建設時の同時施工は工事をまとめられる一方、稼働後なら実測需要を使って容量を調整できます。工事費差と待つ間の便益、需要推計の不確実性を同じ期間で比べます。
工場PVを待つ価値は、値下がりと逸失効果を比較
価格・根拠の確認日:2026年10月3日。公表実績・販売店の提示価格・試算用の仮定を分けて掲載しています。販売店価格は購入成立額や全国平均ではなく、取得時点の表示です。
後付け工事が安くなるとは限りません。新設時に確定できる屋根・配線・施工動線の費用と、稼働データを待つことで減る設計リスクを分けます。
| 確認項目 | 価格・数値の目安 | 対象・条件・出典 |
|---|---|---|
| 屋根設置PVの公表実績 | 平均20.8万円/kW、中央値18.5万円/kW | 2025年設置・10kW以上。委員会意見本文p.21。規模を混ぜた集計で100kW案件の確定見積ではありません。原資料と見積の税区分・工事範囲を照合。衆議院公開|調達価格に関する報告書・委員会意見 |
| 高圧電力・関東の公示例 | 基本2,530円/kW・月、電力量17.43円/kWh(税込) | 東京電力EPの2026年4月実施プラン。燃料費・市場価格調整、賦課金は別。力率による基本料金調整も別。全事業者の相場ではありません。東京電力EP|2026年4月実施 高圧料金表 |
悲観・通常・楽観で、どこまで変わるか
100kW、今の工事総額2,080万円という税込の予算仮定を固定。公表平均20.8万円/kWから着想した数字ですが、原統計を税込へ換算した見積ではありません。後付け追加費100万円、売電0、年保守・交換準備費25〜50万円も仮定。1年待つ比較で、悲観・楽観は「今設置する効果」に対する呼称です。
以下は条件を置き換えた独自の感度分析です。「通常」は比較の基準ケースで、最頻値・平均的な顧客・将来予測を意味しません。3ケースに発生確率は付けておらず、信頼区間やP90/P50/P10でもありません。
| ケース | 年間発電原単位 | 自家消費率 | 買電削減単価/kWh | 今設置の年間純効果 | 1年後の本体工事費の下落率 | 待つ案の優位額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 悲観 | 900kWh/kW | 60% | 20円 | 58.0万円 | +10% | 50.0万円 |
| 通常(基準) | 1,100kWh/kW | 80% | 25円 | 185.0万円 | +0% | -285.0万円 |
| 楽観 | 1,250kWh/kW | 95% | 30円 | 331.2万円 | -10% | -639.2万円 |
計算方法:年間純効果=100kW×発電原単位×自家消費率×買電単価−保守・交換準備費。待つ案の優位=今の費用×下落率−後付け追加費−1年分の純効果。正なら待つ案が有利。共通の比較終了日を仮定し、割引・劣化・終価差・補助金・税務は除外。
判断が変わる境界:通常例では1年分の純効果185万円と追加工事100万円を合わせ、約13.7%の値下がりが待つ費用上の境界です。ただし、待つことで過大設備を避けられる価値は別。実需要が不明なら、その設計誤差も比較します。
自分の案件に近づける確認資料
同時施工・後付けの同一範囲の見積、耐荷重、保証条件、時刻別需要、発電量、保守契約を取得。需要が減るケースでも自家消費率を一定にしない追加検証を行います。
価格・根拠の出典と時点
- 衆議院公開|調達価格に関する報告書・委員会意見 — 上記意見書の本文を収録。取得原本で数値確認
- 東京電力EP|2026年4月実施 高圧料金表 — p.4 高圧、関東。税込。調整単価は別
- 東京電力EP|2026年の料金・供給条件見直し — 4月改定および11月改定案内。適用日を確認
計算の考え方を確認する補足例
ここからの図・数値は、計算方法を説明するための別の仮定例です。上の出典付き価格・3ケース比較とは条件が異なり、現在の市場価格や同一案件の結果を示すものではありません。

3つの選択肢を残す
| 案 | 得られること | 残る不確実性 |
|---|---|---|
| 建設時に設置 | 工程をまとめ、早く運転できる | 稼働後需要と設計容量のずれ |
| 稼働後に設置 | 実測を使って設備を決める | 後付け工事費、待機中の便益喪失 |
| 建設時は準備だけ | 構造・配管等に将来の余地を残す | 準備費、仕様変更への対応 |
「準備だけ」には、将来荷重を見込む構造検討、配線ルート、機器スペース等が考えられます。実際に可能か、無駄な先行工事にならないかを設計者が確認します。
比較期間の起点はそろえる
即時案は工場稼働年を1年目、後付け案も同じ年を1年目にします。後付け案だけ設置後10年を数えると、比較期間がずれます。期間末の設備年齢と残価に差があることも明記します。
10年間の単純収支例
即時案の設備費を1,200万円、年間純便益を150万円。1年待つ案の設備費を1,300万円、2年目からの年間純便益を150万円と仮定します。純便益は運営費控除後、税・借入・割引・残価は除きます。
即時案は150×10−1,200=300万円。1年待つ案は150×9−1,300=50万円。この仮定では即時案が250万円大きい収支です。
しかし、実際の即時案で年間純便益が125万円まで下がるなら、125×10−1,200=50万円となり、待つ案と同額です。先に設置することで得る便益と、需要情報が不足したまま容量を決めるリスクを比較するための境界です。
比較表に入れる不確定要素
- 稼働率が計画を下回る期間と、その後の増産予定。
- 屋根防水の保証、修繕時の撤去・再設置負担。
- EPCの工事見積もり、接続・受電の工程。
- 補助金の対象・期限・交付条件。未確定ならゼロ案も残す。
- 将来増設時のPCS・配線等の適合性。
最大容量、最小容量、段階導入を同じ需要シナリオに当て、余剰と収支を比較します。PPAを使う場合は導入時期だけでなく契約期間、中途変更、最低購入等の条件も確認します。環境省|太陽光発電の導入支援サイト
稟議で伝えること
推奨案だけを示すより、「どの条件になれば別案へ変えるか」を書くと判断しやすくなります。例えば、定常稼働時の昼間需要が未確認なら容量の確定を待つ、構造・工事上の準備だけは建設時に行う、と役割を分けます。
よくある質問
同時施工は必ず安くなりますか。
工事条件と見積もりによります。削減できる仮設や工程があるか確認します。
稼働後に1か月測れば十分ですか。
季節性や立上げの影響が残ります。計測期間の代表性を確認します。
段階導入は常に有利ですか。
分割工事費や機器の適合性で不利になる場合もあるため、一括案と比較します。
出典・確認資料
新工場の需要条件から試算を始める
設備台帳、操業カレンダー、候補施設の条件をそろえ、推計需要の幅を残して設備案を比較します。



