結論から言います。スーパーの屋根の自家消費型太陽光は、冷凍冷蔵ショーケースが夜も週末も電気を使い続けるため、発電した電気をほぼ全部その場で使い切れます。エネがえるの288ケース(8店舗モデル×太陽光2通り×蓄電池3通り×電気代上昇率3通り×冷凍機2通り)の試算では、太陽光だけの96ケースはすべて10.7年以内に回収でき、中央値は7.7年でした(税抜、保守費を除く)。一方で、蓄電池の上乗せ分が15年以内に回収できたケースは192ケース中0。そして見落とされがちなのが、冷凍機の省エネは、屋根の太陽光と同じ規模の削減になることです(中型店・関東で年約398万円対365万円、冷凍冷蔵の電力を2割減らす仮定)。
3つの答え
- 太陽光は、スーパーなら全エリア・全規模で元が取れる(太陽光のみの96ケース=8店舗モデル×太陽光2通り×上昇率3×冷凍機2、すべて10.7年以内・中央値7.7年)。営業時間外も冷凍冷蔵の負荷が残るため、自家消費率は全ケースで99.8%以上でした。保守費とパワーコンディショナの交換費を入れると中央値8.6年、最長13.1年(小型店・九州・カーポート込み・上昇率1%)です。
- 蓄電池は「元を取る設備」ではない。蓄電池を足した192ケースのうち、蓄電池の上乗せ分が15年以内に回収できたのは0ケースでした。年間の最大需要が太陽光の発電しない夕方〜夜に長く続くため、契約電力の0.2〜0.4時間分の容量では最大需要を4〜8%しか下げられません。低圧の小型店では基本料金がそもそも下がらず、削減額はマイナスです。
- 太陽光より先に、冷凍機を見る。冷凍冷蔵が店舗の電力量の50%を占め、インバータ化・高効率化でその2割を減らせると仮定すると、年間の電気代は約9〜10%下がります。中型店・関東では年約398万円で、屋根の太陽光150kWの初年度削減額(約365万円)を上回ります。省エネ率と冷凍冷蔵の比率の幅(10〜30%×40〜60%)では年約159万〜716万円です。
この記事で分かること(数値の要点)
- 太陽光の回収年数は5.7〜10.7年(保守費・交換費込みで6.4〜13.1年)。エリア別の中央値(保守費込み)は関西7.6年、関東8.5年、九州9.7年。店舗が大きいほど設置単価が下がり、早く回収できます。
- カーポートを足すと、太陽光でまかなえる電気の割合は約2倍(屋根のみ8〜14%→屋根+カーポート16〜24%)。その代わり回収は1.1〜1.6年遅れます(上昇率2%、保守費込み)。それでも20年の手残りは中型店・関東で約4,611万円→約8,169万円に増えます。
- 高圧の店舗で蓄電池が元を取れる価格は、現実的な運転で約4.7万〜9.6万円/kWh、完全予見の上限では約6.9万〜14.0万円/kWhで、最も条件の良いケースは想定価格14万円/kWh(税抜)とほぼ同じです。
- 停電時に冷凍冷蔵を守れるのは「1時間前後」。中型店で蓄電池120kWh(契約電力×0.4時間分)なら、夜に停電した場合の持続時間は約0.9時間です(出力を120kWにした場合。経済性の試算と同じ出力60kWでは0時間)。夜に3時間守るには約420kWh、12時間なら約1,682kWhが必要になります(満充電・出力1C、単純計算)。
- CO2の削減量も、冷凍機の省エネは屋根の太陽光とほぼ同じ規模です(関東の中型店で年74t対78t。電気の排出係数は東京電力EPの残差0.000452t-CO2/kWh)。
- 冷凍機を先に省エネしても、太陽光の回収年数はほとんど変わりません(差は0.01年以内)。需要が減っても、昼の発電は引き続き店内で使い切れるためです。
検証の主体:エネがえる(国際航業株式会社)。288ケースは1時間単位(8,760時間)の独立計算モデルで試算しました。店舗の需要の形は合成プロファイルで、実際の店舗の30分デマンドデータではありません。冷凍冷蔵の比率(電力量の50%)と省エネ率(20%)は仮定です。独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。
なぜスーパーを別に計算するのか
スーパー・食品小売のエネルギーの使い方は、工場ともオフィスとも違います。違いは次の4点です。
- 夜も止まらない冷凍冷蔵がある。冷凍・冷蔵のショーケースと冷凍機は、閉店後も商品を守るために動き続けます。今回の合成プロファイルでは、閉店後の需要は最大需要の4〜5割です(図1)。昼の発電を余らせないので、太陽光の自家消費率はほぼ100%になります。
- 年間の最大需要は「夏の夕方〜閉店前」に出る。空調と冷凍機が重なり、太陽光が弱まる夕方から閉店時刻まで高い需要が続きます。太陽光だけでは契約電力はまったく下がらず(今回の試算では全店舗で0kW)、蓄電池でも長いピークを削りきれません。
- 薄利で、電気代の重みが大きい。食品スーパーは価格競争が激しく、利益率が薄い業態です。業界3団体の2026年版スーパーマーケット年次統計調査では、売上高営業利益率は平均1.25%(中央値1.03%、307社)です(B)。人件費の上昇と電気代の上昇が同時に利益を圧迫します。営業利益率1%の店舗なら、電気代を年400万円下げることは、売上を4億円伸ばしたのと同じ利益になります(自店の営業利益率で換算してください)。
- 止まると商品を失う。停電で冷凍冷蔵が止まれば、商品の廃棄と販売機会の損失が生じます。地域の食料供給の拠点として、災害時の営業継続を求められる場面もあります。
エネがえるの業種別×規模別の試算(216ケース)では、スーパーを9業種のひとつとして扱いました。この記事は、そのスーパーを店舗規模(低圧の小型店から高圧の大型店まで)、カーポートの有無、冷凍機の省エネ、停電時に冷凍冷蔵を守れる時間まで掘り下げたものです。太陽光と蓄電池の容量の決め方そのものは、スーパーマーケットの太陽光・蓄電池 最適な容量決め方ガイドで解説しています。本記事は、その容量で実際にいくら得になるかを、公開の料金単価で計算した検証編です。
この記事の読み方を先に示します。「元が取れるか」だけを知りたい方は結果①〜③、停電対策を検討している方はBCPの節、チェーン全体の計画を立てる方は「店舗の順番」と「店舗規模別の読み解き」から読んでください。すべての数値は、前提条件の表とファクトチェックの一覧で根拠をたどれるようにしています。
なお、ここで扱う「スーパー」は、生鮮食品と日配品を中心に扱う食品スーパーを想定しています。冷凍冷蔵の比率が小さいドラッグストアやホームセンター、24時間営業のコンビニエンスストアは需要の形が違うため、本記事の数値をそのまま当てはめないでください。ただし「夜も止まらない負荷があるほど太陽光は使い切れる」「最大需要が夕方に出るほど蓄電池は効きにくい」という構造は共通しています。

経営課題からエネルギー費の打ち手までを4段で整理する
店舗のエネルギー対策は、設備から考えると失敗しやすくなります。エネがえるでは、業種を扱うときに次の4段で整理しています。①経営課題 → ②エネルギー費の構造 → ③打ち手の順番 → ④この試算で確かめたことです。数値には出どころの区分を付けています(A:公的な一次情報、B:業界団体・二次資料、M:本記事の計算、H:仮定・専門家判断)。
①経営課題:電気代は「利益」と「人」と「食品ロス」の問題でもある
スーパーの経営者にとって、電気代は単独の課題ではありません。打ち手は、ほかの経営課題を一緒に解くものほど社内で通りやすくなります。
| 経営課題(H) | エネルギーとのつながり | 一緒に解ける打ち手 |
|---|---|---|
| 薄利・価格競争 | 電気代はほぼ固定費として利益を削る。値上げで吸収しにくい | 冷凍機の省エネ、屋根の太陽光(使った量の単価を下げる) |
| 人手不足・人件費の上昇 | 閉店後の手作業(ナイトカバー、消灯)が負担になる | 扉付きショーケース、自動制御(人に頼らない省エネ) |
| 食品ロス・商品の品質 | 冷凍冷蔵の温度管理の失敗や停電が廃棄に直結する | 冷凍機の更新と監視、停電時の重要負荷の切り分け |
| 冷媒規制(フロン) | 機器の点検・記録の義務、漏えい時の報告。古い冷媒の機器ほど負担が増える | 自然冷媒の冷凍機への計画的な更新(省エネと同時に実施) |
| 取引先・地域からの脱炭素要請 | 上場企業や大手チェーンは店舗の排出量の開示を求められる | 屋根・カーポートの太陽光、再エネの調達 |
| 災害時の営業継続 | 停電で冷凍冷蔵・レジ・照明が止まる | 守る負荷を絞った蓄電池、非常用発電機、保冷の運用 |
冷媒について補足します。フロン排出抑制法は、業務用の冷凍冷蔵機器・空調機器の管理者に、すべての機器の3か月に1回以上の簡易点検、圧縮機の定格出力7.5kW以上の機器の専門家による定期点検(冷凍冷蔵機器は1年に1回以上)、点検・整備の記録の保存(機器の廃棄後3年まで)を求めています。算定漏えい量が年1,000t-CO2以上の事業者には国への報告義務もあります(環境省 フロン排出抑制法ポータルサイト、A)。冷凍機の更新を「省エネ」だけでなく「冷媒の管理負担を減らす投資」として説明できると、稟議が通りやすくなります。
②エネルギー費の構造:電気が中心、そのうち冷凍冷蔵が最大
スーパーのエネルギー費は、電気が中心です。惣菜の調理や一部の空調(ガスヒートポンプ)でガスを使う店舗もありますが、多くの店舗では、冷凍冷蔵・空調・照明の電気が大部分を占めます。生鮮・日配が中心の食品スーパーでは冷凍冷蔵が電力の大きな部分を占めるとされ、本記事では電力量の50%(幅40〜60%)と仮定しました(H)。ただし衣料・住居関連の売場が大きい総合スーパーでは比率が大きく下がります(省エネルギーセンター「商業施設のエネルギー消費構造」では、大規模な総合スーパーのエネルギー消費のうち冷凍冷蔵は10.4%で、熱源・空調が最大、A)。実際の比率は店舗の設備と売場構成で大きく違うため、自店のサブメータや設備リストで確認してください。
電気代の中身を見ると、もうひとつの特徴が分かります。電気代の8〜9割は「使った量」で決まり、基本料金は高圧の店舗で15〜18%、低圧の小型店で9〜11%でした(図2、M)。基本料金を下げる蓄電池より、使う量を減らす省エネと、使う電気の一部を自分で作る太陽光の方が効きやすい構造です。

| 店舗モデル(H) | 契約電力 | 年間使用量 | 年間電気代(税抜) | うち冷凍冷蔵の電力量 |
|---|---|---|---|---|
| 小型店(低圧、売場の小さい店舗の目安) | 50kW | 約27万kWh | 約616万〜700万円 | 約14万kWh |
| 中型店(高圧、電気代が年4,000万円規模の食品スーパーの目安) | 300kW | 約165万kWh | 約3,900万〜4,200万円 | 約82万kWh |
| 大型店(高圧、食品売場が中心の大型食品スーパーの目安) | 1,000kW | 約549万kWh | 約1.30億〜1.40億円 | 約275万kWh |
関東・関西・九州の値の幅。冷凍機は現状のまま。年間使用量は負荷率(年間平均÷最大)約0.63の合成プロファイルから計算(M/H)。業界3団体の2026年版スーパーマーケット年次統計調査では、1店舗あたりの年間電気料金の中央値は約2,130万円(回答156社)で、本記事の中型店はその約2倍の規模です(B)。
③打ち手の順番:運用 → 省エネ → 創エネ → 蓄エネ・蓄熱 → 調達 → モビリティ
エネがえるの業種別エネルギー課題マップでは、運用・契約 → 省エネ → 電化・熱転換 → 創エネ → 蓄エネ・蓄熱 → 調達 → モビリティを基本の順番としています。熱需要の小さいスーパーでは電化・熱転換の段を省き、次の順に整理しました:運用 → 省エネ → 創エネ → 蓄エネ・蓄熱 → 調達 → モビリティ。スーパーでこの順番が特に重要な理由は、前の段の打ち手が後の段の設備の大きさを変えるからです。

| 段 | スーパーでの主な打ち手 | この記事での位置づけ |
|---|---|---|
| ①運用 | 閉店後の照明・空調の停止、ナイトカバーの徹底、ショーケースの霜取り・設定温度の見直し、デマンド監視 | 試算せず(投資が小さく、最初にやる) |
| ②省エネ | 冷凍機のインバータ化・高効率化、扉付きショーケース、LED照明、空調の更新 | 冷凍機の省エネを試算(年間電気代の約9〜10%) |
| ③創エネ | 屋根の自家消費型太陽光、駐車場のカーポート型太陽光 | 試算(96ケース) |
| ④蓄エネ・蓄熱 | 蓄電池(ピークカット・BCP)、冷凍機の排熱回収による給湯 | 蓄電池を試算(192ケース)、停電時の持続時間を計算 |
| ⑤調達 | 再エネ電力メニュー、オフサイトPPA、非化石証書 | 試算せず(オフサイトPPAの試算を参照) |
| ⑥モビリティ | ネットスーパーの配送車のEV化、来店客向けEV充電器 | 試算せず(商用EVの試算を参照) |
規模で変わること:低圧の小型店・高圧の中型店・大型店
- 低圧(契約電力50kW未満)の小型店:基本料金は契約で決まり、蓄電池で下げることはできません。電気代の9割が使った量なので、省エネと屋根の太陽光が中心です。屋根が小さいため、太陽光の設置単価は高めになります。
- 高圧・500kW未満の中型店:契約電力は、過去12か月の30分ごとの使用量の最大値で決まる「実量制」が一般的です。一度高いデマンドを出すと、1年間基本料金が下がりません。デマンド監視と冷凍機の省エネで最大需要を抑える価値があります。
- 高圧・500kW以上の大型店:契約電力は電力会社との協議で決まります。複数店舗をまとめた電力の調達や、本部主導の設備の標準化が効く規模です。省エネ法では、企業全体(全店舗の合計)のエネルギー使用量が原油換算1,500kL以上の事業者が特定事業者になり、フランチャイズチェーンでは本部が特定連鎖化事業者として加盟店分も含めて判定されます(B)。指定されると、エネルギー消費原単位の改善と定期報告が求められます。
④この試算で確かめたこと・確かめていないこと
確かめたのは、太陽光(屋根/屋根+カーポート)、蓄電池(契約電力×0.2・0.4時間分)、冷凍機の省エネの有無について、3エリア・3規模での電気代と回収年数、停電時に冷凍冷蔵を守れる時間です。確かめていないのは、運用改善・照明・空調の省エネ、ガスの使用、再エネの調達、EV、補助金を使った場合の回収です。これらは前提条件と限界の節に整理しました。
検証の方法:8店舗モデル×太陽光2×蓄電池3×上昇率3×冷凍機2=288ケース
ケースの数え方を先に示します。「店舗モデル」は規模とエリアの組み合わせです。関西の低圧電力は公開の料金を収録していないため、小型店は関東と九州の2エリアだけで計算しました。
| 軸 | 水準 | 数 |
|---|---|---|
| 店舗モデル | 小型店(低圧50kW)×関東・九州、中型店(高圧300kW)×関東・関西・九州、大型店(高圧1,000kW)×関東・関西・九州 | 8 |
| 太陽光 | 屋根のみ(契約電力の60%・50%・40%=30kW・150kW・400kW)、屋根+カーポート(さらに40%・50%・40%を追加) | 2 |
| 蓄電池 | なし、契約電力×0.2時間分、×0.4時間分(例:中型店で60kWh・120kWh) | 3 |
| 電気代上昇率 | 年1%・2%・3%(基本料金・電力量料金とも) | 3 |
| 冷凍機 | 現状のまま、省エネ(冷凍冷蔵の電力を20%削減) | 2 |
| 合計(太陽光のみ96ケース、蓄電池あり192ケース) | 288 | |
計算は1時間ごと(年8,760時間)です。太陽光の発電量は、EUの共同研究センターが公開するPVGISの東京・大阪・福岡の1時間値を使い、劣化を年0.5%としました。逆潮流(送電網への売電)はせず、余った電気は蓄電池に充電するか、捨てる(出力抑制)前提です。高圧の店舗では、蓄電池を「年間の最大需要を下げる」運転にし、翌日の需要を完全に予測できる場合(上限)の7割まで達成できる運転を「現実的な値」としました。回収年数は「累積収支が最後にプラスに転じた年」で数え、回収できないケースは中央値の計算で「20年超」として含めています。
何で稼ぐのか:使った量の単価と、基本料金
太陽光・蓄電池・省エネで電気代が下がる仕組みは、2つに分けられます。
- 使った量(電力量料金・燃料費調整・再エネ賦課金)を減らす:太陽光の自家消費と省エネが該当します。高圧の店舗では、1kWhあたり税抜で関東約21円、関西約21〜22円、九州約19〜20円の支払いが減ります(2026年11月以降の単価、賦課金4.18円込み、税抜換算)。
- 契約電力(基本料金)を減らす:蓄電池と、ピーク時間の需要を減らす省エネが該当します。高圧の基本料金は1kWあたり月約1,700〜2,040円(力率割引後、税抜)なので、契約電力を10kW下げると年約20万〜24万円です。
スーパーの場合、年間の最大需要は夏の夕方から閉店前にかけて出ます。この時間には太陽光の発電がほとんどないため、太陽光だけでは契約電力が下がらない(今回の試算では全店舗で0kW)という点が、工場や学校との大きな違いです。
結果①:太陽光は96ケースすべてが10.7年以内に回収、中央値7.7年
太陽光だけを入れた96ケース(8店舗モデル×太陽光2通り×上昇率3×冷凍機2)は、すべて10.7年以内に回収できました。中央値は7.7年、保守費(年3,000円/kW)と13年目のパワーコンディショナ交換(2万円/kW)を入れると8.6年です。保守費込みでも全ケースが15年以内に回収し、10年以内は96ケース中80ケースでした。

| 店舗・太陽光 | 回収年数(保守費なし) | 回収年数(保守費・交換費込み) | 太陽光でまかなえる電気の割合 |
|---|---|---|---|
| 小型店・屋根のみ(30kW) | 7.5〜9.3年 | 8.3〜10.6年 | 12〜14% |
| 小型店・屋根+カーポート(50kW) | 8.5〜10.7年 | 9.3〜13.1年 | 21〜23% |
| 中型店・屋根のみ(150kW) | 6.4〜7.9年 | 7.1〜9.0年 | 10〜12% |
| 中型店・屋根+カーポート(300kW) | 7.5〜9.4年 | 8.3〜10.7年 | 21〜24% |
| 大型店・屋根のみ(400kW) | 5.7〜7.0年 | 6.4〜8.0年 | 8〜10% |
| 大型店・屋根+カーポート(800kW) | 6.9〜8.5年 | 7.6〜9.7年 | 16〜20% |
幅は3エリア(小型店は2エリア)×上昇率3×冷凍機2の範囲。まかなえる割合=太陽光の自家消費量÷店舗の年間使用量(M)。
エリア別の中央値(保守費込み)は、関西7.6年、関東8.5年、九州9.7年でした。九州は電力量料金が安いため、同じ発電量でも削減額が小さくなります。電気代の上昇率による違いは小さく、中央値(保守費なし)は上昇率1%で7.9年、3%で7.4年です。
設置費用が想定より高くても成り立つか
設置費用を3割増し(屋根約21万〜29万円/kW、カーポート約30万〜39万円/kW)にすると、上昇率2%の32ケースのうち30ケースが保守費込みで15年以内に回収しました(中央値11.0年)。15年を超えたのは九州の小型店・カーポート込みの2ケース(冷凍機の省エネの有無)で、15.3年でした。屋根の太陽光は、見積もりが多少高くても成り立ちやすい投資です。
カーポートを足すかどうか
屋根だけでは、太陽光でまかなえる電気は店舗の8〜14%にとどまります。駐車場にカーポート型の太陽光を足すと、16〜24%に増えます。夜も冷凍冷蔵を使うスーパーでは、カーポート分の発電も余らず使い切れました(自家消費率99.8%以上)。
一方で、カーポートは架台の費用がかかるため、今回は屋根より1kWあたり7万〜8万円高く置きました(仮定)。その結果、回収は1.1〜1.6年遅れます(上昇率2%、保守費込み)。それでも20年間の手残りは大きくなり、中型店・関東では約4,611万円(屋根のみ)から約8,169万円(屋根+カーポート)に増えます(図6)。回収の早さを重視するなら屋根から、削減額とCO2の総量を重視するならカーポートまで、という判断になります。


季節と時刻で見る、太陽光の効き方
中型店・関東に屋根+カーポート300kWを載せた場合、太陽光でまかなえる割合は月によって約17〜25%の幅がありました。最も高いのは4月(約25%)で、需要がまだ小さく日射が強い春です。最も低いのは9〜10月(約17%)で、残暑で空調と冷凍機の負荷が高いのに、日射が弱まり始めるためです。真夏の7〜8月は発電が多いものの需要も最大になり、割合は約19〜21%にとどまります。
時刻で見ると、太陽光を入れる前の需要の上位50時間は営業時間(9〜21時)に広く分かれていましたが、屋根の太陽光150kWを入れた後の買電の上位50時間は、すべて16時以降(中心は17〜19時)に移りました。月で見ると、太陽光を入れる前の上位50時間はすべて8〜9月、入れた後も50時間中46時間が8〜9月でした。太陽光は昼の山を削り、残ったピークは夕方に集まる。これが、蓄電池やデマンド制御を考えるときの出発点になります。閉店後(22時〜翌9時)の電力量は年間の約29%で、この部分は太陽光では減らせず、冷凍冷蔵の効率でしか下げられません。
中型店・関東の姿(電気代上昇率2%)
- 年間電気代:約4,204万円(税抜)、年間使用量 約165万kWh、契約電力300kW
- 屋根の太陽光150kW:設置費用 約2,700万円、初年度の削減額 約365万円、回収7.0年(保守費込み7.9年)、20年の手残り 約4,611万円
- 太陽光でまかなえる電気:約11%(年約17万kWh)、CO2削減 年約78t
- 契約電力の変化:太陽光だけでは0kW(最大需要は夕方以降に出るため)
結果②:蓄電池の上乗せ分が15年で回収できたのは192ケース中0
蓄電池(契約電力×0.2時間分・0.4時間分、14万円/kWh・税抜)を足した192ケースのうち、蓄電池の上乗せ分が寿命の15年以内に回収できたケースはありませんでした。翌日の需要を完全に予測できる上限の運転でも0ケースでした。ただし上限の損益分岐価格は最大約13.97万円/kWh(中型店・九州・屋根+カーポート・冷凍機の省エネあり・0.2時間分・上昇率3%)で、想定価格14万円とほぼ同じです。価格がわずかに下がるか補助があれば、完全予見に近い制御では回収圏に入ります。
理由は3つあります。
- ピークが長い。スーパーの最大需要は、夕方から閉店前まで数時間続きます(図7)。中型店で120kWh(契約電力×0.4時間分)を入れても、最大需要は300kWから約280kWへ、約7%しか下がりませんでした。年間の削減額は約44万円です。
- 基本料金の比率が小さい。電気代に占める基本料金は15〜18%にすぎず、そのうち数%を削っても金額は小さくなります。
- 昼の余りがない。太陽光の電気はほぼすべて店内で使い切るため、蓄電池にためて夜に回す電気がありません。

蓄電池で元が取れる価格(15年間の削減額の合計÷容量)は、高圧の店舗で現実的な運転なら約4.7万〜9.6万円/kWh、完全予見の上限でも約6.9万〜13.97万円/kWhでした。上限の最大値は想定価格14万円/kWh(税抜)とほぼ同じで、現実的な運転では大きく届きません。国が補助事業で示している業務・産業用の2026年度の目標価格(11.8万円/kWh)でも、現実的な運転では元が取れない計算です。

低圧の小型店では、基本料金が契約で決まっているため蓄電池で下がらず、昼の余りもほとんどありません。蓄電池の補機の電力(0.2kW/100kWhと仮定)の分だけ、電気代はかえって年約2,300〜7,900円増えました。
では、蓄電池は不要なのでしょうか。経済性だけで見ればその通りですが、停電対策(BCP)として検討する価値はあります。その場合は「いくら得か」ではなく、「何を何時間守り、その価値はいくらか」で判断します。今回の試算では、蓄電池の費用と削減額の差を15年で割ると、年約20万〜27万円(中型店・60kWh)〜約206万〜240万円(大型店・400kWh)になりました(上昇率2%)。容量1kWhあたりでは年約3,400〜6,000円です。停電時に守れる商品と営業の価値がこれを上回るかどうかが、判断の目安になります。
それでも蓄電池が候補になる条件
今回の結論は「電気代の削減だけでは元が取れない」です。次のいずれかに当てはまる店舗では、蓄電池を検討する余地があります。
- 最大需要が短時間の尖りで決まっている店舗:実際の30分デマンドデータで、年間の最大需要が短い時間(例えば開店直後の30分)に出ているなら、少ない容量で契約電力を下げられます。合成プロファイルでは表れない特徴なので、データで確認してください。
- 停電時に守る価値が大きい店舗:地域の防災拠点や、冷凍品の在庫が大きい店舗です。前節の手順で、守る負荷と時間から容量を決めます。
- 補助金で実質の価格が大きく下がる店舗:現実的な運転で元が取れる価格は約4.7万〜9.6万円/kWhでした。補助後の価格がこの水準に近づくかが目安です。
- 需要家側の蓄電池を電力市場や需給調整に活用できる店舗:デマンドレスポンスの報酬は本試算に含めていません。報酬の条件と、停電時の残量確保が両立するかを確認します。
結果③:冷凍機の省エネは、屋根の太陽光と同じ規模の削減になる
冷凍冷蔵が店舗の電力量の50%を占め、冷凍機のインバータ化・高効率化(扉付きショーケースや制御の見直しを含む)でその2割を減らせると仮定すると、店舗全体の電力量は10%減ります。電気代は約9〜10%下がり、高圧の店舗では最大需要も約7%下がるため、基本料金も減ります。

| 店舗(関東) | 冷凍機の省エネ:年間削減額 | うち基本料金 | 削減電力量 | 屋根の太陽光:初年度の削減額 | 省エネの投資上限(10年分) |
|---|---|---|---|---|---|
| 小型店(低圧50kW) | 約64万円 | 0円 | 約2.7万kWh | 約80万円(30kW) | 約640万円 |
| 中型店(高圧300kW) | 約398万円 | 約51万円 | 約16.5万kWh | 約365万円(150kW) | 約4,000万円 |
| 大型店(高圧1,000kW) | 約1,325万円 | 約169万円 | 約54.9万kWh | 約973万円(400kW) | 約1.3億円 |
冷凍冷蔵=電力量の50%、削減率20%(H)。投資上限は「年間削減額×10年」で、電気代の上昇や機器の寿命を考えない目安(M/H)。関西・九州では中型店で年約370万〜397万円、大型店で年約1,233万〜1,323万円。
投資上限の考え方を補足します。冷凍機とショーケースの更新費用は、台数・冷媒・工事の範囲で大きく変わるため、本記事では見積もっていません。代わりに「10年で回収するなら、いくらまでかけられるか」を示しました。中型店・関東なら約4,000万円です。更新の見積もりがこれを下回れば、省エネだけで10年以内に回収できる計算になります。補助金を使える場合は、その分だけ上限が広がります。
省エネ率と冷凍冷蔵の比率は店舗によって違います。幅を持たせると、中型店・関東の年間削減額は約159万円(比率40%×削減10%)から約716万円(60%×30%)まで変わります(図10)。インバータ化や高効率機への更新による削減率は、機器メーカーや省エネの事例集で示される値をもとに置いた仮定(H)で、公的な統計値ではありません。自店の冷凍機の電力を計測してから判断してください。

順番:冷凍機の省エネと太陽光は、どちらを先にしても太陽光の価値はほぼ同じ
冷凍機を先に省エネすると、店舗の需要が減って太陽光の電気が余るのではないか、という心配があります。試算では、省エネ後も太陽光の自家消費率は99.8%以上のままで、太陽光の回収年数の差は0.01年以内でした。昼の需要は太陽光の発電より十分に大きいためです。つまり、両方やるなら順番で損はしないということです。ただし、冷凍機の更新は冷媒・電源・配管の工事を伴うため、屋根の太陽光の配線や受変電設備の工事と時期を合わせると、工事費と営業への影響を減らせます。
冷凍機の省エネの中身:設備・制御・運用の3層
「冷凍機の省エネ」と一口に言っても、中身は設備の更新から日々の運用まで幅があります。投資の大きい順ではなく、確実に効くものから並べると次の通りです(いずれも効果の大きさは店舗の条件で変わるため、H)。
| 層 | 打ち手 | 効く理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 運用 | ナイトカバーの徹底、ケースの吸込口・吹出口をふさがない陳列、霜取り時刻の見直し | 冷気の漏れと余分な運転を減らす | 人の手に頼るため、店舗ごとのばらつきが出やすい |
| 保守 | 凝縮器(室外機)の清掃、冷媒の適正充填、漏えいの早期発見 | 熱を捨てる効率が落ちると、同じ冷却に多くの電力が要る | フロン排出抑制法の点検と一緒に記録すると二度手間がない |
| 制御 | インバータによる容量制御、蒸発温度・凝縮温度の最適化、複数台の台数制御 | 必要な分だけ回すことで、部分負荷の無駄を減らす | 既存機に後付けできるかはメーカーの確認が必要 |
| 設備 | 扉付きショーケース、高効率・自然冷媒の冷凍機への更新、LED照明のケース | 冷気の漏れそのものと、機器の効率を同時に改善する | 投資が大きい。売場の見え方・買いやすさとの両立を検討する |
本記事の「冷凍冷蔵の電力を20%削減」は、これらを組み合わせた場合の仮定です。冷凍機を1台更新しただけで店舗全体の冷凍冷蔵の電力が2割減るわけではない点に注意してください。逆に、設備の更新と制御・運用の見直しを同時に行えば、2割を超えることもありえます。まずは冷凍機の系統ごとに電力を計測し、どの系統が多く使っているかを把握することが出発点です。
冷凍機の省エネには、電気代以外の価値もあります。ケース内の温度が安定すれば商品の品質が保たれ、廃棄の削減につながります。冷媒の漏えいが減れば、点検・充填の手間と、漏えいした冷媒によるCO2換算の排出も減ります。稟議では、電気代の削減額に加えて、こうした効果を定性的に併記すると説得力が増します。
電気代の上昇は、どの打ち手の価値を高めるか
電気代の上昇率を年1%から3%に上げると、太陽光の回収年数の中央値は7.9年から7.4年へ、約0.5年短くなりました。省エネと太陽光はどちらも「使った量の単価」に連動するため、電気代が上がるほど価値が上がります。一方、燃料費調整や市場価格調整が下がる局面では、削減額も小さくなります。スーパーのように電気代の8〜9割が使った量で決まる業態では、単価の変動を受けにくくする打ち手(自分で作る・使う量を減らす)ほど、利益の安定に効くと言えます。
自己所有かPPAか
本記事は、太陽光を自社で購入する(自己所有)前提で計算しました。初期費用をかけずに屋根を貸して電気を買う「オンサイトPPA」を選ぶ店舗もあります。PPAでは、設備の所有と保守を事業者が持ち、店舗は発電した電気をあらかじめ決めた単価で買います。初期投資と保守の手間がなくなる代わりに、削減額は自己所有より小さくなるのが一般的です。自己所有で10年以内に回収できる店舗では、PPAを選ぶ理由は資金と保守の手間に限られます。資金を冷凍機の更新に優先して回したい場合は、太陽光をPPA、冷凍機を自己投資と分ける組み合わせも考えられます。契約期間中の店舗の改装・閉店・建替えの扱いは、PPAの契約で必ず確認してください。
停電対策(BCP):蓄電池で冷凍冷蔵を守れるのは「1時間前後」
停電時に冷凍冷蔵と最低限の照明・レジ(契約電力の5%と仮定)を、太陽光と蓄電池で何時間守れるかを、年間8,760通りの停電開始時刻で計算しました。蓄電池は満充電、出力は容量と同じ(1C)、太陽光は停電時にも自立運転できる構成と仮定しています。なお、経済性の試算(結果②)では蓄電池の出力を容量の1/2(120kWhなら60kW)としています。この出力では冷凍冷蔵(約110kW)を賄えず、夜の停電では守れません。停電対策に使うなら、容量と同じ以上の出力(120kWhなら120kW以上)のパワーコンディショナが必要で、kWhあたりの価格は14万円より高くなるのが一般的です。

- ピークカット用の容量では、夜の停電で守れるのは1時間未満です。中型店の120kWh(出力120kW)で約0.9時間でした。経済性の試算と同じ出力60kWでは、冷凍冷蔵の約110kWに足りず0時間です。60kWh(契約電力×0.2時間分)では、出力が冷凍冷蔵の電力(約110kW)に足りず、夜は守れません。
- 昼の停電なら、太陽光が時間を延ばします。屋根+カーポート300kWと120kWhの組み合わせで、昼に始まった停電の持続時間の中央値は約3.2時間でした。
- 冷凍機の省エネは、停電時の持続時間も延ばします。守る負荷が小さくなるため、同じ蓄電池で約2割長く持ちます(0.9時間→1.1時間)。
- 夜に冷凍冷蔵を丸ごと守るには、大きな容量が要ります。中型店で3時間なら約420kWh(14万円/kWhで約5,900万円)、12時間なら約1,682kWhです。
このため、現実的な停電対策は「全部を蓄電池で守る」ではなく、守る負荷を絞ることから始まります。冷凍ケースと冷凍庫を優先し、冷蔵ケースは扉やナイトカバーで保冷する、長時間の停電には非常用発電機や電源車の受け入れ口で備える、といった組み合わせです。停電時に太陽光を使うには、自立運転に対応したパワーコンディショナと切替盤が必要で、一般的な系統連系の設備では停電時に発電が止まる点にも注意してください。
停電対策として蓄電池を入れるときの設計手順
- 守る負荷を決める:冷凍ケース・冷凍庫・バックヤードの冷凍室・レジ・最低限の照明・防犯設備のうち、何を守るかを回路単位で決めます。冷蔵ケースはナイトカバーと扉で保冷し、守る対象から外すと必要な容量は大きく下がります。
- 守る時間を決める:過去に経験した停電の長さ、地域の災害想定、商品を移送・廃棄の判断をするまでの時間から決めます。数時間を超える停電には、蓄電池より燃料で動く発電機の方が費用を抑えやすくなります。
- 出力と容量を分けて確認する:今回の計算では、容量が足りていても出力が負荷を下回ると守れませんでした(中型店の60kWhは出力60kWに対して冷凍冷蔵が約110kW)。冷凍機の起動時の電流も考慮して、出力を確認します。
- 切替の方式を決める:自立運転の切替盤、守る回路の分離、太陽光を停電時に使えるパワーコンディショナが必要です。平常時のピークカットと兼ねる場合は、停電に備えて残しておく充電量(BCP用の残量)を決めます。BCP用の残量を増やすほど、平常時の電気代の削減は小さくなります。
- 価値を金額で置く:守れる商品の在庫金額、営業を続けられた場合の売上、地域からの信頼を、年あたりの価値として見積もり、蓄電池の費用と削減額の差(中型店の60kWhで年約20万〜27万円)と比べます。
ガス・熱とモビリティ:試算していない打ち手の位置づけ
ガスと熱:冷凍機の排熱は「捨てている熱」
スーパーの熱需要は、惣菜・ベーカリーの調理、洗浄用の給湯、冬の暖房です。調理はガス機器が多く、空調にガスヒートポンプ(GHP)を使う店舗もあります。工場と比べると熱の比重は小さいものの、見落とせない打ち手が2つあります。
- 冷凍機の排熱の回収:冷凍機は商品から奪った熱を屋外に捨てています。この排熱を給湯の予熱に使えば、ボイラや給湯器の燃料を減らせます。自然冷媒(CO2)の冷凍機は高い温度の排熱を取り出しやすいとされ、更新の際に検討する価値があります(H)。
- 調理・空調の電化:ガスの調理機器や空調を電気に替えると、ガス代は減りますが、電気の使用量と最大需要が増えます。最大需要が昼の営業時間に重なる場合は、太陽光の発電と重ねて契約電力の増加を抑える設計が必要です。
ガスのCO2は、都市ガス1,000m3あたり2.09t-CO2(環境省・経済産業省「ガス事業者別排出係数」、令和8年6月30日公表、東京・大阪・西部ガス等の供給区域)で計算できます。ガスの使用量が多い店舗では、電気と同じ表で比べてください。
モビリティ:配送車と来店客の充電は「店舗のデマンド」とつながっている
ネットスーパーや移動販売の配送車をEVに替える場合、店舗の電気の契約に充電の電力が加わります。帰庫後の夕方に一斉に充電すると、スーパーの年間最大需要(夕方〜閉店前)と重なり、基本料金が上がります。エネがえるの商用EVのTCO試算では、軽バンのEVは事業所で夜間に充電できる条件でガソリン車より安くなる結果でした。スーパーでは、閉店後の深夜に充電を回すことが前提になります。来店客向けの充電器も同様で、出力と台数を店舗のデマンドと一体で決める必要があります。
何が変わると結論がひっくり返るか
| 条件 | 今回の前提 | 結論への影響 |
|---|---|---|
| 太陽光の設置費用 | 屋根16万〜22万円/kW、カーポート23万〜30万円/kW | 3割増しでも、上昇率2%の32ケース中30ケースが15年以内(保守費込み)。屋根の太陽光の結論は崩れにくい |
| 屋根の面積・荷重 | 契約電力の40〜60%を屋根に載せられる | 古い店舗で屋根の改修が必要だと、費用が大きく増える。改修の時期と合わせるのが原則 |
| 冷凍冷蔵の比率と省エネ率 | 50%×20% | 40%×10%なら削減額は約4割、60%×30%なら約1.8倍(中型店・関東で年約159万〜716万円) |
| 蓄電池の価格 | 14万円/kWh(税抜) | 現実的な運転では約5万〜10万円/kWhまで下がらないと、電気代だけでは元が取れない |
| 蓄電池の制御 | 完全予見の7割 | 完全予見(上限)でも192ケース中0。ただし上限の損益分岐は最大約14万円/kWhで想定価格とほぼ同じ。現実的な運転(7割)では約5万〜10万円/kWhで、制御の改善だけでは届かない |
| 電気代の上昇率 | 年1〜3% | 太陽光の回収年数(中央値)は7.4〜7.9年の範囲で動く程度 |
| 営業時間 | 9〜22時 | 24時間営業なら夜の需要が増え、最大需要の出方も変わる。営業時間を短くしても冷凍冷蔵の負荷は残る |
| 補助金 | なし | 国・自治体の省エネ補助や再エネ補助を使えれば、回収はさらに早まる。公募の有無と条件は年度ごとに確認が必要 |
追いかけるべきKPI
- 売場面積あたりの年間使用量(kWh/m2)と、売上あたりの電気代:店舗間の比較と、省エネの効果の確認に使います。
- 閉店後の需要(夜のベース負荷、kW):冷凍冷蔵の効率の変化が最も見えやすい指標です。冷凍機の更新やケースの扉化の前後で比べます。
- 年間最大需要の発生時刻と継続時間:蓄電池やデマンド制御が効くかどうかを決めます。30分デマンドデータで確認します。
- 太陽光の自家消費率と自給率:自家消費率が下がり始めたら、容量の追加より余剰の活用を考える合図です。
- 冷媒の漏えい量と点検の記録:フロン排出抑制法への対応と、機器の劣化の早期発見に使います。
- 冷凍機の系統ごとの電力(kWh/日)と外気温の関係:同じ外気温で電力が増えていれば、凝縮器の汚れや冷媒の不足など、保守で直せる劣化の兆候です。省エネの効果を外気温の違いと切り分けて評価するのにも使います。
- 停電時に守る負荷(kW)と持続時間(時間):BCPの目標を数値で決め、蓄電池・発電機の容量の根拠にします。
チェーンは「店舗の順番」を決める
複数の店舗を持つチェーンでは、全店に同じ設備を一度に入れるより、順番を決める方が効果的です。今回の試算から読み取れる順番の目安は次の通りです。
- 冷凍機の更新時期が近い店舗:省エネと冷媒の対応を同時に進められ、効果が最も大きい。
- 屋根の改修時期が近い、または新しい店舗:屋根の太陽光の工事費を抑えられる。
- 電気の単価が高いエリアの大型店:太陽光の回収が早い(関西の大型店で保守費込み6.6年、上昇率2%)。
- 駐車場の広い郊外店:カーポートでまかなえる割合を2倍にできる。来店客の充電器との組み合わせも検討できる。
- 地域の防災拠点になりうる店舗:停電対策の価値が大きく、守る負荷を絞った蓄電池や発電機を優先する。
本部で店舗ごとの30分デマンドデータを集め、同じ条件で試算して並べることが、順番を決める近道です。
よくある思い込みと、試算の結果
| 思い込み | 試算の結果 |
|---|---|
| 営業時間を短くすれば、電気代も同じ割合で減る | 冷凍冷蔵は閉店後も動くため、夜も最大需要の4〜5割の需要が残る。営業時間の短縮だけでは電気代は比例して減らない |
| 太陽光を載せれば、基本料金も下がる | 最大需要は夕方〜閉店前に出るため、太陽光だけでは契約電力は下がらなかった(全店舗で0kW) |
| 蓄電池でピークを削れば元が取れる | ピークが長いため、契約電力の0.4時間分でも最大需要は約7%しか下がらず、192ケース中0ケースが15年以内の回収 |
| 蓄電池があれば停電でも冷凍冷蔵は大丈夫 | ピークカット用の容量では、夜の停電で守れるのは1時間未満。守る負荷を絞る設計が必要 |
| 屋根が小さいので、太陽光の効果はわずか | 屋根だけでも電気の8〜14%をまかない、10.7年以内に回収できた。カーポートを足せば16〜24% |
| 省エネを先にすると、太陽光の電気が余る | 冷凍機の電力を2割減らしても自家消費率は99.8%以上のまま。太陽光の回収年数の差は0.01年以内 |
店舗規模別の読み解き
小型店(低圧50kW級):省エネと屋根の太陽光に絞る
小型店では、電気代の約9割が使った量で決まり、基本料金は契約で固定されています。蓄電池で基本料金を下げることはできず、今回の試算では補機の電力の分だけ電気代がかえって増えました。打ち手は、冷凍冷蔵の省エネ(関東で年約64万円)と屋根の太陽光(30kWで初年度約80万円)にほぼ絞られます。屋根が小さい分だけ設置単価が高く(22万円/kWと仮定)、回収年数は関東で保守費込み8.3〜8.9年、九州で9.7〜10.6年と、大型店より長くなります。カーポートは九州では保守費込みで10.9〜13.1年かかるため、駐車場の使い方と合わせて慎重に判断してください。
小型店では、照明などを電灯契約で別に払っていることが多く、電灯の単価は本試算で使った低圧電力より高いのが一般的です。太陽光の電気を電灯側にも回せる配線であれば、削減額は本試算より大きくなる可能性があります。契約の種類と配線を確かめてから見積もりを取ってください。
中型店(高圧300kW級):冷凍機と屋根の太陽光が同じ重さ
電気代が年4,000万円規模の食品スーパーに相当する中型店では、冷凍機の省エネ(関東で年約398万円)と屋根の太陽光150kW(初年度約365万円)がほぼ同じ規模です。両方を実施すれば、電気代の約2割を減らせます。屋根の太陽光の回収は保守費込みで7.1〜9.0年、カーポートを足しても8.3〜10.7年でした。
高圧の中型店は、契約電力が過去12か月の最大需要で決まる実量制が一般的です。夏の夕方に一度でも高いデマンドを出すと、1年間の基本料金が上がります。蓄電池でそのピークを削るのは割に合いませんでしたが、デマンド監視で空調や冷凍機の運転を短時間ずらす運用は、投資なしで効果が出る可能性があります。冷凍機の省エネは最大需要も約21kW下げ、基本料金を年約51万円減らしました。
大型店(高圧1,000kW級):設備の標準化と調達まで含めて設計する
食品売場が中心の大型店では(衣料・住居の売場が大きい総合スーパーは冷凍冷蔵の比率が低く、冷凍機の省エネの削減額は本試算より大幅に小さくなります)、設置単価が下がるため、屋根の太陽光の回収は保守費込み6.4〜8.0年と最も早くなりました。冷凍機の省エネは関東で年約1,325万円と、屋根の太陽光400kW(初年度約973万円)を上回ります。
この規模では、店舗単体の最適化よりも、チェーン全体での設備の標準化(冷凍機・ショーケースの仕様、太陽光の設計基準)と、電力の調達(再エネメニュー、オフサイトPPA)の組み合わせが効いてきます。屋根+カーポートでまかなえる電気は16〜20%にとどまるため、脱炭素の目標が高い場合は、残りを調達で補う設計が欠かせません。停電対策も、全館を蓄電池で守るのは現実的ではなく(夜3時間で約1,400kWh)、非常用発電機と守る負荷の切り分けで考えます。
エリアによる違い
同じ店舗規模でも、太陽光の回収年数は関西が最も早く、九州が最も遅くなりました(保守費込みの中央値:関西7.6年、関東8.5年、九州9.7年)。1kWあたりの年間発電量は関西約1,210kWh、関東約1,150kWh、九州約1,130kWh(PVGISの1時間値から計算)で、これに電力量料金の単価の差(九州が最も安い)が重なっています。九州では、冷凍機の省エネの削減額も関東より約7%小さくなります。ただし、どのエリアでも太陽光は回収でき、蓄電池は回収できないという結論は変わりませんでした。
店舗規模別の推奨:どこから手を付けるか
| 店舗 | 最初の一手 | 次の一手 | 慎重に |
|---|---|---|---|
| 小型店(低圧) | 運用(ナイトカバー・消灯)、冷凍機・ショーケースの省エネ | 屋根の太陽光(関東で保守費込み8.3〜8.9年、九州9.7〜10.6年) | 蓄電池(基本料金が下がらず、削減額はマイナス)、カーポート(九州では保守費込みで10.9〜13.1年) |
| 中型店(高圧300kW級) | デマンド監視、冷凍機の省エネ(中型店・関東で年約398万円) | 屋根の太陽光(保守費込み7.1〜9.0年)、駐車場が広ければカーポート | ピークカット目的の蓄電池。BCPなら守る負荷を絞って容量を決める |
| 大型店(高圧1,000kW級) | 冷凍機・空調の省エネ、エネルギー管理の体制 | 屋根+カーポートの太陽光(保守費込み6.4〜9.7年)、再エネの調達 | 全館を守る規模の蓄電池(夜3時間で約1,400kWh)。非常用発電機との役割分担を先に決める |
経営課題から見た打ち手の価値
- 利益を守る:冷凍機の省エネと屋根の太陽光は、どちらも中型店で年約360万〜400万円の削減。合わせれば電気代の約2割です。
- 人手に頼らない:扉付きケースや自動制御は、閉店後の手作業を減らしつつ省エネになります。
- 脱炭素の要請に応える:屋根+カーポートで電気のCO2を約16〜24%、冷凍機の省エネでさらに約10%減らせます。残りは再エネの調達で補います。
- 止めない:停電対策は、守る商品と時間を決めてから設備を選びます。

稟議に載せる数字の例:中型店(関東・高圧300kW、電気代上昇率2%)
| 項目 | 屋根の太陽光150kW | 屋根+カーポート300kW | 冷凍機の省エネ(−20%) |
|---|---|---|---|
| 投資額(税抜) | 約2,700万円 | 約6,450万円 | 見積もり次第(10年回収の上限 約4,000万円) |
| 初年度の削減額 | 約365万円 | 約729万円 | 約398万円 |
| 回収年数(保守費込み) | 7.9年 | 9.3年 | — |
| 20年の手残り(保守費込み) | 約4,611万円 | 約8,169万円 | — |
| CO2削減(年) | 約78t | 約157t | 約74t |
| 契約電力の変化 | 0kW | 0kW | 約−21kW |
社内の立場ごとに、何を説明すれば合意がとれるか
| 相手 | 関心 | 伝える数字・論点 |
|---|---|---|
| 経営・財務 | 利益、投資回収、資金の優先順位 | 屋根の太陽光は保守費込みでも全ケース15年以内に回収(中央値8.6年)。冷凍機の省エネは10年回収の投資上限(中型店で約4,000万円)で見積もりを判断できる |
| 店舗運営 | 売場、作業負担、営業への影響 | 扉付きケースや自動制御で閉店後の手作業を減らせる。工事は改装や更新の時期に合わせ、営業への影響を減らす |
| 設備・施設 | 機器の寿命、点検、冷媒、停電時の対応 | 冷凍機の更新は省エネと冷媒の管理負担の軽減を兼ねる。停電対策は守る負荷と時間を先に決め、蓄電池と発電機の役割を分ける |
| サステナビリティ・IR | 排出量の開示、目標の達成 | 屋根+カーポートで電気のCO2を約16〜24%、冷凍機の省エネで約10%削減。残りは再エネの調達で補う |
どの立場にも共通して効くのは、自店のデータで試算した数字です。一般論の削減率ではなく、自店の30分デマンドデータと冷凍機の計測値で試算し直すと、社内の議論が「やるかどうか」から「どの順番で、いくらまでかけるか」に変わります。
最初の90日でやること
- 電力会社から1年分の30分デマンドデータと、直近12か月の請求書を取り寄せる(1〜2週目)。
- 冷凍機・ショーケースの台数、冷媒、製造年、点検記録を一覧にする。可能なら冷凍機の電力をサブメータで1か月計測する(2〜6週目)。
- 屋根の面積・荷重・防水の改修時期と、駐車場の区画を確認する(2〜6週目)。
- 停電時に守る負荷(冷凍ケース、冷凍庫、レジ、照明の一部)と目標時間を決める(4〜8週目)。
- 太陽光・冷凍機の更新・蓄電池(またはBCP設備)の見積もりを取り、同じ条件で試算して比較する(8〜12週目)。
見積もりと試算を受け取ったら確認する8項目
- 太陽光の発電量は、地点の気象データに基づいているか。年間の発電量(kWh/kW)は妥当か。
- 自家消費率は、閉店後・定休日の需要を含めた1時間単位以上の計算か。
- 基本料金の削減を見込んでいる場合、最大需要が出る時刻(夕方〜閉店前)に太陽光の発電があるか。
- 蓄電池の削減額は、完全予測の上限ではなく、現実的な運転で計算しているか。寿命と劣化を入れているか。
- 保守費、パワーコンディショナの交換費、蓄電池の交換を入れた回収年数か。
- 冷凍機の省エネの削減率は、自店の計測値か、メーカーの代表値か。冷媒の種類と点検の負担の変化を含めているか。
- 停電時に太陽光と蓄電池を使えるか(自立運転、切替盤、守る回路の分離)。
- 電気代の単価は最新の料金表・燃料費調整・再エネ賦課金に基づいているか。税込・税抜がそろっているか。
エネがえるでできること
エネがえるBizは、産業用・業務用の自家消費型太陽光・蓄電池の経済効果を、施設の30分デマンドデータや業種別のロードカーブ・テンプレートで試算するクラウドサービスです。全国の電力会社の高圧・低圧の料金メニューと燃料費調整単価を反映し、デマンド削減を含めた回収年数・20年収支・CO2削減量を提案書の形で出力できます。データの準備や試算そのものを任せたい場合は、試算代行(BPO)も利用できます。複数店舗の一括試算や、冷凍機の更新を含めた全体設計は個別にご相談ください。
よくある質問
スーパーの自家消費型太陽光は元が取れますか?
今回の試算では取れる結果でした。8店舗モデル×太陽光2通り×電気代上昇率3×冷凍機2の96ケースすべてが10.7年以内に回収でき、中央値は7.7年でした(保守費・交換費込みで8.6年、税抜)。冷凍冷蔵が夜も週末も電気を使うため、発電した電気を99.8%以上その場で使い切れることが理由です。
スーパーに蓄電池は必要ですか?
電気代の削減だけが目的なら、今回の試算では元が取れませんでした。蓄電池を足した192ケースのうち、上乗せ分が15年以内に回収できたのは0ケースです。最大需要が夕方から閉店前まで長く続くため、契約電力の0.4時間分の容量でも最大需要は約7%(6.5〜8.2%)しか下がりません。停電対策として検討する場合は、守る負荷と時間を決めてから容量を選びます。
冷凍機のインバータ化と太陽光、どちらを先にすべきですか?
冷凍機の更新時期が近ければ、省エネを先に検討する価値があります。冷凍冷蔵が電力量の50%で、その2割を減らせると仮定すると、中型店・関東で年約398万円の削減となり、屋根の太陽光150kW(約365万円)と同じ規模です。省エネを先にしても太陽光の回収年数はほとんど変わらないため(差0.01年以内)、両方を計画的に進めるのが基本です。
カーポート型の太陽光は割に合いますか?
回収は屋根だけより1.1〜1.6年遅れますが、20年の手残りは大きくなります。中型店・関東では約4,611万円(屋根150kW)から約8,169万円(屋根+カーポート300kW)に増え、太陽光でまかなえる電気の割合は約11%から約21%になります。回収の早さか、削減額とCO2の総量か、何を重視するかで判断してください。
停電時、蓄電池で冷凍ケースはどれくらい動きますか?
中型店で120kWh(契約電力×0.4時間分)の蓄電池なら、夜の停電で冷凍冷蔵と最低限の照明・レジを守れるのは約0.9時間です(満充電・出力120kWの単純計算)。経済性の試算と同じ出力60kW(容量の1/2)では冷凍冷蔵を賄えず0時間のため、停電対策には出力の大きいパワーコンディショナが必要です。夜に3時間守るには約420kWhが必要です。冷凍ケースと冷凍庫に負荷を絞る、長時間の停電は発電機で備えるといった組み合わせが現実的です。
小型店(低圧)でも太陽光は元が取れますか?
取れる結果でした。関東・九州の小型店(低圧50kW)の屋根30kWで、回収年数は7.5〜9.3年(保守費込み8.3〜10.6年)です。ただし低圧では基本料金が契約で決まっているため、蓄電池で電気代を下げることはできず、補機の電力の分だけ電気代がかえって増えました。
営業時間を短くすると電気代はどれくらい減りますか?
営業時間に比例しては減りません。冷凍冷蔵は閉店後も動き続けるため、今回の合成プロファイルでは閉店後も最大需要の4〜5割の需要が残ります。照明・空調を止める運用の効果はありますが、電気代の大きな削減には、冷凍冷蔵そのものの効率を上げる対策が必要です。
自店で正確に試算するには何が必要ですか?
1年分の30分デマンドデータ、電気料金の契約メニューと請求書、屋根と駐車場の面積、冷凍機・ショーケースの一覧(台数・冷媒・製造年)、停電時に守りたい設備の一覧です。エネがえるBizでは、デマンドデータか業種別テンプレートで太陽光・蓄電池の経済効果を試算できます。
試算の前提条件(すべて公開)
| 項目 | 設定値 | 出典・根拠 |
|---|---|---|
| 関東 高圧 | 東京電力EP 高圧ベーシックプラン:基本料金2,530円/kW+2026年11月の託送見直し分108.57円/kW(推計)、電力量料金17.43円/kWh、燃料費調整1.55円/kWh(2026年11月分)。時間帯別の市場価格調整単価は含めていない | 東京電力EP 電気料金単価表(2026年4月1日実施)、同 2026年11月分 燃料費調整単価等 |
| 関東 低圧 | 東京電力EP 低圧電力:基本料金1,190円83銭/kW、電力量料金 夏季27円19銭・その他季25円62銭、燃料費調整 −4.65円/kWh(12月分、低圧共通) | 東京電力EP 料金単価表‐電力、同 燃料費調整単価(蓄電池243ケースの試算と同じ値) |
| 関西 高圧 | 関西電力 高圧電力AS等:基本料金2,200円88銭/kW、電力量料金 夏季19円22銭・その他季18円15銭、燃料費調整+0.15円、市場価格調整+0.90円(11月分) | 関西電力 料金表、燃料費調整単価、市場価格調整単価 |
| 九州 高圧 | 業務用電力A:基本料金2,343円19銭/kW、電力量料金 夏季16円98銭・その他季16円05銭、燃料費等調整1.20円/kWh(12月分) | 九州電力 業務用電力A、2026年12月分 燃料費等調整単価 |
| 九州 低圧 | 低圧電力:基本料金1,164円92銭/kW、電力量料金 夏季17円38銭・その他季15円69銭、燃料費等調整1.94円/kWh | 九州電力 低圧電力 |
| 関西 低圧 | 公開の料金を収録していないため、小型店は関東・九州のみ | — |
| 再エネ賦課金 | 4.18円/kWh(2026年度) | 経済産業省(2026年3月19日公表) |
| 力率・消費税 | 力率100%(高圧は基本料金15%割引、低圧電力は5%割引)。料金・設備費とも税抜(料金表の税込単価を1.1で割る) | 各社料金表の力率割引の規定。東京電力EPの低圧電力は九州電力と同じ5%と仮定。事業者の仕入税額控除を前提 |
| 契約電力 | 高圧:年間の1時間ごとの最大買電量(実量制を簡略化。1,000kWの大型店も同じ扱い)。低圧:50kWで固定 | 仮定(H) |
| 需要の形 | 営業9〜22時、閉店後は営業時間の約半分、休日は日中に約4%上乗せ、夏に約16%・冬に約6%増。日々・時間ごとのばらつきを加えた合成値。負荷率 約0.61〜0.63 | 出典なし(合成値、H)。業種別エネルギー課題マップの負荷の形の記述に基づく。小型店も全量を低圧電力で計算(実際は電灯契約が別にあることが多い) |
| 冷凍冷蔵 | 電力量の50%(感度40〜60%)、時刻によらずほぼ一定で夏に約12%増。省エネで20%削減(感度10〜30%) | 仮定(H)。冷凍冷蔵が最大の用途であることは電力会社・自治体の省エネ資料で一般に示されているが、比率と削減率は店舗ごとに異なる |
| 太陽光の発電量 | PVGIS(ERA5)の東京・大阪・福岡の1時間値。劣化 年0.5% | PVGIS(EU JRC) |
| 太陽光の容量・設置費用 | 屋根:契約電力の60%(小型)・50%(中型)・40%(大型)、22万・18万・16万円/kW。カーポート:40%・50%・40%を追加、30万・25万・23万円/kW(税抜) | 仮定(H)。参考:調達価格等算定委員会資料(2026年2月5日)では屋根設置10kW以上の2025年の設置費用は平均20.8万円/kW・中央値18.5万円/kW |
| 保守費・交換費 | 年3,000円/kW+13年目にパワーコンディショナ交換2万円/kW(税抜) | 仮定(業種別×規模別試算と同じ) |
| 蓄電池 | 契約電力×0.2時間分・0.4時間分、出力は容量の1/2、14万円/kWh(税抜)、使える容量90%、往復効率88%、劣化 年1.5%、補機0.2kW/100kWh、寿命15年 | 仮定。業務・産業用の2026年度目標価格11.8万円/kWh(公募要領)を上回る市場価格を想定 |
| 蓄電池の制御 | 高圧:年間の最大需要を下げる運転。現実的な値は完全予見の7割を達成と仮定し、完全予見を上限として併記。低圧:余った太陽光の充電のみ | 仮定(H) |
| 停電時の計算 | 守る負荷=冷凍冷蔵+契約電力の5%。蓄電池は満充電・出力1C。太陽光は自立運転できる構成。年8,760通りの開始時刻、上限72時間 | 仮定(H)。夜=18〜6時 |
| 排出係数 | 電気:東京電力EP 0.000452、関西電力 0.000415、九州電力 0.000472 t-CO2/kWh(残差、令和6年度実績)。都市ガス:2.09t-CO2/千m3 | 環境省・経済産業省 電気事業者別排出係数(A)、同 ガス事業者別排出係数(令和8年6月30日公表)(A) |
| 電気代上昇率 | 年1%・2%・3%(基本料金・電力量料金とも) | シナリオ |
この試算の限界
- 需要の形は合成プロファイルで、実際の店舗の30分デマンドデータではありません。蓄電池の価値は、最大需要がいつ・どれだけの長さで出るかで大きく変わります。1時間単位の計算のため、30分単位で決まる実際の最大需要を低めに見積もっている可能性があります。
- 実量制では、最大需要を下げてから契約電力に反映されるまで最長12か月かかりますが、本試算は1年目から反映される前提です(蓄電池と省エネの効果は上限側)。500kW以上の大型店の契約電力は実際には協議で決まります。
- 冷凍冷蔵の比率(50%)と省エネ率(20%)は仮定で、冷凍機・ショーケースの更新費用は含めていません。省エネの回収年数は計算せず、「10年分の削減額」を投資の上限の目安として示しました。
- 小型店は全量を低圧電力(動力)の料金で計算しました。実際の小型店は照明などを電灯契約で別に払うことが多く、電灯の単価は低圧電力より高いため、太陽光の効果は本試算と異なる可能性があります。
- 関東の高圧の基本料金は推計値で、時間帯別の市場価格調整単価は含めていません。燃料費等調整は、確認日時点で各社が公表していた月の単価を使っており、月がそろっていません(関東高圧・関西は11月分、関東低圧・九州は12月分)。
- 停電時の持続時間は、満充電・出力1C・自立運転できる構成の単純計算です。実際には日常の運転で充電残量が減っていることが多く、持続時間は本試算より短くなりえます。商品の温度がどれだけ保てるかは計算していません。
- 補助金、照明・空調の省エネ、ガスの使用、再エネの調達、EVは試算していません。
- 電気代の上昇率は年1〜3%の一定値としました。実際の単価は燃料価格・市場価格・制度の改定で年ごとに上下するため、回収年数は幅をもって読んでください。
- エネがえるBizでの照合は今回行っていません。
ファクトチェック・エビデンス検証一覧
主要な数値と主張の根拠と検証方法を一覧にしました。出典はできる限り一次情報(官公庁・電力会社・公的機関の公式資料)にリンクし、仮定とモデル計算は区分で区別しています。
検証の方法
- 一次情報との照合:料金表、燃料費等調整、再エネ賦課金、排出係数を公式資料で確認しました(確認日:2026年11月1日)。料金の前提は業種別×規模別の試算(216ケース)と同じです。
- 独立計算モデルによる再計算:8,760時間のモデルで288ケースを試算し、コードとケース別データで管理しています。中央値は回収できないケースを「20年超」として含めて計算しています。
- 独立レビュー:独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。
| 区分 | 意味 |
|---|---|
| A 一次情報 | 官公庁・電力会社・公的機関の公式資料で確認した値 |
| B 二次資料 | 業界団体・研究機関の資料、解説記事など。または原典を作成環境から開けなかったもの |
| M 計算結果 | 本記事の独立計算モデル、またはエネがえるの別記事の試算結果 |
| H 仮定値・推計・専門家判断 | 確かな公表値がないため置いた値。幅や感度で示している |
| 項目 | 記事での値 | 区分 | 検証結果 |
|---|---|---|---|
| 電気料金・燃料費等調整・賦課金・電気の排出係数 | 前提条件の表のとおり | A/H | 確認済み。関東の高圧基本料金は推計 |
| 都市ガスの排出係数 | 2.09t-CO2/千m3 | A | 環境省・経済産業省「ガス事業者別排出係数」(令和8年6月30日公表)で確認 |
| フロン排出抑制法の管理者の義務(簡易点検・定期点検・記録・漏えい量の報告) | 簡易点検3か月に1回以上、7.5kW以上の定期点検(冷凍冷蔵は1年に1回以上)、記録は廃棄後3年まで、算定漏えい量1,000t-CO2以上で報告 | A | 環境省 フロン排出抑制法ポータルサイトの記載に基づく(独立レビューで照合) |
| 省エネ法の特定事業者・特定連鎖化事業者(企業全体で原油換算1,500kL以上) | 本文のとおり | B | 中小企業基盤整備機構 J-Net21の解説で確認(24時間工場の試算と同じ) |
| 売上高営業利益率・1店舗あたりの年間電気料金 | 平均1.25%(中央値1.03%、307社)・中央値約2,130万円(回答156社) | B | 業界3団体「2026年版スーパーマーケット年次統計調査」で確認 |
| 大規模な総合スーパーの冷凍冷蔵の比率 | エネルギー消費の10.4%(熱源・空調が最大) | A | 省エネルギーセンター「商業施設の省エネルギー 2.商業施設のエネルギー消費構造」で確認(総合スーパー58,000㎡の用途別エネルギー消費割合:冷凍冷蔵10.4%)。本記事の食品スーパーの仮定(50%)とは売場構成が異なる |
| 蓄電池の出力と停電時の可否 | 経済性の試算は出力=容量の1/2。停電時の計算は出力=容量(1C) | M/H | 出力60kWでは冷凍冷蔵(約110kW)を賄えないことをbcp.csvで確認 |
| 冷凍冷蔵の比率(電力量の50%)・省エネ率(20%) | 40〜60%・10〜30%の感度つき | H | 仮定。公的な統計値ではない |
| 太陽光の回収 | 96/96ケースが10.7年以内、中央値7.7年(保守費込み8.6年、最長13.1年) | M | ケース別データで確認 |
| 自家消費率・まかなえる割合 | 99.8%以上・8〜24% | M/H | 太陽光容量の仮定に依存 |
| 蓄電池の上乗せ分の15年回収 | 0/192ケース(完全予見の上限でも0) | M/H | ピークカット達成度7割の仮定。上限の損益分岐価格を併記 |
| 損益分岐の蓄電池価格 | 約4.7万〜9.6万円/kWh(上限 約6.9万〜13.97万円/kWh) | M | 高圧の店舗、15年間の削減額の合計÷容量 |
| 冷凍機の省エネの削減額 | 中型店・関東で年約398万円(幅159万〜716万円) | M/H | 比率・削減率の仮定に依存。50%×20%以外は比例換算 |
| 省エネ後の太陽光の回収年数の差 | 0.01年以内 | M | 同じ条件の48組(冷凍機の有無)で比較 |
| 設置費用3割増の感度 | 32ケース中30ケースが15年以内(最長15.3年) | M | 上昇率2%・保守費込み(capex13.csv) |
| 停電時の持続時間・必要容量 | 夜0.9時間(120kWh・出力120kW。出力60kWでは0時間)、夜3時間で約420kWh | M/H | 単純計算(bcp.csv) |
| 月別のまかなえる割合・ピークの時刻 | 約17〜25%(中型店・関東・屋根+カーポート)、太陽光後の買電上位50時間はすべて16時以降 | M/H | 8,760時間の需要と発電から計算。合成プロファイルの形に依存 |
| 1kWあたりの年間発電量 | 関西約1,210kWh、関東約1,150kWh、九州約1,130kWh | M | PVGIS(ERA5)の1時間値から計算(劣化前の初年度) |
| 基本料金の割合 | 高圧15〜18%、低圧9〜11% | M | 太陽光・蓄電池なしの年間電気代(税抜)で計算 |
| 蓄電池による最大需要の低下 | 0.2時間分で約4〜6%、0.4時間分で約7〜8%(高圧、上昇率2%) | M/H | 現実的な運転(完全予見の7割)での値 |
| BCPとして必要な価値の目安 | 中型店60kWhで年約20万〜27万円、大型店400kWhで年約206万〜240万円 | M | (蓄電池の費用−15年間の削減額)÷15年 |
| 業種の経営課題・打ち手の位置づけ | 表と図3のとおり | H | 専門家判断。試算値ではない |
試算・分析:エネがえる(国際航業株式会社)/公開日:2026年11月1日/試算条件の確認日:2026年11月1日。更新履歴(2026年11月1日):公開。毎月、燃料費調整・市場価格調整・再エネ賦課金の最新情報を確認し、変化があれば再計算して更新します。関連する試算:産業用の自家消費型太陽光・蓄電池は元が取れない?業種別×規模別に実試算/24時間稼働の工場に太陽光・蓄電池・ヒートポンプは割に合う?6業種324ケースを実試算/業種別のエネルギー費はどこで削れる?24業種×規模別に経営課題と打ち手を整理/商用EVは元が取れない?用途別・車種別にTCOを実試算。






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