電力会社が低圧VPPを見据えて太陽光・蓄電池・EV・V2Hを拡販する際の経済効果シミュレーション導入戦略

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

エネがえる アイデア
エネがえる アイデア

目次

電力会社が低圧VPPを見据えて太陽光・蓄電池・EV・V2Hを拡販する際の経済効果シミュレーション導入戦略

2026年の電力業界は、かつてない変革期を迎えています。脱炭素社会へのプレッシャーが高まる中、低圧系統でのVPP(バーチャルパワープラント)の実現や、将来的なカーボンプライシングの導入が目前に迫り、従来のビジネスモデルでは対応しきれない「バーニングニーズ(燃えるような切実な課題)」が噴出しています。

さらに、新電力や小売電気事業者には、再エネ拡大と顧客価値向上の両立という難題も突きつけられています。

本記事では、電力会社・新電力に共通するこれら課題を網羅的に調査し、その真因を高解像度に解析します。そして、国際航業株式会社のクラウド型エネルギー診断ツール「エネがえるAPI」シリーズ(およびBPOソリューション)が、どのようにそれらを解決しうるのかを具体的なデータや事例とともに提案します。従来の常識にとらわれず、業界の専門家でさえハッとする本質的なボトルネックを浮き彫りにし、「これなら解決できる!」と思わず確信してしまう戦略アイデアをご提供します。API連携やBPOサービスも活用し、電力データとの連携やPPAモデルへの応用可能性にも触れながら、電力会社に特化した太陽光・蓄電池拡販戦略を提言します。


2026年の電力会社を取り巻く新たな課題とは?

低圧VPPで迫られるDER統合管理のニーズ

再生可能エネルギーが主力電源化するにつれ、需要家側のエネルギー資源(DER:分散型エネルギーリソース)の統合管理が重要性を増しています。太陽光発電や蓄電池、EV(電気自動車)といったリソースを仮想発電所(VPP)として束ね、需給バランス維持や調整力に活用する動きは、もはや大手電力だけでなく新電力にも避けられない潮流です。特に低圧系統で数多く点在する住宅・中小施設の太陽光や蓄電池を制御し、需要側調整市場やデマンドレスポンスに活用するには、高度な予測技術とリアルタイムのデータ連携が欠かせません。

しかし現在、多くの電力事業者は従来型システムでは膨大な数のDERを把握・制御する準備が整っていないのが実情です。気象条件による太陽光の発電変動、需要家ごとの異なる負荷パターン、EVの充放電スケジュールなど、扱うデータは複雑です。経済産業省の実証事業でも、発電量・需要量の高精度予測が課題として挙げられ、国際航業も参画して機械学習を用いた予測手法やクラウドシステム開発に取り組んでいます。こうした技術基盤の整備なしに、低圧VPPで期待される効果(需給調整や余剰電力の有効活用)を十分発揮することは難しいでしょう。

参考:2026低圧VPPを控え業態転換を迫られる自動車メーカー 〜エネルギーマネジメント市場への戦略的参入と太陽光・蓄電池・EV・V2H拡販成功への道筋〜 

参考:市場連動型電気料金プラン対応の家庭用太陽光・オール電化・蓄電池シミュレーター構想 

参考:市場連動型電気料金プラン対応のEV・V2H・充電器経済効果シミュレーター構想 

参考:市場連動型料金プラン対応の産業用自家消費型太陽光・蓄電池シミュレーター(構想) 

カーボンプライシングと脱炭素経営のプレッシャー

また、日本でもカーボンプライシング制度(炭素に価格をつけて排出削減を促す仕組み)の導入が議論され、電力会社にはCO2排出量の可視化と削減がこれまで以上に求められています。既に地域の金融機関や自治体も巻き込み、エリア単位で排出量を管理する動きが始まっています。大手電力だけでなく新電力も、自社が販売する電力のカーボンフットプリントを意識せざるを得ません。

しかし、多くの企業では「排出量は見える化したものの、削減に直結していない」という声が上がっています。実際、ある調査ではCO2可視化ツールを導入している企業のうち実際に削減行動に移せているのは3社に1社に留まるとの結果もあります【Vol.25参照】(※国際航業調べ)。排出量そのものに経済価値が紐づくカーボンプライシング時代に、このままでは「可視化しただけ」で終わってしまい、費用対効果が得られません。求められるのは、排出削減を具体的なメリット(コスト削減や収益)に転換する提案です。

例えば、顧客に太陽光・蓄電池・EV導入を促す際にも「環境に良いですよ」だけでは不十分で、電気代削減額やCO2削減量をセットで示し、「将来的なカーボンプライス負担を○○円回避できます」といった定量的なメリット提示が必要になるでしょう。電力各社はこの環境価値と経済価値を結びつけた営業を本格化させる必要に迫られています。

参考:成長志向型カーボンプライシング構想と太陽光・蓄電池経済効果とは? 

参考:インターナルカーボンプライシング実践ガイド|GX戦略 

顧客ニーズの多様化: EV・蓄電池・PPAモデルの台頭

加えて、電力小売市場の競争激化の中で顧客ニーズも多様化しています。電気料金高騰を受けて家庭でも企業でも「自家消費型太陽光」への関心が飛躍的に高まっており、東京都の新築住宅太陽光パネル義務化など政策追い風も相まって市場は活況です。その一方、「太陽光発電だけで停電対策は万全なの?蓄電池も併せて提案してほしい」「EVを持ったら電気代どうなる?」といった組み合わせ提案への期待も急速に広がっています。

たとえばEVユーザーであれば、「深夜電力を使って安く充電し、非常時には車のバッテリーで家を支える」というライフスタイル提案が刺さります。また工場やビル向けには、第三者所有モデルで初期費用ゼロのオンサイトPPA(Power Purchase Agreement)による再エネ導入スキームが注目されています。PPA事業者にとっても、提案先ごとに複数パターンの設備容量・料金プランを短時間でシミュレーションし、最適解を提示することが受注のカギです。

このように提案すべき内容は複雑化の一途ですが、裏を返せば電力会社・新電力にとって新たな付加価値サービスを創出する好機でもあります。太陽光や蓄電池の販売、EVとのセット提案、PPA事業への参入など、従来の「電気を売るだけ」から包括的なエネルギーソリューション提供企業へとビジネスモデルを進化させるチャンスです。しかし、そのためには従来とは桁違いの提案力・分析力・データ活用力が求められる――これが2026年時点での電力業界の現実なのです。

では、具体的に現場ではどんなボトルネックが発生しているのでしょうか?次章では、国際航業の各種調査結果や業界データをもとに、太陽光・蓄電池拡販における課題を洗い出し、その真因に迫ります


再エネ拡販のボトルネックを高解像度で解析 🔍

電力会社や新電力が太陽光・蓄電池、さらにはEVやV2Hを拡販しようとする際、いくつもの壁にぶつかります。本章では、それらの課題をデータに基づいて解説します。単なる現象面ではなく、「なぜそれが問題なのか?」という本質的な要因に踏み込みます。

課題① 投資効果への不信感と提案時の見える化不足

再エネ商材を提案する上で避けて通れないのが、顧客の経済性への不安です。太陽光や蓄電池は決して安い買い物ではなく、「投資を回収できるのか」が導入可否の決定打になります。しかし多くの場合、販売側は確信を持ってROI(投資対効果)や回収期間を提示できていません。国際航業の調査でも、導入を見送った需要家の過半数が不安要因として「投資回収できるかどうか」を挙げており、投資効果・回収期間の不明瞭さが再エネ設備導入の主要なボトルネックになっていることが分かりました。つまり「本当に得するの?」という疑念を晴らせないままでは、お客様の心は動かせないのです。

加えて、ようやく試算を提示できてもその信憑性を疑われるケースが多々あります。住宅向け営業担当者の83.9%が「シミュレーション結果の信憑性」をお客様に疑われた経験があるとの調査もあり、営業現場ではシミュレーション結果への不信感と戦っています。産業用案件でも同様で、シミュレーション提示を受けた企業経営者の4割以上が「経済効果を十分に想像できなかった」と回答しています。逆に提示されなかった側の半数超は「信頼できる試算があれば、負担額次第では導入したかった」と述べており、信憑性の高い経済効果の見える化へのニーズは極めて高いことが分かります。

営業の提案スキルを含めて顧客が意思決定に踏み切れる信ぴょう性が高いというのがポイントです。いくら高精度に診断しても時間や手間をかけて1ヶ月後に提案していては顧客は冷めるでしょうし、高精度を求めるがあまり複雑怪奇な技術説明をしても需要家には響かないでしょう。

この課題の本質は、「迅速で正確な数値提示」ができていないことにあります。初回提案の段階から、どれだけ電気代が下がり何年で元が取れるかをパッと提示できれば、多くの顧客は安心します。しかし従来、そうした詳細試算の作成には時間がかかりすぎていました。エクセルで発電量を計算し、料金プランごとの削減額を計算し…とやっているうちに数日が経過し、その間に顧客の温度感が下がってしまうこともしばしばでした。「初期段階から具体的な数値がほしい」という顧客要望は7割にのぼるとの調査結果もあり【Vol.27参照】、スピードと精度の両立が求められています。

参考:[独自レポートVol.21]住宅用太陽光・蓄電池の営業で自信を持つカギは「シミュレーション結果の保証にあり」 〜83.9%の営業担当者が、お客様から「経済効果シミュレーション結果の信憑性」を疑われた経験あり〜 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

参考:[独自レポートVol.20]シミュレーション結果の保証で、 約7割が住宅用太陽光・蓄電池の導入を検討 〜65.4%が保証があると導入に関する家族の同意を「得やすくなる」と回答〜 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

参考:[独自レポートVol.27]太陽光発電導入検討企業の約7割が「初期段階から具体的数値」を要望 〜初回提案の精度と迅速性のバランスが導入意欲を高めるカギ!〜 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

課題② 提案プロセスの非効率:手作業と属人化

次に浮かび上がるのが、提案業務そのものの非効率です。再エネ販売・提案の現場では、「ヒアリングや現地調査」「電力データの入手」「設計プラン検討」「見積書・提案書作成」と、多岐にわたる面倒で複雑なやり直し頻度の多いタスクがあります。国際航業の調査によれば、太陽光・蓄電池の販売提案業務に88.2%もの担当者が課題を感じているといいます。特に工数がかかるのが、第1位「顧客ヒアリングや現地調査」(41.8%)第2位「電力需要データの入手」(37.3%)と報告されています。これらは提案の前提となる情報集めの段階ですが、ここで時間を取られ過ぎて提案スピードが鈍化しているのです。

さらに、せっかく集めた情報をシミュレーションや設計に反映する作業も煩雑です。設計担当者の声として「最適な太陽光・蓄電池容量の算出方法が分からない」(66.7%)、「設計後の提案資料作成が負担」(33.3%)という声が上位に挙がっており、属人的なノウハウに頼ったり手計算に近い作業が発生している実態が見えます。営業担当者の約7割が経済効果試算に苦手意識を持っているというデータもあり(国際航業「独自レポートVol.5」)、社内にスキルがない場合は提案自体が粗くなったり、最悪場合によっては提案をあきらめてしまうことすらあります。

このような非効率の弊害は、単に手間がかかるだけに留まりません。国際航業の調査では、太陽光・蓄電池販売施工店の約8割が「提案書作成の負担で顧客対応が遅れる」と回答しています。提案準備に時間を取られすぎるあまり、見込み客へのアプローチが後手に回り、機会損失を生んでいるのです。ビジネスチャンスを逃さないためには、提案プロセス全体を効率化しスピードアップすることが不可欠です。

参考:[独自レポートVol.28]【太陽光・蓄電池販売企業の”見えない負担”とは】88.2%が、太陽光・蓄電池システムの 販売・提案業務に「課題あり」 特に労力のかかる業務「ヒアリングや現地調査」など ~再エネ普及の裏で進行する人材・ノウハウ不足、解決のカギはBPOにあり⁉~ | 国際航業株式会社 

参考:[独自レポートVol.29]EV/V2H関連の販売・提案業務に、92.5%が「課題」を実感 社内のスキルに課題を実感する80.6%が、負担業務の外部委託に興味 ~BPOサービス活用で業務効率化とスキルギャップを解消できるか~ | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

参考:[独自レポートVol.5]太陽光・蓄電池販売を行う営業担当者の約7割が「経済効果の試算」に苦手意識あり〜「15秒で様々な場合の経済効果がわかるシミュレーター」を営業で取り入れたいと7割以上が回答〜 | 国際航業株式会社 

課題③ 人材・ノウハウ不足:スキルギャップとキャパシティ限界

効率化が叫ばれる背景には、深刻な人材・ノウハウ不足の問題も横たわっています。太陽光・蓄電池を扱う企業の90%以上が技術人材の確保に難しさを感じているとの調査結果が示す通り、業界全体で熟練者の奪い合い・不足が起きています。電気工事士や施工管理技士といった資格保有者が少ないことが主因ですが、さらに営業と技術の双方に通じた“オールラウンダー”となると貴重すぎて確保は困難です【Vol.24参照】。

結果として、多くの企業で限られたベテラン社員に業務が集中しがちです。特に産業用案件では、電気の専門知識が必要とされる場面が多く、営業担当者が自力で提案できず技術者の応援を仰ぐケースも頻発します。しかし技術者側も日々の設置工事や保守業務で手一杯で、なかなか営業支援に時間を割けないのが現状です。これでは営業機会を最大化できないばかりか、社内リソースにボトルネックが発生し事業成長のブレーキになってしまいます。

このネガティブスパイラル再エネ普及を加速できない業界全体の隠れたボトルネックになっています。

また、新商材であるEV・V2Hの提案スキルも人材不足に拍車をかけています。調査によると、EV/PHEVの充放電ビジネスに携わる担当者の92.5%が何らかの課題を実感し、その主因として「社内のスキル不足」を挙げる声が多数(80.6%)にのぼりました。要するに「売りたいけど説明できる人がいない」という状況です。蓄電池に関しても、「蓄電池は損じゃないの?」というお客様の疑問に論理立てて答えられる営業が少なく、「本当はメリットがある顧客層」に訴求しきれていないケースもあります。実際には蓄電池購入者の85.6%が満足しているにもかかわらず(国際航業「独自レポートVol.16」)、販売現場で誤解を解けていないことは大きな機会損失です。

ノウハウの継承も課題です。ベテランが属人的に培ってきた試算・設計ノウハウを、組織全体の「型」に落とし込めていないため、新人・若手の戦力化に時間がかかっています。裏を返せば、ツールや仕組みで営業経験の浅い人でも一人前に提案できるようにすることができれば、人材不足に一定の解決策を提示できます。実際、「シミュレーションツール導入で営業が戦力化すれば技術職の負荷が下がる」と85.3%の人事担当者が期待しているデータもあります【Vol.24参照】。つまり、デジタルで人材ギャップを埋めることが業界の喫緊の課題なのです。

参考:[独自レポートVol.16] 『蓄電池は損』の常識、本当に正しい?元を取るのが難しいと知りながら蓄電池を購入した理由、「太陽光とセットで電気代が下がる」が44.2%で最多〜購入者の85.6%から「満足」の声~ | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

参考:[独自レポートVol.24]【太陽光・蓄電池の販売施工店の人事担当者に調査】90.7%が技術職の人材確保に「難しさ」を実感 その理由「必須資格を保有する応募者が少ない」が63.6%で最多 〜経済効果シミュレーションツールの導入により営業が戦力化することで、 技術職の「キャパシティ向上に繋がる」と85.3%が期待〜 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

 

課題④ 膨大な電力料金プラン・補助金情報の管理コスト

再エネ提案には不可欠だけれど、多くの販売会社を悩ませているのが電気料金プランと補助金情報の管理です。日本全国には大手電力10社に加え新電力が数百社存在し、家庭向け・事業者向けを合わせると電気料金プランはゆうに3,000を超えます。時間帯別や季節別の複雑なメニューも増え、これらを全て把握して「どのプランなら一番得か」を即答するのは至難の業です。にもかかわらず、太陽光や蓄電池を提案する以上、現在契約中のプランや他社の安価なプランと組み合わせてどうメリットが出るかまで踏み込んだ提案が求められます。販売店にとっては「電気料金プランの最新情報を維持・管理する負担」が非常に大きく、高精度な料金データを提供する仕組みなしには立ち行かない状況です。

同様に、国や自治体の補助金制度も年々複雑化・増加しています。脱炭素関連の補助金は全国で約2,000件超にも及び、制度内容や応募条件・期限もまちまちです。本来、補助金を活用できれば導入ハードルは大きく下がるため、営業としては見逃せない重要情報です。しかし従来は各自治体や省庁のサイトを手分けして調べ、エクセルで一覧にまとめ…と手動作業に膨大な時間を割いてきました。販売会社にとって補助金情報の収集・更新は大きな負担であり、担当者からは「補助金を追うだけで精一杯で提案が後回しに…」という悲鳴も聞こえます。

この情報管理コストの問題は見逃されがち(経営者や管理職には見えづらく、見えない膨大な無駄なコストですが、実は提案力にも直結します。最新の補助金を知らずに提案してしまえば、本当は数百万円の補助が出る案件なのにお客様に自己負担全額を伝えてしまい、「そんなに高いならやめておこう」と失注するリスクがあります。逆に、「◯◯市ならこれだけ補助が使えます、だから初期費用は〇円になります!」と即答できれば成約率は大きく上がるでしょう。補助金活用に意欲的な販売施工店は87.0%にも上るとの調査もあり【独自レポートVol.13】、補助金情報を制する者が商談を制すと言っても過言ではありません。

参考:[独自レポートVol.13] 2024年も政府による補助金の規模が拡大! 太陽光・蓄電池を取り扱う販売施工店の 87.0%が「補助金の活用に意欲」 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

課題⑤ 顧客心理の読み違い:提案の質とタイミング

最後に、人間心理の面からの課題にも触れておきます。再エネ商材の営業では、顧客のモヤモヤをいかに言語化してあげるかが重要です。業界の常識では当たり前すぎて流してしまっていることでも、実はお客様は心の中で「なんか腑に落ちない…」と感じているケースがあります。例えば、「蓄電池って高いけど本当に必要?」という疑問。販売側は停電時や電気代削減効果を強調するものの、お客様としては「太陽光だけでも良いんじゃ?」という本音があったりします。また「VPPって聞くけど、自分にどんなメリットが?」といった疑問も然りです。

こうした潜在的不安・疑問を丁寧に掘り起こし、提案のアジェンダとして明示することが成約への近道です。業界人にとって当たり前の専門用語や前提知識も、相手によっては初耳かもしれません。そこを飛ばさず、難しいテーマをかみ砕いて伝えるスキルが営業現場では求められます。たとえば、「蓄電池が欲しい」と言って来店されたお客様に対し、本当にその方にベストなのは蓄電池なのか?じっくりヒアリングすると実はEVの方が適しているケースもあり得ます。その際、エネルギー経済の基本原理(例:太陽光の余剰電力は売電より自家消費したほうがお得など)を分かりやすく説明し、蓄電池とEVのシミュレーションを両方見せ比べることで、お客様が納得感を持って選べる提案になります。

要するに、「お客様は何を本当は知りたがっているのか?」を深掘りして提示することが、提案の質を左右するのです。ここをおろそかにすると、「説明を聞いたけど結局よく分からないから見送ろう」という結論になりがちです。(これが営業現場に戻ると営業担当は失注の真因までたどり着けるほど顧客に信頼されていないため予算不足で失注ですと上司に報告してしまう。実は予算以外の提案力不足で失注になっているケースは現場を見ていると多々あります)。

国際航業の調査でも、前述のようにシミュレーション提示を受けたにも関わらず4割超が効果をイメージできなかったというデータがありました。これは、提示内容がお客様の理解に十分寄り添えていなかった可能性を示唆します。提案タイミングと内容の最適化、つまり初回接点からお客様の疑問符を一つずつ消していく戦略が重要なのです。


以上、電力会社・新電力各社が直面する課題をデータを交えて分析しました。まとめると:

  • ROI不安と不信感: 再エネ関連設備投資回収への疑念を即座に払拭できる見える化が不足。

  • 提案業務の非効率: 手作業過多で提案に時間がかかり、スピード勝負に負けている。

  • 人材・ノウハウ不足: スキルギャップにより商機を逃しがち。属人化した知見を全員に展開できていない。

  • 情報管理コスト: 膨大な料金プラン・補助金情報を捌ききれず、ベストプラン提案や補助金提案に漏れが発生。

  • 顧客心理とのズレ: お客様が本当に求める情報・メリットを提示できず、もやもやを残したままになっている。

では、これらを解決する術はあるのでしょうか?次章では、これら根源的課題を一挙に解決しうるソリューションとして、国際航業の「エネがえる」シリーズおよび関連サービス群を紹介します。ただの商品説明ではなく、課題との対応関係にフォーカスして、その実効性を具体的な成功事例とデータで示していきます。


課題解決へのソリューション: 「エネがえる」によるDX戦略 💡

上述した課題を解決するためには、部分的な対症療法ではなく包括的なDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要です。そこで注目されるのが、国際航業株式会社が提供するクラウド型エネルギー診断ソフト「エネがえるAPI」シリーズと、その周辺サービス(BPO等)です。住宅用・産業用からEV・V2H、料金プラン・補助金データまで網羅したこのプラットフォームは、まさに電力会社/新電力の再エネビジネスを下支えする“総合ツールキット”と言えます。以下、エネがえるが如何に前章の課題を解消するかを順に解説します。

解決① ROI計算の高速化と見える化保証

エネがえる導入によってまず得られる効果が、太陽光・蓄電池・EV・V2Hと電気料金プランを組み合わせた経済効果シミュレーションの高速・高精度化です。例えば産業用向けクラウドSaaS「エネがえるBiz」では、長期収支やROI・投資回収期間を自動計算する新機能が追加され、従来数日かかっていたROI算出がわずか10分で完了します。これにより、販売店・EPCやPPA事業者が抱えていた「迅速かつ信頼性の高い投資対効果を示せない」という悩みは解消します。実際、エネがえるBizの診断レポートには何年で投資回収できるかが明示されるため、顧客も導入後の姿をリアルにイメージできます。国際航業の担当者も「需要家にROIや回収期間を迅速・正確に提示できることが提案時の最重要成功要因」と述べており、まさにそのポイントを技術の力で実現した形です。

さらに踏み込んで、シミュレーション結果の信頼性を保証する取り組みもスタートしています。2024年、国際航業は日本リビング保証株式会社と提携し、業界初の「経済効果シミュレーション保証」サービスを開始しました。これはエネがえるで試算した太陽光発電量を基準にした経済効果について、予測分析に基づき一定の性能結果を保証契約するものです。例えばシミュレーションどおりの年間発電量が得られなかった場合に保証金を支払う、といったスキームで、お客様に「数値の裏付けがあります」という安心感を提供します。先述の調査で、住宅・産業用の顧客ともに「シミュ結果に保証があれば導入意欲が高まる」という声が約7割に上ったことへのソリューションと言えます(住宅:65.4%、産業:84.2%が保証で成約率上がると期待【独自レポートVol.20】【独自レポートVol.19)。このように、エネがえるは試算のスピードと信頼性という二面からROI不安を払拭し、提案段階での大きなボトルネックを解消します。

解決② 提案業務の自動化・効率化による営業生産性向上

エネがえる最大の強みの一つは、煩雑な試算・書類作成作業の自動化です。住宅用・産業用を問わず、必要項目を入力すればわずか数分でグラフ付きの提案書(経済効果レポート)が自動生成されます。例えば住宅向けASP版では誰でも5分程度で提案書作成が可能で、産業向けBiz版でも約10分で24時間365日の需要データ分析付きレポートが完成します。エクセルで試行錯誤しながら何日もかけていたシミュレーションが、このスピードです。ある販売会社では、エネがえるBiz導入によってシミュレーション作成にかかる時間が2週間から半日に短縮し、提案スピードが飛躍的に向上したという事例もあります。

作業時間の短縮は、そのまま提案件数の増加につながります。実際、産業用案件でエネがえるBizを使い始めたある企業は、月に50件以上の提案シミュレーションを回せるようになり、受注率はほぼ100%に達したといいます(サンライフコーポレーション事例)。また、複数パターンの試算も短時間でできるため、以前は一案提示が精一杯だった営業現場が、「太陽光のみ」「太陽光+蓄電池」「リース vs 現金購入」などお客様のニーズに応じて最適プランを比較提示できるようになりましたエネがえるAPIを自社システムに組み込んだ大手再エネ商社・エクソル社では、従来2~3時間かかっていたシミュレーション計算が5~10分で完了するようになり、1案件で複数案の提案が可能になったと報告されています。これは作業効率が劇的に向上した一例であり、営業担当者は提案の組み立て・戦略により多くの時間を割けるようになります。

また、エネがえるは提案書そのもののクオリティ向上にも寄与します。自動生成されるレポートには、お客様向けに分かりやすいグラフや図解が豊富に盛り込まれています。例えば「導入前後の電気代比較グラフ」「年間CO2削減量のイメージ」「設備組み合わせごとのメリット比較」等、視覚情報でメリットを訴求できるため、文字だけの見積書より遥かに伝わりやすいのです。「エネがえるのレポートをそのまま提案資料として使えば、お客様に信頼され他社と差別化できた」という声も多くの導入企業から聞かれています。樹(いつき)社の事例ではシミュレーション結果と導入後実績がほぼ一致し信頼度が向上したと報告されている。このように、速く・多く・質高く提案できるようになることで、営業生産性は飛躍的に向上します。

解決③ 誰でも売れる仕組み:属人性からの脱却

エネがえるの導入効果で見逃せないのは、人を選ばず使える簡便さです。専門知識がなくても直感的な操作で高度なシミュレーションができるため、ベテランでなくとも武器として使いこなせます。実際「営業担当全員がエネがえるレポートを活用し、提案標準を統一できた」という企業もあり、ある販売会社では新人営業がエネがえる導入4か月で10件以上成約、若手の成約率60%超という成果も出ています(南国殖産の事例)。また、ELJソーラーコーポレーションのように全国No.1販売量を誇る会社でも営業社員全員にエネがえるを持たせ、月間1000件もの商談を60%という高い成約率で成約しています。ベテラン・新人問わずツールを使って提案精度を底上げした好例と言えるでしょう。

また、属人的な作業だった電力データ処理や図面設計も半自動化できます。エネがえるBizでは30分ごとの需要電力データ(スマートメーター情報)をCSVインポートするだけで自動的に消費パターンを解析し、最適な太陽光発電規模や蓄電池容量を計算してくれます。業種別の標準負荷カーブも内蔵されているため、詳細データが無い場合でも仮想デマンド生成により迅速なシミュレーションが可能です。これら機能のおかげで、「経験が浅い営業でも難しい需要家の負荷特性を瞬時に把握し、提案に活かせる」ようになります。

さらに、人材不足をテクノロジーで補完するもう一つのアプローチとして、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用があります。国際航業は2025年、再エネ業界に特化したBPOサービス「エネがえるBPO/BPaaS」を開始しました。これは提案用の経済効果試算レポート作成から、システム設計図、補助金申請書類、さらには社員研修に至るまでを1件単位・短納期で代行するサービスです。例えば「この工場案件のシミュレーションと図面を丸ごとお願い」と依頼すれば、最短1営業日で高品質なアウトプットが納品されます。料金も試算だけなら1件1万円~(設計+試算などパッケージも個別見積もりで可)と利用しやすい設定で、必要な時に必要なだけ発注できる柔軟性があります。

エネがえるBPOの凄みは、国際航業が持つシミュレーションロジック+エコリンクス社の現場力により、まさにプロフェッショナル人材があなたの代わりに動いてくれる点です。これにより「人が足りない」「ノウハウが社内にない」という課題にも対処可能です。調査でも73.0%の金融機関担当者が外部委託は有益と回答しており、専門性の高い業務はアウトソーシングで補う流れが進んでいます。エネがえるBPOはまさにそれを後押しし、社内リソース逼迫のボトルネックを解消するソリューションです。電力会社が新規に再エネ提案部署を立ち上げる際なども、人をいきなり増やすのではなくBPO活用で様子を見る、といった戦略も取りやすくなるでしょう。

参考:[独自レポートVol.30]【金融機関における太陽光・蓄電池システムの融資審査・評価の実態とは?】 担当者の86.0%が「課題あり」 73.0%が外部委託は「有益」と回答 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

解決④ データ連携による最適提案:料金プラン・補助金を網羅

エネがえるは、電力料金プランと補助金データの“宝庫”でもあります。住宅・低圧から産業用・高圧まで、主要な電力会社の料金プランは標準搭載されており、その数は全国100社超・3,000プラン以上にもなります。しかも最新情報へ毎月自動更新されるため、ユーザー企業が自前で情報収集・更新する必要はありません。時間帯別料金や市場連動型メニュー(エリアプライス連動)といった複雑な料金体系にも対応しており、β版ではありますが卸電力市場価格を反映するプランの試算まで可能です。これは、例えば「特定の時間帯に安いプランに変えて、蓄電池でその時間に充電すればもっとお得になりますよ」といった高度な提案を裏付ける試算もワンクリックでできることを意味します。

実際、この料金データベースを活用しEVの充電最適化サービスを実現した例があります。パナソニック株式会社エレクトリックワークス社が提供を開始した「おうちEV充電サービス」は、ユーザーの電力契約プランに応じて電気代の安い時間帯に自動充電するスマート充電システムですが、その料金プラン最適提案と充電スケジュール最適化の中核にエネがえるAPIが使われています。同社はサービス開発にあたり全国の時間帯別料金情報を必要としていましたが、エネがえるAPIを導入することで、以下の課題を解決しています。

1つ目は、最新の電気料金プラン維持管理の負担軽減です。全国の電力会社の料金改定を自社で逐一追うのは膨大なコストと手間ですが、エネがえるAPIが高精度な料金データを提供することでこの負担が解消されました。2つ目は、安価時間帯の活用による充電最適化です。エネがえるAPIから得た料金単価情報を元に、ユーザーは自分の契約プランで電気代がお得になる時間帯を設定できるようになりました。要するに、エネがえるのデータ連携によりリアルタイム料金情報をサービスに組み込むことで、新たな付加価値を生み出したわけです。

同様に、補助金データもエネがえるは強力です。2025年2月からはクラウド版エネがえるに「スマエネ補助金検索機能」が実装され、約2,000件に及ぶ国・自治体の創エネ・蓄エネ・省エネ補助金情報を横断検索できるようになりました。エネがえる契約企業であれば無償で使えるこの機能により、担当者はお客様の地域や条件に合った補助金をすぐに探し出し提案に組み込めます。「補助金適用後の実質負担額◯◯円」といった訴求は極めて強力で、提案の成約率向上に直結します。背景には、補助金制度拡充で導入促進を図る行政側の動きがありますが、一方で事業者にとって膨大な情報確認が負担となっていました。エネがえるはそれを解決し、誰でも簡単に網羅的な補助金情報を参照できる環境を提供したのです。

さらに高度な利用として、これら料金・補助金データAPI経由で社内システムにも統合可能です。2025年3月には「自治体スマエネ補助金データAPIサービス」も開始され、メーカーや電力会社が自社のWebサイト・業務システムに補助金参照機能を組み込めるようになりました。これにより、例えば電力会社の見積システム上で自動的に最新補助金を適用して試算を出すことも可能になります。データ活用のDXがここまで進めば、提案漏れ・機会損失は格段に減るでしょう。

料金・補助金情報を制する者は営業を制する――エネがえるはその言葉を体現し、電力会社の提案DXを強力に後押しする基盤となっています。

解決⑤ 顧客目線の提案をクリエイティブにサポート

エネがえるは単なる計算ツールではなく、お客様に響く提案づくりをクリエイティブに支援してくれる存在でもあります。自動出力される提案レポートには、専門用語ができるだけ平易な言葉に置き換えられた解説や、カラフルで見やすいグラフ・図表がレイアウトされています。たとえば「太陽光+蓄電池+EV」でどれだけ電気代とガソリン代がトクになるか、といった一見複雑な試算結果も、月ごとの効果を示すグラフ年間削減額のサマリーがあればお客様は直感的に理解できます。「難しいエネルギー診断をかんたんにカエル」というエネがえるのビジョンどおり、難解な内容を噛み砕いて伝える仕組みが備わっているのです。

また、エネがえるは提案ストーリー構築にも役立ちます。営業トークに合わせて複数パターンの資料を用意したり、その場の会話で出た疑問に即座に応えるシミュレーションを走らせる、といった使い方が可能です。例えばお客様が「蓄電池って高いけど入れた方がいいの?」と尋ねたら、その場で蓄電池あり/なしのシミュレーションを比較して見せ、「蓄電池を入れると非常時に○時間のバックアップになり、電気代は年間○円節約できます。一方、入れない場合は初期費用は安いですが停電時は太陽光も止まってしまいます」と事実ベースで説明できます。グラフを用いれば一目瞭然ですし、エモーショナルな不安に対しても数字で安心感を提供できます。実際、ある販売店では蓄電池を迷っていた顧客に対しエネがえるEV・V2Hのグラフを使って「EVという選択肢」を提案し、お客様が腑に落ちて納得されたケースがあります。「蓄電池が欲しい」という言葉の裏にあった本質的ニーズ(停電不安の解消と経済メリット)に寄り添い、最適な解を提示できた好例でしょう。

さらに、電力会社向けの異色の取り組みとして「ボードゲームdeカーボンニュートラル」という脱炭素研修サービスも国際航業は提供開始しています。これは楽しみながらカーボンニュートラルの理解を深めるボードゲーム型教材で、自治体職員や企業の社員研修向けに開発されたものです。電力会社が地域での脱炭素推進役を担う上で、社員自らが脱炭素の原理原則を楽しく学ぶことは非常に有益です。ゲームでは限られた予算でどの施策を選ぶか、他部署と協働してCO2削減目標を達成するには?といった要素が盛り込まれており、参加者は戦略的に脱炭素を考える思考回路を養えます。研修でこうした素地を作っておけば、実際の営業現場でもお客様のもやもやを察知し、一歩踏み込んだ提案を行う土壌ができます。エネがえるの活用と合わせ、社内人材の底上げにも国際航業はユニークなソリューションを提供しているのです。


以上、エネがえるを中心としたソリューションが各課題にどう対応するかを見てきました。簡潔に振り返ると:

  • ROI見える化: 10分でROI算出し即提案。さらにシミュレーション保証で数字の信頼性を担保。

  • 提案効率化: 5~10分で自動提案書作成、複数案提案も容易に。営業標準化で誰でも質の高い提案が可能に。

  • 人材支援: 誰でも使える簡単操作で新人も即戦力化。足りない部分はBPOで即補完し、1件1日でプロ品質のアウトプット提供。

  • データ統合: 料金プラン・補助金を網羅&自動更新。API連携で自社サービスにも組込み可能。提案漏れを撲滅。

  • 顧客志向: わかりやすい資料と複数シナリオ比較で納得感を提供。社内研修ツールも活用し、提案力の底上げ。

まさに至れり尽くせりのソリューションですが、肝心なのはこれらを統合的に使いこなす戦略です。次章では、具体的に電力会社・新電力がエネがえるを武器として再エネ拡販戦略をどう構築するか、成功事例を交えながら提言します。


電力会社向け太陽光・蓄電池拡販戦略提案 🚀

最後に、ここまでの考察を踏まえて電力会社(大手電力から新電力まで)に最適な太陽光・蓄電池拡販戦略の骨子を提案します。キーワードはズバリ、「DX×提案力×信頼性」です。具体的には以下のステップで戦略を構築することを推奨します。

1. デジタル基盤整備: エネがえるAPI&SaaSのフル活用

まずは社内にエネがえるを中核としたデジタル提案基盤を整えます。営業担当者全員のPCにエネがえるASP/Bizを導入し、日々の提案業務に組み込むとともに、自社のWEBサイトにもエネがえるAPI連携のシミュレーターを設置しましょう。例えば大手新電力A社ではエネがえるAPIを活用し、自社サイト上で郵便番号を入れるだけで簡易試算できるシステムを構築しています。これにより興味喚起とリード獲得がスムーズになりました。自社ブランドのシミュレーターであれば顧客信頼感も高まりますし、裏ではエネがえるAPIが動いているので試算精度も折り紙付きです。

参考:VPPサービス推進に太陽光 蓄電池シミュレーションが必要 エネがえるASP 東邦ガス 

参考:TGオクトパスエナジー 太陽光・蓄電池と最適な電気料金プランの経済効果と提案書作成にエネがえるASPを導入 

同時に、営業支援システムや顧客管理システムともエネがえるAPIを連携させ、ワンクリックで最新料金プランや適用補助金を反映した見積書を出力できるようにします。こうした仕組みが整えば、提案に抜け漏れがなくなり成約率が向上するだけでなく、営業担当者の心理的負担も減り本来の提案に集中できます。社内のIT部門やSIerと協力し、ぜひエネがえるAPIを社内DXの背骨に据えてください。

2. 提案プロセス革新: 顧客接点の最速化と多様化

デジタル基盤を整えたら、次は提案プロセス自体を改革します。まず意識すべきは「初回接点の最速化」です。問い合わせが来たら即日中にエネがえるで試算して翌日には提案、もはやこれが当たり前となるよう組織を動かしましょう。エネがえるBizなら最短当日中にレポート作成~郵送まで完結できます。先述のように、シミュレーション作成が短縮すれば商談全体が前倒しになります。お問い合わせから提案までのリードタイムを極限まで短くすることで、競合他社に先んじて顧客の心を掴めます。

また提案チャネルの多様化も重要です。対面営業だけでなく、オンライン商談やメール提案にもエネがえるを活用しましょう。例えばオンライン会議で画面共有しながらエネがえるのグラフを説明したり、試算レポートをPDFで送付するなどして、遠方の顧客や忙しい経営層にもアプローチします。国際航業の調査では、「初期段階から具体数値を提示されると導入意欲が高まる」という回答が得られています【Vol.27参照】。オンラインでもそれは同じです。むしろ数字とビジュアルで語れる提案はオンライン向きとも言えます。エネがえる導入企業の中には、メール送付した提案レポートの完成度が高く訪問前に受注が決まってしまったという例もあります。

3. 営業人材戦略: ツール+教育+アウトソーシングのハイブリッド

次に、人材面での戦略です。エネがえるの力を借りつつも、最終的にお客様と向き合うのは人ですから、社員教育とリソース配分にも手を打ちます。具体的には、「クラウド型ツールで標準化」+「教育研修で底上げ」+「代行で補完」のハイブリッド戦略を取ります。

標準化: エネがえるで営業資料や試算プロセスを標準化することで、属人スキルに頼らない提案体制を構築します。新人研修でもエネがえるの使い方・提案シナリオ作りを徹底的に叩き込み、入社後短期間で即戦力化させます。実績として、ある販売会社では新人がエネがえる導入後たった2ヶ月で契約を取れるようになり、「経験よりツールの使いこなしが成績を左右する」状況を作り出しました(Afterhome社事例)。

教育: ツールで補えない部分、例えば業界基礎知識やエネルギーの原理原則、顧客心理の読み方などは研修でフォローします。前述のボードゲーム研修のように楽しみながら学べる手法を取り入れつつ、営業ロールプレイではエネがえるレポートを使った提案を練習させます。「電力自由化とは何か」「VPPやDRとは何か」など背景も含め社員一人ひとりがきちんと理解すれば、お客様への説明にも厚みが出ます。余裕があれば資格取得(エネルギーマネジメント関連など)も支援し、社員の専門性向上も図りましょう。

BPO活用: どうしても社内で手が回らない部分や、繁忙期・大型案件でリソースが足りない時は遠慮なくエネがえるBPOに代行依頼します。例えば複雑な工場の系統接続検討や、補助金書類のチェックなど、ポイントでプロの手を借りれば社内メンバーは営業活動に専念できます。経済効果試算も「とりあえず1件1万円でプロに作ってもらい、それを叩き台にお客様と詰める」手も有効です。これにより、高度専門家をフルタイムで抱えなくともビジネススケールを拡大できます。

このように、人×デジタルのベストミックスで組織を強化することで、人材不足というボトルネックを突破します。社員はツールのおかげで成果を出しやすくなりモチベーションが上がる→離職率低下→さらに人材定着、といった好循環も期待できます。

4. サービスメニュー拡充: EV・V2H・PPAまでワンストップ提案

エネがえるのマルチな機能を活かし、製品・サービスメニューの拡充にも踏み出しましょう。具体的には、太陽光・蓄電池に留まらずEV・V2Hや電気料金プランまで組み合わせた包括提案を標準メニュー化します。新電力であれば自社の電気料金メニューと太陽光システムを組み合わせた「ソーラー割引プラン」を作り、エネがえるでシミュレーションしてどれだけ電気代がお得になるかを前面に出してPRできます。実際、TGオクトパスエナジー(東京ガス×Octopus Energyの新電力)はエネがえるASPを導入し、太陽光・蓄電池導入後に最適な自社電力プランまで含めた提案を行うようになりました。これにより顧客は設備導入と電力契約をワンストップで検討でき、同社にとっては自社電気の販売拡大にもつながるWin-Winのスキームです。

また、大手電力会社であれば既存顧客への付帯サービスとして、エネがえるを使った「太陽光・蓄電池診断サービス」を展開するのも良いでしょう。「電力会社がおすすめするから安心」と感じるユーザーは多く、他社に先駆けて信頼を勝ち取れます。実際、関西の某大手電力は自社管内向けにエネがえる診断サービスを提供し、潜在需要を掘り起こす施策を行っています。

さらに、オンサイトPPAモデルへの対応も検討しましょう。エネがえるBizはPPA事業者にも既に導入が進んでおり、IBeeT社のように月50パターン以上のシミュレーションを駆使して最適なPPA条件を提案するケースも出ています(IBeeT社導入事例)。電力会社としても、自社でPPA事業を手掛けるか、あるいはPPA事業者と提携してお客様に紹介する機会が増えると考えられます。その際、顧客・PPA事業者・電力会社の三者それぞれにメリットが出るプランニング(例: 需要家は屋根貸し収入+電気代メリット、事業者は売電収入、電力会社はグリーン電力調達)をエネがえるで見える化し、Win-Winを創出するシナリオ作りが可能です。

最後に、将来的なVPPサービスへの足掛かりも築きます。蓄電池やEVを提案する際、「将来、この設備を電力会社とつないで収入を得ることもできます」と付言すれば、先進的なお客様には響くでしょう。エネがえるでシミュレートした自家消費メリットに加え、VPP参加インセンティブも提示できれば鬼に金棒です。その際にもエネがえるのコア技術(需要・発電予測やシミュレーションロジック)は大いに役立つでしょう。

5. 信頼獲得とブラッシュアップ: データ検証&成功体験の積み重ね

戦略を実行したら終わりではなく、常に検証・改善を回すPDCAを忘れずに。エネがえるは導入して終わりではなく、その予測精度や提案効果を事後検証することでさらに価値が高まります。例えば、導入後1年間運用した太陽光発電所の実績データを集め、当初シミュレーションとの誤差を確認します。もしズレが小さければそれをお客様との信頼醸成ネタに使えますし、仮に想定外の要因があれば次回提案時に反映できます。ある販売店では、1年後の発電実績がシミュ値とほぼ一致し「シミュレーションが正確だと実証できたことでお客様の信頼が飛躍的に高まった」といいます。

また、社内で成功事例を横展開し、ナレッジ共有を進めましょう。「エネがえるでこう提案したら契約につながった」というストーリーを社内SNSや朝礼で共有することで、他の営業担当者も自分のケースに応用できます。成績優秀者の提案書をお手本資料として回覧するのも効果的です。エネがえる導入企業の平均成約率は最低30-40%から、上手く使いこなせば60-70%、中には90%以上というケースもあると報告されています。この差は提案力・使いこなしの差と言えます。社員同士で切磋琢磨し成功ノウハウをブラッシュアップする文化を醸成すれば、組織全体の底上げにつながります。

最後に、お客様からのフィードバックも積極的に集めます。提案資料について「どのグラフが分かりやすかったか」「他に知りたい情報はあったか」などヒアリングし、エネがえる提供元への要望としてフィードバックするのも良いでしょう。実際、エネがえるEV・V2Hはユーザー企業からの「もっと簡単にEVやV2Hを組み合わせて提案したい」という声に応えて開発されました。今後もニーズに応じて進化が期待できますので、ユーザー企業側から声を上げて業界標準ツールを育てていく姿勢も大事です。


おわりに: 「課題解決のカエル」はここにいる 🐸✨

低圧VPPへの対応、カーボンプライシング時代の到来、そして再エネ拡販の現場で噴出する数々の課題――電力業界は難題山積のように見えます。しかし、本稿で見てきたように、その多くはデジタル技術と創意工夫で解決可能です。国際航業の提供するエネがえるは、まさにそうした課題解決のために生まれた包括プラットフォームと言えます。「むずかしいエネルギー診断をかんたんにカエル」というコンセプト通り、煩雑だった業務をシンプルに、省力化しつつ高度化してくれます。

事実、エネがえる導入企業では提案成約率の劇的向上業務時間の大幅短縮が相次いで報告されています。例えば本文で紹介したエクソル社ではシミュレーション時間が3時間から5分に短縮され複数提案が可能になりました。またパナソニック社ではエネがえるAPIにより自社サービスで最新料金データを扱えるようになり、新サービス創出につながりました。何より、こうした数字以上に大きいのが、お客様からの「分かりやすい!」「任せてみよう」という信頼の獲得です。エネがえるを使った提案は、営業現場に自信を与え、お客様に安心を与えます。それこそが最大の価値ではないでしょうか。

いまや日本全国で700社以上の企業がエネがえるを導入し業界トップクラスのシェアを占めていることがその証左です。大手電力会社から有名太陽光メーカー、住宅会社、自治体まで利用者は広がり、まさに業界標準ツールとなりつつあります。再エネ普及・脱炭素化という国策を民間から支えるインフラと言っても過言ではありません。

電力会社・新電力各社にとって、2026年以降の競争を勝ち抜く鍵はデジタルと人のハイブリッド戦略であることは明白です。そして幸いなことに、そのための具体的ソリューションは既にここに存在しています。「課題を解決できるのはエネがえるしかない」――本記事で述べた戦略とソリューションが、その確信を持っていただく一助となれば幸いです。未来に向け、ぜひ一緒に**“エネを変える”挑戦**を加速させていきましょう!


✅ ファクトチェック&参考文献サマリー

  • 不安要因の1位はROI不透明: 導入見送り企業の過半数が「投資回収できるか」を懸念(国際航業調査)。

  • シミュレーション提示のニーズ: 提示された側の4割超が効果を想像できず、一方未提示側の半数超は「信頼できる試算があれば導入したかった」。

  • 提案業務に課題あり: 太陽光・蓄電池販売担当者の88.2%が「課題あり」と回答。工数大の業務はヒアリング(41.8%)、データ入手(37.3%)。

  • 人材不足が深刻: 再エネ企業の約9割が技術人材不足、約8割が「提案書作成負担で顧客対応遅れ」。販売施工店の90.7%が技術者確保に苦戦(Vol.24調査)。

  • エネがえるでROI算出10分: エネがえるBizの新機能によりROI・回収期間計算が数日→10分に短縮。迅速な投資対効果提示が可能に。

  • 提案自動化で時間短縮: エネがえるAPI導入でシミュレーション計算が1件2~3時間→5~10分に短縮(エクソル事例)。複数パターン提案も容易に。

  • 料金・補助金データ網羅: エネがえるは全国100社・3,000以上の電気料金プランを搭載、毎月自動更新。約2,000件の補助金データも参照可能。

  • パナソニックのEVサービス導入事例: エネがえるAPIの料金シミュレーション機能で、自社EV充電サービスの充電最適化を実現。料金プラン情報管理の負担を軽減。

  • BPOサービスの柔軟性: エネがえるBPOは1件¥10,000~、最短即日納品の高応答体制。提案書作成や設計を丸ごと代行し人手不足を補完。

  • エネがえる導入社数と信頼性: エネがえるシリーズは全国700社以上に導入。大手電力会社やトップクラス販売店も活用し、高いシェアを誇る。

(※上記出典は国際航業プレスリリースおよび公式ブログ調査結果より。【】内は該当資料の参照箇所)

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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