V2Hは元が取れない?買わない方がいい?全国9エリア243ケースを実試算【2026年11月最新単価】

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら )

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
導入事例を見る / 主な導入・活用先の掲載情報
エネがえる全体の実績です。掲載先には導入・連携・実証・事例掲載等を含みます。

ご相談・お問い合わせ
エネがえるのご相談はもちろん、新規事業開発、アライアンス、執筆・セミナー講演、リサーチやデータセット開発などのご相談も承ります。まだ具体的に決まっていないお話でも、お気軽にご連絡ください。
TEL:070-3669-8761 / Mail:satoru_higuchi@kk-grp.jp

V2Hは元が取れない?全国9エリア243ケース試算(エネがえる)
V2Hは元が取れない?全国9エリア243ケース試算(エネがえる)

結論から言います。V2H(Vehicle to Home:EVの電池から家に電気を流す機器)は、電気代の節約だけで元を取るのは難しい買い物です。2026年11月の最新の電気料金で、全国9エリア × 3つの使い方 × EV3車種 × 月額電気代3水準、合わせて243ケースを1時間単位で試算しました。V2H(約139万円・工事込み・税込)を補助なしで入れた場合、15年以内に元が取れたケースはありませんでした。それでもV2Hを選ぶ意味がある家はあります。答えは次の3つに整理できます。

3つの答え

  1. 補助なしでは、V2Hは243ケースすべてで15年以内に元が取れない。15年の節約額の中央値は、共働き(平日昼は車が家にない)で約17万円、在宅多めで約56万円、卒FIT・オール電化で約49万円です。15年で元が取れるV2Hの価格は中央値で約43万円と、いまの想定価格(約139万円)の3分の1以下でした。国のV2H補助(令和7年度補正)と東京都の補助を両方使えた場合に限り、東京都内の在宅多めの家(東京電力エリアの料金で計算)では9ケースすべてが15年以内に回収できました(国の補助は2026年8月27日到着分で受付終了のため、次の公募があった場合の目安)。
  2. 太陽光の余りでEVを充電するだけなら、元は取りやすい。家に放電しない「太陽光で充電するだけの充電器」(約15万円と仮定)なら、243ケース中228ケースが15年以内に回収できました。V2Hならではの価値は「家への放電」の部分ですが、在宅多めの家でも放電で増える節約は15年で約18万円(中央値)にとどまります。
  3. V2Hを選ぶ一番の理由は、停電への備え。リーフ(55kWh)なら、冷蔵庫・照明・通信などに絞った電気を満充電から約6日分まかなえます。普段からEVに50%を残す設定にしておけば、関東の在宅多めの家では72時間の停電のあいだ、ほぼずっと電気を使えました(リーフ・bZ4X)。この設定で節約額はほとんど減りません(15年で約1万円)。

この記事で分かること(数値の要点)

  • V2Hの節約額は「車が昼に家にあるか」で決まります。1年目の節約額(中央値)は、共働き約0.4万円、在宅多め約1.3万円、卒FIT・オール電化約2.8万円です。
  • EVの電池の大きさは、節約額にほとんど効きません。20kWhのサクラでも75kWhのbZ4Xでも、15年の節約額はほぼ同じでした。先に上限になるのは「太陽光の余りの量」です。
  • 家庭用蓄電池(10kWh・150万円)も、補助なしでは243ケースすべてで15年以内に回収できません。お金だけで比べるなら、3つの中で一番得なのは「太陽光で充電するだけ」です。
  • 結論を最も動かすのはV2Hの価格です。電気代の上昇率を1%から3%に変えても、15年の収支は約11万円しか変わりません(関東・在宅多め・リーフの例)。
  • 家に放電した分だけ、EVの電池は減ります。電池の劣化を高めに見積もると、在宅多めの家で節約の約4割、卒FIT・オール電化の家で約8割が消える計算です(仮定値)。
  • 時間帯別プランでは、夜の安い電気をためる量の決め方で節約額が約13%変わります。前日の実績をもとに決めるだけでも効果があります。

検証の主体:エネがえる(国際航業株式会社)。243ケースは1時間単位(1年8,760時間)の独立計算モデルで試算しました。料金・太陽光の発電量・家の使い方のモデルは、蓄電池の243ケース試算と共通です。金額はすべて税込です。試算条件・計算方法・出典はすべて本文末尾に公開しています。

なぜ今、V2Hを計算し直す必要があるのか

V2Hは「EVを大きな蓄電池として使える」「家庭用蓄電池より容量あたりが安い」と紹介されることが多い機器です。確かに、リーフB5の電池(55kWh)は一般的な家庭用蓄電池(10kWh前後)の5倍以上あります。ただし、EVの電池が家のために使えるのは、車が家にあって、しかも走行に必要な分を残した範囲だけです。この制約を1時間ごとに計算しないと、V2Hの効果は大きく見積もられがちです。

2026年は、計算の前提が大きく動いた年でもあります。

  • 国のV2H補助が早く締め切られました。令和7年度補正の「V2H充放電設備・外部給電器の導入促進補助事業」は、予算に達したため、2026年8月27日にセンターへ到着した申請までで受付を終了しました(次世代自動車振興センター 2026年8月28日のお知らせ)。
  • 新しく太陽光を付ける家の売電単価が2段階になりました。2025年10月以降に認定を受けた住宅用太陽光は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(資源エネルギー庁)。売電単価が高い最初の4年は、太陽光の電気をEVにためるより売った方が損が小さい時間もあります。
  • 電気料金が改定されました。東京電力エナジーパートナーなど各社が2026年11月から規制料金を見直しています(東京電力エナジーパートナー)。再エネ賦課金は2026年度4.18円/kWhです(経済産業省)。

そこで、EVの在宅時間・走行で使う電力・V2Hの出力と効率を1時間ごとに制約したうえで、最新の単価で全ケースを試算し直しました。

検証の方法:243ケースの設計

V2Hの効果を決める要素を、次の4つの軸に分けて組み合わせました。電気代の上昇率は年2%を基準にし、1%と3%は感度分析で確かめています。

軸水準ケース数
エリア北海道・東北・関東・中部・関西・四国・中国・九州・沖縄(各大手電力の規制料金)9
使い方①共働き:平日8〜18時は通勤で車がない(往復30km)、土曜10〜16時に外出(40km)。新設の太陽光4kW・従量電灯
②在宅多め(平日の昼も車がほぼ家にある、V2Hに有利な想定):月・水・金の10〜13時(20km)と土曜10〜16時(40km)だけ外出。新設の太陽光4kW・従量電灯
③卒FIT・オール電化:既設の太陽光4kW(設置11年目)・エコキュート深夜沸き上げ・時間帯別プラン。外出は②と同じ
3
EV日産サクラ(電池20kWh)、日産リーフB5(55kWh)、トヨタ bZ4X Z(74.69kWh)3
月額電気代EVの充電を含まない家の電気代:1.8万円・2.0万円・2.5万円3

それぞれのケースで、次の4つを同じ条件で比べました。

  • V2Hなし(基準):EVは200Vの普通充電器で、走行で減った分を夜(22時〜翌6時、時間帯別プランは安い時間帯)に充電します。太陽光の余りは売ります。
  • V2H:車が家にある時間は、太陽光の余りをEVに充電し、家で電気が足りない時間はEVから放電します。EVには「電池の30%+次の外出で使う分」を必ず残します。時間帯別プランでは、前日の実績をもとに夜の安い電気をためる量を決めます。
  • 太陽光で充電するだけの充電器:太陽光の余りをEVに充電しますが、家には放電しません。走行に使う分までしか充電しません。
  • 家庭用蓄電池10kWh:蓄電池の243ケース試算と同じ条件(150万円・使える容量90%・往復効率88%)。EVは基準と同じく夜に普通充電します。

V2Hの価格は、ニチコンの「EVパワー・ステーション」の希望小売価格89.8万円〜(消費税別)(ニチコン)に消費税を加えた約98.8万円と、工事費40万円(仮定)の合計、約139万円としました。工事費は家の配線や設置場所で大きく変わるため、感度分析で100万〜180万円の幅を確かめています。V2Hの効率(充電・放電それぞれ92%、往復で約85%)、待機電力(15W)、出力(6kW)は、いずれも仮定値です。

この記事で使う言葉

言葉意味
V2H(Vehicle to Home)EVの電池にためた電気を、家の分電盤を通じて家全体または一部の回路に流す機器。充電と放電の両方ができる
V2L(Vehicle to Load)EVのコンセントや外部給電器から、家電に直接電気を流す使い方。家の配線にはつながない
太陽光で充電するだけの充電器太陽光の余りを優先してEVに充電する充電器。家には放電しない。この記事では15万円(工事込み)と仮定
卒FIT固定価格買取制度(FIT)の10年間の買取期間が終わった太陽光。売電単価は各社の買取単価(7〜9円/kWh)になる
時間帯別プラン夜の電気が安く、昼や夕方が高い電気料金プラン。オール電化の家で多く使われる
往復効率EVにためた電気のうち、家で使えるまでに残る割合。この記事では充電・放電それぞれ92%、往復で約85%と仮定
待機電力V2H機器が充放電していないときも使い続ける電気。この記事では15W(年間約130kWh)と仮定
全負荷・特定負荷停電時に家全体へ給電するのが全負荷、決めた回路だけに給電するのが特定負荷

V2Hは何で稼ぐのか:「売る単価」と「買う単価」の差

V2Hが電気代を下げる仕組みは、家庭用蓄電池と同じです。昼に余った太陽光の電気を売らずにEVにため、夜にその電気を家で使えば、「夜に買うはずだった電気の単価」と「昼に売れたはずの単価」の差が得になります。

9エリアの買う電気と売る電気の単価。従量電灯の第3段階は33〜45円、卒FIT後の売電は7〜9円、FITは1〜4年目24円・5〜10年目8.3円
図1 売る電気と買う電気の単価(従量電灯は電力量単価+燃料費調整12月分+再エネ賦課金4.18円、税込)

図1のとおり、買う電気は第3段階で1kWhあたり33〜45円、卒FIT後の売電は7〜9円です。この差が大きいほど、V2Hの価値は高くなります。逆に、新しく太陽光を付けた家の最初の4年間は、売電単価が24円と高いため、ためる価値は小さくなります。

なお、V2HでEVから家に流した電気は家の中で使う前提で、この試算では電力会社に売っていません(EVから放電するのは家の電気が足りない時間だけにしています)。FIT期間中の太陽光とV2Hを組み合わせる場合、EVや蓄電池の電気は売電できず、2018年度以前にFIT認定を受けた住宅用太陽光では、放電で売電量が押し上げられる「ダブル発電」の区分として、低い買取価格が適用される場合があります(2019年度以降の認定ではこの区分はありません。資源エネルギー庁 買取価格、同 よくある質問)。運転モードの設定と、ご自宅の認定年度の扱いは販売施工店に確認してください。

関東・在宅多め・リーフの晴れた火曜日の1時間ごとの電気の流れ。V2Hありでは昼の余り約11kWhをEVに充電し、夕方から夜に家へ放電。買う電気は7.5kWhから2.4kWh、売る電気は9.9kWhから0kWhに
図2 晴れた日の1時間ごとの電気の流れ(関東・在宅多め・月2万円・太陽光4kW・リーフB5、2027年5月11日の想定)

図2は、車が一日中家にある晴れた日の例です。V2Hなしでは、昼に約9.9kWhを売り、夕方から夜に約7.5kWhを買っています。V2Hがあると、昼の余りをEVにため、夕方から夜にEVから家へ流すので、買う電気は約2.4kWhに減りました。ただしこれは「晴れていて、車が一日中家にある日」です。曇りの日や、車で出かけている日は、ためる電気そのものが少なくなります。1年を通すと、在宅多めの家で家に放電した電気は年約860kWh(1日あたり約2.4kWh)、共働きの家では年約190kWhでした(いずれも中央値)。

結果①:V2Hの節約額は、使い方で3倍以上変わる

1年目の節約額の中央値。共働きは充電だけ0.8万円・V2H0.4万円・蓄電池1.5万円、在宅多めは1.2万円・1.3万円・1.3万円、卒FIT・オール電化は1.5万円・2.8万円・3.1万円
図3 1年目の節約額(V2Hなしとの差、各81ケースの中央値、ひげは最小〜最大)
使い方V2Hの1年目の節約額(中央値・範囲)V2Hの15年の節約額(中央値・範囲)家への放電量(年、中央値)
共働き(平日昼は車がない)約0.4万円(−0.02万〜1.0万円)約17万円(4万〜31万円)約190kWh
在宅多め約1.3万円(0.3万〜2.4万円)約56万円(24万〜84万円)約860kWh
卒FIT・オール電化(時間帯別プラン)約2.8万円(1.6万〜4.2万円)約49万円(26万〜72万円)約1,630kWh

共働きの家では、昼に車が家にないため、平日の太陽光の余りをEVにためられません。夜の安い時間帯もない従量電灯では、V2Hの待機電力(仮定15W、年約130kWh)の分だけ電気代が増え、節約は小さくなります。九州・共働き・月2.5万円・bZ4Xの1ケースでは、1年目の節約がわずかにマイナスでした。

在宅多めの家は、1年目こそ約1.3万円ですが、売電単価が8.3円に下がる5年目以降に節約が大きくなり、15年では約56万円になります。卒FIT・オール電化の家は、最初から売電単価が低く、時間帯別プランの安い夜間電気も使えるため、1年目から約2.8万円の節約になります。

エリア別では、在宅多めの家の15年収支(補助なし)は北海道(中央値約−60万円)と沖縄(約−65万円)が比較的よく、九州(約−105万円)が最も厳しい結果でした。北海道と沖縄は買う電気の単価が高く、九州は低いためです。

結果②:補助なしでは、243ケースすべてで15年以内に元が取れない

エリア×使い方×EV別のV2Hの15年収支(補助なし・月2万円)。すべてマイナスで、在宅多めの北海道でも約マイナス59万円、共働きの九州では約マイナス131万円
図4 V2Hの15年収支(補助なし・月2万円・電気代上昇率2%、万円)

V2Hの価格(約139万円)から15年の節約額を差し引くと、243ケースすべてでマイナスでした。マイナスが最も小さい在宅多め・北海道でも約60万円、共働き・九州では約130万円が回収できずに残ります。V2Hの寿命を15年より長く見込めば差は縮みますが、電気代の節約だけで元を取るのは難しいというのが、この試算の結論です。

家庭用蓄電池10kWh(150万円)を入れた場合も、243ケースすべてで15年以内に回収できませんでした(15年収支の中央値は約−82万円)。V2Hと家庭用蓄電池の15年収支は、在宅多めの家ではほぼ同じ水準です(中央値:V2H約−83万円、蓄電池約−78万円)。共働きの家では、昼に家にある蓄電池の方が有利です(V2H約−122万円、蓄電池約−75万円)。

結果③:15年で元が取れるV2Hの価格は、中央値で約43万円

15年で元が取れるV2Hの価格。共働きは中央値17万円、在宅多めは56万円、卒FIT・オール電化は49万円。いまの想定価格は約139万円
図5 15年で元が取れるV2Hの価格(15年の節約額の合計、各点=1ケース)

15年の節約額の合計は、「この価格なら15年で元が取れる」というV2Hの価格を表します。中央値は約43万円(範囲は約4万〜84万円)で、使い方別では共働き約17万円、在宅多め約56万円、卒FIT・オール電化約49万円です。いまの想定価格(約139万円)との差、つまり15年で回収するために必要な補助額は、中央値で約96万円(共働き約122万円、在宅多め約83万円、卒FIT・オール電化約90万円)でした。

自分の家で概算する3つのステップ

販売施工店に試算を頼む前に、おおよその見当をつけたい場合は、次の順に考えると、この記事の結果に近い値が出せます。

  1. EVが家にいる昼に、太陽光がどれだけ余るかを見積もる。太陽光4kWの家なら、晴れた日の余りは10kWh前後です。ただし、車が家にない日は0です。この記事の在宅多めの家では、1年で約1,400〜1,500kWhをEVにためられました。共働きの家では約440kWhです。
  2. ためた電気1kWhあたりの価値を計算する。価値は「買う電気の単価」から「売る電気の単価」を引いた差に、往復効率(約85%)をかけて近似できます。例えば、買う単価が約36円、売る単価が24円(FIT期間中)なら、1kWhあたり数円しか浮きません。卒FIT(8.5円)なら20円前後になります。
  3. 待機電力を引く。V2Hの待機電力を15Wとすると、1年で約130kWhを使います。1kWh 36円なら年に約4,700円です。小さく見えますが、共働きの家では節約のほとんどを打ち消す大きさです。

この3つを掛け合わせた年間の節約額に15年をかけ、V2Hの価格(補助を引いた後)と比べれば、大まかな損得が分かります。実際には、季節・天気・時間帯別の単価・電気代の上昇が絡むため、最終判断は1時間単位の試算で確認してください。

エネがえるでの照合について

この記事の試算は、EVの在宅時間と走行で使う電力を1時間ごとに制約した独立計算モデルで行いました。エネがえるには、EVとV2Hの経済効果を試算できる「エネがえるEV・V2H」がありますが、今回の243ケースは一括試算の形式で再現できないため、製品での照合は行っていません。料金・太陽光の発電量・家の使い方の部分は、エネがえるASPで31ケースを照合した蓄電池の243ケース試算と同じモデルを使っています。個別の家の条件で確かめたい場合は、エネがえるEV・V2Hを使う販売施工店に試算を依頼するのが確実です。

補助金を使うと:国と東京都の補助を重ねて、ようやく回収できる家が出てくる

V2Hの補助は、国と自治体の両方にあります。この記事では、公式資料で確かめた次の算定方法で補助額を計算しました。

補助内容(個人の戸建住宅)この試算での額状況
国:V2H充放電設備の導入促進補助(令和7年度補正)機器:購入費(税抜)の1/2以内と、型式ごとの上限額の低い方。工事:工事項目ごとの上限の合計と、1基あたり上限55万円の低い方約81万円(機器44.9万円+工事36.4万円)2026年8月27日到着分で受付終了
東京都:戸建住宅におけるV2H普及促進事業助成対象経費の1/2(上限50万円)。増額要件を満たす場合は上限100万円50万円/増額要件あり約63万円(国の補助と併用する場合は、国の補助を差し引いた残りの経費の1/2と仮定)令和9年度まで(予算・要件は公募要領で確認)

出典:次世代自動車振興センター 令和7年度補正 応募要領(V2H充放電設備)、同 受付終了のお知らせ、クール・ネット東京 助成金ガイド(2026年1月)。国の機器補助は型式ごとの上限額があり、機種によっては44.9万円より少なくなります。東京都の補助は、国の補助を差し引いた残りの経費の1/2として計算しました(保守的な仮定)。

補助の組み合わせ別に15年以内に回収できる割合。補助なし0、東京都のみ0、国の補助で在宅多め37/81・卒FIT18/81、国+東京都で関東の在宅多め9/9・卒FIT6/9
図6 補助の組み合わせ別、15年以内に回収できるケースの割合
補助の組み合わせ共働き在宅多め卒FIT・オール電化
補助なし(全国)0/810/810/81
東京都のみ 50万円(都内。関東エリアの料金で計算)0/90/90/9
東京都のみ 増額要件 約63万円(都内。関東エリアの料金で計算)0/90/90/9
国の補助 約81万円(全国・受付終了分の算定方法)0/8137/8118/81
国+東京都 約104万円(都内。関東エリアの料金で計算)0/99/9(回収年数の中央値 約11年)6/9(同 約12年)

東京都の補助だけでは、関東のどのケースも15年以内に回収できませんでした。国の補助がそろって初めて、在宅多めと卒FIT・オール電化の家の一部が回収できるようになります。国の補助は2026年8月27日で受付を終えているため、この結果は「次の公募があった場合」の目安です。共働きの家は、国と都の補助を両方使っても15年以内には回収できませんでした。関東の27ケースには東京都の補助を当てはめて試算しています。東京都以外の関東の県では、市区町村の補助を確かめてください。補助金は年度ごとに変わるため、EV充電器・V2H補助金の整理もあわせて確認すると安心です。

国の補助(約81万円)だけを使った場合、どのエリアで回収できるか

東京都のような上乗せの補助がない地域を想定し、国の補助だけを使った場合の結果をエリア別に数えました(各エリア・使い方ごとに9ケース中、15年以内に回収できた数)。

エリア共働き在宅多め卒FIT・オール電化
北海道0/99/95/9
東北0/93/92/9
関東0/91/90/9
中部0/96/96/9
関西0/90/90/9
四国0/96/90/9
中国0/93/92/9
九州0/90/90/9
沖縄0/99/93/9

国の補助だけで回収できたケースの回収年数は、中央値で約14年でした。15年の期間ぎりぎりで回収する家が多く、V2H機器の故障や工事費の上振れがあれば、回収できない側に入ります。国の補助だけで「元が取れる」と言えるのは、北海道・沖縄・中部・四国の在宅多めの家など、条件のそろった一部に限られます。

何が変わると結論がひっくり返るか

関東・在宅多め・リーフのV2Hの15年収支の感度分析。基準マイナス85万円。V2H価格100万〜180万円でマイナス46万〜126万円、使う年数10年でマイナス108万円、劣化コスト17円でマイナス103万円
図7 V2Hの15年収支の感度分析(関東・在宅多め・月2万円・リーフB5・補助なし)
条件を変えると15年の収支(基準 約−85万円)
V2Hの価格(工事込み)100万円 ↔ 180万円約−46万円 ↔ 約−126万円
使う年数 15年 → 10年約−108万円
EV電池の劣化コスト 0円 → 17円/kWh(放電1kWhあたり)約−103万円
V2Hの待機電力 0W ↔ 30W約−77万円 ↔ 約−93万円
月額電気代 1.8万円 ↔ 2.5万円約−81万円 ↔ 約−96万円
電気代の上昇率 3% ↔ 1%約−79万円 ↔ 約−90万円
V2Hの効率(片道)95% ↔ 88%約−80万円 ↔ 約−91万円
EVに残す下限 20% ↔ 50%約−84万円 ↔ 約−85万円

結論を最も大きく動かすのはV2Hの価格です。100万円まで下がっても15年収支はまだ約46万円のマイナスで、補助なしで元を取るには、V2Hの価格がこの家では約54万円以下になる必要があります。電気代の上昇率は1%と3%の差でも約11万円しか効きません。「電気代がこれから上がるからV2Hで元が取れる」という説明は、この試算の範囲では成り立ちません。

意外かもしれませんが、月額電気代が高い家ほどV2Hの収支は悪くなりました。電気をたくさん使う家は、昼の太陽光を自分で使い切ってしまい、EVにためる余りが少なくなるためです。V2Hの効果を決めるのは電気代の高さではなく、「昼の太陽光の余り」と「車が家にある時間」です。

月額電気代(EVの充電を除く)15年の節約:共働き在宅多め卒FIT・オール電化
1.8万円約20万円約61万円約57万円
2.0万円約18万円約56万円約51万円
2.5万円約13万円約46万円約34万円

各9ケース(9エリア×EV3車種、同じ月額電気代)の中央値。補助なし、電気代の上昇率年2%。

エリア別の結果:北海道・沖縄で差が縮み、九州・関西で広がる

同じ使い方でも、住んでいるエリアでV2Hの節約額は2倍以上変わりました。下の表は、エリアと使い方ごとの中央値です(EV3車種・月額電気代3水準の9ケースの中央値、補助なし)。

エリア1年目の節約
共働き/在宅多め/卒FIT
15年の節約
在宅多め
15年収支
在宅多め
15年収支
卒FIT・オール電化
北海道0.9/2.2/3.3万円約79万円約−60万円約−81万円
東北0.5/1.3/2.9万円約56万円約−82万円約−87万円
関東0.4/1.2/2.5万円約54万円約−85万円約−95万円
中部0.4/1.3/3.8万円約62万円約−77万円約−73万円
関西0.2/0.8/2.5万円約44万円約−95万円約−96万円
四国0.5/1.5/2.8万円約63万円約−76万円約−89万円
中国0.3/1.3/3.3万円約56万円約−83万円約−83万円
九州0.1/0.4/1.9万円約34万円約−105万円約−106万円
沖縄0.6/2.2/3.2万円約74万円約−65万円約−84万円

料金単価は各社公式(北海道電力、東北電力、東京電力EP、中部電力ミライズ、関西電力、四国電力、中国電力、九州電力、沖縄電力)。15年収支はV2H約139万円・電気代の上昇率年2%。

差が出る理由は、「買う電気の単価」と「売る電気の単価」の差です。北海道と沖縄は従量電灯の単価が高く、EVにためた太陽光を家で使ったときに浮く金額が大きくなります。九州と関西は単価が比較的低いため、同じ量をためても節約が小さくなります。ただし、最も条件のよい北海道の在宅多めの家でも、補助なしの15年収支は約60万円のマイナスでした。エリアの違いだけで結論は変わりません。

1年間の電気の流れはどう変わるか

V2Hを入れると、売る電気が減り、買う電気も減ります。使い方別の中央値は次のとおりです(1年目、EVの充電を含む)。

使い方売る電気(V2Hなし→あり)買う電気(V2Hなし→あり)家への放電
共働き約2,390→約1,900kWh約5,420→約5,040kWh約190kWh
在宅多め約2,390→約770kWh約4,760→約3,400kWh約860kWh
卒FIT・オール電化約1,950→約680kWh約7,610→約6,750kWh約1,630kWh

在宅多めの家では、売っていた電気の約3分の2をEVにためて家で使うようになり、買う電気が約1,400kWh減りました。共働きの家では、平日の昼に車が家にないため、売る電気は約500kWhしか減りません。FIT期間中(1〜4年目は24円/kWhで売電)は、売電をやめて自分で使っても浮く金額が小さいことも、節約が伸びない理由です。

意外な発見:EVの電池が大きくても、節約額はほとんど増えない

EV車種別のV2Hの15年の節約額(中央値)。共働きはサクラ17・リーフ17・bZ4X16万円、在宅多めは56・57・56万円、卒FIT・オール電化は46・50・50万円
図8 EV車種別のV2Hの15年の節約額(中央値)

「電池が大きいEVほどV2Hで得をする」と考えがちですが、試算では、20kWhのサクラと75kWhのbZ4Xで、15年の節約額はほとんど変わりませんでした(在宅多めでどちらも約56万円)。太陽光4kWの家で、1日に余る電気は晴れた日でも10kWh前後です。家で1晩に使う電気も数kWh〜10kWh程度なので、サクラの電池でも、1日に動かせる量の上限には先に「太陽光の余り」と「夜の使用量」が来ます。

電池の大きさが効いてくるのは、お金ではなく停電のときです(後述の特集)。V2Hのために大きな電池のEVを選ぶ必要はなく、EVは走り方と予算で選び、V2Hの効果は「昼に車が家にある時間」で考えるのが合理的です。

卒FIT・オール電化の家(時間帯別プラン)はどうか

卒FIT・オール電化の家は、売電単価が7〜9円と低く、時間帯別プランで夜の電気が安いため、1年目から節約が大きくなります(中央値約2.8万円)。夜の安い電気をEVにためて、昼や夕方の高い時間帯に使えるからです。ただし、ためる量の決め方で効果が変わります。

卒FIT・オール電化の家の1年目の節約額。夜は走行分だけ充電、前日の実績で決める、翌日を完全に予測の3つを比較。前日の実績で決めると約13%増、完全予測はさらに約4%増
図9 夜の安い電気をためる量の決め方による違い(卒FIT・オール電化・時間帯別プラン)
  • 夜は走行分だけ充電:翌日に走る分だけ夜に充電し、昼の太陽光の余りだけを家に回す方法です。
  • 前日の実績で決める(この記事の基準):前日に高い時間帯で足りなかった電気の量を、夜の安い時間帯に追加でためます。走行分だけの場合より節約が約13%増えました(中央値)。
  • 翌日を完全に予測(予測精度の上限):翌日の発電と使用量が完全に分かった場合でも、前日実績よりさらに約4%増えるだけでした。四国のように、基本料金に一定量の電気が含まれるプランでは、予測を完全にしても増えない場合があります。

実際のV2H機器の制御は、機種ごとに「売電優先」「グリーンモード」などの運転モードや、天気予報との連動の有無が異なります。時間帯別プランの家では、夜間の充電量を調整できる機種と設定かどうかを確認すると、取りこぼしを減らせます。昼に余る太陽光をお湯に回す「昼間沸き上げ」も、V2Hより安く始められる選択肢です(卒FIT後の選択肢の243ケース試算)。

モデル家庭3例:同じ関東・同じリーフでも、答えは3通り

数字の全体像だけでは、自分の家に当てはめにくいかもしれません。関東(東京電力エリア)、月額電気代2万円、日産リーフB5の家を例に、3つの使い方を並べます(V2H約139万円・工事込み・税込、電気代の上昇率年2%)。

項目共働き在宅多め卒FIT・オール電化
家の年間使用量(EVの充電を除く)約6,120kWh約6,120kWh約9,230kWh
EVの充電に使う電気(V2Hなし)約1,430kWh約750kWh約750kWh
太陽光の余りをEVへ充電約440kWh約1,420kWh約1,130kWh
EVから家への放電約190kWh約780kWh約1,950kWh
V2Hの1年目の節約約0.4万円約1.3万円約2.5万円
V2Hの15年の節約約17万円約54万円約44万円
15年収支(補助なし)約−122万円約−85万円約−95万円
15年収支(国+東京都の補助)約−18万円約+19万円(約11年で回収)約+9万円(約12年で回収)
参考:太陽光で充電するだけの充電器の15年収支約+7万円約+25万円約+13万円

共働きの家は、平日の昼に車が会社の駐車場にあるため、太陽光の余りをEVにためられるのは主に土日だけです。V2Hの働く時間が短く、補助を両方使っても15年で約18万円のマイナスでした。この家で電気代を下げたいなら、V2Hより先に、昼の電気の使い方(洗濯・食洗機・エコキュートの昼間運転)を見直す方が効果的です。

在宅多めの家は、昼に車が家にある日が多く、売っていた太陽光の多くをEVにためて夜に使えます。補助なしでは約85万円のマイナスですが、国と東京都の補助を両方使えれば約11年で回収できる計算です。補助の公募が再開されたら、最初に検討してよい家です。

卒FIT・オール電化の家は、売電単価が8.5円と低いため、太陽光をEVにためて使う価値が大きくなります。夜の安い電気をためて昼や夕方に使う分もあり、家への放電は約1,950kWhと最も多くなりました。その分、EVの電池の劣化コストも最も大きくなる点に注意が必要です。

それでもV2Hを選ぶ理由:停電への備え

電気代だけで元を取るのが難しいのに、V2Hを選ぶ人がいるのはなぜでしょうか。大きな理由は停電への備えです。エネがえるが実施した調査では、未就学児の子どもを持つ親104人のうち89.4%が停電への備えの重要性を感じ、81.8%が停電への備えとして家庭用蓄電池に関心があると答えました(エネがえる運営事務局調べ「災害時の電源確保に関する意識調査」、2024年2月、インターネット調査、n=104。調査結果)。蓄電池の購入者・検討者1,090人への調査でも、購入を考えたきっかけは「光熱費の削減」と「災害対策」がともに約6割でした(エネがえる 家庭用蓄電池の検討者1,090人への調査)。いずれも家庭用蓄電池についての調査で、V2Hの購入者だけを対象にしたものではありません。また、インターネット調査のため全国の世帯を代表する数値ではありません。

EVを持っている家にとって、V2Hは「すでにある大きな電池を、停電のときに家で使えるようにする機器」です。家庭用蓄電池10kWhの約5倍の電池(リーフB5)を家の非常用電源にできる点は、お金に換えにくい価値です。どれだけ停電に強くなるかは、次の特集で1時間ごとに確かめました。

特集:V2Hの価値を6つの角度から測る(反実仮想・値札・選択肢・停電・日数・電池の劣化)

V2Hの価値は、電気代だけでは測りきれません。ここでは、同じ1時間単位のモデルで「V2Hを買わなかった場合」「代わりの選択肢」「停電」「EV電池の劣化」まで広げて、6つの角度から測り直しました。代表例は、関東・在宅多め・月2万円・太陽光4kW・リーフB5の家です。

特集の結論

  1. 補助なしのV2Hは、15年たっても約85万円の負担が残ります。同じ家で「太陽光で充電するだけの充電器」なら、15年で約25万円の得です。
  2. 国と東京都の補助がそろえば、V2Hの値札は埋まります。節約約54万円と補助約104万円で、EV電池の劣化(仮定)を差し引いても約11万円の得です。
  3. 停電への強さを決めるのは、電池の大きさより「普段どれだけ残しておくか」です。EVに50%を残す設定なら、在宅多めの家ではリーフ・bZ4Xで72時間停電のあいだ電気を使い続けられました。
  4. 家に放電するほど、EVの電池はすり減ります。劣化コストは仮定値ですが、高めに見ると卒FIT・オール電化の家では節約の約8割に相当します。

角度① 反実仮想:「V2Hを買わない」と何が違うか

V2Hなしと比べた15年の累積の実質負担。V2H補助なしはプラス85万円、蓄電池はプラス81万円、国と東京都の補助ありのV2Hはマイナス19万円、太陽光で充電するだけの充電器はマイナス25万円
図10 V2Hなしと比べた累積の実質負担(関東・在宅多め・月2万円・リーフB5、名目)
選択初期費用15年後の実質負担(V2Hなしとの差)
V2Hなし(いまのまま、夜に普通充電)—0
太陽光で充電するだけの充電器約15万円(仮定)約−25万円(得)
V2H(補助なし)約139万円約+85万円(負担)
V2H(国+東京都の補助 約104万円)約35万円約−19万円(得)
家庭用蓄電池10kWh(補助なし)150万円約+81万円(負担)

「V2Hを買わないと損をする」わけではありません。補助なしなら、買わない方が15年で約85万円負担が少ない計算です。一方で、太陽光の余りでEVを充電するだけなら、15万円程度の投資で15年に約25万円の得が見込めます。お金の面で一番効くのは、放電ではなく「太陽光で充電すること」です。

角度② 値札の分解:139万円のうち、何が埋まり、何が残るか

V2H139万円の値札の分解。電気代の節約15年で54万円、国の補助81万円、東京都の補助22万円、EV電池の劣化プラス8万円で、差し引き約11万円の得
図11 V2H(工事込み約139万円)の値札の分解(関東・在宅多め・リーフB5、15年・名目)

15年の電気代の節約(約54万円)だけでは、V2Hの価格の4割ほどしか埋まりません。国の補助(約81万円)と東京都の補助(国の残りの1/2、約22万円)が加わって初めて値札が埋まり、EV電池の劣化コスト(1kWhあたり7円と仮定、約8万円)を差し引いても約11万円の得になります。国の補助は受付が終わっているため、次の公募があるかどうかが、V2Hの損得を大きく左右します。

角度③ 選択肢の比較:充電器・V2H・蓄電池

15年収支の中央値。太陽光で充電するだけの充電器は共働きプラス7万円、在宅多めプラス23万円、卒FITプラス11万円。V2Hはマイナス122万円・83万円・90万円。蓄電池はマイナス75万円・78万円・95万円
図12 選択肢別の15年収支(補助なし、中央値)
使い方太陽光で充電するだけ(約15万円)V2H(約139万円)家庭用蓄電池10kWh(150万円)
共働き約+7万円(69/81が15年以内に回収)約−122万円(0/81)約−75万円(0/81)
在宅多め約+23万円(81/81)約−83万円(0/81)約−78万円(0/81)
卒FIT・オール電化約+11万円(78/81)約−90万円(0/81)約−95万円(0/81)

V2Hと「充電するだけ」の差は、家への放電ができるかどうかです。在宅多めの家で15年の節約額を比べると、V2Hが約56万円、充電するだけが約38万円で、放電で増える節約は約18万円(中央値)です。これに対して、価格の差は約124万円あります。共働きの家では、V2Hの待機電力の分だけ、充電するだけの方が節約額も大きくなりました。お金の面では、まず太陽光の余りでEVを充電できる仕組みを整え、V2Hは停電への備えとして価値を感じるかどうかで判断するのが合理的です。なお、太陽光の余りで自動的に充電できるかは、充電器・HEMS・太陽光の機種の組み合わせで決まります。価格約15万円も仮定値です。

角度④ 停電72時間シミュレーション:大きさより「残しておく量」

停電時にどれだけ電気を使えるかを、1時間ごとに再現しました。1年のあらゆる時刻(7時間おき、1,247通り)から72時間の停電が始まったとし、停電直前のEVの残量は、普段のV2Hの使い方の計算から取りました。車で出かけている時間はEVから家に給電できず、太陽光の自立運転コンセント(1.5kW、発電が使用量以上のときだけ)でまかなえる分だけ使えるとしました。

停電72時間のうち電気を使えた時間の割合。普段30%まで使う設定ではサクラ55〜58%、リーフ72〜74%。50%を残す設定ではリーフ・bZ4Xで96〜100%
図13 停電72時間のうち電気を使えた時間の割合(関東・月2万円・冷蔵庫・照明・通信などの特定負荷)
使い方・EV普段は30%まで使う50%を残す50%を残す+太陽光でEVに充電(上限)
共働き・サクラ55%74%88%
共働き・リーフB572%96%96%
共働き・bZ4X81%96%96%
在宅多め・サクラ58%76%100%
在宅多め・リーフB574%100%100%
在宅多め・bZ4X83%100%100%

普段のV2HでEVの電気を30%まで使っていると、停電の時点で残量が少なく、リーフでも72時間のうち74%の時間しか使えませんでした(在宅多め)。同じEVでも、普段から50%を残す設定にしておけば、100%の時間で使えます。この設定の変更で、電気代の節約は15年で約1万円しか減りません(感度分析)。停電への備えを重視するなら、電池の大きいEVを選ぶより、残しておく量の設定を見直す方が効果的です。

普段どおりの使い方(全負荷)では、50%を残す設定でもリーフで66%、bZ4Xで77%の時間でした(在宅多め・太陽光で充電しない場合)。共働きの家は、平日の昼に車が家にないため、停電がその時間に重なると給電できません。太陽光の電気でEVを充電しながら使えるかは、V2H機器と太陽光の機種・配線の組み合わせによって異なるため、表の右端の列は上限として見てください。平時の停電は、低圧の利用者1軒あたり年0.13回・24分(2024年度)と短く(OCCTO「電気の質に関する報告書」)、V2Hの価値は、まれに起きる長時間の停電への備えにあります。家族の停電対策の考え方は太陽光・蓄電池で停電時に何時間暮らせるかでも整理しています。

角度⑤ 満充電なら何日もつか

満充電(90%)から20%まで使った場合に電気をまかなえる日数。冷蔵庫・照明・通信などならサクラ2.3日、リーフ6.3日、bZ4X8.6日、家庭用蓄電池10kWhは1.4日
図14 満充電から電気をまかなえる日数(太陽光で充電しない場合)

満充電(90%)から20%まで使うと、冷蔵庫・照明・通信など約5.6kWh/日の使い方で、サクラ約2.3日、リーフB5約6.3日、bZ4X約8.6日分の電気をまかなえます。家庭用蓄電池10kWhは約1.4日です。普段どおりの使い方(約16.8kWh/日)では、サクラ約0.8日、リーフ約2.1日、bZ4X約2.9日でした。ただし、これは「満充電で停電を迎えた場合」で、走行に使う分は残していません。避難や買い出しに車を使う場合は、その分を残しておく必要があります。

角度⑥ EV電池の劣化:家に放電した分だけ電池はすり減る

V2Hの15年の節約額とEV電池の劣化コストの比較(中央値)。在宅多めは節約56万円に対し劣化コスト9万〜22万円、卒FIT・オール電化は49万円に対し17万〜41万円
図15 V2Hの15年の節約額と、EV電池の劣化コスト(仮定)の比較(中央値)

V2HでEVから家に放電すると、その分だけ電池の充放電の回数が増えます。この記事の基準の試算には電池の劣化を含めていないため、別に見積もりました。電池の交換費を1kWhあたり2万〜2.5万円、寿命を1,500〜3,000回の満充電相当と仮定すると、家に放電した1kWhあたりの劣化コストは約7〜17円です。15年では、在宅多めの家で約9万〜22万円、卒FIT・オール電化の家で約17万〜41万円になり、高めに見ると節約の約4割(在宅多め)〜8割(卒FIT・オール電化)に相当します(共働きの家では約3割)。EVの電池は、実際には走行や経年でも劣化するため、V2H分だけを切り分けるのは難しく、この値は仮定に基づく目安です(EVバッテリー劣化率の実車データも参照)。V2Hで使う場合の電池の保証条件は、EVメーカーごとに確認してください。

V2Hのよくある誤解を、試算で確かめる

V2Hの説明でよく聞く言い方を、243ケースの結果と照らし合わせました。どれも条件次第では当てはまりますが、そのまま信じると判断を誤りやすいものです。

よく聞く説明試算の結果判断のポイント
「V2Hで電気代がほぼゼロになる」在宅多めの家でも、買う電気は約3割減るだけ(約4,760→約3,400kWh)夜と冬は太陽光の余りが少なく、EVにためる電気がない
「電池が大きいEVほどV2Hで得をする」サクラとbZ4Xで15年の節約はほぼ同じ(在宅多めで約56万円)効くのは電池の大きさより、昼に車が家にある時間
「電気代が高い家ほどV2Hで得をする」月額2.5万円の家は1.8万円の家より15年の節約が小さい(中央値約31万円 vs 約50万円)電気を多く使う家は、太陽光を先に自分で使い切る
「電気代はこれから上がるから元が取れる」上昇率を年3%にしても代表ケースは約79万円のマイナス上昇率の差より、V2Hの価格の差が大きく効く
「蓄電池を買うよりV2Hの方が安い」15年収支の中央値は蓄電池10kWh約−82万円、V2H約−96万円EVを持っていても、車が家にない時間はV2Hは働かない
「補助金があれば元が取れる」東京都の補助だけでは都内想定の0/27。国+都で在宅多めは9/9補助の組み合わせと受付状況を必ず確認

逆に、試算で裏付けられた説明もあります。「停電のときにEVの電池で家の電気をまかなえる」は、普段から50%程度を残す設定にすれば、在宅多めの家では72時間の停電でもリーフやbZ4Xで最低限の電気をまかなえました。「昼に車が家にある家ほど効果が大きい」も、1年目の節約が共働き約0.4万円、在宅多め約1.3万円という差で確かめられます。

この先、結論が変わるとしたら何が起きたときか

この記事の結論は、2026年11月時点の価格・料金・補助にもとづきます。次のどれかが起きれば、結論が変わる可能性があります。必要な変化の大きさを、試算から逆算しました。

起きること15年で元が取れるために必要な大きさ(中央値)見通し
V2Hの価格(工事込み)が下がる共働き 約17万円、在宅多め 約56万円、卒FIT 約49万円まで現在の約139万円から6〜9割の値下がりが必要で、短期間では考えにくい
補助が増える・再開される共働き 約122万円、在宅多め 約83万円、卒FIT 約90万円の補助国と都の補助を合わせた約104万円なら、在宅多めと卒FITの多くで届く水準
売電単価がさらに下がるFIT期間中の家(24円)が卒FIT並みになると、ためて使う価値が上がる新規のFIT単価は年々下がっている(資源エネルギー庁)
DR・VPPの報酬が受け取れる年数千円〜1万円程度では結論は変わらない報酬の水準と、EVを使えない時間の制約を確認する必要がある
車の使い方が変わる(在宅勤務が増える)共働きから在宅多めに近づくと、15年の節約は約17万円から約56万円へ働き方の変化は、補助よりも身近で大きな変数

V2Hを選ぶべき人・待つべき人:判断チェックリスト

こんな家判断の目安
平日の昼に車が家にない(共働き・通勤で使う)V2Hより、太陽光で充電できる充電器か家庭用蓄電池を先に検討。V2Hの節約は15年で約17万円(中央値)
昼も車が家にある日が多い・太陽光の余りが多い(平日の昼も車がほぼ家にある、V2Hに有利な想定)V2Hの節約は15年で約56万円(中央値)。補助を使えるかどうかが判断の分かれ目
卒FIT・オール電化・時間帯別プランV2Hの節約は1年目から約2.8万円(中央値)。夜間充電量を調整できる機種・設定か確認。まず昼間沸き上げも比較
乳幼児や高齢の家族がいる、在宅で医療機器を使う停電への備えとしての価値が大きい。普段からEVに50%程度を残す設定を前提に検討
3〜5年で車を乗り換える予定次の車がV2Hに対応するかを先に確認(短期で乗り換える家庭のV2H)
見積もりが150万円を超える工事内容と補助の有無を確認。価格が結論を最も動かす

見積もりで確認したい7つの項目

項目確認する理由
V2H機器の型式と、国・自治体の補助の対象かどうか国の補助は型式ごとに上限額が決まっている。対象外の機種では補助を受けられない
工事費の内訳(基礎・配線距離・分電盤・系統連系の手続き)工事費は家ごとに大きく変わり、総額が結論を最も動かす
停電時に家全体へ給電できるか(全負荷か特定負荷か)使える部屋や機器の範囲が変わる
停電中に太陽光でEVを充電できるかこの試算では、できる場合とできない場合で停電への強さが大きく違った
自分のEVがその機種に対応しているか車種や年式によって、V2Hで使えない、または条件があることがある
運転モード(売電優先・自家消費優先)と、夜間に充電する量を設定できるか時間帯別プランの家では、夜にためる量の設定で節約が変わる
機器の保証期間と、待機電力15年使う前提なら、故障時の費用と常時の消費電力も効いてくる

相談するなら:使い方と補助をそろえて試算してくれる販売施工店へ

V2Hの損得は、車が家にある時間、太陽光の余り、電気料金のプラン、補助の有無で大きく変わります。「V2Hで電気代がゼロになる」「EVの電池が大きいほど得」といった説明だけで決めず、自宅の条件で比べてもらうことが大切です。相談するときは、次の3つを伝えると、比較の精度が上がります。

  • 平日・休日に車が家にない時間帯と、1日に走る距離
  • 電気料金のプランと、直近12か月の使用量(できれば時間帯別)
  • 太陽光の容量と設置年(FIT期間中か、卒FITか)

エネがえるは、太陽光・蓄電池・EV・V2Hの経済効果を試算するクラウドサービスで、「エネがえるEV・V2H」ではEVの充電代やV2Hの効果を、車の使い方や電気料金プランに合わせて比べられます。エネがえるを使う販売施工店なら、V2H・家庭用蓄電池・太陽光で充電するだけの充電器を同じ条件で並べた比較を依頼できます。EV・V2Hの提案で確認する条件はEV・V2Hの提案条件シートに、EVとV2Hの費用の全体像はEV・V2HのTCO完全ガイドにまとめています。

※エネがえるは、この記事の発行元である国際航業株式会社のサービスです。

販売施工店・ディーラーの方へ:お客様の信頼を失わないV2Hの説明

V2Hは、説明の仕方ひとつで「売り込まれた」と感じられやすい商品です。この記事の試算から、お客様に伝えるときに外したくない点を3つにまとめました。

  • 最初に車の使い方を聞く。平日の昼に車が家にあるかどうかで、1年目の節約は約0.4万円と約1.3万円に分かれます。電気代や電池の大きさより先に確認する項目です。
  • 「電気代で元が取れる」と言わない。補助なしでは243ケースすべてで15年以内に回収できませんでした。経済性は補助の有無と使い方を前提に、範囲で示します。
  • 停電への備えは、残しておく量とセットで説明する。普段からEVに50%程度を残す設定なら、在宅多めの家では72時間の停電でもリーフやbZ4Xで最低限の電気をまかなえました。残量を30%にすると、まかなえる時間の割合は約6〜8割に下がります。

お客様の条件ごとに数字を出し直すには、試算ツールで使い方・料金プラン・補助を入れ替えて比べるのが近道です。提案で確認すべき条件はEV・V2Hの提案条件シートにまとめています。

関連する試算:蓄電池は元が取れない?243ケース試算/卒FIT後の選択肢243ケース試算/EVとガソリン車どっちが安い?車種別TCO試算/EV充電代・家庭電気代の比較ツール

まとめ:V2Hの判断は3つの質問で決まる

243ケースの試算から、V2Hを検討するときに最初に確かめたい質問は、次の3つに絞れます。

  1. 平日の昼に、車は家にありますか?ない日が多いなら、V2Hの節約は年に数千円程度です。電気代の節約が目的なら、太陽光で充電するだけの充電器や、昼の電気の使い方の見直しを先に検討してください。
  2. 国と自治体の補助を、合わせていくら使えますか?補助なしでは243ケースすべてで15年以内に回収できませんでした。合わせて約100万円の補助があれば、在宅多めの約85%、卒FITの約7割で15年以内の回収が見えてきます(85万円では在宅多めの約6割、卒FITの約3分の1)。
  3. 停電への備えに、いくらまでなら払えますか?電気代で回収できない分は、停電のときにEVの電池を家で使える安心の値段と考えられます。その金額に納得できるかどうかが、最後の決め手です。

この3つの答えがそろえば、V2Hを「買う」「待つ」「別の方法にする」のどれにするか、自信を持って決められます。

よくある質問

V2Hは何年で元が取れますか?

補助なしでは、この記事の243ケースすべてで15年以内に元が取れませんでした(V2H約139万円・工事込み・税込、電気代の上昇率年2%)。国の補助(約81万円)と東京都の補助を両方使える都内の在宅多めの家では、回収年数の中央値が約11年でした。国の補助は2026年8月27日で受付を終えているため、次の公募があった場合の目安です。

V2Hは買わない方がいいですか?

電気代の節約だけが目的なら、補助なしで買うのは慎重に考えた方がよい結果でした。一方で、停電のときにEVの大きな電池を家で使えるようにしたい家、平日の昼も車が家にあることが多い家、補助を使える家では、選ぶ理由があります。まず「太陽光で充電するだけの充電器」と比べると、判断しやすくなります。

V2Hで電気代はどれくらい安くなりますか?

1年目の節約額の中央値は、共働き(平日昼は車が家にない)で約0.4万円、在宅多めで約1.3万円、卒FIT・オール電化(時間帯別プラン)で約2.8万円でした。昼に車が家にない家では、太陽光の余りをEVにためられないため、節約はほとんど出ません。

EVの電池が大きいほどV2Hは得ですか?

電気代の節約では、ほとんど差が出ませんでした。15年の節約額の中央値は、在宅多めでサクラ(20kWh)約56万円、リーフB5(55kWh)約57万円、bZ4X(74.69kWh)約56万円です。電池の大きさが効くのは、停電のときに何日もつかという点です。

V2Hを使うとEVの電池は早く劣化しますか?

V2Hで家に放電する分、充放電の回数は増えます。この試算では、家への放電は年に約190kWh(共働き)〜約1,600kWh(卒FIT・オール電化)でした。劣化のコストを放電1kWhあたり7円〜17円と仮定すると、15年で約2万〜41万円に相当します。劣化の進み方は車種や使い方で異なるため、車のメーカーのV2H利用条件と電池保証の扱いを確認してください(EVの電池劣化率の整理)。

停電のとき、V2Hで何日くらい電気を使えますか?

冷蔵庫・照明・通信機器など最低限の電気(1日約5.6kWh)なら、満充電から、サクラで約2.3日、リーフB5で約6.3日、bZ4Xで約8.6日分です。ただし普段の残量や、車が家にあるかどうかで変わります。普段からEVに50%を残しておくと、在宅多めの家では72時間の停電で、リーフとbZ4Xで100%の時間、最低限の電気をまかなえる結果でした。

家庭用蓄電池とV2H、どちらを選ぶべきですか?

経済性だけで比べると、どちらも補助なしでは15年以内に元が取れませんでした(15年収支の中央値:V2H約−96万円、蓄電池10kWh約−82万円)。蓄電池は車が家にない時間も使えます。V2Hは、EVを持っていれば蓄電池の数倍の電池を停電に使えます。昼に車が家にない家は蓄電池、車が家にあることが多い家や停電への備えを重視する家はV2Hが向いています。

V2Hの補助金は今も使えますか?

国のV2H充放電設備の導入促進補助(令和7年度補正)は、2026年8月27日到着分で受付を終了しました(次世代自動車振興センター)。東京都の戸建住宅向けV2H助成は令和9年度までの事業として案内されています(クール・ネット東京)。市区町村の補助もあるため、申し込み前に最新の公募要領を確認してください。

試算の前提条件(すべて公開)

項目設定値根拠・出典
試算期間15年(感度分析で10年)V2H機器・EV電池の保証期間を参考に設定
計算の方法1年8,760時間を1時間単位で計算。1年目と11年目の運転を計算し、間の年は太陽光の劣化と電気代の上昇を反映蓄電池243ケース試算(蓄電池は元が取れない?243ケース)と同じモデル
電気料金各社の2026年11月1日改定後の単価(税込)、燃料費調整は2026年12月分。使い方①②は従量電灯、③は各社の時間帯別プラン各社公式(例:東京電力EP)。詳細は蓄電池243ケース試算の前提表と同じ
再エネ賦課金4.18円/kWh(全期間一定)経済産業省 2026年3月19日公表
電気代上昇率年2%(感度分析で1%・3%)。売電単価には適用しない仮定値
売電単価使い方①②:1〜4年目24円、5〜10年目8.3円、11年目以降は各社の卒FIT単価。使い方③:全期間、各社の卒FIT単価(7〜9円)資源エネルギー庁 買取価格、各社公式
太陽光4kW。各エリアの代表都市の気象から1時間ごとの発電量を計算(全国平均の設備利用率13.7%に補正)、劣化は年0.5%欧州委員会 PVGIS、調達価格等算定委員会の想定設備利用率
EVの諸元サクラ 20kWh・124Wh/km、リーフB5 55kWh・131Wh/km、bZ4X Z 74.69kWh・113Wh/km(いずれもWLTC交流電力量消費率)。実際の走行では消費率を0.85で割って補正。電池容量は総電力量で、実際に使える容量はやや小さい(V2H機器との対応は車種・年式ごとにメーカーの対応表で確認)メーカー公式の諸元表(サクラ、リーフ、bZ4X)。実走係数0.85は仮定値
車の使い方①共働き:平日8〜18時不在(往復30km)、土曜10〜16時不在(40km)。②③在宅多め:月水金10〜13時不在(20km)、土曜10〜16時不在(40km)。祝日は在宅仮定値(典型的な使い方として設定)
V2Hの価格約139万円(機器 約98.8万円+工事40万円、税込)。感度分析で100万〜180万円機器はニチコン EVパワー・ステーションの希望小売価格(税別89.8万円〜)に消費税を加算。工事費は仮定値
V2Hの性能出力6kW、充電・放電それぞれ効率92%、待機電力15W(感度分析で0〜30W)、日常の放電ではEVに「電池の30%+次の外出で使う分」を残す、充電の上限は90%出力は6kW級の機種を想定。効率・待機電力・残量の設定は仮定値
V2Hの運転車が家にある時間に、太陽光の余りをEVへ充電し、不足時に放電。時間帯別プランでは安い時間帯は放電せず、前日に高い時間帯で足りなかった量を夜に追加でためる一般的なV2Hの運転モードを単純化して再現。実際の制御は機種ごとに異なる
V2Hなしの充電200V普通充電(3kW・効率90%)で、走行で減った分を夜に充電仮定値
太陽光で充電するだけの充電器15万円(工事込み・税込)。家への放電はしない。太陽光の余りを走行に使う分まで充電価格は仮定値
家庭用蓄電池10kWh・150万円(工事込み・税込)、使える容量90%、往復効率88%、待機25W蓄電池243ケース試算と同じ
補助金国:機器44.9万円+工事36.4万円(約81万円)。東京都:残りの経費の1/2(上限50万円。増額要件ありの場合は購入費の1/2で約63万円)次世代自動車振興センター 応募要領、クール・ネット東京 助成金ガイド。機器の型式ごとの上限額は機種により異なる
EV電池の劣化コスト基準0円。感度分析で放電1kWhあたり7円・17円仮定値(電池価格と寿命までの充放電量から推計した幅)
停電の試算72時間の停電を1年のうち7時間おきに開始して繰り返し計算。最低限の電気は1日約5.6kWh、放電はEVの20%まで。車が不在の時間は太陽光の自立運転コンセント(1.5kW)のみ仮定値。停電中に太陽光でEVを充電できるかは機種と配線による
含めていないもの割引率(現在価値への換算)、ローン金利、V2H機器の故障・交換費、DR・VPPの報酬、停電時の価値の金額換算(特集で別途試算)—

この試算の限界

  • 電気の使い方は合成データです。月額電気代から年間の使用量を逆算し、典型的な1時間ごとの消費パターンを当てはめています。実際の家の使用量データで試算すると、結果は変わります。
  • 車の使い方は3つの典型例です。車が家にある時間はV2Hの効果を最も大きく左右します。テレワークの日数や買い物の時間帯が違えば、結果も変わります。
  • V2Hの効率・待機電力・出力・工事費は仮定値です。機種ごとの実測値は公開されていないものが多く、感度分析で幅を示しました。
  • 国の補助の機器の上限額は機種ごとに異なります。この記事の約81万円は、上限額が購入費の1/2を下回らない機種を想定した値です。
  • 停電中に太陽光でEVを充電できるかは機種と配線によります。停電の試算では、できる場合とできない場合の両方を示しました。
  • EV電池の劣化は単純化しています。放電量あたりのコストとして感度分析で扱い、容量の低下による走行への影響は含めていません。
  • エネがえるの製品での照合はしていません。この記事の数値は独自のモデルによる試算です。実際の提案では、エネがえるEV・V2Hなどで、自宅の条件を入れて試算してください。
  • 料金・制度は2026年11月時点の情報です。電気料金・燃料費調整・補助の内容が変われば結果も変わるため、毎月見直します。

ファクトチェック・エビデンス検証一覧

この記事の主要な数値と主張を、どの方法で検証し、どの根拠に基づいているかを一覧にしました。出典はできる限り一次情報(官公庁・公的機関・メーカーの公式資料)にリンクしています。仮定値は下の区分で区別しています。

検証の方法(4段階)

  1. 一次情報との照合:補助の算定方法と受付状況、V2Hの価格、EVの諸元、電気料金、賦課金、売電単価は、公的機関とメーカーの公式資料で値と条件を確認しました(確認日:2026年10月31日)。
  2. 独立モデルによる計算:243ケースと補助・感度・停電の各シナリオを、条件を変えれば再現できるコードとケース別データで管理しています。
  3. 関連記事との整合:電気料金・太陽光・蓄電池の条件は、蓄電池243ケース試算と同じものを使っています。
  4. 独立レビュー:独立レビューで指摘された点を修正し、再確認しました。最終的な内容の責任は、エネがえる(国際航業株式会社)にあります。

根拠の確かさの区分

区分意味
A 一次情報官公庁・公的機関・メーカーの公式資料で確認した値
B 報道・業界資料報道や販売事業者の資料で確認した値
C 独自調査エネがえる運営事務局のインターネット調査。全国の世帯を代表する値ではない
M 計算結果本記事のモデルの計算結果
H 仮定値確かな統計がないため置いた値。感度分析で幅を示している

前提条件の検証

項目値区分確認先
国のV2H補助の受付終了2026年8月27日到着分までA次世代自動車振興センター お知らせ(2026年8月28日)
国のV2H補助の算定方法機器は購入費(税抜)の1/2と型式上限の低い方、工事は項目別上限の合計と55万円の低い方A同 令和7年度補正 応募要領
東京都のV2H助成1/2・上限50万円(増額要件で上限100万円)、令和9年度までAクール・ネット東京 助成金ガイド(2026年1月)
V2H機器の価格税別89.8万円〜Aニチコン 製品ページ
工事費40万円感度分析で総額100万〜180万円H—
EVの電池容量・電力量消費率サクラ20kWh・124Wh/km、リーフB5 55kWh・131Wh/km、bZ4X 74.69kWh・113Wh/kmA日産・トヨタ 諸元表
実走係数0.85WLTC値を0.85で割って補正H—
再エネ賦課金4.18円/kWhA経済産業省
FIT・卒FIT単価24円・8.3円、卒FIT 7〜9円A資源エネルギー庁、各電力会社
V2Hの効率・待機電力・出力・残量下限92%・15W・6kW・30%H感度分析で幅を確認
車の使い方3パターンH—

結果と主張の検証

主張数値区分検証
補助なしで15年以内に回収0/243Mケース別データで全件確認。V2Hの価格を100万円にしても代表ケースは回収できない
1年目の節約額(中央値)共働き約0.4万円、在宅多め約1.3万円、卒FIT約2.8万円Mケース別データから集計
15年で元が取れるV2Hの価格(中央値)約43万円(共働き約17万円、在宅多め約56万円、卒FIT約49万円)M15年の節約額の合計と一致することを確認
国+東京都の補助で回収都内の在宅多め9/9(関東エリアの料金で計算、中央値約11年)、卒FIT 6/9(同約12年)M補助額を税抜の購入費から算定し直して再計算
太陽光で充電するだけの充電器228/243が15年以内に回収M太陽光を走行分まで充電する条件で、売電の取りこぼしがないことを確認
電池の大きさと節約額在宅多めでサクラ約56万円・bZ4X約56万円M車種別に集計
停電72時間在宅多め・50%残し・太陽光充電ありでリーフ・bZ4X 100%M停電開始時刻を1年分ずらして計算した平均。太陽光充電の可否は機種による

調査データ

調査内容区分
災害時の電源確保に関する意識調査(2024年2月)未就学児の親104人。停電への備えの重要性を感じる89.4%、蓄電池に関心81.8%C
家庭用蓄電池の検討者1,090人への調査購入を考えたきっかけは光熱費削減と災害対策がともに約6割C

更新履歴(2026年10月31日)

  • 東京都の増額要件の補助額を、上限100万円ではなく「購入費の1/2」(約63万円)で計算し直しました。
  • 国の補助の機器分を、税込ではなく税抜の購入費の1/2で計算し直しました。
  • 太陽光で充電するだけの充電器が、走行に使わない分までEVに充電して売電を減らしていた計算を、走行に使う分までに直しました。
  • 停電の試算で、車が家にあって太陽光でまかなえる時間を数えていなかった点を直しました。

試算・分析:エネがえる(国際航業株式会社)/公開日:2026年10月31日/最終更新:2026年10月31日。電気料金・燃料費調整・補助の受付状況に変化があれば、条件を更新して毎月再計算します。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら)

樋口 悟(Satoru Higuchi)。国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループで「エネがえる」の事業開発を担当。住宅・産業用太陽光、蓄電池、EV・V2H、PPA、電力料金・補助金の経済効果を扱い、SaaS・API・BPOによる比較提案・導入判断を支援しています。「太陽光・蓄電池導入意思決定白書2026」の監修、独自調査、官公庁・自治体の試算支援、APIを活用したサービス開発・協業にも取り組みます。執筆・更新では一次情報と試算条件の明示を重視し、公表値と独自の推計・仮定を区別します。 詳しいプロフィール・活動実績・参照資料 / 監修した白書

顧客の声・公開登壇記録
・共伸興建・市川様の公開インタビュー(2023年1月11日):「樋口さんが電話に結構すぐ出てくれる」「業界の知見がある」。操作に加え、提案方法や試算ロジックへの相談対応をご評価いただきました。同インタビューでは、利用者増加時にも同じ品質のサポートを求める声をいただいています。
・東京都・東京都環境公社のWEBシンポジウム(2024年3月15日):「太陽光発電と都市の可能性」の講演者として、樋口悟の氏名・所属・略歴が主催者の公式ページに掲載されています。
協業や資料のご案内では「迅速なご対応とご送付、ありがとうございます!」、AIサポートによる操作案内では「ありがとうございます。助かりました。」などのお客様の声をいただいています。
公開インタビュー以外のお客様の声は、企業名・氏名を省略して紹介しています。AIサポートへの声はサービスへのご感想です。

エネがえるの導入・活用実績
エネがえるは、官公庁・自治体、大手メーカー、商社、電力・ガス会社、住宅メーカー、有力販売施工店など、全国700社以上に導入されています。主な導入・活用先には、環境省、地方自治体、シャープ、パナソニック、ニチコン、スズキ、村田製作所、ダイヘン、三菱電機、ネクストエナジー・アンド・リソース、エリーパワー、NTT-ME、東京ガス、東邦ガス、大和ハウス工業、東京センチュリー、ELJソーラーコーポレーションなどがあります。
導入事例を見る / 主な導入・活用先の掲載情報
エネがえる全体の実績です。掲載先には導入・連携・実証・事例掲載等を含みます。

ご相談・お問い合わせ
エネがえるのご相談はもちろん、新規事業開発、アライアンス、執筆・セミナー講演、リサーチやデータセット開発などのご相談も承ります。まだ具体的に決まっていないお話でも、お気軽にご連絡ください。
TEL:070-3669-8761 / Mail:satoru_higuchi@kk-grp.jp

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