省人化の投資回収には、人件費の削減だけでなく、追加電力、保守、消耗品、停止時対応も入れます。新しい稼働時刻を需要へ反映してから、太陽光や蓄電池の追加を検討します。
省力化設備は、本体・保守・増える電力を同じ表に置く
価格・根拠の確認日:2026年10月3日。公表実績・販売店の提示価格・試算用の仮定を分けて掲載しています。販売店価格は購入成立額や全国平均ではなく、取得時点の表示です。
人が空いた時間と、実際に支出が減る時間は異なります。人を接客や品質改善へ回す価値は、給与削減として二重計上せず別に評価します。
| 確認項目 | 価格・数値の目安 | 対象・条件・出典 |
|---|---|---|
| 配膳ロボットのメーカー掲載例 | Keenbot T8購入202万円(税別) | メーカーの月額換算説明にある購入価格。5年で割った金額はリース見積ではありません。産業用ロボット全般の相場ではありません。ソフトバンクロボティクス|配膳ロボットの価格 |
| 同掲載例の保守サポート | 月16,000円、年192,000円(税別) | 本体価格を60か月で割った表示には含まれない別費用。契約範囲は個別確認。ソフトバンクロボティクス|配膳ロボットの価格 |
| 補助金の扱い | 採択・交付は別途確認 | 製品カタログ掲載だけで自社への交付や金額が確定するものではありません。中小機構|省力化製品カタログ |
悲観・通常・楽観で、どこまで変わるか
小型搬送・配膳の設備1台を想定し、設定等込み250万円(税別)の予算仮定。年間保守19.2万円を上記掲載例から採用。電力量・作業時間・労務単価は製品仕様や実績値ではなく感度入力。電力単価も税別にそろえ、補助金0で比較します。
以下は条件を置き換えた独自の感度分析です。「通常」は比較の基準ケースで、最頻値・平均的な顧客・将来予測を意味しません。3ケースに発生確率は付けておらず、信頼区間やP90/P50/P10でもありません。
| ケース | 実際に減らせる有給作業時間/年 | 会社負担込み時間単価 | 年間の追加電力費 | 年間純削減額 | 単純回収 |
|---|---|---|---|---|---|
| 悲観 | 300h | 1,800円/h | 36,000円 | 312,000円 | 8.0年 |
| 通常(基準) | 700h | 2,200円/h | 20,000円 | 1,328,000円 | 1.9年 |
| 楽観 | 1100h | 2,600円/h | 10,000円 | 2,658,000円 | 0.9年 |
計算方法:年間純削減=削減可能な有給時間×会社負担込み単価−追加電力費−保守費。回収=導入費÷年間純削減。資金調達・税効果・残価・故障停止は除外。
判断が変わる境界:通常条件で5年回収を目指すなら、年約324時間以上の支出削減が必要です(50万円+電力2万円+保守19.2万円を2,200円/hで割る)。配置転換のみで支出が減らない場合、この給与削減モデルは使わず増収・品質の効果を別に測ります。
自分の案件に近づける確認資料
現場の導入前後の作業計測、給与・残業の削減可能額、付帯設備込み電力量、保守・通信契約、停止時の代替手順を取得。工場の自動化なら、圧縮空気・集塵・空調の追加負荷も対象です。
価格・根拠の出典と時点
- ソフトバンクロボティクス|配膳ロボットの価格 — 2026-10-03取得。Keenbot T8購入価格の注記
- 中小機構|省力化製品カタログ — 対象製品・販売事業者の照合先。交付を保証しない
- 東京電力EP|2026年4月実施 高圧料金表 — p.4 高圧、関東。税込。調整単価は別
計算の考え方を確認する補足例
ここからの図・数値は、計算方法を説明するための別の仮定例です。上の出典付き価格・3ケース比較とは条件が異なり、現在の市場価格や同一案件の結果を示すものではありません。

人が減ることと、費用が減ることは同じではない
自動化で空いた時間を別の仕事へ回す場合、給与総額は減らなくても生産能力が増える可能性があります。その便益を人件費削減と追加利益の両方へ重複計上しないことが大切です。
中小企業省力化投資補助金にはカタログ注文型・一般型がありますが、対象や公募条件は公式資料で確認します。本記事は太陽光や蓄電池が同補助金の対象であることを示すものではありません。中小企業省力化投資補助金|公式サイト
年間収支へまとめる仮定例
設備費400万円、実際に回避できる人件費100万円/年、保守20万円/年、追加電力量2万kWh/年、単価25円/kWhとします。売上・品質・税・金利は同一と仮定します。
| 項目 | 年間の収支影響 |
|---|---|
| 人件費削減 | +100万円 |
| 保守費 | −20万円 |
| 追加電気代 | −50万円 |
| 純便益 | +30万円 |
単純回収は400÷30=約13.3年です。人件費削減だけなら4年に見えますが、運営費を含めると変わります。純便益がゼロ以下なら有限の単純回収年数は出せません。
追加電力を既設太陽光で賄える場合
仮に追加需要のうち1万kWhが、これまで売電していた余剰発電と同じ時刻に重なるとします。買電25円、売電8円なら、増える自家消費の価値は1万×(25−8)=17万円/年です。
この条件で純便益は47万円、単純回収は約8.5年になります。太陽光の追加設備費が不要という仮定です。新たに太陽光を買うなら、その設備費と保守等を含めた案に分けます。夜間運転の設備には、この昼間の余剰をそのまま当てはめられません。
稼働の変化で再計算する
| 変更 | 電力計画で確認すること |
|---|---|
| 昼間に自動化 | 既設PV余剰との重なり |
| 夜間無人運転 | 夜間料金、保安・監視、停止対応 |
| 同時立上げ | 最大需要電力、受電条件 |
| 営業日拡大 | 年間需要、保守日、休日負荷 |
省人化設備の性能確認はメーカーや現場担当、太陽光導入後の電力収支は試算担当と、根拠の持ち主を明確にします。エネがえるには更新後の需要条件を渡し、導入前の需要で追加投資を決めないようにします。
稟議に添える1枚
現金支出が実際に減る項目、生産能力が増える項目、推計電力、保守・停止費、補助金なしの収支を分けます。設備導入後の計測方法と見直し時期も書けば、計画と実績の差を次の投資に生かせます。
よくある質問
省人化すれば電気代は必ず増えますか。
高効率化や稼働短縮で減る場合もあります。設備・工程単位で計算します。
空いた時間を人件費削減としてよいですか。
支払給与が減るのか、別業務へ回すのかで扱いを分けます。便益を二重計上しません。
太陽光の電気は無料として計算できますか。
既設余剰でも売電機会費用があります。新設なら設備費等も含めて比較します。
出典・確認資料
変更後の稼働条件で再診断する
営業時間・休業日・設備台数の変更を需要へ反映し、自家消費量と費用の差を確認します。



