太陽光発電はやめた方がいい?元が取れない条件を全国9エリア729ケースで実試算【2026年11月最新単価】

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら )

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
導入事例を見る / 主な導入・活用先の掲載情報
エネがえる全体の実績です。掲載先には導入・連携・実証・事例掲載等を含みます。

ご相談・お問い合わせ
エネがえるのご相談はもちろん、新規事業開発、アライアンス、執筆・セミナー講演、リサーチやデータセット開発などのご相談も承ります。まだ具体的に決まっていないお話でも、お気軽にご連絡ください。
TEL:070-3669-8761 / Mail:satoru_higuchi@kk-grp.jp

太陽光発電はやめた方がいい?元が取れない条件を全国9エリア729ケースで試算(エネがえる)
太陽光発電はやめた方がいい?元が取れない条件を全国9エリア729ケースで試算(エネがえる)

結論から言います。住宅用の太陽光は、南向きか東西向きの屋根で、月の電気代がおおむね1.8万円以上ある家なら、多くの条件で15年以内に元が取れる計算でした。一方で、「北向きの屋根」「電気代が少ない家に大きな容量」「点検・パワーコンディショナ(パワコン)交換の費用を見込まない見積もり」の3つが重なると、20年たっても元が取れないことがあります。全国9エリア×容量3種類(3・4.5・6kW)×屋根の向き3種類×月額電気代3水準×電気代上昇率3水準、合わせて729ケースを、2026年11月の最新単価と2025年10月からの新しい売電単価(1〜4年目24円、5〜10年目8.3円)で試算しました。

3つの答え

  1. 条件がそろえば元は取れる:保守費・パワコン交換費を除くと、729ケース中639ケース(88%)が15年以内、727ケースが20年以内に回収できました。回収年数の中央値は11.6年です(20年以内に回収できない2ケースも含めた中央値)。南向き・月2.5万円の家では、どの容量・エリアでも15年以内でした。
  2. ただし点検とパワコン交換を入れると、15年回収は半分以下になる:4年ごとの点検(1回3.8万円)と13年目のパワコン交換(38.4万円)、20年で合計57.4万円を入れると、15年の時点で累積の収支がプラスになっているのは729ケース中293ケース(40%)、回収年数の中央値は16.2年に延びます(20年超を含む)。20年以内なら608ケース(83%)です。「元が取れない」と言われる多くは、この費用と、北向きの屋根・電気代に比べて大きすぎる容量の組み合わせで説明できます。
  3. 「やめた方がいい」の本当の理由は、損得より契約の質:国民生活センターによると、「太陽光発電システムの点検商法」の相談は2022年度154件→2024年度613件と2年で約4倍に増えました(PIO-NET登録分)。試算の前提と見積もりの中身を確かめれば避けられるリスクが中心です。

この記事で分かること(数値の要点)

  • 元を取る主役は「自分で使う電気」です。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円・上昇率2%の家では、20年の価値の約76%(206万円)が電気代の節約で、売電は約24%(66万円)でした。5年目以降は、自分で使う1kWh(約30〜45円)が売る1kWh(7〜9円)の約4〜5.5倍(買う電気の第3段階÷8.3円)の価値になります。
  • 屋根の向き:東西の屋根は南向きより発電が約2割少ないのに、20年の収支の差は約16%にとどまりました(同じ条件どうしの中央値)。北向き(傾斜15度)は発電が約3割、収支が約4割少なくなります。
  • 容量:20年の収支が最も大きくなる容量は、3kWが46%、4.5kWが35%、6kWが19%のケースでした。月1.2万円の家では、6kWは3kWより20年の得が約20万円少なくなります。
  • 損益分岐の価格:15年で元が取れる設置費は、中央値で1kWあたり約41万円(税込、保守・交換を除く)。本試算の31.9万円/kWとの差が、そのまま余裕になります。10年で回収するには中央値で1kWあたり約4万円の補助が必要です。
  • 何もしない場合との比較:関東・4.5kW・南向き・月1.8万円の家は、何もしなければ20年で約525万円の電気代を払います。太陽光を入れると、点検・交換費を含めても約71万円少ない支払いで済む計算です(名目、補助なし)。
  • ローンを使う場合:143.55万円を金利2%・10年で借りると、利息は約15万円、毎月の返済は約1.3万円です。5年目に売電単価が下がると、毎月の得が返済額を下回る期間が生まれます。

検証の主体:エネがえる(国際航業株式会社)。729ケースは1時間単位(8,760時間)の独立計算モデルで試算しました。料金・負荷・発電の計算部分は、エネがえるASPでの照合を行った蓄電池243ケース記事と同じものです(太陽光単体の本試算でのASP照合は行っていません)。金額はすべて税込です。試算条件・計算方法・出典はすべて本文末尾に公開しています。独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。

なぜ今、太陽光の損得を計算し直す必要があるのか

住宅用太陽光の損得を決める前提が、この1年で大きく変わりました。最大の変化は売電単価です。2025年10月以降に認定を受ける住宅用(10kW未満)の太陽光は、「初期投資支援スキーム」として、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhの2段階になりました(資源エネルギー庁「買取価格・期間等」)。最初の4年で多くを回収し、5年目からは「売る」より「自分で使う」が中心になる設計です。10年一律の単価を前提にした古い試算は、もう使えません。

次に電気代です。2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWhで(経済産業省 2026年3月19日公表)、各社の燃料費調整も毎月変わります。本試算では各社の2026年11月1日改定後の単価と、2026年12月分の燃料費調整(国の支援値引きなし)を使いました。電気代が高いほど、自分で使う1kWhの価値が上がります。

そして費用です。国の調達価格等算定委員会の資料では、2025年に設置された住宅用太陽光の平均は1kWあたり29.0万円で、ここ数年はやや上昇傾向です(調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」)。同じ資料には、太陽光発電協会(JPEA)へのヒアリング値として、定期点検1回約3.8万円(3〜5年ごと)、パワコン交換1回38.4万円(20年で1回)も載っています。点検とパワコン交換は、20年で合計50万円を超える費用です。ところが、販売時の試算ではこの費用が入っていないことがよくあります。

検索すると「太陽光はやめた方がいい」「元が取れない」「後悔した」という声が並びます。一方で「10年で元が取れる」という試算も多く見かけます。どちらも、どの地域・どの屋根・どの電気代・どの費用を前提にしたかを書いていないことがほとんどです。そこで本記事では、結論を左右する条件を一つずつ動かし、「どの条件なら元が取れ、どの条件なら取れないのか」を729ケースで確かめました。設置価格・自家消費・屋根条件ごとの考え方は、太陽光は元が取れない?設置価格・自家消費・屋根条件で検証もあわせてご覧ください。

検証の方法:9エリア×729ケースの設計

一般的な戸建て住宅を想定し、次の5つの軸をすべて組み合わせました(9×3×3×3×3=729ケース)。各ケースで、1時間ごとに「発電量」「家で使う電気」「買う電気」「売る電気」を20年分計算し、電気代の節約額と売電収入から回収年数と収支を求めています。

軸水準考え方
エリア(9)北海道・東北・関東・中部・関西・四国・中国・九州・沖縄各電力会社の標準メニュー(従量電灯)と代表都市の気象で計算
容量(3)3kW/4.5kW/6kW戸建ての屋根に載る一般的な範囲
屋根の向き(3)南向き(傾斜30度)/東西振り分け(各30度)/北向き(傾斜15度)北向きは傾斜が緩い屋根を想定。北面だけに載せることは一般に勧められていません
月額電気代(3)1.2万円/1.8万円/2.5万円(年平均)料金表から逆算して年間の使用量を決定(約3,000〜9,000kWh。エリアにより異なる)
電気代の上昇率(3)年1%/2%/3%買う電気の料金全体に適用。売電単価には適用しない

共通の前提は、設置費31.9万円/kW(税込・工事込み)、補助なし、パネルの劣化は年0.5%、売電単価は1〜4年目24円・5〜10年目8.3円・11年目以降は各社の卒FIT買取単価(7.0〜9.0円)です。点検とパワコン交換は、「含めない」と「含める」の両方で結果を出しました。含める場合は、4・8・12・16・20年目に点検3.8万円、13年目にパワコン交換38.4万円(20年で合計57.4万円)です。交換の年は資料に定めがないため仮定で、10〜20年目に動かした結果も示します。

「回収年数」は、設置費を、毎年の電気代の節約額と売電収入の累計で取り戻すまでの年数です。点検・交換費を含める場合は、一度プラスになった後に交換費で再びマイナスに戻るケースがあるため、累積の収支が最後にプラスへ転じ、その後マイナスに戻らなくなる時点を回収年数としました。20年以内に取り戻せないケースは「20年超」として数え、中央値にも含めています(除いて計算すると中央値が実際より短く見えるためです)。数える単位はすべて「ケース」で、全国の住宅の何%という意味ではありません。

よく見る「10年で元が取れる」試算との違い

前提よく見る簡易な試算本記事の試算
売電単価10年間ずっと同じ単価1〜4年目24円、5〜10年目8.3円、11年目以降7〜9円
自家消費の割合一律3割など固定値1時間ごとの発電と使用から計算(18〜90%)
屋根の向き南向きのみ南・東西・北の3通り
保守・交換費含めないことが多い含めない場合と含める場合(20年で57.4万円)の両方
電気代の上昇見込まない、または高めに一律年1〜3%の3通り(感度分析で0%)
回収の判定初めて累積がプラスになった年交換費でマイナスに戻る場合は、最後にプラスへ転じた年

どれか1つの前提が楽観的なだけで、回収年数は数年短く見えます。本記事の「保守・交換を除く」側の数字は、多くの販売時の試算に近い見え方、「含む」側は20年使い続けるときの実際の家計に近い見え方だと考えてください。

太陽光は何で稼ぐのか:「使う単価」と「売る単価」の差

太陽光の価値は、発電した電気を「家で使って買う電気を減らす価値」と「余った電気を売る価値」の2つです。この2つの単価が、5年目から大きく開きます。

5年目以降は、自分で使う1kWh(約30〜45円)が売る1kWh(7〜9円)の約3.5〜6倍の価値になる。9エリアの買う電気と売る電気の単価
図1 買う電気と売る電気の単価(2026年11月改定後・燃料費調整12月分・再エネ賦課金込み、税込)

買う電気の単価は、使用量が多い家ほど高い第3段階で約33〜45円/kWhです。売る電気は、1〜4年目の24円は買う電気の単価に近いものの、5〜10年目の8.3円、11年目以降の7〜9円は、買う電気の約6分の1から4分の1しかありません。5年目以降は、同じ1kWhでも「家で使う」方が約4〜5.5倍(第3段階÷8.3円。第2段階や卒FIT単価で比べると約3.5〜6倍)の価値になります。だからこそ、「何kW載せるか」より「発電した電気のうち何割を家で使えるか(自家消費の割合)」が損得を左右します。

エリア買う電気(第2段階)買う電気(第3段階)卒FIT買取5年目以降の価値の差(第3段階÷8.3円)
北海道41.65円45.37円8.0円約5.5倍
東北36.10円40.05円9.0円約4.8倍
関東35.98円40.07円8.5円約4.8倍
中部35.27円38.22円7.0円約4.6倍
関西32.71円35.69円8.0円約4.3倍
四国37.00円40.51円7.0円約4.9倍
中国36.56円38.68円7.15円約4.7倍
九州29.97円32.97円7.0円約4.0倍
沖縄42.82円44.80円7.5円約5.4倍

標準の従量電灯(関西・四国・中国は従量電灯A、沖縄は従量電灯、それ以外は従量電灯B)。燃料費調整は2026年12月分、再エネ賦課金4.18円/kWhを含む。買取単価は各社公式(沖縄は2019年の発表値で、2026年時点の公式確認はできていません)。出典は前提条件に記載。

では、実際に1日の中でどれだけの電気を家で使えるのでしょうか。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円の家で、5月の発電が多い日と少ない日を見ました。

晴れた5月の日は発電21.6kWhのうち家で使えたのは5.8kWhで、15.8kWhを売電。曇りの日は発電11.0kWhのうち4.9kWhを家で使用
図2 1日の発電と使用(関東・4.5kW南向き・月1.8万円、5月の晴れの日と曇りの日)

晴れた日の発電は21.6kWhで、家の使用量(1日約12kWh)を大きく上回ります。それでも、家で使えたのは5.8kWhだけで、残りの15.8kWhは売電に回りました。電気を多く使うのは朝と夕方から夜で、昼は家にいる人が少ないためです。年間で見ると、この家の自家消費の割合は42%でした。729ケースの中央値は50%(18〜90%)で、電気代が多い家・容量が小さい家ほど高くなります。

月額電気代3kW4.5kW6kW
1.2万円50%35%27%
1.8万円68%51%40%
2.5万円82%65%52%

自家消費の割合(発電量のうち家で使った割合)の中央値。各81ケース(9エリア×3方位×上昇率3)。1年目、標準の在宅パターン。

結果①:回収年数の中央値は11.6年。点検・パワコン交換を含むと16.2年

729ケースの回収年数を、保守・交換費を「含めない」場合と「含める」場合に分けて並べました。

回収年数の中央値は保守・交換を除くと11.6年、点検5回とパワコン交換1回(計57.4万円)を含むと16.2年。屋根の向き別の729ケースの分布
図3 回収年数の分布(全国729ケース、左:保守・交換を除く、右:含む)
指標(729ケース)保守・交換を含めない点検・パワコン交換を含める(20年で57.4万円)
10年以内に回収182ケース(25%)94ケース(13%)
15年以内に回収639ケース(88%)293ケース(40%)
20年以内に回収727ケース(99.7%)608ケース(83%)
回収年数の中央値(20年超を含む)11.6年(最短7.0年)16.2年(最短7.4年)
20年の収支の中央値+102.6万円+45.2万円
20年で赤字のケース2ケース(最大−4.3万円)121ケース(最大−61.7万円)

収支=20年の電気代の節約額+売電収入−設置費(−点検・交換費)。名目値(割引なし)、補助なし、ローン金利なし。

保守・交換費を除けば、ほぼすべてのケースが20年以内に元を取ります。結論を大きく変えるのは点検とパワコン交換の57.4万円で、15年以内に回収できるケースは639から293へ、半分以下に減りました。パワコン交換を13年目と置いたため、12年目ごろまでにいったん元を取ったケースでも、交換費で累積の収支が再びマイナスに戻り、回収が数年先に押し出されるためです。

エリア別に見ると、最も早いのは沖縄(中央値10.3年)と四国(10.9年)、最も遅いのは九州(12.9年)でした。九州は買う電気の単価が9エリアで最も低く(第3段階32.97円)、家で使う1kWhの価値が小さいためです。北海道や東北は発電量が少なめでも、電気の単価が高いため、関東と同程度でした。

エリア回収年数の中央値(除く/含む)15年以内に回収(除く/含む、各81ケース)20年の収支の中央値(除く/含む)南向きの年間発電量(1kWあたり)
北海道11.7年/16.6年68/31+92万円/+34万円約1,210kWh
東北11.9年/16.8年68/29+93万円/+35万円約1,189kWh
関東11.9年/16.4年68/29+97万円/+40万円約1,155kWh
中部11.5年/16.2年71/32+98万円/+41万円約1,277kWh
関西11.6年/16.3年73/31+101万円/+43万円約1,213kWh
四国10.9年/15.2年74/40+115万円/+57万円約1,236kWh
中国11.3年/15.7年73/34+109万円/+51万円約1,207kWh
九州12.9年/18.0年64/16+79万円/+21万円約1,132kWh
沖縄10.3年/14.1年80/51+137万円/+80万円約1,179kWh

中央値は20年以内に回収できないケースを「20年超」として含めた値。発電量は1年目・南向きの中央値(全国平均の設備利用率に合わせて補正。前提条件参照)。

結果②:元が取れない条件は「北向き」「電気代に対して大きすぎる容量」

同じエリアの中でも、屋根の向きと容量で回収年数は大きく変わります。エリア×向き×容量ごとに、回収年数の中央値を並べました。

同じエリアでも、屋根の向きと容量で回収年数が4〜7年変わる。南向き3kWは約8〜10年、北向き6kWは約12〜16年(保守・交換を除く)
図4 エリア×屋根の向き×容量ごとの回収年数の中央値(保守・交換を除く、各9ケース)
屋根の向き回収年数の中央値(除く/含む)15年以内(除く/含む、各243ケース)20年以内(含む)年間発電量(1kWあたり)
南向き(30度)10.3年/14.2年240/145236約1,130〜1,280kWh
東西振り分け(30度)11.5年/15.9年216/108205約920〜1,050kWh
北向き(15度)13.0年/17.9年183/40167約800〜1,010kWh

北向きの屋根は、保守・交換費を含めると15年以内に回収できるのが243ケース中40ケースにとどまり、20年たっても回収できないケースが76ありました。特に北向き×月1.2万円の家では、点検・交換費を含めると81ケース中17ケースしか20年以内に回収できません。北面への設置は、反射光の問題や発電量の低さから一般に勧められておらず、販売施工店から北面を含む提案を受けたときは、面ごとの発電量を必ず確認してください。

容量については、「大きいほど得」とは限りません。容量を増やすと発電量は増えますが、増えた分の多くは家で使えず、5年目以降は8.3円や7〜9円で売ることになるからです。

月1.2万円の家では3kWの20年収支が約67万円、6kWは約47万円。電気代が少ない家ほど容量を増やしても得は増えない
図5 月額電気代と容量ごとの20年の収支(中央値、保守・交換を除く、各81ケース)
月額電気代3kW4.5kW6kW収支が最大の容量
1.2万円+67万円+61万円+47万円3kW
1.8万円+109万円+111万円+105万円ほぼ同じ
2.5万円+143万円+156万円+158万円4.5〜6kW

20年の収支の中央値(保守・交換を除く)。点検・交換費は容量にかかわらず同額と仮定したため、含めた場合も容量の順位は変わりません。設置費は容量に比例(31.9万円/kW)と仮定。実際には小容量ほど1kWあたりの価格が高くなる傾向があり、3kWの有利さは小さくなる可能性があります。

月1.2万円の家では、6kWは3kWより20年の得が約20万円少なくなりました。回収年数の中央値も、3kWが10.1年、4.5kWが11.8年、6kWが13.3年と、容量が大きいほど長くなります。729ケースのうち、20年の収支が最も大きくなる容量は、3kWが46%、4.5kWが35%、6kWが19%でした。「屋根いっぱいに載せましょう」という提案は、電気代が多い家(月2.5万円前後)以外では、得を最大にする選び方ではないことが多いと言えます。

月額電気代の水準で見ると、回収年数の中央値は1.2万円で13.9年、1.8万円で11.4年、2.5万円で10.0年でした(保守・交換を除く)。点検・交換費を含めると、それぞれ19.5年、15.9年、13.5年です。電気代が少ない家は、点検・交換費の重みが相対的に大きくなるため、含めるかどうかで結論が逆転しやすくなります。

自分に近い条件を探す:屋根の向き×電気代の早見表

729ケースを、屋根の向きと月額電気代の9つの組み合わせにまとめました(各81ケース:9エリア×容量3×上昇率3)。自分の家に近い行と列を見てください。

屋根の向き月1.2万円月1.8万円月2.5万円
南向き12.5年/17.8年
15年以内 2ケース
20年収支 +20万円
10.3年/14.2年
15年以内 63ケース
20年収支 +71万円
8.9年/9.5年
15年以内 80ケース
20年収支 +124万円
東西振り分け14.0年/19.9年
15年以内 1ケース
20年収支 +1万円
11.4年/15.8年
15年以内 32ケース
20年収支 +51万円
9.8年/13.4年
15年以内 75ケース
20年収支 +97万円
北向き15.6年/20年超
15年以内 0ケース
20年収支 −20万円
12.9年/17.9年
15年以内 7ケース
20年収支 +22万円
11.2年/15.4年
15年以内 33ケース
20年収支 +59万円

各セル:回収年数の中央値(保守・交換を除く/点検・交換を含む)、点検・交換を含めて15年以内に回収できたケース数(81ケース中)、点検・交換を含めた20年の収支の中央値。

点検・交換費を含めて見ると、月1.2万円の家は向きにかかわらず15年での回収が難しく、北向き×月1.2万円では20年でも中央値で赤字でした。反対に、月2.5万円の家は北向きでも中央値で20年+59万円と、元を取れるケースが多くなります。

結果③:15年で元が取れる設置費は、1kWあたり約41万円

設置費がいくらまでなら元が取れるのか。各ケースで、15年(保守・交換を除く)と20年(点検・交換を含む)で元が取れる上限の設置費を逆算しました。

15年で元が取れる設置費は中央値で1kWあたり約41万円(保守・交換を除く)。九州は約37万円、沖縄は約46万円
図6 損益分岐の設置費(エリア別の中央値、税込、各81ケース)
指標(1kWあたり、税込)中央値範囲(729ケース)
15年で元が取れる設置費(保守・交換を除く)約41.2万円約24.2万〜72.6万円
20年で元が取れる設置費(点検・交換を含む)約42.3万円約21.6万〜83.6万円
10年で元が取れる設置費(保守・交換を除く)約27.8万円—
本試算の設置費31.9万円2025年設置の実績平均29.0万円に消費税10%を加えた値

中央値で見ると、15年回収の上限(約41万円)は本試算の31.9万円より約9万円高く、多くの家には価格の余裕があります。ただし範囲の下限は約24万円で、北向き・電気代が少ない家などでは、実績平均より安くても15年では元が取れません。見積もりを比べるときは、総額を容量(kW)で割った「1kWあたりの価格(税込・工事込み)」を、自分の家の損益分岐と比べるのが確実です。

損益分岐の価格は、屋根の向きと電気代で大きく変わります。自分に近い条件の値を、見積もりの1kWあたりの価格と比べてください。

屋根の向き月1.2万円月1.8万円月2.5万円
南向き37.4万円/36.2万円45.3万円/48.3万円52.8万円/60.0万円
東西振り分け34.0万円/32.1万円41.8万円/43.4万円48.6万円/53.7万円
北向き30.6万円/27.3万円37.0万円/36.9万円42.8万円/45.8万円

1kWあたり・税込の中央値(各81ケース)。左:15年で元が取れる価格(保守・交換を除く)、右:20年で元が取れる価格(点検・交換を含む)。

北向き×月1.2万円の家では、点検・交換を含めて20年で元を取るには1kWあたり約27万円以下が必要で、2025年の実績平均(税込換算31.9万円)を下回ります。逆に南向き×月2.5万円の家は、1kWあたり50万円前後でも15年で回収できる計算で、価格より設置の品質や保証を重視して選ぶ余地があります。

点検とパワコン交換を入れると、結論はどう変わるか

本記事では、エネがえるASPでの照合の代わりに、販売時の試算で抜けやすい「点検とパワコン交換」を詳しく確かめました。料金・負荷・発電の計算部分はASPと照合済みのモデル(蓄電池243ケース記事)と共通です。

パワコン(パワーコンディショナ)は、パネルが作る直流の電気を家で使える交流に変える機器です。国の資料でも、20年の間に一度は交換する前提で費用が見込まれています。国の資料のJPEAヒアリング値では、交換は20年で1回・38.4万円(5kW想定)、定期点検は1回約3.8万円を3〜5年ごとです。日本電機工業会とJPEAの保守点検ガイドラインでは、設置後1年目、その後は4年に一度を目安に定期点検が推奨されています(国民生活センター 2025年6月4日公表資料で紹介)。

交換の年は資料に定めがありません。そこで、交換を10・13・15・20年目に置いて、15年以内に回収できるケースの数を比べました。

パワコンを10・13・15年目のどこで交換しても、15年時点で累積収支がプラスなのは729ケース中293(40%)。18年目なら509(70%)、20年目なら571(78%)
図7 パワコンの交換年と、15年以内に回収できるケースの割合(全国729ケース、点検は4年ごと)
パワコンの交換年15年時点で累積の収支がプラス回収年数の中央値(20年超を含む)
10年目293ケース(40%)16.2年
13年目(本試算の基準)293ケース(40%)16.2年
15年目293ケース(40%)16.2年
18年目509ケース(70%)12.6年
20年目571ケース(78%)12.6年
(参考)保守・交換を含めない639ケース(88%)11.6年

点検は4・8・12・16・20年目に各3.8万円。回収年数は、累積の収支が最後にプラスへ転じた時点(月単位で補間)。

交換を10年目・13年目・15年目のどこに置いても、15年の時点で支払う費用の合計は同じなので、15年時点で黒字のケースは293(40%)で変わりません。一方、交換が16年目以降になると、15年回収の割合は7〜8割に上がります。つまり「15年で元が取れる」という説明は、パワコンが15年以上壊れないことを暗に前提にしている場合があります。見積もりの回収年数を見るときは、「点検費とパワコン交換費が入っているか」「交換を何年目と見ているか」を最初に確認してください。この2つが入っていない試算は、本記事の「含めない」側の数字にあたります。

なお、メーカー保証の期間内の故障は無償修理の対象になることがあります。保証の期間と範囲(パワコンを含むか、自然災害を含むか)は製品ごとに異なるため、見積もりの段階で書面で確かめておく価値があります。保証が長い製品なら、交換費を見込む年を後ろにずらして試算し直すこともできます。

補助を使うと:10年で回収するには1kWあたり約4万円

太陽光の補助は、国の住宅向け補助(新築のZEHなど)や都道府県・市区町村の補助があり、金額や条件は自治体によって大きく異なります。たとえば東京都は、住宅の太陽光発電設備に新築・既存住宅や発電出力によって単価と上限が異なる補助を設けています(東京都 助成金ガイド)。ここでは特定の自治体の金額ではなく、1kWあたり0〜15万円の補助を仮定して、効き方を比べました。

補助が1kWあたり5万円あると10年以内の回収は25%から57%に、10万円なら88%に増える。点検・交換を含めた15年回収は40%から63%、85%に
図8 補助額と回収できるケースの割合(全国729ケース、補助額は仮定)
補助(1kWあたり)10年以内に回収(保守・交換を除く)15年以内に回収(点検・交換を含む)
なし25%40%
5万円57%63%
10万円88%85%
15万円100%98%

10年で回収するのに必要な補助は、中央値で1kWあたり約4.1万円でした(729ケース中182ケースは補助なしで10年以内)。4.5kWなら約18万円です。補助は申請の時期・予算・工事の順番(契約前の申請が必要など)に条件があることが多く、使える場合は回収を数年早める効果があります。補助を待つべきかどうかは、2027年度の補助金を待つべき?待機費用と採算の境界で、待つ間に失う電気代の節約と比べて整理しています。

何が変わると結論がひっくり返るか(感度分析)

関東・4.5kW・南向き・月1.8万円・上昇率2%の家(20年の収支+128万円、回収10.6年、保守・交換を除く)を基準に、前提を1つずつ動かしました。

結論を大きく動かすのは設置費(20年収支84万〜146万円)、電気代の上昇率(92万〜150万円)、保守・交換費(128万円→71万円)
図9 前提を変えたときの20年の収支(関東・4.5kW南向き・月1.8万円・上昇率2%)
前提(基準)動かした範囲20年の収支回収年数
設置費(31.9万円/kW)28.1万↔41.8万円/kW(税抜25.5万↔38万円)+146万円↔+84万円9.2年↔14.0年
電気代の上昇率(2%)0%↔3%+92万円↔+150万円11.4年↔10.2年
点検・パワコン交換(含めない)含めない↔含める(57.4万円)+128万円↔+71万円10.6年↔14.4年
発電量(基準)−10%↔+10%+114万円↔+142万円11.3年↔9.9年
卒FIT後の売電単価(8.5円)5円↔12円+119万円↔+138万円ほぼ変わらず
在宅パターン(標準)標準↔在宅多め(平日昼の使用1.4倍)+128万円↔+143万円10.6年↔10.1年
パネルの劣化(年0.5%)0.7%↔0.3%+126万円↔+131万円ほぼ変わらず

最も効くのは設置費で、1kWあたり約14万円の差が20年の収支を約62万円動かします。次に電気代の上昇率と、点検・交換費です。相見積もりで価格を下げることは、どんな機器の選び方よりも確実に損得を改善します。一方、パネルの劣化率や卒FIT後の売電単価の違いは、20年の収支を数万〜約10万円しか動かしません。「劣化で元が取れない」という心配は、この条件の範囲では結論を左右しませんでした。

意外な発見:東西の屋根は、発電が約2割少なくても収支の差は約16%

「南向きでないと元が取れない」と考える方は多いと思います。ところが、東西に振り分けた屋根は、発電量の割に損得の差が小さいという結果になりました。

東西振り分けの屋根は南向きより発電が約19%少ないのに、20年の収支の差は約16%。家で使える割合は南向き42%に対して東西53%(中央値)
図10 東西振り分けと南向きの比較(同じ容量・電気代・上昇率・エリアどうし、各243ケース)

同じ条件どうしで比べると、東西振り分けの発電量は南向きの約81%ですが、20年の収支(保守・交換を除く)は約84%でした。理由は発電の時間帯です。南向きは正午前後に発電が集中し、昼に家にいない家では多くを売電に回します。東西の屋根は朝と夕方に発電が分かれるため、朝食の準備や夕方の帰宅後の使用と重なり、家で使える割合が高くなります(中央値で南向き42%、東西53%)。5年目以降、家で使う1kWhは売る1kWhの約4〜5.5倍(第3段階÷8.3円)の価値があるため、発電量の差ほどには損得が開きません。

ただし、北向き(傾斜15度)は発電量が南向きの約71%、20年の収支は約61%で、東西のような「取り返し」は起きませんでした。東西の屋根は「条件付きで十分に検討できる」、北向きは「慎重に」というのが、729ケースから言えることです。点検・交換費を含めると東西の回収年数の中央値は15.9年になり、南向き(14.2年)より長くなる点にも注意が必要です。

在宅時間が長い家・電気をよく使う家はどうか

同じ使用量でも、昼に家で電気を使う家ほど自家消費が増え、損得が良くなります。在宅勤務や日中に家族がいる家を想定し、平日9〜17時の使用を1.4倍にした(年間の使用量は同じ)パターンで比べました。

昼に家で電気を使う家ほど、20年で約13万〜19万円得が増える。自家消費の割合は約3〜5ポイント上がる
図11 在宅パターンの違いによる20年の収支(4.5kW南向き・月1.8万円・上昇率2%、保守・交換を除く)

どのエリアでも、20年の収支は約13万〜19万円増え、自家消費の割合は約3〜5ポイント上がりました。使う量を増やすのではなく、使う時間を昼に寄せるだけで得が増える点がポイントです。洗濯機・食器洗い乾燥機・掃除機のタイマーを昼に合わせる、エコキュートの沸き上げを昼にする(後述)などが、追加の費用がほとんどかからない方法です。

反対に、共働きで平日の昼はほぼ無人、電気代も月1万円前後という家は、太陽光の価値の多くを売電に頼ることになります。この場合は、容量を3kW前後に抑えるか、後述のエコキュートの昼間沸き上げなど、昼の使用を増やす手段と組み合わせることが損得の鍵になります。

オール電化・時間帯別プランの家は

本試算の料金プランは、各社の標準メニュー(従量電灯)だけです。オール電化で時間帯別のプランを使っている家は、昼の単価が高く夜の単価が安いため、太陽光で減らせる昼の電気の価値が標準メニューより高くなることがあります。その一方で、エコキュートを夜に沸かしている場合は、昼の使用量が少なく自家消費の割合が下がりがちです。こうした家では、エコキュートの沸き上げを昼に移す設定が、太陽光の価値を引き上げる最も手軽な方法になります(特集の角度③)。料金プラン別の比較は、卒FIT後の選択肢243ケースや都道府県別の6構成シミュレーションで試算しています。

「やめた方がいい」と言われる理由を一次情報で検証する

「太陽光はやめた方がいい」という意見の根拠は、大きく分けて「損得」「契約・業者」「屋根」「お金の借り方」「故障・劣化」の5つです。損得はここまでの試算で確かめました。残りを、公的な資料と試算で確認します。

理由1:訪問販売・点検商法のトラブル

太陽光発電システムの点検商法の相談件数は2022年度154件から2024年度613件へ、2年で約4倍に増えた(国民生活センター、PIO-NET登録分)
図12 「太陽光発電システムの点検商法」に係る相談件数(国民生活センター、2025年3月31日までのPIO-NET登録分)

国民生活センターは2025年6月4日、「太陽光発電システムの点検商法が急増!」として注意を呼びかけました(国民生活センター 報道発表資料)。相談件数は2017〜2020年度は年50〜60件台でしたが、2022年度154件、2023年度304件、2024年度613件と、2023年度・2024年度はそれぞれ前年度の約2倍に増えています。2024年度の相談では、契約当事者の平均年齢は69.1歳、平均契約購入金額は約113万円でした(同センター公表資料の参考資料、n=613のうち不明等を除く)。「点検が義務化された」「県から依頼された」などと言って無料点検を持ちかけ、洗浄・コーティングや修理、屋根工事などの契約を迫る事例が紹介されています。

同センターのアドバイスは、①「点検が義務化された」と言われても安易に契約せず、まず設置した事業者などに点検の要否を確認する、②その場で契約せず複数社から見積もりを取る、③訪問販売・電話勧誘販売なら契約書面を受け取った日から8日以内は原則としてクーリング・オフができる、④不安なときは消費者ホットライン「188」に相談する、の4点です。これは設置後のトラブルですが、設置するときも「その場で契約しない」「複数社の見積もりと試算の前提を比べる」ことが、そのまま最大の対策になります。

理由2:屋根の状態と雨漏り

太陽光パネルは屋根に20年以上載り続けます。屋根材の寿命が近い場合は、設置後に屋根を直すとき、パネルの取り外しと再設置の費用が別にかかります(本試算には含めていません)。また、屋根に穴を開けて架台を固定する工法では、施工の品質が雨漏りのリスクを左右します。屋根の改修時期、工法、施工後の雨漏りに対する保証(施工保証)の有無と期間は、見積もりの段階で書面で確認してください。2019年1月には消費者安全調査委員会が住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等の報告書をまとめており、長く安全に使うためには定期的な保守点検が大切とされています(消費者庁 消費者安全調査委員会)。

理由3:ローンの金利

本試算は自己資金での設置を前提にしています。ローンを使うと、利息の分だけ収支が悪くなり、毎月の返済と得の時期がずれます。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円・上昇率2%の家(設置費143.55万円)で確かめました。

借り方(元利均等)毎月の返済利息の総額毎月の得とのバランス20年の収支(保守・交換を除く)
自己資金———+128万円
金利2%・10年約1.32万円約15万円1〜4年目はほぼ同じ。5〜10年目は得(約1.0万円/月)が返済を下回り、10年目までの累計で約22万円の持ち出し+113万円
金利3%・15年約0.99万円約35万円5〜6年目は得が返済をわずかに下回る(月約70〜200円)が、ほぼ均衡し、7年目以降は得が上回る+94万円

毎月の得=その年の電気代の節約額と売電収入の合計÷12。名目値。点検・交換費を含めると、それぞれさらに57.4万円少なくなります。

金利2%・10年の借り方では、売電単価が24円から8.3円に下がる5年目から、毎月の得が返済を下回ります。「毎月の電気代の削減でローンが払える」という説明は、最初の4年間だけの数字になっていないかを確かめてください。返済期間を延ばすと毎月の持ち出しはほぼなくなりますが、利息の総額は増えます。

理由4:「劣化して発電しなくなる」「すぐ壊れる」という不安

パネルの劣化については、本試算の感度分析で年0.3%〜0.7%の範囲を確かめました。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円の家で、20年の収支の差は+131万円と+126万円で、約5万円しか変わりません(感度分析)。この範囲の劣化なら、損得の結論は変わらないと言えます。一方、損得を大きく動かすのは機器の故障と交換で、特にパワコンは20年の間に一度は交換する前提で考えるのが妥当です(国の資料も同じ前提です)。「壊れたら元が取れない」という不安には、保証の範囲と期間、点検の内容と費用を契約前に確認し、交換費を見込んだ試算で判断することで備えられます。定期点検そのものは必要なもので、ガイドラインでは設置後1年目、その後4年に一度が目安とされています。「点検」を口実にした高額な契約(理由1)とは、分けて考える必要があります。

理由5:「後悔した」の中身

「後悔した」という声の多くは、①思ったより発電しない(向き・影・容量の見込み違い)、②思ったより得をしない(自家消費の割合や売電単価の見込み違い)、③保守費・交換費を聞いていなかった、④業者とのトラブル、のいずれかに分けられます。①〜③は、契約前に条件を明示した試算を見れば、ほとんどが事前に分かることです。本記事の結果②・③と点検・交換の節で示したとおり、元が取れないケースの多くは「北向き」「電気代に対して大きすぎる容量」「点検・交換費の見落とし」の組み合わせでした。

それでも太陽光を選ぶ理由:導入者の声(エネがえる独自調査)

では、実際に太陽光を導入した人は、何を決め手にしたのでしょうか。エネがえるが、近所に太陽光の家があり、その後に自分も太陽光を導入した住宅所有者111人に聞いた調査の結果です。

質問上位の回答
導入を最終的に決断した理由(1つ)シミュレーション結果に納得できたから 25.2%、電気代削減効果を具体的にイメージできたから 19.8%、投資回収年数の見通しが立ったから 14.4%、補助金・助成金を活用できたから 14.4%
検討中に不安・障壁だったこと(複数回答)電気代の削減効果が見通せなかった 39.6%、投資回収にどのくらいかかるか分からなかった 37.8%、パネルの耐久性やメンテナンス費用への不安 27.9%、初期費用が高額 26.1%
導入後の経済効果「期待通り以上」と感じた人が61.3%
近所の設置を見て変わったこと(影響を受けた78人、複数回答)普及が進んでいることに安心感 50.0%、今導入しないと機会を逃すと感じた 39.7%、災害対策としても意識するようになった 29.5%

出典:エネがえる運営事務局調べ「近所の太陽光導入が購買決定に与える影響調査」(独自レポートVol.45)。2026年4月9〜10日、インターネット調査、近所に太陽光の家があり、その後に自らも太陽光を導入した住宅所有者 n=111。全国の世帯を代表する数値ではありません。調査結果

決め手の1位は「シミュレーション結果に納得できたから」、不安の上位は「削減効果が見通せない」「回収年数が分からない」、3位が「メンテナンス費用への不安」でした。導入した人も、迷った理由は本記事で確かめた論点と同じです。条件と費用をすべて書いた試算を見て納得してから決めることが、「やめておけばよかった」を避ける最も確かな方法だと言えます。

特集:太陽光の価値を4つの角度から測る

特集の結論

  1. 何もしない場合との比較:関東・4.5kW・南向き・月1.8万円なら、点検・交換を含めても20年で約71万円、支払いが少なくなりました。9エリア×電気代3水準(4.5kW・南向き・上昇率2%)では、点検・交換を含めて約−1万〜+138万円です。
  2. 値札の分解:設置費143.55万円を埋める価値の約76%は、自分で使う電気の節約(20年で206万円)でした。
  3. 次の一手:太陽光の次に検討する順番は、エコキュートの昼間沸き上げ、EVの自宅充電が先で、蓄電池とV2Hは補助しだいでした。
  4. 15年目の分かれ道:パワコン交換のタイミングで、累積の収支は一度大きく下がります。交換の費用を積み立てておく考え方が有効です。

角度① 何もしない場合との比較

「やめた方がいい」と判断する前に、比べるべき相手は「太陽光を入れずに電気を買い続ける」ことです。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円・上昇率2%の家で、20年間の支払いの累計を比べました。

何もしない場合の20年の電気代は約525万円。太陽光を入れると約396万円(点検・交換を含めると約454万円)で、約71万〜128万円少ない
図13 20年間の累計支払い(関東・4.5kW南向き・月1.8万円・上昇率2%、名目、補助なし)

何もしない場合、この家は20年で約525万円の電気代を払います。太陽光を入れると、設置費を含めた支払いは約396万円、点検・交換費を含めても約454万円で、約71万〜128万円少ない支払いで済む計算です。9エリア×電気代3水準(4.5kW・南向き・上昇率2%)に広げると、保守・交換を除いて約56万〜196万円、含めて約−1万〜+138万円でした。ほぼ損得なし(約−1万円)になったのは、点検・交換費を含めた九州・月1.2万円の家だけでした。

角度② 値札の分解:何が設置費を埋めるのか

設置費143.55万円を、20年の自家消費の節約206万円と売電66万円(1〜4年目29万円、5〜10年目14万円、卒FIT後23万円)で埋め、点検19万円とパワコン交換38万円を払っても約71万円残る
図14 20年の価値の内訳(関東・4.5kW南向き・月1.8万円・上昇率2%)

設置費約144万円に対し、20年の自家消費による節約が約206万円、売電収入が約66万円(1〜4年目約29万円、5〜10年目約14万円、11年目以降約23万円)でした。点検(約19万円)とパワコン交換(約38万円)を払っても約71万円が残ります。売電は最初の4年に集中し、20年を通して設置費を埋める主役は「自分で使う電気」です。つまり太陽光の価値は、売電単価よりも、これから電気代がどうなるか、昼にどれだけ電気を使うかで決まります。

角度③ 次の一手:蓄電池・エコキュート・EVはどれから?

太陽光を入れた後に「余った電気をどう使うか」は、エネがえるの試算記事シリーズで個別に検証しています。条件が異なる値ですが、目安として並べました。

太陽光の次の一手。エコキュートの昼間沸き上げは年約2.9万円の得、EVの太陽光充電は年約1.4万円の上乗せ、蓄電池10kWhは年約−2.9万円、V2Hは年約−6.4万円(補助なし)
図15 太陽光に追加したときの年あたりの得・負担の目安(各記事の結果から作成、条件は各記事を参照)
追加するもの年あたりの目安結果の要点詳しい試算
エコキュートの昼間沸き上げ+約2.9万円卒FIT・オール電化の家で毎日昼に沸かす設定。対応機種なら初期費用はほぼかからない卒FIT後は蓄電池?エコキュート?売電継続?243ケース
EVを自宅で太陽光充電+約1.4万円年1万km、充電の半分を太陽光でまかなった場合の上乗せ(車を買い替えるとき)EVとガソリン車どっちが安い?車種別TCO
蓄電池10kWh−約2.9万円太陽光4kWに追加。20年の収支は太陽光だけより中央値で約57万円少ない(補助なし)蓄電池は元が取れない?243ケース
V2H−約6.4万円補助なしの15年の収支は中央値−96万円(15で割った目安)。補助なしでは243ケースすべて15年以内に回収できないV2Hは元が取れない?243ケース

経済性だけで見ると、太陽光の次は「お湯」と「車」です。エコキュートの昼間沸き上げは追加の費用がほとんどかからず、自家消費を増やす最も手軽な方法です。蓄電池とV2Hは、補助を使えるか、停電への備えにいくら払うかで判断が分かれます。停電時の価値も含めた比較は各記事の特集をご覧ください。

角度④ 15年目の分かれ道:交換費を積み立てる

点検・交換費を含めた試算では、13年目のパワコン交換で累積の収支が一度大きく下がり、そこから回収をやり直す形になります。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円・上昇率2%の家で、年ごとの累積の収支を見ると次のとおりです。

累積の収支1年目4年目5年目10年目12年目13年目15年目20年目
保守・交換を除く−128万円−80万円−68万円−7万円+18万円+31万円+58万円+128万円
点検・交換を含む−128万円−84万円−72万円−15万円+7万円−18万円+8万円+71万円

累積の節約額と売電収入から設置費(143.55万円)と点検・交換費を差し引いた値(名目、補助なし)。

点検・交換を含む場合、12年目にいったんプラスになりますが、13年目の交換で再び約18万円のマイナスに戻り、14年目の途中で取り戻します。最初の4年で約48万円回収が進み、5年目からは年に約12万円ずつのペースに落ちる点も読み取れます。家計の上では、売電単価が24円の最初の4年間に、交換費の一部(たとえば年に数万円)を積み立てておくと、10年目以降の出費に慌てずに済みます。交換時に、より効率の高い機種や蓄電池と一体のハイブリッド型を選ぶかどうかも、その時点の単価で試算し直す価値があります。

向いている家・慎重に考えたい家:判断チェックリスト

確認すること向いている目安慎重に考えたい目安
屋根の向き南向き、または東西振り分け北向きの面が中心
月の電気代(年平均)1.8万円以上1.2万円前後以下(特に大容量・北向きと重なる場合)
容量と電気代の釣り合い月1.2万円なら3kW前後、月2.5万円なら4.5〜6kW電気代が少ないのに「屋根いっぱい」の提案
1kWあたりの価格(税込・工事込み)自分の家の損益分岐(中央値で約41万円/kW)より十分安い損益分岐に近い、または上回る
昼の電気の使い方在宅時間が長い、昼に家電やお湯の沸き上げを動かせる平日の昼はほぼ無人で、昼に動かせる機器もない
見積もりの前提点検費・パワコン交換費・売電単価の2段階が明記されている「10年で元が取れる」とだけ書かれ、前提が分からない
屋根の状態築年数が浅い、または改修済み10年以内に屋根の改修が必要になりそう
お金の準備自己資金、または5年目以降も返済が得を上回らない借り方5〜10年目に毎月の持ち出しが続く借り方

具体的な家で比べる:4つの例

家の例(上昇率2%)設置費自家消費の割合回収年数(除く/含む)20年の収支(除く/含む)
中部・東西振り分け・4.5kW・月2.5万円143.6万円65%9.8年/13.2年+161万円/+103万円
東北・南向き・3kW・月1.2万円95.7万円41%10.8年/17.0年+81万円/+24万円
東北・南向き・6kW・月1.2万円191.4万円22%14.1年/18.4年+74万円/+16万円
九州・北向き・6kW・月1.2万円191.4万円34%19.2年/20年超+8万円/−49万円

「除く」は保守・交換を除く、「含む」は点検5回とパワコン交換1回(計57.4万円)を含む。名目、補助なし。

東西の屋根でも、電気代が多く昼に電気を使える家は、点検・交換を含めて13年ほどで元を取ります。同じ東北・南向き・月1.2万円の家でも、6kWにすると設置費が2倍になる一方、増えた発電の大半を安く売ることになり、回収は3年以上遅くなりました。最後の例のように、北向き・大容量・電気代が少ない、が重なると点検・交換を含めて20年で約49万円の赤字になります。「やめた方がいい」が当てはまるのは、このような組み合わせです。

「慎重に考えたい」に当てはまる項目が多いほど、回収年数は長くなります。ただし、1つ当てはまるからといって「やめた方がいい」わけではありません。北向きの家でも南面や東西面だけに載せる、電気代が少ない家は容量を絞る、など設計で改善できる項目もあります。迷ったら、条件を変えた複数の試算を並べて比べるのが近道です。

相談するなら:試算の前提をすべて見せてくれる販売施工店へ

太陽光の見積もりで最も大切なのは、「どの前提で回収年数を出したのか」を書面で示してもらうことです。この記事で見たとおり、同じ家でも点検・交換費の扱いだけで回収年数は数年変わります。良い提案は、次の4点を満たしています。

  1. 年間発電量の根拠(地域の気象データ、屋根の向き・傾斜、影)と、面ごとの発電量が書かれている。
  2. 自家消費の割合と、売電単価の2段階(24円・8.3円)と卒FIT後の単価が入っている。
  3. 点検費とパワコン交換費(交換の年と金額)が入っている、または入れた場合の回収年数も示している。
  4. 容量を変えた案(例:3kWと4.5kW)を並べて、損得の違いを見せている。

エネがえるは、販売施工店・メーカー・電力会社などが使う太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーションサービスです(エネがえる)。地域の気象データと各社の電気料金プランをもとに、発電量・電気代・回収年数を試算し、前提条件を帳票に残せます。エネがえるで試算してくれる販売施工店を選ぶ理由は太陽光と蓄電池は価格だけで決めないに、試算の考え方の全体像は太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーション完全ガイドにまとめています。都道府県ごとの試算は47都道府県6構成シミュレーション、雪の多い地域は雪国の太陽光は元が取れない?をご覧ください。

※エネがえるは、本記事の試算・分析を行った国際航業株式会社が提供するサービスです。

試算を依頼するときに伝えるとよい情報

  • 直近12か月の電気の検針票(月ごとの使用量と料金)と、契約している料金プラン名
  • 平日の昼に家にいる人の有無、在宅勤務の日数
  • 給湯の方式(エコキュート・ガス)と、EVの購入予定
  • 屋根の築年数と、今後10年の改修予定
  • 自己資金かローンか(ローンなら金利と期間)

この5つが分かると、自家消費の割合と回収年数の見込みが大きく正確になります。とくに月ごとの使用量は、年平均の電気代だけで試算する場合より、季節ごとの自家消費を正しく見積もれます。

見積もりを自分で点検する5ステップ

  1. 1kWあたりの価格を出す:総額(税込・工事込み)を容量(kW)で割ります。本記事の基準は31.9万円/kW、15年回収の目安は中央値で約41万円/kWです。
  2. 年間発電量を1kWあたりに直す:南向きなら約1,130〜1,280kWh、東西なら約920〜1,050kWh、北向きなら約800〜1,010kWhが本記事の範囲です。大きく上回る場合は根拠を確認します。
  3. 自家消費の割合を確認する:月1.8万円・4.5kWで約5割が目安です。昼に無人の家で7割以上になっている場合は、前提を確認します。
  4. 売電単価を確認する:5年目から8.3円に下がる前提が入っているか、10年一律24円で計算していないかを確かめます。
  5. 点検・交換費を足す:入っていなければ、20年で約57万円(点検5回+パワコン交換1回)を足して回収年数を計算し直します。

販売施工店・事業者の方へ

お客様が「やめた方がいいと聞いた」と迷うときは、損得の結論より先に、試算の前提を一つずつ開示することが信頼につながります。点検・交換費を含めた場合と含めない場合、容量を変えた場合を並べて見せることで、「後から聞いていない費用が出てきた」という不満を防げます。エネがえるでは、複数の条件の試算を並べた比較や、前提条件を記した帳票の出力ができます。FIT・非FITの比較の考え方は2026年の住宅用太陽光FITと非FITを比較を、O&M費用の考え方は太陽光・蓄電池O&M費用の完全解剖を参考にしてください。

よくある質問

太陽光発電は本当に元が取れますか?

本記事の729ケースでは、保守費・パワコン交換費を除くと639ケース(88%)が15年以内、727ケースが20年以内に回収できました(中央値11.6年)。点検とパワコン交換(20年で57.4万円)を含めると、15年以内は293ケース(40%)、20年以内は608ケース(83%)、中央値は16.2年です。南向き・東西向きで、月の電気代が1.8万円以上の家は、多くの条件で元が取れる計算でした。

太陽光はやめた方がいいのはどんな家ですか?

北向きの屋根が中心の家、月の電気代が1.2万円前後なのに大きな容量を載せる家は、点検・交換費を含めると20年でも元が取れないことがあります。北向き×月1.2万円の家では、点検・交換費を含めると20年以内に回収できたのは81ケース中17ケースでした。屋根の改修が近い家も、取り外し・再設置の費用を見込む必要があります。

何年で元が取れますか?

関東・4.5kW・南向き・月1.8万円・電気代上昇率2%の家で、保守・交換を除いて約10.6年、点検・パワコン交換を含めて約14.4年でした(12年目にいったん元を取りますが、13年目の交換で再びマイナスになるため)。全国729ケースの中央値は、除く場合11.6年、含む場合16.2年です(20年以内に回収できないケースも「20年超」として含めた中央値)。

売電単価が下がったのに、なぜ元が取れるのですか?

2025年10月以降の住宅用太陽光は、1〜4年目の売電単価が24円と高く、最初の4年で回収が大きく進みます。5年目以降は8.3円に下がりますが、家で使う電気は約30〜45円の買う電気を減らすため、売る電気の約4〜5.5倍(買う電気の第3段階÷8.3円)の価値があります。関東・4.5kW・南向き・月1.8万円の家では、20年の価値の約76%が自分で使う電気の節約でした。

東西向きの屋根でも元が取れますか?

東西振り分けの屋根は、南向きより発電が約2割少ないものの、朝と夕方の発電を家で使いやすいため、20年の収支の差は約16%でした。保守・交換を除く回収年数の中央値は11.5年(南向き10.3年)です。点検・交換費を含めると15.9年(南向き14.2年)になるため、価格と容量をよく比べることが大切です。

何kW載せるのがよいですか?

電気代によって変わります。20年の収支の中央値が最も大きいのは、月1.2万円の家で3kW、月1.8万円の家では3〜6kWでほぼ同じ、月2.5万円の家で4.5〜6kWでした。電気代が少ない家ほど、容量を増やしても増えた発電の多くを安い単価で売ることになり、得は増えません。

メンテナンス費用はどのくらいかかりますか?

国の調達価格等算定委員会の資料に載っている太陽光発電協会へのヒアリング値では、定期点検が1回約3.8万円(3〜5年ごと)、パワコン交換が20年で1回38.4万円(5kW想定)です。本記事では、4年ごとの点検5回とパワコン交換1回で、20年で合計57.4万円としました。交換が15年目までに来ると、15年時点で累積の収支がプラスのケースは4割(293ケース)にとどまり、18年目以降なら7〜8割に上がります。

訪問販売で「点検が義務化された」と言われました。どうすればいいですか?

国民生活センターは、安易に契約せず、まず設置した事業者などに点検の要否を確認すること、その場で契約せず複数社から見積もりを取ることを呼びかけています。訪問販売や電話勧誘販売の場合は、契約書面を受け取った日から8日以内なら原則としてクーリング・オフができます。不安なときは消費者ホットライン「188」に相談してください。

試算の前提条件(すべて公開)

項目設定値根拠・出典
試算期間20年(15年・10年の回収も集計)調達価格等算定委員会の運転年数の想定(20年)
ケース9エリア×容量3×屋根の向き3×月額電気代3×上昇率3=729ケース—
電気料金各社の標準メニュー(北海道・東北・関東・中部・九州は従量電灯B、関西・四国・中国は従量電灯A、沖縄は従量電灯)。2026年11月1日改定後の単価、燃料費調整は2026年12月分(国の支援値引きなし)、税込各社公式の料金単価表・燃料費調整単価(確認日2026-10-30)。例:東京電力EP、関西電力、九州電力、沖縄電力。全エリアの出典は蓄電池243ケース記事の前提条件と共通
再エネ賦課金4.18円/kWh(全期間一定)経済産業省 2026年3月19日公表
電気代の上昇率年1%/2%/3%(買う電気の料金全体に適用。売電単価には適用しない)。感度分析で0%資源エネルギー庁 エネルギー動向(電灯単価の推移)から設定
使用量と使い方月額電気代(年平均1.2万/1.8万/2.5万円)から料金表を逆算して年間使用量を決定。平日と休日で異なる1時間ごとの典型的な使用パターンに季節変動を反映。在宅多めのパターンは平日9〜17時を1.4倍(年間量は同じ)蓄電池243ケース記事と共通のモデル
売電単価1〜4年目24円、5〜10年目8.3円(初期投資支援スキーム)、11年目以降は各社の卒FIT買取単価資源エネルギー庁 買取価格・期間等
卒FIT買取単価東北9.0円、関東8.5円、北海道・関西8.0円、沖縄7.5円、中国7.15円、中部・四国・九州7.0円各社公式(例:東京電力EP、中部電力ミライズ、九州電力)。沖縄は2019年の発表値(報道)で、2026年時点の公式確認はできていません。沖縄の81ケースで卒FIT単価を7.0円にしても20年の収支の中央値は約2万円減るだけで15年回収の数は変わらず、5.0円でも約11万円減、15年以内の回収は80→78ケース(点検・交換を含むと51→47ケース)でした
発電量各エリアの代表都市の気象(PVGIS-ERA5 2016〜2023年の時間値の平均、システム損失14%)。南向き:傾斜30度・方位0度、東西:傾斜30度で東(−90度)と西(+90度)に半分ずつ、北向き:傾斜15度・方位180度。全国平均の設備利用率13.7%に合わせて全エリア一律に補正(係数約0.905)。劣化は年0.5%欧州委員会 PVGIS、調達価格等算定委員会(設備利用率の想定13.7%)
設置費31.9万円/kW(工事込み・税込)。容量に比例。感度分析で28.1万〜41.8万円同委員会資料の2025年設置実績(全体平均29.0万円/kW)を税抜と仮定し、消費税10%を加算
点検・パワコン交換「含めない」と「含める」の両方で集計。含める場合は4・8・12・16・20年目に点検3.8万円、13年目にパワコン交換38.4万円(20年で57.4万円)。交換年は10〜20年目で感度分析同委員会資料(p.32、JPEAヒアリング値:点検1回約3.8万円を3〜5年ごと、PCS交換20年で1回38.4万円)。交換年は仮定
補助金なし(感度分析で1kWあたり0〜15万円を仮定)自治体により金額・条件が異なるため仮定値で比較
含めていないものローン金利(別表で例示)、割引率(現在価値への換算)、屋根改修時のパネル脱着費、撤去・廃棄費、固定資産税等、停電時の価値、パネルや機器の故障—

この試算の限界

  • 太陽光単体の本試算は、エネがえるASPでの照合を行っていません。料金・使用パターン・発電の計算部分は、ASPで31ケースを照合した蓄電池243ケース記事のモデルと共通です。屋根の向き別の発電量はPVGISの方位別データで計算しました。
  • 発電量は代表都市の気象の平均で、影・積雪・汚れ・パネルの品質による差は含みません。雪の多い地域は雪国の太陽光の試算を参照してください。
  • 全エリアで一律の補正係数を使っており、エリアごとの実績値に合わせたものではありません。
  • 電気の使い方は典型的なパターンで、実際の家庭の在宅時間・家電・給湯方式によって自家消費の割合は変わります。料金プランは標準メニューのみで、時間帯別プランやオール電化プランは試算していません。
  • 設置費は容量に比例と仮定しました。実際には小容量ほど1kWあたりの価格が高くなる傾向があります。
  • パワコン交換の年と金額、点検の頻度は仮定を含みます。故障による臨時の修理費、屋根改修時の脱着費、撤去・廃棄費は含めていません。
  • 電気代の上昇率は20年間一定と仮定しています。実際の電気代は燃料価格や制度で上下します。
  • 売電単価は2025年10月以降の認定を前提にしています。11年目以降の卒FIT単価は現在の公表値が続くと仮定しました。
  • 金額は名目値で、将来の価値を割り引いていません。割り引くと回収年数は長くなります。

ファクトチェック・エビデンス検証一覧

この記事の主要な数値と主張を、どの方法で検証し、どの根拠に基づいているかを一覧にしました。出典はできる限り一次情報(官公庁・電力会社・公的機関の公式資料)にリンクしています。

検証の方法

  1. 一次情報との照合:単価・制度・統計は、官公庁・電力会社・公的機関の公式資料で値と条件を確認しました(確認日:2026年10月30日〜11月1日)。
  2. 独立計算モデルによる再計算:8,760時間の計算モデルで729ケースを試算し、コードとケース別データ(CSV)で管理しています。
  3. 既存モデルとの整合:南向きの発電・料金・使用量の計算が、ASPで照合済みの蓄電池243ケース記事のモデルと一致することを確認しました。
  4. 独立レビュー:独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。最終的な内容の責任は、エネがえる(国際航業株式会社)にあります。

根拠の区分

区分意味
A 一次情報官公庁・電力会社・公的機関の公式資料で確認した値
B 業界資料業界団体のヒアリング値・ガイドライン
C 独自調査エネがえる運営事務局のインターネット調査。全国の世帯を代表する値ではない
M 計算結果本記事の独立計算モデルの結果
H 仮定値確かな統計がないため置いた値。幅やパターンで示している

前提条件と外部データの検証

項目記事での値区分検証結果出典
FIT売電単価1〜4年目24円、5〜10年目8.3円A確認済み資源エネルギー庁
再エネ賦課金4.18円/kWh(2026年度)A確認済み経済産業省
9エリアの電気料金・卒FIT単価本文の表のとおりA確認済み(沖縄の卒FIT単価は報道値で未確認)各社公式(前提条件)
設置費31.9万円/kW(税込)A/H条件付き。実績平均29.0万円/kWは確認済み。税抜か税込かは資料に記載がなく、税抜と仮定調達価格等算定委員会
点検費・パワコン交換費点検1回3.8万円、交換38.4万円B/H確認済み(JPEAヒアリング値、5kW想定)。点検の年と交換の年は仮定同上 p.32
設備利用率の想定13.7%A確認済み同上
方位別の発電量PVGIS-ERA5 2016〜2023年A/M確認済み。積雪・影は含まないPVGIS
点検商法の相談件数2022年度154件、2023年度304件、2024年度613件A確認済み(2025年3月31日までのPIO-NET登録分)国民生活センター
相談の平均年齢・平均契約購入金額69.1歳、約113万円(2024年度)A確認済み同上(参考資料)
定期点検の推奨頻度設置後1年目、その後4年に一度B確認済み(JEMA・JPEA ガイドライン、国民生活センター資料で紹介)同上
東京都の住宅用太陽光の補助新築・既存、発電出力で単価・上限が異なるA確認済み(金額は本記事では使用せず)東京都
使用パターン・在宅多め1.4倍・補助額本文のとおりH仮定値。感度分析・説明用のパターンとして使用—

結果と主張の検証

主張区分検証方法結果
15年以内に回収:639ケース(除く)/293ケース(含む)、729ケース中M独立モデル(ケース別CSV)確認済み
回収年数の中央値11.6年/16.2年(20年超を含む。含む場合は累積が最後にプラスへ転じた時点)M同上確認済み
東西は発電が約19%少なく、収支は約16%少ないM同じ条件どうしの比(中央値、各243ケース)確認済み
15年回収の設置費は中央値約41.2万円/kWM15年の価値の累計÷容量確認済み(保守・交換を除く)
何もしない場合より約71万〜128万円少ない(関東・4.5kW・南向き・月1.8万円)M独立モデル確認済み(名目、補助なし)
ローン(2%・10年)で10年目までに約22万円の持ち出しM元利均等返済と年ごとの得の比較確認済み(例示の1ケース)
次の一手の目安(+2.9/+1.4/−2.9/−6.4万円/年)M各シリーズ記事の結果を年あたりに換算条件付き。各記事で前提が異なるため目安

アンケート調査

主張区分調査の条件出典
決断の理由1位は「シミュレーション結果に納得」25.2%C2026年4月、インターネット調査、太陽光を導入した住宅所有者 n=111エネがえる運営事務局調べ(Vol.45)

更新履歴

  • 2026年11月1日:公開(2026年11月改定後の単価、燃料費調整12月分)。

この一覧は、条件の更新に合わせて毎月見直します(燃料費調整・再エネ賦課金・売電単価の変更を確認し、変化があれば再計算)。誤りに気づいた場合は、エネがえるまでお知らせください。

シリーズの全テーマ:エネがえる試算ライブラリ(12テーマの結論を1ページで比較)

試算・分析:エネがえる(国際航業株式会社)/公開日:2026年11月1日/試算条件の確認日:2026年10月30日〜11月1日。関連する試算:蓄電池は元が取れない?全国9エリア243ケース・卒FIT後は蓄電池?エコキュート?売電継続?243ケース・V2Hは元が取れない?243ケース・雪国の太陽光は元が取れない?・太陽光は元が取れない?設置価格・自家消費・屋根条件で検証・電気代40年間の累積シミュレーション。毎月、燃料費調整・再エネ賦課金・補助金の最新情報を確認し、変化があれば再計算して更新します。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら)

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
導入事例を見る / 主な導入・活用先の掲載情報
エネがえる全体の実績です。掲載先には導入・連携・実証・事例掲載等を含みます。

ご相談・お問い合わせ
エネがえるのご相談はもちろん、新規事業開発、アライアンス、執筆・セミナー講演、リサーチやデータセット開発などのご相談も承ります。まだ具体的に決まっていないお話でも、お気軽にご連絡ください。
TEL:070-3669-8761 / Mail:satoru_higuchi@kk-grp.jp

コメント

たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
たった15秒でシミュレーション完了!
誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!