エネルギー業界 業務フロー大全 | 系統用蓄電池・アグリゲーター
系統用蓄電池・アグリゲーターの業務内容を、10の業務フロー図で解説します。各業務の課題(ボトルネックと手戻り)と、系統接続・収益シミュレーション・市場入札を組み込んだ改善後の流れを、ビフォーアフターで同じ図の中に並べました。担当者・お客様・外部(電力会社・自治体・メーカーなど)をレーンに分けているので、誰の作業で時間がかかっているかが一目でわかります。図はPNG・SVG・draw.io・CSVの無料テンプレートとしてダウンロードし、自社の業務に合わせて編集できます。
企画・監修:樋口 悟(国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部/エネがえる)|エネルギー業界 業務フロー大全(10業種×100業務)の一部です
このページの要点
- 系統用蓄電池・アグリゲーターの代表的な業務は、用地の選定、系統接続の検討、収益シミュレーション、資金調達、EPCの発注、運転と市場への入札、VPP需要家の獲得、DRの運用、収益の精算、制度変更への対応の10業務です。
- 多い課題は根拠・説明責任(9業務)、手戻り・再試算(8業務)、Excel・手計算(6業務)、待ち時間・リードタイム(4業務)です。
- 改善前の課題は31か所、1件あたりの社内の作業時間(モデルケース)は合計3475分から1405分になります。
- 改善後の業務フローで使うエネがえる:蓄電池の事業性評価、補助金・系統連系の申請支援、市場連動型料金計算API、AI Sense API、エネがえるASP、エネがえるBiz
- 各図はdraw.io・PNG・SVG・CSVでダウンロードでき、効果試算からWordの稟議書・Excelの試算表まで作れます。
系統用蓄電池・アグリゲーターでよくある課題
- 9業務根拠・説明責任単価・使用量・日射量・補助金の出典と時点が示されていない
- 8業務手戻り・再試算前提条件が記録されておらず、変更時に最初から組み直している
- 6業務Excel・手計算料金表・補助金・機器仕様を毎回手で調べて転記している
- 4業務待ち時間・リードタイム初回接触の時点で、概算に必要な情報を聞き切れていない
- 4業務データ収集・資料の散在依頼する資料の一覧がなく、何度も追加で依頼している
- 3業務属人化計算方法や単価の持ち方が担当者ごとのExcelに埋め込まれている
- 3業務料金・単価・制度の更新料金表や調整単価を担当者が個別に追いかけている
- 1業務補助金・申請手続き対象機器・地域・受付期間の確認を、契約直前や申請時に行っている
- 1業務稟議・社内承認効果が1つの数字だけで、下振れやリスクの説明がない
系統用蓄電池・アグリゲーターの業務フロー図10選(改善前・改善後)
- I01用地の選定
- I02系統接続の検討
- I03収益シミュレーション
- I04資金調達
- I05EPCの発注
- I06運転と市場への入札
- I07VPP需要家の獲得
- I08DRの運用
- I09収益の精算
- I10制度変更への対応
用地の選定
系統用蓄電池事業者の事業開発担当|系統・土地条件・事業性の見込みがそろう候補地に絞り込む
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 変電所・空き容量を確認:公開情報だけでは接続可否が読めない
- 地権者と賃料・期間を交渉:事業性が未確定で条件を詰められない
- 地目・転用の要否を確認:農地転用など許認可の見落とし
- 候補地を社内で比較:候補地ごとの収益の物差しがない
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 候補地を地図と登記で探す
- 空き容量と地目・転用を確認
- 候補地ごとに事業性を概算(蓄電池の事業性評価)
- 同じ物差しで候補地を比較
- 上位候補で賃料・期間を交渉
改善のポイント
- 候補地の比較を、同じ前提の事業性概算でそろえる
- 交渉は上位候補に絞り、手戻りを減らす
系統接続の検討
系統用蓄電池事業者の事業開発・技術担当|接続検討の申込から回答受領までを、手戻りなく進める
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 接続検討の申込書を作成:必要な技術資料がそろわない
- 接続検討・回答:回答まで数か月かかる
- 負担金込みで事業性を再評価:負担金の反映が手作業で遅い
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 必要資料をチェックリストで回収
- 接続検討の申込書類を作成支援(補助金・系統連系の申請支援)
- 接続検討・回答
- 負担金込みで事業性を再試算(蓄電池の事業性評価)
- 進めるか見直すかを判断
改善のポイント
- 申込書類の不備による差し戻しを減らす
- 負担金の回答を、すぐに事業性の数字へ反映する
収益シミュレーション
系統用蓄電池事業者の事業開発・企画担当|卸電力・需給調整・容量の各市場を前提に、根拠ある収益見通しを示す
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- JEPX価格の過去データを集計:データ整備に時間がかかる
- 充放電パターンをExcelで試算:数式が担当者ごとに違う
- 劣化・効率・保守費を反映:前提の根拠が説明できない
- 前提を変えた感度分析を依頼:条件変更のたびに作り直し
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- JEPX価格で収益計算(市場連動型料金計算API)
- 劣化・保守費込みのIRR試算(蓄電池の事業性評価)
- 市場ごとの前提を確認
- 感度分析つきで判断
改善のポイント
- 価格データの集計と計算を外に出し、前提の確認に集中する
- 感度分析をはじめから試算に含めておく
資金調達
系統用蓄電池事業者の財務・事業開発担当|金融機関・出資者が納得する事業計画と収益根拠をそろえる
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 収益前提への質問を受ける:市場収益の変動を説明しきれない
- 追加の感度分析を作成:下振れケースの作成に時間
- 融資・出資条件を審査:根拠資料の不足で審査が延びる
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 事業計画書を作成
- 基本・下振れケースのIRRを作成(蓄電池の事業性評価)
- 根拠資料つきで審査
- 融資・出資の決定
改善のポイント
- 下振れケースを最初から資料に入れ、質問の往復を減らす
EPCの発注
系統用蓄電池事業者の調達・技術担当|複数のEPC見積を、価格だけでなく事業性への影響で比較して発注する
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 見積の比較表を作成:機器・保証条件の読み替えが手作業
- 価格で発注先を決める:効率・保証の差を収益で比べられない
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 仕様書を作成
- EPC各社が見積を提出
- 見積別に収益・IRRを比較(蓄電池の事業性評価)
- 事業性の差で発注先を決定
改善のポイント
- 効率・容量・保証の違いを、IRRの差に置き換えて比べる
運転と市場への入札
系統用蓄電池事業者の運用担当|価格と気象の見通しを踏まえて、充放電計画と入札を組み立てる
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 翌日の価格見通しを立てる:見通しが担当者の経験頼み
- 充放電計画を作成:気象急変を計画に織り込めない
- 実績と計画の差を確認:外れた理由を振り返れない
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 気象・日射・発電量を予測(AI Sense API)
- 予測を見て充放電計画を作成
- 入札・約定
- 実績と予測を並べて振り返る
改善のポイント
- 気象・発電量の予測を、計画づくりの共通の材料にする
- 入札の判断は運用担当が持ち、予測は判断材料に留める
VPP需要家の獲得
アグリゲーターの営業担当|蓄電池を持つ・導入する需要家に、VPP参加のメリットを数字で示す
DRの運用
アグリゲーターの運用担当|DR要請に対し、需要家の負担を抑えつつ確実に応動する
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 応動できる需要家を選ぶ:需要家ごとの余力が見えない
- 需要家へ連絡・依頼:連絡と確認が電話頼み
- 応動実績を確認:天候で太陽光が読めず未達
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- DR要請を受ける
- 日射・発電量を予測(AI Sense API)
- 予測を見て応動先を選ぶ
- 需要家へ依頼・応動
改善のポイント
- 太陽光の発電見込みを踏まえて応動先を選ぶ
収益の精算
アグリゲーターの精算・管理担当|市場・DRの収益を、需要家ごとに説明できる形で配分する
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 需要家ごとの実績を集計:メーター値の突合が手作業
- 配分額と電気代影響を計算:市場価格連動の計算が複雑
- 明細の説明を受ける:配分の根拠が伝わらない
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 市場・DRの精算結果を受領
- 需要家ごとの実績を集計
- 市場価格で需要家別に料金計算(市場連動型料金計算API)
- 根拠つきの明細を受け取る
改善のポイント
- 市場価格を使った料金計算を共通の計算に任せる
制度変更への対応
系統用蓄電池事業者・アグリゲーターの企画担当|市場ルールや制度の変更が、事業性にどう効くかを素早くつかむ
改善前:いまの業務の課題(ボトルネック)
- 変更内容を読み解く:読み解ける人が限られる
- 既存案件の収益を再計算:案件ごとにExcelがバラバラ
- 影響を報告・方針を決定:報告が遅れ判断が後手に
改善後:エネがえるを組み込んだ業務フロー
- 制度・市場ルールの変更を公表
- 変更内容を読み解く
- 新しい前提で事業性を再試算(蓄電池の事業性評価)
- 影響を見て方針を決定
改善のポイント
- 案件ごとの再計算を外に出し、読み解きと判断に時間を使う
※時間・件数は1件あたりのモデルケースの例示で、実績値ではありません。業務・地域・案件により異なります。補助金の採択や導入効果を保証するものではありません。図のダウンロード・社内利用・編集は自由です。社外で公開する場合は出典「エネがえる 業務フロー大全」を明記してください。
導入効果の試算と稟議書テンプレート
このページの業務フローをもとに、エネがえるを導入したときの作業時間・コスト・処理能力・提案スピード・手戻りを試算し、そのまま社内の稟議書(Word)と効果試算表(Excel・数式入り)を作れます。数字は入力例なので、自社の数字に置き換えてください。
1. 前提を入れる
2. 対象の業務を選ぶ(作業時間は自社の実測に直せます)
| ID | 業務 | 月間件数(頻度の目安) | 改善前(分/件) | 改善後(分/件) | 課題 | 手戻り |
|---|
3. 効果(自動計算)
1件あたりの作業時間(灰:改善前/緑:導入後)
この試算で使うエネがえる
※作業時間の初期値は業務フロー大全のモデルケース(例示)で、実績値ではありません。成約率の改善は想定値で、効果を保証するものではありません。処理できる案件数は、担当者の稼働を選んだ業務だけに充てた場合の上限です。
コンプライアンス:この業種の業務フローで守ること
| 法令・ルール | 業務フローで守ること | 一次情報 |
|---|---|---|
| 電気事業法・電力の小売営業に関する指針 | 小売では料金・契約条件(燃料費調整、再エネ賦課金、解約条件)を説明し書面を交付する。発電・アグリゲーターは事業区分に応じた届出・登録を確認する。 | 法令 |
| 補助金適正化法・各補助金の交付要綱 | 対象機器、申請の時期(着工前申請など)、実績報告、財産処分の制限を確認する。要件を満たさない前提で補助金を試算に入れない。 | 法令 |
| 個人情報保護法 | 検針票・電力使用量(30分値)・住所などは利用目的を示して取得する。試算ツールや外部委託先に渡す範囲と管理方法を決めておく。 | 個人情報保護委員会 法令 |
※業務フロー上の確認ポイントを整理したもので、法的助言ではありません。最新の法令・指針・交付要綱を確認し、必要に応じて専門家に確認してください。
エビデンス:提案に使う数字の根拠をそろえる
試算の説明責任は、数字そのものより「どの資料の、いつ時点の値か」で決まります。提案書と稟議書には次の根拠を添えます。
| 数字 | 根拠(そろえる資料) | 避けること |
|---|---|---|
| 電気料金の単価 | 電力会社の料金表、燃料費調整額・再エネ賦課金の適用月 | 単価の時点を書かない比較 |
| 電気の使用量 | 検針票(12か月分)、法人は30分値(スマートメーターのデータ) | 1か月分からの推計を確定値のように扱う |
| 日射量・発電量 | 地点の日射量データ(NEDOの日射量データベースなど)、パネル配置と影 | 地域平均だけで個別住宅を語る |
| 補助金 | 交付要綱・公募要領・受付期間・予算残 | 受付終了や対象外の補助金を試算に入れる |
| 機器の仕様 | メーカーの仕様書・保証書(容量、劣化、保証年数) | カタログ値の最大値だけを使う |
| 前提と感度 | 基本ケースと下振れケース(単価・使用量・発電量の変化) | 1つの数字だけで判断を迫る |
営業プロセスの標準:ステージと完了条件
ステージごとに「何を満たしたら次へ進むか」を決めると、担当者による差と手戻りが減り、どこで止まっているかを数字で見られます。
| ステージ | 完了条件(これを満たしたら次へ) | 見る指標 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 開拓・初期診断 | 請求書12か月分・30分値・屋根/敷地の情報を入手した | 初回面談からデータ入手までの日数 |
| 2 | 解析・概算 | ロードカーブと容量案、概算効果を提示した | 概算提示までの日数 |
| 3 | 事業性・稟議 | IRR・回収年数・感度分析と稟議資料を渡した | 稟議通過率 |
| 4 | 契約・補助金・連系 | 契約条件、補助金、系統連系の要件と日程を確定した | 契約から着工までの日数 |
| 5 | 建設・運転開始 | 工程・品質・安全の記録を残した | 工期の遅れ |
| 6 | 検証・報告 | 実績と計画の差、CO2削減量を報告した | 次の拠点・追加提案の件数 |
最小の手間で成約率を上げる5つの打ち手
- 初回接触の前に概算を持っていく「自宅(自社)だといくら変わるか」を最初の面談で示すと、検討の土台ができ、再訪問が減ります。
- 前提を書いた比較を1枚にする単価の時点、使用量、補助金の有無を同じ紙に書くと、他社比較で信頼が残ります。景品表示法の観点でも安全です。
- 補助金を先に当てる対象と受付期間を最初に確認すると、契約直前の手戻りと失注が減ります。
- 決裁者向けの資料を先回りして渡す法人・自治体では、担当者が社内で説明できる稟議資料(効果・感度・リスク)が決め手になります。
- 再試算をなくす条件変更のたびに担当者がExcelを直す運用をやめ、同じ計算で何度でも出し直せる状態にします。
よくある質問
系統用蓄電池・アグリゲーターの主な業務内容は?
系統用蓄電池・アグリゲーターの代表的な業務は、用地の選定、系統接続の検討、収益シミュレーション、資金調達、EPCの発注、運転と市場への入札、VPP需要家の獲得、DRの運用、収益の精算、制度変更への対応の10業務です。このページでは、それぞれを担当者・お客様・外部(電力会社・自治体・メーカーなど)のレーンに分けた業務フロー図で示しています。
系統用蓄電池・アグリゲーターの業務フローで、よくある課題は?
図の中でボトルネックとして示した主な課題は、公開情報だけでは接続可否が読めない、事業性が未確定で条件を詰められない、農地転用など許認可の見落とし、候補地ごとの収益の物差しがない、必要な技術資料がそろわないなどです。改善前の図では、オレンジの「!」と点線の手戻りで示しています。
シミュレーション(試算)などエネがえるの機能は、業務フローのどこに入りますか?
例として、「用地の選定」の「候補地ごとに事業性を概算」(蓄電池の事業性評価)、「系統接続の検討」の「接続検討の申込書類を作成支援」(補助金・系統連系の申請支援)、「収益シミュレーション」の「JEPX価格で収益計算」(市場連動型料金計算API)、「資金調達」の「基本・下振れケースのIRRを作成」(蓄電池の事業性評価)に入ります。改善後の図の緑の工程が、エネがえるの試算や代行に置き換わる部分です。
エネがえる導入の稟議書テンプレートはありますか?
このページの「導入効果の試算と稟議書テンプレート」で、対象の業務と自社の数字を入れると、作業時間・人件費・処理能力・提案までの日数・投資回収を試算し、Wordの稟議書とExcelの効果試算表(数式入り)をダウンロードできます。
業務フロー図は無料でダウンロード・編集できますか?
はい。各図はPNG・SVG・draw.io・CSV(工程表)でダウンロードでき、社内での利用や編集は自由です。社外で公開する場合は出典「エネがえる 業務フロー大全」を明記してください。図中の時間はモデルケースの例示です。
ほかの業種の業務フロー図
- 太陽光・蓄電池 販売施工店の業務フロー
- 住宅メーカー・工務店の業務フロー
- 産業用 自家消費EPCの業務フロー
- PPA事業者の業務フロー
- 小売電気事業者(新電力)の業務フロー
- ガス会社・LPガス事業者の業務フロー
- 自治体(脱炭素・再エネ)の業務フロー
- 太陽光・蓄電池メーカー・商社の業務フロー
- 金融・リース・コンサルの業務フロー
自社の業務フローに当てはめると、どこが変わるか
図の工程を自社の流れに置き換えて、どこで時間がかかっているか、どの工程を試算(シミュレーション)や代行に置き換えられるかを一緒に整理します。
ドラッグで移動、ホイールで拡大・縮小、← → で前後の業務、Esc で閉じる。会議室のモニターやプロジェクターでそのまま使えます。
