47都道府県・10電力エリアをつなぐ、住まいのエネルギー比較シリーズ
エネがえる独自比較:地域固有の論点「6構成を地域条件で比べる方法」を軸に、太陽光だけからオール電化・蓄電池・EV・V2Hまで、6構成の追加効果と投資判断を同じ比較軸で読み解く。
この記事で分かること
太陽光だけにするか、給湯・蓄電池・EVまで組み合わせるか。設備価格、地域の制度、電気を使う時刻を別々に見ると、家計に合う案を選びにくくなります。このシリーズは、6構成を同じ条件で比較するために、地域の資料を読み解く企画です。
東日本では、何を確認すると選択が変わるのか。 東日本の住宅エネルギー投資を、一つの電気代上昇率で説明することはできない。北海道と東京の今回確認した託送区分では、基本料金が上がる一方、電力量料金は不変だった。東北では両方が上がる。同じ「11月の値上げ」でも、買電を100kWh減らすことに対する改定の影響は異なる。
- 販売施工店・工務店:地域の制度を見積条件に落とし、顧客に説明する比較軸をそろえられます。
- ご家庭・施設の担当者:価格だけの比較から一歩進み、相談先に確認する条件と依頼内容を整理できます。
- 自治体・メーカー:普及統計、制度の対象、個別世帯の効果を区別し、支援や提案の設計に使えます。
資料確認:2026年9月21〜22日。制度の対象・受付状況は申請時に公式窓口で確認してください。
東日本の住宅エネルギー投資を、一つの電気代上昇率で説明することはできない。北海道と東京の今回確認した託送区分では、基本料金が上がる一方、電力量料金は不変だった。東北では両方が上がる。同じ「11月の値上げ」でも、買電を100kWh減らすことに対する改定の影響は異なる。
また、補助金の違いは金額だけではない。札幌市のPV補助には蓄電設備との接続条件があり、長野県の制度ではEV・V2Hや蓄電池の組合せで補助額が変わる。東京都の制度を適用した回収期間を、他県へ広げることもできない。本稿は、こうした条件の分岐を横断して読むためのまとめである。
本稿の「東日本」を先に定義する
住宅統計の再集計では、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野の20都道県を東日本とする。比較表を再現するための集計上の区分で、50Hz区域や一般送配電事業者の供給区域と一致させたものではない。静岡など県内に境界を持つ地域の料金は、住所・供給地点で判定する。
2023年住宅・土地統計調査の県別公表戸数を足し、設置あり戸数を対象住宅戸数で割ると、次のようになる。県の設置率を20個足して20で割った値ではない。
| 分母 | 対象住宅の合計 | PV設置ありの合計 | 設置割合 |
|---|---|---|---|
| 居住住宅総数 | 29,311,900戸 | 1,151,900戸 | 3.93% |
| 持ち家・一戸建 | 13,687,700戸 | 1,025,900戸 | 7.50% |

出典:2023年住宅・土地統計調査・表29-1。集計対象・原表行番号・計算値は付属データに保存した。公表戸数には丸めがあり、県別合計が全国公表値と完全には一致しない。これは2026年の普及率でも、未設置住宅がすべて導入できることの証明でもない。
分母を変えたときの違いは、相談施策の対象を考える手がかりになる。戸建て所有者向けの設備比較を充実させることと、共同住宅・賃貸住宅の住民を含む脱炭素施策を設計することは、別々の課題である。前者の成果だけで地域全体を評価すると、支援の届かない住宅群が見えにくくなる。
託送の平均単価では、PVの価値を計算できない
北海道と東京の電灯標準で電力量単価が変わらないのに対し、東北では8.58円から9.92円/kWhへ変わる。従量部分だけの計算なら、100kWh削減時の価値の改定前後差は、北海道0円、東京0円、東北134円となる。0円は「改定による増分がない」という意味であり、PVの節約額全体がゼロなのではない。
出典:北海道10月約款・11月約款、東京10月約款・11月約款、東北9月11日資料。いずれも小売への反映を確定する資料ではない。
住宅の長期収支では、小売プラン、燃料費調整、賦課金、期間限定支援を含めて比較する。2026年秋の一回の制度変更を、毎年繰り返す価格上昇率として計算してはいけない。逆に、価格上昇率をゼロと置いたシナリオでも、公表済みの料金改定まで消してよいわけではない。
補助は「設備単体」ではなく「組合せの条件」として読む
| 検証した制度例 | 比較で変わる点 | 誤りやすい扱い |
|---|---|---|
| 札幌市のPV・蓄電池支援 | 既設設備も含む接続条件、環境価値の帰属 | PVだけの新規案へ無条件に助成を付ける |
| 長野県の組合せ支援 | EV・V2H・蓄電池を追加した際の助成差 | 機器単体の助成を独立に足し算する |
| 東京都の既存住宅支援 | 容量・設備・受給条件と補助入金 | 都の制度を電力エリア共通とする |
出典・条件の詳細は北海道・長野県・東京都の記事で一次資料とともに確認できる。札幌市の2026年度パンフレットだけでも、PVと蓄電設備の条件を切り離して読むべきでないことが分かる。助成金額の比較より先に、案ごとの適格性を判定する必要がある。
ガス併用世帯と既設オール電化世帯を分ける
S1〜S6を比較する共通基準世帯は一つに固定する。既設エコキュートを持つ家庭へ昼間沸き上げを提案するケースと、ガス給湯を電化するケースでは、基準年の費用も追加設備費も異なる。
冬の給湯と暖房を分けて入力することも欠かせない。灯油暖房を残す案から灯油支出を消さない。車を更新する年を固定しないまま、EVの燃料費削減だけを20年分足さない。蓄電池を更新する可能性と、太陽光・給湯機・V2Hの交換時期は別々に扱う。
自治体と販売現場で共有したい比較単位
住民に示すべきなのは「どの構成が全国で一番得か」ではなく、「この家のどの条件が変わると、次の設備を追加する判断が変わるか」である。S3までで採算が成立しても、S4の追加蓄電池が回収しない場合は、その差を同じ図で見せる。S5とS6では、定置用電池と車載電池の役割が重複する時間を調べる。
エネがえるの公開事例を参考にする際も、記事にある検討の過程と、現在の料金を使った試算結果を区別する。自治体の標準条件設計と複数地点の比較はBPO、現場での住宅提案はASP、車を含む検討はEV・V2H、自社の住民向け画面へ展開するならAPIというように、業務に合わせて接続先を選ぶ。
地域ごとの制度・住宅統計を参考にしながら、最後は自分の見積、屋根、使用量、車の使い方で比較する。地域の統計上の特徴と、個別住宅の採算は別の情報として読む。
県別の制度・統計分析へ進む
県別の制度と住宅条件を確認できます。電力の供給区域は県境と一致しない場合があるため、契約は住所・供給地点で確認してください。
| 地域 | 制度・運用で比較する論点 |
|---|---|
| 北海道 | 札幌の太陽光補助は「蓄える設備」とセット。6構成の比較が変わる理由 |
| 青森県 | 太陽光の補助25万円と非FIT売電を、同じ収支表で比べる |
| 岩手県 | 最大257.3万円を設備補助と読まない。住宅性能から太陽光・給湯・EVを組み立てる |
| 宮城県 | 太陽光・蓄電池・V2Hの補助を、共働き世帯の時間割から考える |
| 秋田県 | 太陽光の発電量と、家計で使える電気を分けて考える |
| 山形県 | 蓄電池40万円の補助と、非FIT・卒FITの売電を一緒に比べる |
| 福島県 | 蓄電池とV2Hを両方買っても、県補助を両方足せない |
| 茨城県 | 屋根を大きく使うか、余剰を使い切るか。設備容量と通勤EVの比較 |
| 栃木県 | 走行距離が長いほどV2Hも有利なのか。車の不在時間まで検証 |
| 群馬県 | 日射量の多さだけで決めない。給湯・売電・蓄電の使い分け |
| 埼玉県 | 都市近郊の小さな屋根で6案を比較。容量を増やす前に確認すること |
| 千葉県 | 停電への備えと投資回収を分ける。V2Hと蓄電池の選び方 |
| 東京都 | 太陽光・昼間給湯・蓄電池・EVを組み合わせる前に、助成額と追加投資を分けて考える |
| 神奈川県 | 横浜の住宅と郊外の車利用を同じモデルで比べない |
| 新潟県 | 冬の太陽光を控えめに見積もっても導入は成立するか |
| 富山県 | 既設オール電化の家に、太陽光と蓄電池をどう足すか |
| 石川県 | 設備の採算と復旧のしやすさを一緒に点検する |
| 福井県 | 給湯・EV・家庭用蓄電池、昼間の余剰を誰に配るか |
| 山梨県 | 年間発電量と冬の給湯需要、二つの季節性から採算を読む |
| 長野県 | 長野県の太陽光・蓄電池・EV投資を考える――補助金65万円の前に、屋根と車の時間を確かめる |
6構成で「何が増え、何が減るか」をそろえる
6案を別々の営業資料で並べると、家族人数や売電条件の違いまで設備の差に見えてしまいます。最初に現状の住宅・移動費を一つの基準に固定し、次の順に差分を確かめます。下表は比較設計のための表で、地域別の正式な回収年数を示すものではありません。
| 構成 | 固定する条件 | 比較する差分 | 見積の確認質問 |
|---|---|---|---|
| S1 太陽光 | 屋根・日射・生活需要・売電契約 | 直接使う電気と売る電気の配分 | 屋根改修やパワコン更新を費用に含めたか |
| S2 S1+オール電化・深夜給湯 | 湯量・暖房・給湯機種・ガス撤去範囲 | 夜間買電とガス・灯油費の変化 | ガス契約が残るのに基本料金を全額削減していないか |
| S3 S1+オール電化・昼間給湯 | S2と同じ湯量と設備条件 | 昼の買電・売電・効率の変化 | 雨天・冬季の不足を買電で補ったか |
| S4 S3+定置型蓄電池 | 給湯後の余剰・実効容量・出力・損失 | S3から増える便益と更新費 | 満充電できない日や放電しきれない日を含めたか |
| S5 S3+EV・V2H | 同じ移動距離・駐車時間・出発時残量 | 走行費と家庭放電の両方 | 車両買替差額と住宅設備費を分けたか |
| S6 S3+蓄電池+EV・V2H | S4・S5と同じ住宅と移動条件 | 電池を二つ持つ追加価値 | 同じ余剰電力を二つの電池で重複利用していないか |
新設一式を選ぶ家庭と、太陽光をすでに持つ家庭では、答えるべき問いが違います。既設設備の購入費を再び計上せず、今から支払う費用と、今から変わる収支を比べます。S6の評価も「太陽光なしの家より安いか」だけでなく、「S5に定置型電池を足す費用に見合うか」まで確認します。
見積依頼前にそろえる12項目
すべてが分からなくても相談は始められます。不明な値はゼロで埋めず、推定した項目と実際に確認できた項目を分けて渡してください。チェックはこの画面での整理用です。入力・選択内容は送信・保存されません。
回収年数だけでは見落とす5つの判断
1.総額と追加額
初期費用の総額と、次の設備を足す差額を分けます。太陽光の利益が大きくても、追加の蓄電池が同じ速度で回収するとは限りません。
2.年平均と更新年
平均の年間削減額に加え、機器交換・車の買替・売電単価の切替がある年を見ます。一度黒字になっても、その後の更新費で累積収支が再び赤字になる場合があります。
3.収支と手元資金
補助の入金前に工事代を支払う場合や借入を使う場合、長期便益と当面の支払いは一致しません。初期支出と毎月の返済を別に確認します。
4.家計と停電対策
停電時は残量、使える出力、接続回路、EVの在宅状況が重要です。平常時の節約額と非常時の価値を分け、停電回避額を根拠なく収入に加えません。
5.標準と慎重条件
料金が想定ほど上がらない、発電が少ない、補助を受けられない条件でも比較します。採用案が逆転したら、逆転を起こした前提が商談で優先して確認すべき情報です。
設備の数を増やすことより、判断を変える不明点を一つ減らすことが、追加調査の価値になる場合があります。昼にEVが家にないなら、まず在宅時間を確定する。ガスの基本料金が残るなら、まず解約可能な設備範囲を確定する。この順序で見積の精度を上げます。
販売施工店・工務店が商談で使う5ステップ
- 現状を一枚にそろえる。 電気・燃料・移動費、設備の年齢、暮らし方を聞き、比較前提を顧客と共有します。
- 有力な案を選ぶ。 6構成すべてを機械的に勧めず、屋根、駐車、更新時期、予算から成立する案を残します。
- 同じ条件で再計算する。 住宅設備はASP、車と住宅電力を含む検討はEV・V2Hなど、対象に合う製品を使います。製品間で比較するときも、需要・料金・期間の一致を確認します。
- 不利な条件も一緒に見せる。 補助なし・低い料金上昇・設備更新を含む場合を示し、顧客が何に納得して選んだかを残します。
- 見積変更時に同じ前提へ戻る。 機種・価格・契約が変わったら、前の提案から変えた項目を示して再説明します。
記事を読むだけで止まると、毎回の料金確認、入力のそろえ直し、資料の作り直しが担当者に残ります。エネがえるの導入を検討する意味は、この比較を自社の案件で繰り返し使える業務にすることです。デモでは一般的な画面説明に加え、自社の見積1件を使い、入力から顧客説明までの流れを確かめてください。
ご家庭・施設の条件で調べたい方へ
住宅の平均値をそのままご家庭の節約額に置き換えることはできません。相談先の販売施工店・工務店に「エネがえるを使い、同じ条件で複数案を比較できますか」と尋ねてください。次の依頼文をコピーし、分かる項目を添えて渡すと、比較したい内容を伝えやすくなります。
この入力欄から問い合わせは送信されません。個人情報は、依頼先の正式な相談窓口へ直接お伝えください。施工店のエネがえる利用は施工品質や補助金交付を保証するものではありません。
施設・店舗・工場は、住宅の6構成表をそのまま転用せず、操業時間、契約電力、負荷データ、導入方式をそろえた産業用試算を依頼します。施設向けのエネがえるBizを確認する。
自治体・メーカーが横断比較で確認する3点
- 分母をそろえる。 居住住宅全体、持ち家、一戸建て、新築で普及割合の意味が変わります。都道府県の統計を個別自治体の導入可能件数にそのまま置き換えません。
- 交付件数と住民便益を分ける。 同じ予算でも、新設支援、既設設備の更新支援、相談支援では対象世帯と成果が異なります。補助後の自己負担、電気の使い方、継続条件まで見ます。
- 代表世帯と地域全体を分ける。 一つのモデル世帯で得た結果を県平均と呼ばず、世帯類型・料金・住居・移動の重み付けを示します。基準の6構成に感度条件を加え、何が結論を変えたかを説明します。
東日本で、相談前に読んでおきたい論点
- 本稿の「東日本」を先に定義する。見積のどの費用・条件に反映したかを、相談先と確認してください。
- 託送の平均単価では、PVの価値を計算できない。見積のどの費用・条件に反映したかを、相談先と確認してください。
- 補助は「設備単体」ではなく「組合せの条件」として読む。見積のどの費用・条件に反映したかを、相談先と確認してください。
制度の掲載があることと、その家庭が申請できることは別です。記事内の一次資料で対象・時期を確認し、比較表には確認日と適用条件を残します。






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