけが増え、供給仕様・施工者・候補面の条件が揃わない
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 技術別・用途別の需要量と、供給・施工・検証の制約を同じ年度軸に置く | 政策目標/需要候補/供給回答/施工キャパ/実装実績を別系列にする | 案件段階別MW、根拠確認率、供給待ち件数、次段階への移行期間 |
実務の流れ:政策・業界集計→用途別不足の特定→支援対象と実証課題を分ける
候補MWを導入確定MWに数えない。メーカーの計画能力を受注可能量にしない。
環境省・脱炭素政策部門
排出削減と普及に使える成果を両立する
発電量の報告だけでは、追加性・横展開・環境価値の帰属が見えない
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 共通の計測仕様と、従来案では難しい面を開いた理由を残す | 対照案/計測境界/排出係数の年度/属性の帰属/公開可能範囲 | 実測kWh、計測欠損率、重複主張の解消件数、再利用できる施工条件 |
実務の流れ:採択条件整理→実施前の基準固定→計測→公開可能な知見へ編集
環境価値と売電収入を同じ便益として二重計上しない。
東京都・大阪府など広域自治体
施設群を、調査と調達の順番が分かる台帳へ
候補施設は多いが、改修予定・図面・管理部門との調整が分散
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 財産台帳と施設管理者の確認を、棟・面単位で結び付ける | 施設ID/棟ID/面ID/改修年度/所管/図面版/選定理由 | 母集団、書類確認済み、現地調査対象、保留、見送りの件数 |
実務の流れ:候補抽出→施設照会→現地調査→工法検討→年度別計画
東京都の支援要件と大阪府の調達仕様を混ぜない。
市区町村・公共施設管理者
庁舎・学校・避難所の制約を早く共有する
脱炭素担当と営繕・財政・防災の判断時期が合わない
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 改修・予算・避難所運用を同じ案件カードでレビューする | 長寿命化計画/避難時負荷/休館日/電気契約/防水保証 | 照会回答日数、重複調査、未決事項、停電時に守る負荷の定義率 |
実務の流れ:所管調整→必要資料→代替案→予算要求→実施設計への引継ぎ
PV容量だけで避難所の自立運転時間は決まらない。
ペロブスカイト・フレキシブルメーカー
設置相談を、製品仕様と実証課題に結び付ける
大量の相談が来ても、下地・固定・防火・保証条件が不足
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 用途条件を揃えた照会票と、仕様ごとの回答履歴を持つ | 製品版/下地/固定方法/荷重条件/試験範囲/供給回答期限 | 回答可能な照会率、同種照会の再利用、未対応用途、現場不具合 |
実務の流れ:要求条件→適用照会→試験・実証→供給条件確定
セル効率・試験片寿命・量産モジュール保証を同じ指標にしない。
EPC・設計・施工事業者
受注前の手戻りと、施工後の責任の空白を減らす
概算を急ぐほど、足場・防水・停電工事・補修の抜けが出る
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 設計条件、見積除外項目、施工品質証跡を一つの版で管理する | 現調写真/構造照査/接着・締結仕様/施工環境/検査記録 | 見積再提出率、設計変更、検査不適合、保守引継ぎ欠落 |
実務の流れ:現調→適用確認→見積境界→施工計画→検査→保守
モジュール重量と、支持部・積雪・風荷重を含む設計荷重を混同しない。
PPA事業者
契約期間中の建物・設備・需要の変更に備える
長期契約と屋根改修・退去・需要減が衝突する
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 移設・撤去・買い取り・原状回復をシナリオ別に比較する | 利用権期間/需要時系列/改修予定/解除条項/保険/予備費 | 契約期間整合、需要減の感応度、修繕時費用負担、回収余裕 |
実務の流れ:需要確認→設備条件→契約境界→感応度→投資審査
初期費用ゼロを生涯費用ゼロと説明しない。
小売電気事業者
需要・発電・契約の時間粒度を合わせる
年間電力量は合っていても、時間別の余剰・不足が見えない
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 受電点、時刻、単位、契約期間を揃えて需給と価値を検討する | 30分需要/発電推計/市場・固定単価/受電点/環境属性 | 同時同量の不足・余剰、欠測率、比較に使った時間範囲 |
実務の流れ:データ権限→欠損検証→時間整合→料金・需給シナリオ
年間発電量と年間需要量の小さい方を自家消費量にしない。
需要家・工場・施設運営者
電力費、事業継続、操業制約を一緒に判断する
電気代は下げたいが、操業停止や漏水のリスクを増やしたくない
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 停止可能時間と重要負荷を先に定義して、設備案を比較する | 負荷一覧/操業日/停電許容/修繕計画/購入条件/社内決裁 | 削減額の幅、停止工事時間、維持管理負担、守る負荷 |
実務の流れ:現状把握→守る条件→設備・契約比較→部門別稟議
非常時の電源構成や切替試験が未確認なら防災効果を確定しない。
不動産・アセットマネジメント
所有者とテナントの便益・責任を揃える
屋根の費用負担者と電気代削減の受益者が違う
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 賃貸借更新、屋根改修、属性の帰属を資産計画に組み込む | 所有・使用権/賃貸借/改修周期/テナント負荷/譲渡条件 | 契約期間の整合、空室・入替時の条件、改修同時化の対象 |
実務の流れ:権利確認→受益者整理→分担案→契約・工事時期の合意
不動産価値の上昇を実測や評価なしで収益に加算しない。
金融機関・投資家・保険
技術の不確実性を、確認資料と契約条件へ落とす
収支表だけでは、製品保証・施工・供給継続・撤去負担を評価できない
| 現在の詰まりを解く方法 | 必要データ | 評価する指標 |
|---|---|---|
| 証拠の不足とリスク負担者を対応付け、融資前の停止条件を明示する | 独立技術評価/保証原本/保険条件/契約/実測/撤去見積 | 証拠不足、契約上の未配分リスク、下振れ時の返済余裕 |
実務の流れ:資料審査→技術照会→契約配分→条件充足→継続モニタリング
研究性能から金融上の採用可否は自動判定できない。
同じ案件を引き継ぐための最小単位
施設名だけをキーにすると、棟・屋根・壁面・受電点が混ざります。案件IDに加え、施設ID・棟ID・面ID・受電点ID・製品仕様版・根拠資料IDを保持します。営業、設計、財務が別々のコピーを更新する運用を改め、変更理由と承認履歴を一つにします。
反対意見も記録します。施設担当が止めた理由を単なる「NG」で消すと、防水更新後に再検討できる案件まで失います。再開条件、確認担当、再確認時期まで残すことで、見送り案件が次の需要候補になります。
- 国の次世代型太陽電池戦略 — 2024-11-28
政策の方向性を参照。目標は個別案件の発注量や供給保証ではない。 - 環境省 第三者所有による導入 — 参照日2026-10-03
公共施設等のPPA検討資料。契約条件は対象施設・事業者別に確認。 - NEDO フレキシブル設計・施工ガイドライン — 2026-05-15ページ更新
荷重・耐力、電気、燃焼性等の検討入口。軽量性だけで設置可としない。 - JPEA 太陽光発電事業の評価ガイド — 2024-01-31改定
事業評価の確認項目を参照。金融機関の融資承認やペロブスカイトのバンカビリティ認定ではない。
