47都道府県・10電力エリアをつなぐ、住まいのエネルギー比較シリーズ
エネがえる独自比較:確認したい料金改定の範囲を地域固有の論点として、太陽光だけからオール電化・蓄電池・EV・V2Hまで、6構成の追加効果と投資判断を同じ比較軸で読み解く。
目次
- 1 この記事で分かること
- 2 平均単価の上昇と、料金表の変更を区別する
- 3 太陽光で100kWh減らしても、基本料金の増分は残る
- 4 昼間給湯と蓄電池は、異なる時間の価値を使う
- 5 電化・EV化では、買電が増える案もある
- 6 補助終了と託送改定を、同じ値上げとして二重計上しない
- 7 関西を一つの補助・一つの住宅像で計算しない
- 8 提案書の更新は、料金の版と生活条件を対にする
- 9 県別の制度・統計分析へ進む
- 10 2026年秋の小売料金を確認する
- 11 6構成で「何が増え、何が減るか」をそろえる
- 12 見積依頼前にそろえる12項目
- 13 回収年数だけでは見落とす5つの判断
- 14 販売施工店・工務店が商談で使う5ステップ
- 15 ご家庭・施設の条件で調べたい方へ
- 16 自治体・メーカーが横断比較で確認する3点
- 17 関西エリアで、相談前に読んでおきたい論点
- 18 この記事の情報・根拠
この記事で分かること
太陽光だけにするか、給湯・蓄電池・EVまで組み合わせるか。設備価格、地域の制度、電気を使う時刻を別々に見ると、家計に合う案を選びにくくなります。このシリーズは、6構成を同じ条件で比較するために、地域の資料を読み解く企画です。
関西エリアでは、何を確認すると選択が変わるのか。 電気代が上がれば、太陽光で買電を減らす価値は高くなる。ただし、その上がり方が基本料金なのか、使った電力量に応じる料金なのかで効果は違う。関西の2026年11月改定は、この違いを具体的に考える材料になる。
- 販売施工店・工務店:地域の制度を見積条件に落とし、顧客に説明する比較軸をそろえられます。
- ご家庭・施設の担当者:価格だけの比較から一歩進み、相談先に確認する条件と依頼内容を整理できます。
- 自治体・メーカー:普及統計、制度の対象、個別世帯の効果を区別し、支援や提案の設計に使えます。
資料確認:2026年9月21〜22日。制度の対象・受付状況は申請時に公式窓口で確認してください。
電気代が上がれば、太陽光で買電を減らす価値は高くなる。ただし、その上がり方が基本料金なのか、使った電力量に応じる料金なのかで効果は違う。関西の2026年11月改定は、この違いを具体的に考える材料になる。
関西電力送配電は9月11日に託送供給等約款の変更を届け出、11月1日から料金単価を改定すると発表した。託送料金は小売電気事業者などが送配電設備を利用するための料金である。公表資料の低圧平均単価は税抜7.82円から9.04円/kWhへ変わるが、この1.22円を家庭の従量単価にそのまま加算する計算はできない。関西電力送配電・9月11日発表
平均単価の上昇と、料金表の変更を区別する
実際の託送の料金表には、基本料金と電力量料金がある。下表は電灯標準接続送電サービスの抜粋で、税込額。家庭の小売プランの料金表ではない。
| 項目 | 改定前 | 11月1日以降 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 主開閉器契約・最初の6kVAまで/1送電サービス | 240.90円 | 412.50円 | 171.60円 |
| 主開閉器契約・6kVA超の1kVA当たり | 80.30円 | 137.50円 | 57.20円 |
| 実量契約・最初の6kWまで/1送電サービス | 290.40円 | 504.90円 | 214.50円 |
| 実量契約・6kW超の1kW当たり | 96.80円 | 168.30円 | 71.50円 |
| 電力量料金/kWh | 7.62円 | 8.25円 | 0.63円 |
出典:10月31日までの料金表、11月1日以降の料金表。平均単価の税抜表示と、本表の税込表示を混ぜない。
主開閉器契約・最初の6kVAまでの区分を固定し、月300kWhを仮定すると、表の基本料金と電力量料金の合計は2,526.90円から2,887.50円へ増える。差額360.60円のうち171.60円が基本料金の差、189円が電力量料金の差である。これは当該託送料金表の二項を使った説明用計算であり、家庭の請求書が月360.60円上がるという予測ではない。
拡大図は左右・上下にスクロールできます。見終わったら同じ見出しで閉じられます。図1を拡大して読む
太陽光で100kWh減らしても、基本料金の増分は残る
同じ契約区分を保ち、PVの自家消費によって月の電力量が300kWhから200kWhへ減ると仮定する。この料金表では、電力量料金の改定に対する影響を100×0.63=63円だけ減らせる。一方、基本料金の改定分171.60円は残る。太陽光が発電したという理由だけで契約容量が下がるわけではない。
ここで二つの金額を区別したい。100kWh減らすことによる改定後の電力量料金の差は825円だが、改定前にも762円の差はあった。今回の値上げで新たに増えた削減価値は、その差の63円である。825円全額を「11月改定で増えた太陽光のメリット」と書けば過大評価になる。
さらに、これは託送料金の構造を説明したものだ。住宅の投資回収計算に入れるのは、その住宅が契約する小売料金の改定内容である。小売の基本料金、従量料金、時間帯、適用日が確認できてから、導入前と導入後を同じ料金条件で再計算する。
昼間給湯と蓄電池は、異なる時間の価値を使う
太陽光のみの案では、発電と住宅需要が重なる時間が自家消費の中心になる。昼間給湯は需要の時刻を動かし、蓄電池は電力を別の時刻へ移す。EVとV2Hでは、それに車の所在と移動用の電力量制約が加わる。
拡大図は左右・上下にスクロールできます。見終わったら同じ見出しで閉じられます。図2を拡大して読む
昼間給湯によって自家消費が増えても、その分だけ売電は減る。日中の発電が足りなければ買電も発生する。給湯効率、湯量、貯湯損失まで含めて、夜間運転からの差を計算する必要がある。昼間給湯と蓄電池の節約額を、それぞれ単独導入時の数字のまま足してはいけない。同じ余剰電力を取り合う場合があるからだ。
夜間充電による節約も、小売の昼夜料金差と損失を見て判断する。送配電側の時間帯別料金差を、家庭が利用できる価格差として代用しない。料金の名称が似ていても、取引する相手と契約が異なる。
電化・EV化では、買電が増える案もある
電気代の上昇は、すべての電化提案を同じ方向に有利にするわけではない。導入前のガスやガソリンを電気へ置き換えると、太陽光があっても年間買電量が増える条件がある。その場合、電気だけの値上がりは比較収支を悪化させる一方、ガス・ガソリンの値上がりは代替による節約を大きくする。
数量を固定して単価変化だけを見る一次近似なら、年間便益の変化は次式で整理できる。
(導入前買電量−導入後買電量)×電気単価変化 +(導入前ガス量−導入後ガス量)×ガス単価変化 +(導入前ガソリン量−導入後ガソリン量)×ガソリン単価変化
ガスは実際の契約の計量単位、ガソリンはLを用い、単価と数量の単位をそろえる。基本料金、売電単価、時間帯別単価、需要の変化はこの簡略式の外にある。個別試算では別に織り込む。電気・ガス・ガソリンの将来上昇率を一律の数字にすると、こうした違いが消えてしまう。
例えば「一定」「電気だけ上昇」「ガス・ガソリンも上昇」を分けて、各仮定のもとで順位が入れ替わる条件を示す方が、単一の20年予測より判断に役立つ。これは予測値の提示ではなく、今後の試算で使う感度分析の設計である。
補助終了と託送改定を、同じ値上げとして二重計上しない
請求額の変化には、基本・従量料金の改定、燃料費調整、再エネ賦課金、期間限定の値引きなど複数の要因がある。値引きがなくなった後の単価を採用したうえで、同じ値引き終了額をもう一度「上昇率」に含めれば二重計上になる。
また、電気の使用月と請求・検針月は一致しないことがある。本稿では「2026年10月以降、電気・ガスへの補助が永久に停止する」とは確定していない。確認できた各制度の対象使用月と、未発表の将来措置を分け、単価の根拠日を残す。託送改定の11月1日と家庭向け料金の適用日も、自動的に同じとは扱わない。
関西を一つの補助・一つの住宅像で計算しない
電力エリアは都道府県の行政界と必ずしも一致しない。料金は住所と契約、自治体補助は設備を置く行政区域で確かめる。関西エリアの記事で府県の代表値を並べても、その値を個別住宅へ代入する根拠にはならない。
大阪府版で取り上げた枚方市では、対象の太陽光・蓄電池補助にFIT・FIPを使わないことなどの条件がある。補助を得る案とFIT売電を選ぶ案は、売電収入を含めて比較する必要がある。枚方市・住宅用設備の補助条件
住宅の違いも同様だ。屋根面積、冬の給湯、日中の車の所在が違えば、太陽光・昼間給湯・蓄電池・V2Hの組合せの意味が変わる。設備の導入可能性と、導入できた場合の経済性を分けて比較したい。
提案書の更新は、料金の版と生活条件を対にする
別地域の試算を利用するときは、所在地、料金の適用日、需要、設備、補助の条件を置き換える。東京の計算例を関西の改定後料金の結果として使うことはできない。
エネがえるASPを使う住宅比較では、同一世帯の需要を固定した6案と、給湯器・車の更新時期を変える案を分けたい。EV・V2Hの検討では移動用電力量と在宅制約を加える。多数の住宅提案を継続的に更新する事業者は、製品・API・試算代行の適用範囲を確認し、根拠日と再計算対象を管理するとよい。エネがえる製品案内
この記事で確定したのは、託送改定の公表内容と、その料金表を使った説明用差分である。関西の家庭向け小売改定額、同条件6案の投資回収、府県別の蓄電池普及率は別途確認が必要だ。この資料だけで、ご家庭の投資回収年数を確定することはできません。
県別の制度・統計分析へ進む
県別の制度と住宅条件を確認できます。電力の供給区域は県境と一致しない場合があるため、契約は住所・供給地点で確認してください。
| 地域 | 制度・運用で比較する論点 |
|---|---|
| 三重県 | 27市町の実施予定を「27市町で受付中」にしない |
| 滋賀県 | FITと非FIT、二つの制度で太陽光の損益を比べる |
| 京都府 | 蓄電池とV2Hを両方付けても、補助は足せない場合がある |
| 大阪府 | 大阪府の太陽光投資――「非FIT補助がお得」を2026年の条件でもう一度確かめる |
| 兵庫県 | 県のセット補助と淡路の蓄電池支援を分けて比較する |
| 奈良県 | V2Hの地域差を、発電量の差と混同しない |
| 和歌山県 | 予算残額があっても、住宅用太陽光は受付終了という実例 |
2026年秋の小売料金を確認する
託送転嫁は11/1予定。高圧・特別高圧の物価等による標準メニュー改定は11/1以後現在契約満了後の新契約から。家庭の増額は低圧向けの契約プラン別料金表で確認する。
資料確認:2026年9月22日。家庭向けの回収計算には、契約する小売会社・プランの確定料金表が必要である。高圧の単価や送配電の平均託送料金を家庭の従量単価へ置き換えない。
公式資料1・公式資料2。料金の分解方法は秋の料金分析を参照。
6構成で「何が増え、何が減るか」をそろえる
6案を別々の営業資料で並べると、家族人数や売電条件の違いまで設備の差に見えてしまいます。最初に現状の住宅・移動費を一つの基準に固定し、次の順に差分を確かめます。下表は比較設計のための表で、地域別の正式な回収年数を示すものではありません。
| 構成 | 固定する条件 | 比較する差分 | 見積の確認質問 |
|---|---|---|---|
| S1 太陽光 | 屋根・日射・生活需要・売電契約 | 直接使う電気と売る電気の配分 | 屋根改修やパワコン更新を費用に含めたか |
| S2 S1+オール電化・深夜給湯 | 湯量・暖房・給湯機種・ガス撤去範囲 | 夜間買電とガス・灯油費の変化 | ガス契約が残るのに基本料金を全額削減していないか |
| S3 S1+オール電化・昼間給湯 | S2と同じ湯量と設備条件 | 昼の買電・売電・効率の変化 | 雨天・冬季の不足を買電で補ったか |
| S4 S3+定置型蓄電池 | 給湯後の余剰・実効容量・出力・損失 | S3から増える便益と更新費 | 満充電できない日や放電しきれない日を含めたか |
| S5 S3+EV・V2H | 同じ移動距離・駐車時間・出発時残量 | 走行費と家庭放電の両方 | 車両買替差額と住宅設備費を分けたか |
| S6 S3+蓄電池+EV・V2H | S4・S5と同じ住宅と移動条件 | 電池を二つ持つ追加価値 | 同じ余剰電力を二つの電池で重複利用していないか |
新設一式を選ぶ家庭と、太陽光をすでに持つ家庭では、答えるべき問いが違います。既設設備の購入費を再び計上せず、今から支払う費用と、今から変わる収支を比べます。S6の評価も「太陽光なしの家より安いか」だけでなく、「S5に定置型電池を足す費用に見合うか」まで確認します。
見積依頼前にそろえる12項目
すべてが分からなくても相談は始められます。不明な値はゼロで埋めず、推定した項目と実際に確認できた項目を分けて渡してください。チェックはこの画面での整理用です。入力・選択内容は送信・保存されません。
回収年数だけでは見落とす5つの判断
1.総額と追加額
初期費用の総額と、次の設備を足す差額を分けます。太陽光の利益が大きくても、追加の蓄電池が同じ速度で回収するとは限りません。
2.年平均と更新年
平均の年間削減額に加え、機器交換・車の買替・売電単価の切替がある年を見ます。一度黒字になっても、その後の更新費で累積収支が再び赤字になる場合があります。
3.収支と手元資金
補助の入金前に工事代を支払う場合や借入を使う場合、長期便益と当面の支払いは一致しません。初期支出と毎月の返済を別に確認します。
4.家計と停電対策
停電時は残量、使える出力、接続回路、EVの在宅状況が重要です。平常時の節約額と非常時の価値を分け、停電回避額を根拠なく収入に加えません。
5.標準と慎重条件
料金が想定ほど上がらない、発電が少ない、補助を受けられない条件でも比較します。採用案が逆転したら、逆転を起こした前提が商談で優先して確認すべき情報です。
設備の数を増やすことより、判断を変える不明点を一つ減らすことが、追加調査の価値になる場合があります。昼にEVが家にないなら、まず在宅時間を確定する。ガスの基本料金が残るなら、まず解約可能な設備範囲を確定する。この順序で見積の精度を上げます。
販売施工店・工務店が商談で使う5ステップ
- 現状を一枚にそろえる。 電気・燃料・移動費、設備の年齢、暮らし方を聞き、比較前提を顧客と共有します。
- 有力な案を選ぶ。 6構成すべてを機械的に勧めず、屋根、駐車、更新時期、予算から成立する案を残します。
- 同じ条件で再計算する。 住宅設備はASP、車と住宅電力を含む検討はEV・V2Hなど、対象に合う製品を使います。製品間で比較するときも、需要・料金・期間の一致を確認します。
- 不利な条件も一緒に見せる。 補助なし・低い料金上昇・設備更新を含む場合を示し、顧客が何に納得して選んだかを残します。
- 見積変更時に同じ前提へ戻る。 機種・価格・契約が変わったら、前の提案から変えた項目を示して再説明します。
記事を読むだけで止まると、毎回の料金確認、入力のそろえ直し、資料の作り直しが担当者に残ります。エネがえるの導入を検討する意味は、この比較を自社の案件で繰り返し使える業務にすることです。デモでは一般的な画面説明に加え、自社の見積1件を使い、入力から顧客説明までの流れを確かめてください。
ご家庭・施設の条件で調べたい方へ
住宅の平均値をそのままご家庭の節約額に置き換えることはできません。相談先の販売施工店・工務店に「エネがえるを使い、同じ条件で複数案を比較できますか」と尋ねてください。次の依頼文をコピーし、分かる項目を添えて渡すと、比較したい内容を伝えやすくなります。
この入力欄から問い合わせは送信されません。個人情報は、依頼先の正式な相談窓口へ直接お伝えください。施工店のエネがえる利用は施工品質や補助金交付を保証するものではありません。
施設・店舗・工場は、住宅の6構成表をそのまま転用せず、操業時間、契約電力、負荷データ、導入方式をそろえた産業用試算を依頼します。施設向けのエネがえるBizを確認する。
自治体・メーカーが横断比較で確認する3点
- 分母をそろえる。 居住住宅全体、持ち家、一戸建て、新築で普及割合の意味が変わります。都道府県の統計を個別自治体の導入可能件数にそのまま置き換えません。
- 交付件数と住民便益を分ける。 同じ予算でも、新設支援、既設設備の更新支援、相談支援では対象世帯と成果が異なります。補助後の自己負担、電気の使い方、継続条件まで見ます。
- 代表世帯と地域全体を分ける。 一つのモデル世帯で得た結果を県平均と呼ばず、世帯類型・料金・住居・移動の重み付けを示します。基準の6構成に感度条件を加え、何が結論を変えたかを説明します。
関西エリアで、相談前に読んでおきたい論点
- 平均単価の上昇と、料金表の変更を区別する。見積のどの費用・条件に反映したかを、相談先と確認してください。
- 太陽光で100kWh減らしても、基本料金の増分は残る。見積のどの費用・条件に反映したかを、相談先と確認してください。
- 昼間給湯と蓄電池は、異なる時間の価値を使う。見積のどの費用・条件に反映したかを、相談先と確認してください。
制度の掲載があることと、その家庭が申請できることは別です。記事内の一次資料で対象・時期を確認し、比較表には確認日と適用条件を残します。

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