病院・介護施設の太陽光・蓄電池は元が取れない?停電対策と給湯の電化まで198ケースを実試算【2026年11月最新単価】

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら )

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
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病院・介護施設の太陽光・蓄電池は元が取れない?停電対策と給湯の電化まで198ケースの実試算
病院・介護施設の太陽光・蓄電池は元が取れない?停電対策と給湯の電化まで198ケースの実試算

結論から言います。病院・介護施設の屋根の自家消費型太陽光は、24時間止まらない需要があるため発電をほぼ全部その場で使い切れ、エネがえるの試算では太陽光だけの66ケースすべてが保守費込みで13.2年以内に回収(中央値8.5年)しました。一方、蓄電池の上乗せ分が電気代の削減だけで15年以内に回収できたのは132ケース中6ケースで、停電時に発電機の代わりにもなりません。蓄電池の役割は「元を取る設備」ではなく、停電時の切替と、燃料を長持ちさせる補助です。ただし発電機が立ち上がるまでの数十秒を途切れさせない(0.5秒以内)には無停電で切り替わるUPS構成が必要で、ピークカット用の一般的な産業用蓄電池の自立切替では足りないことが多い点に注意してください。そして見落とされがちなのが、給湯をヒートポンプ+貯湯槽に替えると、中小病院(関東)で年約103万円、ガス代の減少が電気代の増加を上回ることです(都市ガス税込120円/m3・COP3.0の仮定)。

3つの答え

  1. 太陽光は、病院・介護施設なら全規模・全エリアで元が取れる(太陽光のみの66ケース=11施設モデル×太陽光2通り×電気代上昇率3、保守費・交換費込みですべて13.2年以内・中央値8.5年)。夜も需要の約6割が残り、自家消費率は全ケースで99.8%以上でした。10年以内に回収したのは66ケース中59ケースです。ただし屋根の広さに比べて需要が大きいため、まかなえる電気は中小病院で約4〜9%、大病院で約3〜6%にとどまります。
  2. 蓄電池は「元を取る設備」でも「発電機の代わり」でもない。蓄電池を足した132ケースのうち、上乗せ分が15年以内に回収できたのは6ケース(うち5ケースが関東の特養)でした。停電時には、重要負荷120kWの中小病院に容量160kWh・出力80kWの蓄電池を置いても、出力が足りず単独では0時間です。蓄電池の価値は、停電時の切替(瞬時の切替が必要な機器は無停電で切り替わるUPS構成で守る)と、発電機の燃料を長持ちさせる補助として、電気代とは別の物差しで決める必要があります。
  3. 太陽光の次は「給湯の電化と貯湯槽」。給湯をヒートポンプにし、貯湯槽にためて需要の谷の時間に沸かすと、年間の差額は特養で約42万円、中小病院で約103万円、大病院で約242万円(関東、機器費は含まない)。貯湯槽なしで昼に沸かすと契約電力が上がり、差額はおよそ半分になります。ガス単価90円/m3・COP2.5まで条件が悪いと逆転します。

この記事で分かること(数値の要点)

  • 病院は赤字のまま、光熱費が収益より速く増えています。中央社会保険医療協議会の第25回医療経済実態調査では、一般病院(全体)の損益差額は医業・介護収益の−7.3%、水道光熱費は前年度比+5.3%で、医業収益の伸び(+2.5%)を上回りました。
  • 太陽光の回収年数(保守費・交換費込み)は5.8〜13.2年。エリア別の中央値は関西7.7年、関東8.5年、九州9.1年。施設が大きいほど設置単価が下がり早く回収できます。設置費用が3割高くても、上昇率2%の22ケース中21ケースが15年以内です。
  • 蓄電池が電気代の削減だけで元を取れる価格は、現実的な制御で約5.4万〜12.6万円/kWh(高圧の施設・容量別の中央値)。想定価格14万円/kWh(税抜)に届いたのは関東の特養など6ケースだけです。
  • 停電時、蓄電池は「容量(kWh)」より先に「出力(kW)」で決まります。中小病院(重要負荷120kW)が蓄電池だけで3時間を守るには約380kWh・約5,350万円、72時間なら約9,170kWhが必要で、発電機の代わりにはなりません。
  • 太陽光は発電機の燃料を長持ちさせます。72時間の重要負荷のうち太陽光が賄う割合は、特養(屋根48kW)で約41%(燃料が約1.7倍もつ)、中小病院(屋根80kW)で約10%(約1.1倍)。太陽光が発電機と連系して動く設計が前提です。
  • 何もしない場合、電気代の値上がり分だけで、中小病院(関東)は10年で約5,060万円、20年で約2.3億円の負担増になります(上昇率年2%)。診療報酬・介護報酬は電気代に連動して上がりません。

検証の主体:エネがえる(国際航業株式会社)。198ケース(+給湯を電化した比較198ケース)は1時間単位(8,760時間)の独立計算モデルで試算しました。施設の需要の形は合成プロファイルで、実際の30分デマンドデータではありません。給湯量、重要負荷の比率、都市ガス単価、ヒートポンプの効率は仮定です。独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。

なぜ病院・介護施設を別に計算するのか

病院・介護施設は、ほかの業種と3つの点で違います。

  • 価格に転嫁できない。収入の大部分は診療報酬・介護報酬という公定価格で決まり、電気代が上がっても個々の施設が値上げで吸収することはできません。中央社会保険医療協議会の医療経済実態調査は、まさに診療報酬を決めるための基礎資料として実施されています(第25回医療経済実態調査 報告の概要)。電気代の上昇は、そのまま損益を削ります。
  • 止められない。病室・手術室・ICU・居室の空調、医療機器、給湯は24時間動きます。夜の需要が昼の約6割残るため、太陽光は余りにくい一方、蓄電池で夜の需要を下げる余地も小さくなります。
  • 停電対策が「義務」になっている。介護施設は2024年4月から業務継続計画(BCP)の策定が義務になり、未策定の施設への報酬の減算は2024年度に新設され、感染症の指針と非常災害計画を整備している場合などは2025年3月まで適用しない経過措置がありました。現在は、策定していない施設に報酬の減算(施設・居住系は所定単位数の100分の3、その他は100分の1)が適用されます(鹿児島県、愛知県の通知)。災害拠点病院は、通常時の6割程度の発電容量の自家発電機と3日分程度の燃料、業務継続計画の整備が指定要件です(厚生労働省 検討会資料、平成29年3月31日 医政局長通知)。

このため、「蓄電池を入れれば電気代も下がり停電にも備えられる」という一般的な提案は、病院・介護施設では2つの意味でずれやすくなります。電気代の削減と停電対策を、別々の物差しで計算し直したのがこの記事です。業種をまたいだ全体像は業種別のエネルギー費はどこで削れる?24業種×規模別に経営課題と打ち手を整理に、産業用の業種別比較は産業用の自家消費型太陽光・蓄電池は元が取れない?業種別×規模別に実試算にまとめています。

経営課題からエネルギー費の打ち手までを4段で整理する

エネがえるの業種別記事では、①経営課題 → ②エネルギー費の構造 → ③打ち手の順番 → ④この試算の位置づけ、の4段で整理しています。病院・介護施設では、③に「BCP必須の施設は蓄エネを前倒しして検討する」という条件が加わります。ただし前倒しするのは「検討」であって、電気代の削減で元を取れるという意味ではありません。

①経営課題:赤字・人手不足・災害への備えが同時に来ている

中医協 第25回医療経済実態調査の一般病院(2024年度)。損益差額の比率は全体−7.3%、医療法人−1.0%、国立−5.4%、公立−18.5%、公的−4.1%。水道光熱費の前年度比の伸びは全体5.3%、医療法人3.7%、国立8.5%、公立6.5%、公的5.4%で、医業収益の伸び1.9〜3.2%を上回る
図1 一般病院の損益差額と、医業収益・水道光熱費の伸び(1施設あたり、前年度=2024年4月〜2025年3月に終了した事業年度)。出典:中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告の概要」(2025年11月26日)

中医協の調査では、一般病院(732施設、平均171床)の1施設あたりの水道光熱費は年約7,727万円で、医業・介護収益の2.1%です。比率だけを見ると小さく見えますが、損益差額が−7.3%(約2.7億円の赤字)の中で、水道光熱費は前年度比5.3%増え、医業収益の伸び2.5%の2倍以上でした。開設者別では、国立で8.5%、公立で6.5%増えています。医療法人(402施設、平均125床)は損益差額−1.0%で、水道光熱費は約3,892万円(収益の2.0%)です。

介護施設も余裕はありません。厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査では、介護老人福祉施設(特養、定員平均70.6人)の2024年度決算の収支差は月約41.7万円、収入に対して約1.4%でした(物価高騰対策関連の補助金を除く)。光熱水費は、施設に入所する人の居住費(基準費用額)の算定要素で、特養の多床室では利用者1人あたり月12,120円、ユニット型個室では月21,976円が実績として示されています(令和7年度介護事業経営概況調査 結果、同 参考資料)。定員70人の特養なら、年約1,020万〜1,850万円の規模です。

これに人手不足と災害への備えが重なります。省エネや設備更新の担当者が施設に常駐していないことも多く、「手間のかからない打ち手から順番に」が現実的な条件になります。

②エネルギー費の構造:電気が中心、給湯・蒸気・空調の熱が続く

関東・中小病院(約170床、高圧400kW)の8月と2月の1週間の需要。平日の日中は約280〜370kW、夜間も約200〜240kWが続く。屋根の太陽光80kWの発電は最大でも約50kWで、すべて需要の内側に収まる。給湯ヒートポンプは夜間の需要の谷に約20〜45kWで運転
図2 中小病院(関東)の1週間の需要と太陽光の発電、給湯ヒートポンプの運転。出典:エネがえる試算(合成プロファイル)
4つの施設モデル(関東)の年間の電気代と給湯のガス代。有床診療所(低圧40kW)電気530万円(基本料金9%)+給湯ガス36万円、特養(70人・高圧60kW)電気799万円(基本料金18%)+134万円、中小病院(170床・高圧400kW)電気5,327万円(18%)+326万円、大病院(400床・高圧1,200kW)電気15,982万円(18%)+766万円
図3 施設モデル別の年間の電気代と給湯のガス代(関東、税抜)。給湯の条件は仮定。蒸気(滅菌)と暖房のガスは含まない。出典:エネがえる試算

試算の施設モデルは、統計の規模感に合わせて置きました。中小病院(約170床・高圧400kW)の電気代は年約5,327万円で、中医協の一般病院(平均171床)の水道光熱費 約7,727万円の約69%にあたります。残りは給湯・蒸気・暖房のガスや水道代という想定です。特養(70人・高圧60kW)は電気代と給湯のガス代を合わせて年約933万円で、多床室の光熱水費の実績から計算した年約1,020万円(水道代を含む)の約9割です。

  • 電気の8割強は「使った量」で決まる。高圧の施設では基本料金が電気代の15〜18%、低圧の有床診療所では約9%です。電力量の単価を下げる太陽光・省エネが効きやすく、基本料金を下げる蓄電池が効きにくい構造です。
  • 夜も需要が残る。合成プロファイルの負荷率は約0.59で、夜間も昼の約6割の需要が続きます(図2)。
  • 熱は温度帯で分かれる。給湯(60℃前後)・入浴・厨房・ランドリーはヒートポンプで置き換えやすい温度帯です。滅菌の蒸気(100℃超)は置き換えにくく、この記事では試算の対象外にしました。空調の熱源(冷温水)は、更新の時期に電化と蓄熱を合わせて検討する対象です。

③打ち手の順番:運用・契約 → 省エネ → 電化・熱転換 → 創エネ → 蓄エネ・蓄熱 → 調達 → モビリティ

病院・介護施設の打ち手の順番。①運用・契約(空調の設定・夜間の照明・契約電力の見直し、投資ほぼゼロ)②省エネ(LED・高効率空調・ポンプのインバータ)③電化・熱転換(給湯をヒートポンプ+貯湯槽に、年9万〜277万円差の試算)④創エネ(屋根・駐車場の太陽光、回収5.8〜13.2年の試算)⑤蓄エネ(BCP、蓄電池は発電機の代わりではなく補完、電気代だけではほぼ回収不可)⑥調達(再エネメニュー・オフサイトPPA)⑦モビリティ(送迎車のEV・停電時の給電、夜間・需要の谷に充電)
図4 打ち手の順番と、この記事の試算の位置づけ。出典:エネがえる(業種別エネルギー課題マップの基本順に、BCP必須施設の条件を重ねたもの)

基本の順番は業種別エネルギー課題マップと同じです。病院・介護施設では、次の2つの条件で順番が入れ替わります。

  1. 給湯器・空調熱源の更新が近い場合は、電化・熱転換を先に。太陽光の容量は、電化した後の需要で決めるほうが無駄がありません。今回の試算では太陽光の発電はすべて施設内で使い切れたため、電化が太陽光の価値を下げることはありませんでした(回収年数の差は約0.01年)。
  2. BCPが必須の施設は、蓄エネの「検討」を前倒しに。ただし判断の物差しは電気代ではなく、「何を・何秒以内に・何時間守るか」です。後半で、発電機との役割分担として整理します。

①運用・契約で効くのは、病棟・居室以外の空調と照明の時間管理、契約電力の見直し(高圧の契約電力は過去12か月の最大需要で決まるため、1回のピークが1年の基本料金を決めます)、そして重要負荷の回路の整理です。重要負荷の整理は投資ゼロで、停電時に発電機と蓄電池がどれだけもつかを直接左右します。

規模で変わること:有床診療所・特養・中小病院・大病院

施設モデル契約・電気代(関東、税抜)重要負荷(仮定)効きやすい打ち手
有床診療所(19床)低圧40kW・年約530万円8kW(契約の20%)屋根の太陽光、小型の給湯ヒートポンプ、ポータブル電源・EVでの重要機器の給電
特養(定員70人)高圧60kW・年約799万円9kW(15%)屋根の太陽光(屋根が広く、まかなえる割合が約18〜25%と大きい)、給湯の電化、小容量の蓄電池
中小病院(約170床)高圧400kW・年約5,327万円120kW(30%)給湯の電化、屋根+駐車場の太陽光、発電機の燃料とUPSの見直し
大病院(約400床)高圧1,200kW・年約1.6億円360kW(30%)空調熱源の電化と蓄熱、太陽光、オフサイトPPAなどの調達

④この試算で確かめたこと・確かめていないこと

  • 確かめたこと(M):屋根・カーポートの太陽光の回収年数、蓄電池の上乗せ分の回収と損益分岐価格、停電時に蓄電池だけで守れる時間、発電機と組み合わせたときの燃料の持ち、給湯の電化の年間差額と貯湯槽の効果、何もしない場合の電気代の増加、CO2の削減量。
  • 確かめていないこと(H・定性的):空調熱源の更新と蓄熱槽、滅菌の蒸気、照明・空調の省エネの削減額、送迎車のEVの車両価格の差、補助金、オフサイトPPA。関連する試算記事へのリンクで補っています。

検証の方法:11施設モデル×太陽光2×蓄電池3×上昇率3=198ケース(+給湯の電化198ケース)

ケースの数え方を先に示します。「施設モデル」は規模とエリアの組み合わせです。関西の低圧電力は公開の料金を収録していないため、有床診療所は関東と九州の2エリアだけで計算しました。

軸水準数
施設モデル有床診療所(19床・低圧40kW)×関東・九州、特養(定員70人・高圧60kW)・中小病院(約170床・高圧400kW)・大病院(約400床・高圧1,200kW)×関東・関西・九州11
太陽光屋根のみ(16kW・48kW・80kW・144kW)、屋根+駐車場のカーポート(28kW・66kW・160kW・324kW)2
蓄電池なし、契約電力×0.2時間分、×0.4時間分(例:中小病院で80kWh・160kWh)3
電気代上昇率年1%・2%・3%(基本料金・電力量料金とも)3
合計(太陽光のみ66ケース、蓄電池あり132ケース)198
給湯(比較)ガス給湯のまま、ヒートポンプ+貯湯槽に電化(上の198ケースをそれぞれ計算)×2

計算は1時間ごと(年8,760時間)です。太陽光の発電量は、EUの共同研究センターが公開するPVGISの東京・大阪・福岡の1時間値を使い、劣化を年0.5%としました。逆潮流(送電網への売電)はせず、余った電気は蓄電池に充電するか、捨てる(出力抑制)前提です。高圧の施設では蓄電池を「年間の最大需要を下げる」運転にし、翌日の需要を完全に予測できる場合(上限)の7割まで達成できる運転を「現実的な値」としました。回収年数は「累積収支が最後にプラスに転じた年」で数え、回収できないケースは中央値の計算で「20年超」として含めています。給湯を電化した198ケースでも、太陽光の回収年数は差が約0.01年以内で、結論は変わりませんでした。以下、太陽光と蓄電池の数値は給湯がガスのままの198ケースで示します。

何で稼ぐのか:使った量の単価と、基本料金

  • 使った量(電力量料金・燃料費調整・再エネ賦課金)を減らす:太陽光の自家消費と省エネが該当します。高圧の施設では、1kWhあたり税抜で関東約21円、関西約21〜22円、九州約19〜20円の支払いが減ります(2026年11月以降の単価、賦課金4.18円込み、税抜換算)。
  • 契約電力(基本料金)を減らす:蓄電池と、ピーク時間の需要を減らす省エネが該当します。高圧の基本料金は1kWあたり月約1,700〜2,040円(力率割引後、税抜)で、契約電力を10kW下げると年約20万〜24万円です。

病院の年間の最大需要は、夏の平日の日中に出ます。太陽光はその時間に発電しますが、曇りや雨の日にピークが来れば下がりません。今回の試算では、太陽光で下がった契約電力は中小病院で屋根のみ約1〜2%、カーポート込みでも約2〜4%にとどまりました。太陽光の価値はほぼ「使った量」の削減で、契約電力を確実に下げるには、ピークの時間に需要そのものを減らす運用(空調の設定・予冷、医療機器の起動の分散)が必要です。

結果①:太陽光は66ケースすべてが保守費込みで13.2年以内に回収、中央値8.5年

太陽光だけを入れた66ケース(11施設モデル×太陽光2通り×上昇率3)は、保守費(年3,000円/kW)と13年目のパワーコンディショナ交換(2万円/kW)を入れても、すべて13.2年以内に回収できました。中央値は8.5年(保守費を除くと7.5年)、10年以内は66ケース中59ケースです。10年を超えた7ケースは、有床診療所の九州またはカーポート込みのケースと、特養の九州・カーポート込み・上昇率1%のケースでした。

太陽光の回収年数(保守費・パワコン交換込み、電気代上昇率2%)。有床診療所 屋根のみ 関東8.6年・九州10.1年、屋根+カーポート 関東9.8年・九州11.6年。特養 屋根のみ 関東8.4年・関西7.8年・九州8.8年、屋根+カーポート9.2年・8.5年・9.7年。中小病院 屋根のみ7.3年・6.9年・7.7年、屋根+カーポート8.9年・8.3年・9.3年。大病院 屋根のみ6.4年・6.0年・6.7年、屋根+カーポート8.2年・7.6年・8.6年。関西の有床診療所は対象外
図5 太陽光の回収年数(保守費・交換費込み、税抜、上昇率2%)。出典:エネがえる試算
施設・太陽光設置費(税抜)回収年数(保守費なし)回収年数(保守費・交換費込み)太陽光でまかなえる電気の割合
有床診療所・屋根(16kW)約352万円7.5〜9.3年8.3〜10.6年約9%
有床診療所・屋根+カーポート(28kW)約712万円8.6〜10.7年9.4〜13.2年約15〜16%
特養・屋根(48kW)約960万円6.8〜8.1年7.5〜9.2年約18〜19%
特養・屋根+カーポート(66kW)約1,446万円7.5〜8.9年8.2〜10.1年約24〜26%
中小病院・屋根(80kW)約1,440万円6.0〜7.1年6.7〜8.0年約4〜5%
中小病院・屋根+カーポート(160kW)約3,440万円7.2〜8.6年8.0〜9.8年約9%
大病院・屋根(144kW)約2,304万円5.3〜6.1年5.8〜6.9年約3%
大病院・屋根+カーポート(324kW)約6,444万円6.7〜7.9年7.4〜9.0年約6%

幅はエリアと電気代上昇率(年1〜3%)によるものです。上昇率が高いほど回収は早まりますが、その差は中央値で約0.7年(上昇率1%で8.8年、3%で8.2年)と大きくありません。

設置費用が想定より高くても成り立つか

病院の屋根は、ヘリポート、空調の室外機、給排気の設備、防水の更新時期などで、太陽光を載せにくいことがあります。設置費用が想定より3割高い場合を計算すると、上昇率2%の22ケース中21ケースが保守費込みで15年以内に回収し、中央値は10.8年、最長は15.4年(有床診療所・九州・カーポート込み)でした。屋根の防水改修と同時に施工できれば、足場と防水の費用を共通化できます。屋根の荷重の確認は太陽光の屋根重量・追加荷重の確認ツールを参考にしてください。

カーポートを足すかどうか

駐車場にカーポート型の太陽光を足すと、まかなえる電気の割合はおよそ2倍になります(中小病院で約4〜5%→約9%)。その代わり設置単価が高く、回収は約1.2〜1.8年遅れます(上昇率2%、保守費込み)。それでも20年間の手残り(保守費込み)は、中小病院・関東で約2,784万円→約4,761万円、大病院・関東で約5,595万円→約1.04億円に増えます。来院者と職員の雨よけ、夏の車内温度の低下、将来のEV充電の場所としての価値もあり、病院では「屋根が足りないときの第2の屋根」として検討する価値があります(ソーラーカーポート導入完全ガイド)。

なぜ太陽光は余らないのか

自家消費率(発電した電気のうち施設で使えた割合)は、全66ケースで99.8%以上でした。屋根の面積に比べて需要が大きく、昼の発電の最大値でも需要の一部にしかならないためです。逆に言えば、病院・介護施設の太陽光は「余った電気をためる」蓄電池を必要としません。この点が、家庭や学校、日中だけ動く工場と大きく違います。特養は低層で屋根が広く、まかなえる割合が約18〜26%と最も大きくなりました。

結果②:蓄電池の上乗せ分が15年で回収できたのは132ケース中6ケース

太陽光に蓄電池(契約電力×0.2時間分・0.4時間分、14万円/kWh・税抜)を足した132ケースのうち、蓄電池の上乗せ分が電気代の削減だけで15年以内に回収できたのは6ケースでした。5ケースは関東の特養(0.2時間分の容量など)、1ケースは関東の中小病院(0.2時間分、屋根+カーポート、上昇率3%)です。翌日の需要を完全に予測できる上限の運転でも57ケースにとどまり、有床診療所(低圧)は0ケースでした。

蓄電池の上乗せ分が15年で回収できる価格(中央値、税抜)。特養 0.2kWh/kW 12.6万円・0.4kWh/kW 12.3万円(完全予測の上限18.3万・17.8万円)、中小病院10.7万・6.7万円(上限15.5万・9.9万円)、大病院8.5万・5.4万円(上限12.4万・8.0万円)。想定価格は14万円/kWh
図6 蓄電池の損益分岐価格(高圧の3施設、15年間の削減額の合計÷容量、税抜)。出典:エネがえる試算
施設・容量損益分岐価格(現実的な制御、中央値/範囲)完全予測の上限(中央値)最大需要の低下15年回収(現実的/上限)
特養・12kWh(0.2時間分)12.6万円(10.9万〜15.4万円)18.3万円約7%4/18ケース
特養・24kWh(0.4時間分)12.3万円(10.4万〜15.0万円)17.8万円約14〜15%1/18ケース
中小病院・80kWh10.7万円(7.6万〜14.9万円)15.5万円約5〜7%1/13ケース
中小病院・160kWh6.7万円(4.7万〜9.7万円)9.9万円約7〜11%0/1ケース
大病院・240kWh8.5万円(5.8万〜12.7万円)12.4万円約4〜7%0/7ケース
大病院・480kWh5.4万円(3.8万〜7.7万円)8.0万円約6〜9%0/0ケース

各施設・容量18ケース(3エリア×太陽光2通り×上昇率3)。最大需要の低下は上昇率2%のケースで、太陽光導入後の最大需要に対する割合。

蓄電池が電気代で稼げるのは、基本料金(契約電力)の削減です。病院の需要は日中に長く高い状態が続くため、0.2〜0.4時間分の容量では最大需要を数%しか下げられず、容量を増やすほど1kWhあたりの価値は下がります。特養で比較的成り立ちやすいのは、契約電力に対して屋根の太陽光が大きく(契約電力の80%)、太陽光導入後に残るピークが短くなり、蓄電池が出力の上限まで効くためです。需要の形は4施設とも同じ仮定で、朝の入浴・食事の時間のピークは反映していません。実際の施設の30分デマンドデータでピークの形を確かめてから判断してください。

有床診療所(低圧40kW)では、契約電力が固定のため蓄電池で基本料金が下がらず、太陽光も余らないため蓄電池はほとんど充放電せず、待機電力(補機)の分だけ削減額がマイナスになりました(年約−3,000〜−6,000円)。低圧の小規模施設の蓄電池は、純粋に停電対策の設備として考える必要があります。

停電対策として、年にいくらの価値があれば見合うか

電気代の削減で回収できない分を「停電対策の費用」と考えると、15年で割った1年あたりの金額は次のとおりです(上昇率2%、現実的な制御)。

施設0.2時間分の容量0.4時間分の容量
有床診療所(低圧)8kWh:年約7.8万円16kWh:年約15.6万円
特養12kWh:年0〜約1.9万円24kWh:年0〜約4.6万円
中小病院80kWh:年約0.7万〜31万円160kWh:年約53万〜95万円
大病院240kWh:年約35万〜124万円480kWh:年約220万〜318万円

この金額を「何を守れるか」と比べて判断します。ただし次の章で見るとおり、この程度の容量では、病院の重要負荷を発電機なしで長時間守ることはできません。蓄電池の停電対策としての価値は「長時間のバックアップ」ではなく、「停電時の切替」と「燃料の節約」にあります(瞬時の切替には無停電で切り替わる構成が必要です)。停電1回あたりの損失を金額にする考え方は停電回避価値(VoLL)とは?で解説しています。

停電対策(BCP):主役は発電機、蓄電池は「切替」と「燃料の節約」

停電対策を考えるときは、最初に「何を・何秒以内に・何時間守るか」を決めます。病院の電気設備の安全基準(JIS T 1022)は、非常電源を立ち上がりの速さで3つに分けています。

非常電源の種類電圧が戻るまで連続運転主な用途(例)
一般非常電源40秒以内10時間以上重要な医療機器(ME機器)
特別非常電源10秒以内10時間以上生命維持装置
瞬時特別非常電源0.5秒以内10分以上手術灯など

出典:JIS T 1022「病院電気設備の安全基準」の区分を引用した医療機関向けの資料「非常用電源とME機器について」(B)。最新版の規格本文で確認してください。

この資料は、蓄電池を使う瞬時特別非常電源(UPS)以外は、切替のときに数十秒から1分程度の停電が生じ、人工呼吸器や患者モニタが初期設定に戻るなどの障害が起こりうると注意しています。つまり病院で蓄電池に求められる第一の役割は、発電機が立ち上がるまでの数十秒を途切れさせないことであり、これは電気代の削減とは全く別の価値です。なお、この役割を担えるのは無停電で切り替わる構成(常時インバータ方式のUPSなど)です。本記事で経済性を試算したピークカット用の蓄電池は自立運転への切替に時間がかかる機種が多く、切替時間は機種ごとに確認が必要です。

蓄電池は「容量(kWh)」より先に「出力(kW)」で決まる

左:重要負荷の最大kWと蓄電池の出力(0.5C)。有床診療所8kWに対し0.2kWh/kWの蓄電池は4kW・0.4kWh/kWは8kW、特養9kWに対し6kW・12kW、中小病院120kWに対し40kW・80kW、大病院360kWに対し120kW・240kW。右:蓄電池と屋根の太陽光だけで守れる時間の中央値。特養は0.4kWh/kWで2.9時間、有床診療所2.0時間、中小病院と大病院は0.4kWh/kW・出力1Cでも1.3時間で、それ以外は0時間
図7 重要負荷と蓄電池の出力、蓄電池+屋根の太陽光だけで守れる時間(関東、停電開始時に満充電、全8,760通りの開始時刻の中央値)。出典:エネがえる試算

重要負荷を契約電力の15〜30%と仮定し(有床診療所8kW、特養9kW、中小病院120kW、大病院360kW)、停電の開始時刻を1年の8,760通りすべてで試した結果が図7です。

  • 出力が重要負荷を下回ると、容量があっても0時間。中小病院の160kWh(契約電力×0.4時間分)の蓄電池は、出力が容量の半分(0.5C)だと80kWで、重要負荷120kWを賄えません。出力を容量と同じ(1C)にしても、守れるのは約1.3時間です。
  • 発電機なしで守れるのは、長くて3時間程度。特養(重要負荷9kW)で24kWhの蓄電池と屋根の太陽光48kWを組み合わせても、中央値は約2.9時間でした。日中に停電すれば太陽光で延びますが、夜に始まる停電では蓄電池の容量だけが頼りです。
  • 蓄電池だけで72時間を守るのは非現実的。中小病院の重要負荷120kWを蓄電池だけで3時間守るには約380kWh(14万円/kWhで約5,350万円)、72時間なら約9,170kWhが必要です。特養でも72時間なら約690kWhになります(使える容量90%・往復効率88%で単純計算)。

発電機と組み合わせると、燃料が何倍もつか

72時間の重要負荷のうち太陽光(+蓄電池)で賄う割合と、発電機の燃料の持ち時間の倍率(関東、中央値)。有床診療所 屋根29%(1.41倍)・屋根+カーポート38%(1.61倍)・+蓄電池47%(1.90倍)。特養41%(1.70倍)・43%(1.76倍)・57%(2.32倍)。中小病院10%(1.11倍)・20%(1.25倍)・21%(1.27倍)。大病院6%(1.06倍)・13%(1.15倍)・15%(1.18倍)
図8 発電機と組み合わせた場合に、72時間の重要負荷のうち太陽光(+蓄電池)が賄う割合(関東、365通りの停電開始日の中央値)。出典:エネがえる試算

現実的な役割分担は「重要負荷は発電機で守り、太陽光(と蓄電池)で発電機の燃料を減らす」です。停電が72時間続く場合、重要負荷の電力量のうち太陽光が賄える割合は、特養(屋根48kW)で約41%、中小病院(屋根80kW)で約10%でした。燃料の持ち時間に直すと、特養で約1.7倍、中小病院で約1.1倍です。冬(12〜2月)は特養で約37%、夏(5〜8月)は約44%と、季節で数ポイント変わります。

この効果には条件があります。多くの太陽光のパワーコンディショナは、停電中に発電機とつないで動かす(発電機連系)ことを想定していません。発電機の容量に対して太陽光が大きすぎると、発電機の運転が不安定になるおそれもあります。発電機と連系できる機器か、蓄電池を介して自立運転する構成かを、設計の段階でメーカー・施工会社に確認してください。

病院の発電機の現状:「3日分」が要件、足りない病院もあった

災害拠点病院は、通常時の6割程度の発電容量の自家発電機と、3日分程度の燃料の確保が指定要件です。北海道胆振東部地震(2018年)の後の緊急点検では、災害拠点病院・救命救急センター・周産期母子医療センターの822病院すべてに非常用自家発電設備がありましたが、燃料タンクの容量で診療機能を維持できる期間が3日未満の病院が144、燃料がガスだけで3日分の備蓄がない病院が13ありました(厚生労働省 第10回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会 資料)。この資料は、ブラックアウトが起きた同地震では停電戸数の99%が約50時間で解消したことも記しています。

燃料タンクの増設と、太陽光による燃料の節約は競合しません。タンクの増設は「持ち時間の下限」を上げ、太陽光は「日中の消費」を減らします。中小病院のように太陽光の効果が1割程度にとどまる施設では、タンクと燃料の供給協定が先で、太陽光は電気代の削減を主な目的にして、停電時の効果は上乗せと考えるのが妥当です。

介護施設のBCP:義務になった計画に、電源の数字を入れる

介護施設は2024年4月からBCPの策定と研修・訓練が義務になりました(鹿児島県の案内)。計画には、停電時に何を動かすか(たんの吸引器、エアマット、酸素濃縮装置、冷蔵の薬、ナースコール、居室の照明、一部の冷暖房)と、それを何で賄うか(発電機、蓄電池、ポータブル電源、EV)を数字で書いておくことが重要です。今回の特養モデルでは重要負荷を契約電力の15%(9kW)と仮定しましたが、夏や冬に居室の冷暖房まで含めると、この数倍になります。

停電対策として蓄電池を入れるときの設計手順

  1. 重要負荷を回路ごとに洗い出す(機器・kW・必要な時間・切替の許容時間)。
  2. 切替0.5秒以内が必要なものは、無停電で切り替わるUPS(常時インバータ方式など)で守る。ピークカット用の蓄電池で兼ねる場合は、自立運転への切替時間を機種ごとに確認する。数十秒の停電が許容できるものは発電機で守る。
  3. 蓄電池の出力(kW)を重要負荷の最大値以上にする。容量(kWh)は「発電機が立ち上がらなかったときに何時間もたせるか」で決める。
  4. 太陽光が停電中に動く構成か確認する(自立運転・発電機連系・蓄電池経由)。
  5. 電気代の削減と停電対策の価値を分けて稟議に書く。前の章の表の「年あたりの停電対策の費用」を、守るものの価値と比べる。

熱:給湯をヒートポンプ+貯湯槽にすると、太陽光の次に効く

病院・介護施設の熱需要のうち、給湯(入浴・厨房・ランドリー・手洗い)は60℃前後で、ヒートポンプで置き換えやすい温度帯です。給湯量を1人(1床)1日100L・60℃、給水温度を月ごとに変化(8月25.5℃〜2月6.5℃)、ガス給湯器の効率0.85、都市ガス税込120円/m3、ヒートポンプのCOP3.0と仮定して試算しました(いずれもH)。

給湯をヒートポンプにした場合の年間の金額(関東・初年度、税抜)。有床診療所 減るガス代36万円、増える電気代27万円、差+9万円。特養 134万円・92万円・差+42万円(貯湯槽なしで昼に運転すると+23万円)。中小病院 326万円・223万円・差+103万円(貯湯槽なし+57万円)。大病院 766万円・524万円・差+242万円(貯湯槽なし+133万円)
図9 給湯の電化による年間の差額(関東・初年度、税抜、機器費は含まない)。出典:エネがえる試算
施設(関東)都市ガス使用量(給湯分)ヒートポンプの電力年間の差額(貯湯槽あり)貯湯槽なし(昼に運転)15年の差額の合計=機器費の上限の目安
有床診療所約3,300m3約5kW・年約1.2万kWh約9万円約9万円約136万円
特養約12,300m3約18kW・年約4.4万kWh約42万円約23万円約636万円
中小病院約29,800m3約44kW・年約10.6万kWh約103万円約57万円約1,545万円
大病院約70,200m3約104kW・年約24.9万kWh約242万円約133万円約3,636万円

15年の差額の合計は上昇率なし・割引なしの単純合計で、機器費・配管工事・既存ボイラの撤去または予備としての維持費は含まない。九州の大病院は年約277万円、関西は約233万円。

貯湯槽は「安い蓄電池」:契約電力を上げずに電化する

ヒートポンプは電気で動くため、何もしなければ契約電力(基本料金)が上がります。給湯を使う時間(7〜19時)にそのまま沸かすと、中小病院で契約電力が約19kW上がり、差額は年約103万円から約57万円に縮みました。貯湯槽にお湯をため、需要の谷の時間(主に夜間)に沸かせば、契約電力は上がりません。熱をためる貯湯槽は、電気をためる蓄電池よりはるかに安く「時間をずらす」設備です。空調の熱源でも、氷や冷温水をためる蓄熱槽で同じ考え方が使えます(ヒートポンプ・蓄熱センター「蓄熱について」)。

なお、今回の施設モデルでは太陽光の発電が余らないため、ヒートポンプを昼に動かして太陽光を吸収する効果はありませんでした。屋根に比べて需要が小さい施設(低層の介護施設など)で太陽光を大きく載せる場合には、昼の余剰をお湯にためる運転が選択肢になります(住宅での比較は太陽光の余剰電力は「蓄電池」と「お湯」のどちらに回す?)。

ガス単価と効率しだいで逆転する

中小病院・関東の給湯の電化の年間差額(ガス代の減少−電気代の増加、税抜)。都市ガス90円/m3ではCOP2.5で−23万円、3.0で+22万円、4.0で+77万円。120円/m3では+59万円・+103万円・+159万円。150円/m3では+140万円・+184万円・+240万円
図10 給湯の電化の感度分析(中小病院・関東、初年度、税抜。ガス単価は税込)。出典:エネがえる試算

都市ガス90円/m3・COP2.5の組み合わせでは、すべての施設で電化のほうが高くつきました(有床診療所は関東の90円/m3・COP3.0でも逆転)。逆に150円/m3・COP4.0では、中小病院で年約240万円の差になります。ヒートポンプのCOPは、給水温度と沸き上げ温度、外気温で変わり、冬に下がります。自施設のガスの契約単価(基本料金を含めた実質単価)、給湯の実使用量、機器の年間の効率を確かめることが出発点です。LPガスを使う施設では熱量あたりの単価が都市ガスより高いことが多く、差額は大きくなる傾向があります(要確認)。

滅菌の蒸気(100℃を超える熱)は、今回の試算の対象外です。100℃未満の温水需要はヒートポンプで代替できるようになったとされる一方(省エネルギーセンター JASE-W技術集 F-08「産業用ヒートポンプ」)、蒸気は既存のボイラや、電気式の蒸気発生器との比較が必要です。工場での熱の電化の詳しい試算は24時間稼働の工場に太陽光・蓄電池・ヒートポンプは割に合う?にまとめています。

モビリティ:送迎車のEVは「燃料代」と「停電時の電源」の2つで考える

介護施設の送迎車や病院の公用車は、運行の時刻が決まっていて、日中に車庫で待機する時間が長いことが多い車です。燃料代だけを比べる簡易計算をすると、年1.5万km走る送迎車1台で、ガソリン車(燃費9km/L、レギュラー170.1円/L=2026年10月26日の全国平均)が年約25.8万円、EV(電費5km/kWh、関東の高圧の電力量単価 税抜約21円/kWh)が年約6.3万円で、差は年約19.5万円です(燃費・電費・走行距離は仮定、税抜)。

ここで注意したいのは、今回の施設モデルでは太陽光が余らないため、EVに入れる電気は実質的に「買った電気」だという点です。太陽光の電気でEVが「タダで走る」わけではありません。また、日中に一斉に充電すると契約電力が上がるため、夜間や需要の谷に充電する制御が必要です。車両価格の差と補助金を含めた損得は商用EVは元が取れない?用途別・車種別にTCOを実試算、停電時にEVから施設へ給電する価値はV2Hは元が取れない?全国9エリア243ケースを実試算を参考にしてください。EVは、施設のBCPでは「動かせる蓄電池」として、ポータブル電源や小型の機器の給電に使えます。

反実仮想:何もしない場合、電気代の値上がり分だけでいくらになるか

関東・中小病院で何もしない場合、電気代が年2%上がると上昇分の累計は10年で約5,060万円、20年で約2億2,894万円。屋根の太陽光80kWの削減額の累計から設置費1,440万円を引いた額は20年で約3,424万円(保守費を除く)
図11 何もしない場合の電気代の上昇分と、屋根の太陽光の累計(関東・中小病院、上昇率2%、税抜)。出典:エネがえる試算

中小病院(関東)の電気代 年約5,327万円が毎年2%上がると、上昇分の累計は10年で約5,060万円、20年で約2.3億円です。診療報酬は電気代に連動して上がらないため、この分はそのまま損益を圧迫します。屋根の太陽光80kWは、20年間で設置費を差し引いて約3,424万円(保守費・交換費込みで約2,784万円)を取り戻しますが、それでも上昇分の約15%です。太陽光は「値上がりを止める」ものではなく、「値上がりの一部を固定する」もので、残りは省エネ・熱の電化・調達の見直しで分担する必要があります。

他の施設でも、何もしない場合の20年の上昇分は、有床診療所で約2,276万円、特養で約3,434万円、大病院で約6.9億円になります(上昇率2%)。

CO2:太陽光は電気由来の3〜26%、給湯の電化は排出係数が下がるほど効く

関東の年間のCO2削減量。有床診療所 屋根の太陽光8.4t・屋根+カーポート15t・給湯の電化(正味)1.6t。特養25t・34t・6.0t。中小病院42t・84t・15t。大病院75t・169t・34t
図12 年間のCO2削減量(関東、電気は東京電力EPの残差0.452kg/kWh、都市ガス2.09t/千m3)。出典:エネがえる試算

太陽光で減らせるのは電気由来のCO2の約3%(大病院・屋根)〜約26%(特養・屋根+カーポート)です。給湯の電化は、都市ガスの燃焼分が減る一方で電気の使用が増えるため、今の排出係数では正味の削減が小さくなります(中小病院で年約15t)。電力の排出係数が下がるほど、また再エネの電気を調達するほど、熱の電化の削減効果は大きくなります。病院全体の脱炭素を進めるには、屋根の太陽光だけでは足りず、再エネメニューやオフサイトPPAなどの調達が主役になります(オフサイトPPAは得なのか?業種別×規模別に実試算、大企業の脱炭素は自家消費?オフサイトPPA?再エネ電力?)。

何が変わると結論がひっくり返るか

前提この記事の値変わると何が起きるか
太陽光の設置費用16万〜22万円/kW(屋根)、23万〜30万円/kW(カーポート)3割高くても上昇率2%の22ケース中21ケースが15年以内(最長15.4年)
電気代の上昇率年1〜3%太陽光の回収の中央値は8.8年(1%)〜8.2年(3%)でほぼ変わらない
蓄電池の価格14万円/kWh(税抜)特養は約12〜13万円/kWh以下、中小病院(80kWh)は約11万円/kWh以下で回収圏(中央値)
需要の形(ピーク)合成プロファイル、日中に長く高い短く尖ったピーク(医療機器の同時起動、朝の入浴)がある施設ほど蓄電池の価値は上がる。実際の30分デマンドで要確認
重要負荷の比率契約電力の15〜30%半分に絞れば蓄電池の持続時間は約2倍、冷暖房まで含めれば数分の1
都市ガス単価・ヒートポンプのCOP税込120円/m3・3.090円/m3・COP2.5で全施設が逆転。150円/m3・COP4.0では中小病院で年約240万円
給湯量1人(1床)1日100L・60℃差額はほぼ比例。60Lなら約6割、150Lなら約1.5倍
太陽光の容量屋根の面積の仮定(契約電力の12〜80%)病院では大きくしても余らないため、載せられるだけ載せる方向。余剰が出るのは低層で需要の小さい施設

追いかけるべきKPI

  • エネルギー消費原単位:延床面積あたり、または病床・定員あたりのエネルギー使用量。省エネ法の年平均1%以上の低減の目標と同じ物差しで、省エネ・電化の効果を測ります(資源エネルギー庁「事業者の区分と義務」)。
  • 水道光熱費の対収益比率:中医協の調査(一般病院2.1%)や介護事業経営概況調査の光熱水費と比べ、自施設の位置を確かめます。
  • 重要負荷の持続時間と切替時間:発電機の燃料で何時間、蓄電池・UPSで何分、切替は何秒か。BCPの訓練の結果で更新します。
  • 負荷率(デマンド率):年間平均÷最大需要。負荷率が上がるほど基本料金の割合が下がり、蓄電池より運用改善が効く状態になります。
  • Scope1とScope2:ガス(Scope1)と電気(Scope2)を分けて追います。太陽光はScope2、給湯の電化はScope1を減らしScope2を増やします。

よくある思い込みと、試算の結果

よくある思い込み試算の結果
病院は電気をたくさん使うので、蓄電池で電気代が大きく下がる逆。日中に長く高い需要が続くため、0.2〜0.4時間分の容量では最大需要が数%しか下がらない。上乗せ分の15年回収は132ケース中6
太陽光と蓄電池はセットで入れるもの病院・介護施設では太陽光はほぼ余らない(自家消費率99.8%以上)。ためる電気がなく、蓄電池は別の目的で判断する
蓄電池があれば停電しても安心出力が重要負荷を下回れば0時間。中小病院で3時間守るには約380kWh・約5,350万円。主役は発電機
太陽光は停電時に役に立たない発電機と連系できる設計なら、72時間の重要負荷の約6〜41%を屋根の太陽光で賄い、燃料の持ちを約1.06〜1.7倍にできる(施設による)
ヒートポンプは家庭用の技術で、病院の給湯には合わない60℃前後の給湯なら適用でき、中小病院(関東)で年約103万円の差。ただしガス単価とCOPしだいで逆転する
電化すると基本料金が上がるので損貯湯槽で需要の谷に沸かせば契約電力は上がらない。貯湯槽なしだと差額はおよそ半分になる
太陽光を載せれば値上がりの心配はなくなる中小病院の屋根の太陽光が取り戻すのは、20年の値上がり分(約2.3億円)の約15%

施設規模別の読み解き

有床診療所(低圧40kW級):太陽光と小型の給湯ヒートポンプ、停電対策はポータブル電源も

屋根の太陽光16kWの回収は保守費込みで8.3〜10.6年(関東・九州)。低圧は契約電力が固定のため、蓄電池では基本料金が下がらず、削減額はマイナスになりました。停電対策は、守る機器(冷蔵の薬、吸引器、照明、通信)を絞り、ポータブル電源やEVでの給電と組み合わせるほうが安く済む場合があります。給湯の電化の差額は年約9万円と小さく、給湯器の更新の時期に合わせて検討します。

特養(定員70人・高圧60kW級):屋根が広く、太陽光の比率が最も高い

低層で屋根が広いため、太陽光でまかなえる電気の割合が約18〜26%と最も大きく、停電時にも重要負荷の約4割を太陽光で賄えます(発電機と組み合わせた場合)。蓄電池の上乗せ分が15年以内に回収できた6ケースのうち5ケースが関東の特養でした。給湯の電化の差額は年約42万円(関東)です。BCPの義務化と合わせ、「太陽光+小容量の蓄電池+給湯の電化」を一体で設計する価値が最も大きい施設です。既存の解説は介護・福祉施設の太陽光・蓄電池 最適な容量の決め方ガイドにもまとめています。

中小病院(約170床・高圧400kW級):給湯の電化と太陽光、発電機の燃料が先

屋根の太陽光80kWの回収は6.7〜8.0年(保守費込み)と早い一方、まかなえる電気は約4〜5%です。給湯の電化(年約103万円)は屋根の太陽光の初年度削減額(約208万円)の半分程度の規模で、給湯器の更新時が実行の機会です。停電対策は、発電機の燃料(3日分)とUPSの確認が先で、太陽光の燃料節約は約1割の上乗せと考えます。

大病院(約400床・高圧1,200kW級):熱源と調達まで含めて設計する

屋根の太陽光の回収は5.8〜6.9年と最も早いものの、まかなえる電気は約3%です。電気代が年約1.6億円の規模では、空調熱源の更新と蓄熱、給湯の電化(年約242万円)、再エネの調達の組み合わせが中心になります。公的病院・公立病院では、自治体の公共施設の脱炭素の計画と一体で考えることになります(自治体の公共施設の太陽光は起債・交付金・PPAのどれが得?)。

エリアによる違い

太陽光の回収年数の中央値(保守費込み)は、電力量の単価が高く日射も多い関西が7.7年で最も早く、関東8.5年、九州9.1年でした。給湯の電化の差額は、電力量の単価が低い九州で最も大きくなりました(大病院で関東約242万円に対し九州約277万円)。

施設規模別の推奨:どこから手を付けるか

経営課題から見た打ち手の価値

経営課題効く打ち手この記事の数字
赤字の中の光熱費の上昇屋根・カーポートの太陽光、給湯の電化回収5.8〜13.2年、給湯は年9万〜277万円の差
BCPの義務化・災害拠点の要件発電機の燃料・UPS、太陽光の発電機連系、小容量の蓄電池屋根の太陽光で燃料が約1.06〜1.7倍もつ(施設による)
人手不足(設備管理の担当がいない)手間のかからない設備(太陽光)と、運用の自動化(ヒートポンプの谷運転)太陽光は余らないため制御が不要
脱炭素の要請(公立病院・法人の方針)太陽光+再エネの調達+熱の電化太陽光で電気由来のCO2の3〜26%

稟議に載せる数字の例:中小病院(関東・高圧400kW、電気代上昇率2%)

項目屋根の太陽光80kW屋根+カーポート160kW給湯の電化(参考)
設置費(税抜)約1,440万円約3,440万円機器費は個別見積(15年の差額の合計 約1,545万円が上限の目安)
初年度の削減額(税抜)約208万円約406万円約103万円(ガス代−電気代)
回収年数(保守費込み)約7.3年約8.9年—
20年の手残り(保守費込み)約2,784万円約4,761万円—
停電時(72時間の重要負荷のうち)約10%を太陽光で賄う約20%—
CO2削減年約42t年約84t年約15t(正味)

院内・法人内の立場ごとに、何を説明すれば合意がとれるか

  • 経営層・理事会:何もしない場合の20年の値上がり分(約2.3億円)と、太陽光が固定できる部分(約3,400万円)。投資の回収年数と手残り。
  • 事務長・施設管理:屋根の防水更新・荷重、停電時の切替の順番、発電機の燃料と点検、ヒートポンプの設置場所。
  • 医療安全・臨床工学:重要負荷の回路、UPSの対象機器、切替時のME機器の挙動。
  • 自治体(公立病院)・法人本部:補助金・交付金の対象、脱炭素の計画との整合、複数施設の順番。

最初の90日でやること

  1. 1〜30日:過去12か月の30分デマンドデータ、ガスの検針票、給湯器・空調熱源・発電機の設置年と容量を集める。重要負荷の回路を洗い出す。
  2. 31〜60日:屋根・駐車場の面積と荷重を確認し、太陽光の容量を決める。デマンドデータで太陽光・蓄電池・給湯の電化を試算する。
  3. 61〜90日:電気代の削減と停電対策を分けた稟議書を作る。給湯器の更新計画と太陽光の工事時期を合わせる。

見積もりと試算を受け取ったら確認する8項目

  1. 需要は実際の30分デマンドデータか、合成プロファイルか。
  2. 太陽光の自家消費率と、契約電力が下がる前提の有無(病院では下がりにくい)。
  3. 保守費とパワーコンディショナの交換費が入っているか。
  4. 蓄電池の削減額が、電気代とBCPで分けて示されているか。
  5. 蓄電池の出力(kW)が重要負荷の最大値を上回っているか。
  6. 太陽光が停電時に動く構成か(自立運転・発電機連系)。
  7. ヒートポンプの電力が契約電力を上げない運転になっているか(貯湯槽・蓄熱槽)。
  8. ガスの単価が実質単価(基本料金込み)で計算されているか。

エネがえるでできること

エネがえるBizは、産業用・業務用の自家消費型太陽光・蓄電池の経済効果を、施設の30分デマンドデータや業種別のロードカーブ・テンプレートで試算するクラウドサービスです。全国の電力会社の高圧・低圧の料金メニューと燃料費調整単価を反映し、デマンドの削減を含めた回収年数・20年収支・CO2削減量を提案書の形で出力できます。データの準備や試算そのものを任せたい場合は、試算代行(BPO)も利用できます。複数施設の一括試算や、給湯の電化・停電対策を含めた全体設計は個別にご相談ください。

よくある質問

病院の自家消費型太陽光は元が取れますか?

試算では、病院・介護施設の太陽光だけの66ケースすべてが、保守費・パワーコンディショナの交換費込みで13.2年以内に回収しました(中央値8.5年)。中小病院(約170床)の屋根80kWは関東で約7.3年、大病院(約400床)の屋根144kWは約6.4年です(電気代上昇率2%)。夜も需要が残るため発電はほぼ全部施設内で使い切れますが、まかなえる電気は病院で数%にとどまります。

病院・介護施設に蓄電池は必要ですか?

電気代の削減だけでは、蓄電池の上乗せ分が15年以内に回収できたのは132ケース中6ケースでした。必要かどうかは停電対策の物差しで決めます。病院では、停電時の切替(発電機が立ち上がるまでの数十秒を途切れさせるべきでない機器は、無停電で切り替わるUPS構成で守る)と、発電機の燃料を節約する補助が中心で、発電機の代わりにはなりません。ピークカット用の蓄電池の自立切替では瞬時の切替に足りないことが多い点に注意してください。

停電時、蓄電池で病院の重要負荷はどれくらい動きますか?

出力(kW)が重要負荷を下回ると0時間です。中小病院(重要負荷120kWと仮定)では、160kWhの蓄電池でも出力80kWなら0時間、出力160kWで約1.3時間でした。3時間を蓄電池だけで守るには約380kWh(約5,350万円)が必要です。

太陽光は停電時に役に立ちますか?

発電機と連系して動く設計なら、72時間の重要負荷のうち特養で約41%、中小病院で約10%を太陽光で賄い、発電機の燃料が約1.7倍・約1.1倍もちます(関東、屋根のみ、中央値)。多くのパワーコンディショナは発電機との連系を想定していないため、機器と設計の確認が必要です。

給湯をヒートポンプにすると得ですか?

都市ガス税込120円/m3・COP3.0・給湯100L/人(床)・日の仮定では、年間の差額は特養で約42万円、中小病院で約103万円、大病院で約242万円(関東、機器費は含まない)。貯湯槽で需要の谷に沸かすことが前提で、昼にそのまま沸かすと差額はおよそ半分になります。ガス90円/m3・COP2.5では逆転します。

介護施設のBCPで、電源について何を決めればよいですか?

停電時に動かす機器(吸引器、エアマット、酸素濃縮装置、冷蔵の薬、ナースコール、照明、一部の冷暖房)のkWと必要な時間、切替の許容時間を一覧にし、発電機・蓄電池・ポータブル電源・EVのどれで賄うかを数字で決めます。介護施設のBCPは2024年4月から義務です。未策定の減算は2024年度に新設され、感染症の指針と非常災害計画を整備している場合などは2025年3月まで適用しない経過措置がありました。現在は、策定していない施設に報酬の減算(施設・居住系は所定単位数の100分の3、その他は100分の1)が適用されます。

送迎車をEVにすると、太陽光の電気で走れますか?

今回の施設モデルでは太陽光の発電が施設内で使い切れるため、EVに入れる電気は実質的に買った電気です。それでも燃料代だけを比べると、年1.5万km走る送迎車1台で年約19.5万円の差(燃費・電費は仮定、税抜)。日中の一斉充電は契約電力を上げるため、夜間や需要の谷に充電する制御が必要です。

自施設で正確に試算するには何が必要ですか?

過去12か月の30分デマンドデータ(電力会社のWebサービスや検針の記録)、電気・ガスの請求書、屋根と駐車場の図面、給湯器・空調熱源・発電機の容量と設置年、停電時に守る機器の一覧です。デマンドデータがない場合は、業種別のロードカーブ・テンプレートで概算できます。

試算の前提条件(すべて公開)

項目設定値出典・根拠
関東 高圧東京電力EP 高圧ベーシックプラン:基本料金2,530円/kW+2026年11月の託送見直し分108.57円/kW(推計)、電力量料金17.43円/kWh、燃料費調整1.55円/kWh(2026年11月分)。時間帯別の市場価格調整単価は含めていない東京電力EP 電気料金単価表(2026年4月1日実施)、同 2026年11月分 燃料費調整単価等
関東 低圧東京電力EP 低圧電力:基本料金1,190円83銭/kW、電力量料金 夏季27円19銭・その他季25円62銭、燃料費調整 −4.65円/kWh(12月分、低圧共通)東京電力EP 料金単価表‐電力、同 燃料費調整単価(蓄電池243ケースの試算と同じ値)
関西 高圧関西電力 高圧電力AS等:基本料金2,200円88銭/kW、電力量料金 夏季19円22銭・その他季18円15銭、燃料費調整+0.15円、市場価格調整+0.90円(11月分)関西電力 料金表、燃料費調整単価、市場価格調整単価
九州 高圧業務用電力A:基本料金2,343円19銭/kW、電力量料金 夏季16円98銭・その他季16円05銭、燃料費等調整1.20円/kWh(12月分)九州電力 業務用電力A、2026年12月分 燃料費等調整単価
九州 低圧低圧電力:基本料金1,164円92銭/kW、電力量料金 夏季17円38銭・その他季15円69銭、燃料費等調整1.94円/kWh九州電力 低圧電力
再エネ賦課金4.18円/kWh(2026年度)経済産業省(2026年3月19日公表)
力率・消費税力率100%(高圧は基本料金15%割引、低圧電力は5%割引)。料金・設備費とも税抜(料金表の税込単価を1.1で割る)各社料金表の力率割引の規定。東京電力EPの低圧電力は九州電力と同じ5%と仮定。事業者の仕入税額控除を前提
太陽光の発電量PVGIS(ERA5)の東京・大阪・福岡の1時間値。劣化 年0.5%PVGIS(EU JRC)
保守費・交換費年3,000円/kW+13年目にパワーコンディショナ交換2万円/kW(税抜)仮定(業種別×規模別試算と同じ)
排出係数電気:東京電力EP 0.000452、関西電力 0.000415、九州電力 0.000472 t-CO2/kWh(残差、令和6年度実績)。都市ガス:2.09t-CO2/千m3環境省・経済産業省 電気事業者別排出係数(A)、同 ガス事業者別排出係数(令和8年6月30日公表)(A)
電気代上昇率年1%・2%・3%(基本料金・電力量料金とも)シナリオ
関西 低圧公開の料金を収録していないため、有床診療所は関東・九州のみ—
契約電力高圧:年間の1時間ごとの最大買電量(実量制を簡略化。1,200kWの大病院も同じ扱い。500kW以上は実際には協議で決まる)。低圧:40kWで固定仮定(H)
需要の形8〜18時が最大(休日は約82%)、夜間は約62%、夏に約22%・冬に約8%増。日々・時間ごとのばらつきを加えた合成値。負荷率 約0.59。4施設とも同じ形で規模だけ変えた出典なし(合成値、H)。業種別×規模別の試算の「病院・介護施設」と同じ形。有床診療所も全量を低圧電力で計算(実際は電灯契約が別にあることが多い)
施設の規模の目安有床診療所19床・特養定員70人・中小病院約170床・大病院約400床中医協 第25回医療経済実態調査(一般病院 平均171床、公的 301床)、令和7年度介護事業経営概況調査(特養 定員70.6人)を参考にした仮定(H)
太陽光の容量・設置費用屋根:契約電力の40%(有床診療所)・80%(特養)・20%(中小病院)・12%(大病院)、22万・20万・18万・16万円/kW。カーポート:30%・30%・20%・15%を追加、30万・27万・25万・23万円/kW(税抜)仮定(H)。参考:調達価格等算定委員会資料(2026年2月5日)
蓄電池契約電力×0.2時間分・0.4時間分、経済性の試算では出力は容量の1/2(0.5C)、14万円/kWh(税抜)、使える容量90%、往復効率88%、劣化 年1.5%、補機0.2kW/100kWh、寿命15年仮定。業務・産業用の2026年度目標価格11.8万円/kWh(公募要領)を上回る市場価格を想定
蓄電池の制御高圧:年間の最大需要を下げる運転。現実的な値は完全予見の7割を達成と仮定し、完全予見を上限として併記。低圧:余った太陽光の充電のみ仮定(H)
停電時の計算重要負荷=契約電力の20%(有床診療所)・15%(特養)・30%(病院)で、時刻によらずほぼ一定(最大値の85〜100%)。蓄電池は停電開始時に満充電、出力0.5C・1C。太陽光は自立運転・発電機連系できる構成。年8,760通りの開始時刻(発電機併用は365通りの開始日)、上限72時間仮定(H)。夜=18〜6時。関東の日射
給湯1人(1床)1日100L・60℃、給水温度は8月25.5℃〜2月6.5℃の正弦、ガス給湯器効率0.85、都市ガス45MJ/m3・税込120円/m3(感度90〜150円)、ヒートポンプCOP3.0(感度2.5〜4.0)。ヒートポンプの出力は最も多い日の8時間で沸き上げられる容量。貯湯槽ありは日ごとに需要の谷の時間に運転、なしは7〜19時に均等に運転仮定(H)。都市ガス単価とCOPは24時間工場の試算と同じ。蒸気(滅菌)・暖房は対象外
送迎車(簡易計算)年1.5万km、ガソリン車 燃費9km/L・レギュラー170.1円/L(税込、2026年10月26日の全国平均)、EV 電費5km/kWh・関東の高圧の電力量単価(燃調・賦課金込み 税抜約21円/kWh)燃費・電費・距離は仮定(H)。価格は資源エネルギー庁「ガソリン全国平均価格の推移」(商用EVの試算と同じ時点)

この試算の限界

  • 需要は合成プロファイルで、実際の施設の30分デマンドデータではありません。蓄電池の削減額と停電時の持続時間は、ピークの形と重要負荷の大きさに強く依存します。
  • 4つの施設モデルは同じ需要の形で規模だけを変えています。介護施設は朝の入浴・食事、病院は手術・外来の時間帯で形が違いますが、今回は区別していません。
  • 停電時の計算は、満充電・自立運転できる構成の単純計算です。実際には日常の運転で充電残量が減っていることが多く、持続時間は本試算より短くなりえます。太陽光と発電機の連系は、対応機器と設計が前提です。
  • 給湯の電化は、機器費・配管工事・既存ボイラの撤去または維持の費用、ガスの基本料金の変化、補助金を含めていません。年間の差額は「投資の上限の目安」として使ってください。
  • 空調熱源の電化と蓄熱槽、滅菌の蒸気、照明・空調の省エネ、オフサイトPPAなどの調達は試算していません。
  • 電気代の上昇率は年1〜3%の一定値です。実際の単価は燃料価格・市場価格・制度の改定で年ごとに上下するため、回収年数は幅をもって読んでください。
  • エネがえるBizでの照合は今回行っていません。

ファクトチェック・エビデンス検証一覧

主要な数値と主張の根拠と検証方法を一覧にしました。出典はできる限り一次情報(官公庁・電力会社・公的機関の公式資料)にリンクし、仮定とモデル計算は区分で区別しています。

検証の方法

  • 一次情報との照合:料金表、燃料費等調整、再エネ賦課金、排出係数、医療経済実態調査・介護事業経営概況調査の数値、災害拠点病院の指定要件を公式資料で確認しました(確認日:2026年11月1日)。料金の前提は業種別×規模別の試算(216ケース)と同じです。
  • 独立計算モデルによる再計算:8,760時間のモデルで198ケース(+給湯の電化198ケース)を試算し、コードとケース別データで管理しています。中央値は回収できないケースを「20年超」として含めて計算しています。
  • 独立レビュー:独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。
区分意味
A 一次情報官公庁・電力会社・公的機関の公式資料で確認した値
B 二次資料業界団体・研究機関・医療機関向けの資料、解説記事など。または原典を作成環境から開けなかったもの
M 計算結果本記事の独立計算モデル、またはエネがえるの別記事の試算結果
H 仮定値・推計・専門家判断確かな公表値がないため置いた値。幅や感度で示している
項目記事での値区分検証結果
電気料金・燃料費等調整・賦課金・電気の排出係数前提条件の表のとおりA/H確認済み。関東の高圧基本料金は推計
東京電力EP 低圧の燃料費調整単価−4.65円/kWh(2026年12月分、税込)A東京電力EP「燃料費調整単価等一覧」で確認(確認日:2026年11月1日。低圧電力等の自由化前のプランと自由化後のプランで同じ値)
都市ガスの排出係数2.09t-CO2/千m3A環境省・経済産業省「ガス事業者別排出係数」(令和8年6月30日公表)で確認
一般病院の損益差額・水道光熱費全体(732施設・平均171床):損益差額−7.3%、水道光熱費 約7,727万円(収益の2.1%、前年度比+5.3%)、医業収益+2.5%。医療法人−1.0%・約3,892万円、国立−5.4%(+8.5%)、公立−18.5%(+6.5%)、公的−4.1%(+5.4%)A中医協「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告の概要」(2025年11月26日)の表で確認
特養の収支差率・定員2024年度決算 収支差 月約41.7万円・収入の約1.4%(物価高騰対策関連の補助金を除く)、定員70.6人A令和7年度介護事業経営概況調査 結果 第1表で確認
特養の光熱水費多床室 利用者1人あたり月12,120円、ユニット型個室 月21,976円(令和6年度収支)A令和7年度介護事業経営概況調査 参考資料(食費・居住費の平均的な費用額)で確認。光熱水費には食事サービス部門を含む
介護施設のBCP義務化・未策定減算2024年4月から義務。減算は2024年度に新設(2025年3月まで経過措置あり)、施設・居住系は所定単位数の100分の3、その他は100分の1A鹿児島県、愛知県 福祉局高齢福祉課長通知(令和6年4月24日)で確認(自治体の案内。経過措置の詳細は所管の自治体で確認)
災害拠点病院の指定要件通常時の6割程度の発電容量の自家発電機、3日分程度の燃料、業務継続計画の整備A厚生労働省 第10回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会 資料1(平成24年3月21日通知の要件の抄録)、医政発0331第33号(平成29年3月31日)で確認
災害拠点病院等の緊急点検822病院すべてに非常用自家発電設備、燃料で3日未満144病院、燃料がガスのみ13病院。停電戸数の99%が約50時間で解消A同 検討会資料で確認
非常電源の3区分一般40秒以内・10時間以上、特別10秒以内・10時間以上、瞬時特別0.5秒以内・10分以上BJIS T 1022を引用した医療機関向け資料で確認。規格本文(有償)は未確認
100℃未満の温水需要のヒートポンプ代替本文のとおりB省エネルギーセンター JASE-W技術集 F-08で確認(24時間工場の試算と同じ)
省エネ法の原単位 年平均1%低減事業者全体で原油換算1,500kL/年度以上の特定事業者等に、中長期的にみて年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減の目標A資源エネルギー庁「事業者の区分と義務」で確認
ガソリン価格レギュラー170.1円/L(2026年10月26日の全国平均)A資源エネルギー庁の公表値(商用EVの試算と同じ時点)。国の補助で抑えられた価格
太陽光の回収66/66ケースが保守費込みで13.2年以内、中央値8.5年(保守費なし7.5年、5.3〜10.7年)、10年以内59ケースMケース別データで確認
自家消費率・まかなえる割合99.8%以上・約3〜26%M/H太陽光容量の仮定に依存
設置費用3割増の感度22ケース中21ケースが15年以内(中央値10.8年、最長15.4年)M上昇率2%・保守費込み
蓄電池の上乗せ分の15年回収6/132ケース(完全予見の上限で57)M/Hピークカット達成度7割の仮定。上限を併記
損益分岐の蓄電池価格中央値 約5.4万〜12.6万円/kWh(上限 約8.0万〜18.3万円/kWh)M高圧の施設、15年間の削減額の合計÷容量
停電時の持続時間・必要容量中小病院 160kWh・出力80kWで0時間、出力160kWで約1.3時間。3時間で約380kWh、72時間で約9,170kWh。特養 24kWhで約2.9時間M/H重要負荷の比率の仮定に依存(bcp.csv)
発電機の燃料の持ち屋根の太陽光で特養 約41%(約1.7倍)、中小病院 約10%(約1.1倍)M/H発電機連系できる構成の仮定。365通りの開始日の中央値
給湯の電化の差額関東:有床診療所 約9万円、特養 約42万円、中小病院 約103万円、大病院 約242万円。貯湯槽なしで約23万・57万・133万円M/H給湯量・ガス単価・COPの仮定に依存。感度は図10
何もしない場合の値上がり分中小病院(関東)10年で約5,060万円、20年で約2.3億円M/H上昇率2%の仮定
施設モデルと統計の対応中小病院の電気代は一般病院の水道光熱費の約69%、特養の電気+給湯ガスは多床室の光熱水費の約9割(統計は税込、試算は税抜)M/A施設モデルの規模感の確認。電気の比率の公的統計は未取得
業種の経営課題・打ち手の位置づけ表と図4のとおりH専門家判断。試算値ではない

試算・分析:エネがえる(国際航業株式会社)/公開日:2026年11月1日/試算条件の確認日:2026年11月1日。更新履歴(2026年11月1日):公開。毎月、燃料費調整・市場価格調整・再エネ賦課金の最新情報を確認し、変化があれば再計算して更新します。関連する試算:産業用の自家消費型太陽光・蓄電池は元が取れない?業種別×規模別に実試算/スーパーの太陽光は元が取れない?冷凍冷蔵×店舗規模×地域の288ケースを実試算/24時間稼働の工場に太陽光・蓄電池・ヒートポンプは割に合う?/業種別のエネルギー費はどこで削れる?24業種×規模別に経営課題と打ち手を整理/補助金の費用対効果の試算/エネがえる試算ライブラリ。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら)

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
導入事例を見る / 主な導入・活用先の掲載情報
エネがえる全体の実績です。掲載先には導入・連携・実証・事例掲載等を含みます。

ご相談・お問い合わせ
エネがえるのご相談はもちろん、新規事業開発、アライアンス、執筆・セミナー講演、リサーチやデータセット開発などのご相談も承ります。まだ具体的に決まっていないお話でも、お気軽にご連絡ください。
TEL:070-3669-8761 / Mail:satoru_higuchi@kk-grp.jp

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